記事更新日:2025年06月24日 | 初回公開日:2025年06月24日
用語集 人事・労務お役立ち情報 採用・求人のトレンド 派遣社員無期転換ルールとは有期労働契約が5年を過ぎて更新される場合、労働者が無期労働契約への転換を申し込めるルールのことです。同一の企業との間で、有期労働契約の更新を重ねて通算期間が5年を超過した場合、労働者本人からの申込みにより無期労働契約に転換できる仕組みです。労働契約法に定められており、企業側は労働者からの無期転換申込権に基づく申請を原則として拒否できません。契約社員やアルバイトといった雇用形態の方も対象となります。
有期労働契約とは1年契約や6ヶ月契約といったように、あらかじめ労働契約の期間が定められている雇用契約を指します。契約期間が満了すると労働契約は原則として終了しますが、使用者と労働者の双方が合意すれば契約更新も可能です。パートタイマーや嘱託社員など、様々な名称で呼ばれるこの契約形態で、就業している労働者は少なくありません。企業が有期労働契約を締結する際には、契約更新の有無や判断基準を明示する必要があります。期間の定めがある点が、有期労働契約契約の最大の特徴となります。
無期労働契約とは、雇用される期間に具体的な定めがない労働契約のことです。一般的に正社員がこの契約形態に該当しますが、無期転換ルールによって無期雇用へ転換した労働者の労働条件が、必ずしも正社員と同一になるわけではありません。賃金や業務内容といった労働条件については、別段の定めがなければ、直前の有期労働契約の内容が基本的に引き継がれます。無期労働契約は労働者の雇用の安定に貢献し、企業には社員の能力を長期的に活用する機会を与えるでしょう。
無期転換ルールは、厚生労働省が制度の周知や適切な運用を企業に対して推進しています。無期転換ルールは有期雇用労働者の雇用の安定を目的として、平成25年4月1日に施行されました。厚生労働省は制度の適切な導入と運用を促すため、ハンドブックやモデル就業規則、Q&A資料などを公開し、企業がルールに対応できるよう支援しています。企業はこれらの情報を活用し、自社の就業規則整備や対象社員への説明責任を果たすことが大切です。ルール遵守と適切な情報提供が、労使双方の信頼関係構築に繋がります。
無期転換ルールができた背景として、有期労働契約の反復更新があります。無期転換ルールが導入される以前、多くの企業で有期労働契約が短い期間で安易に反復更新される実態がありました。労働者は長期間同じ業務に従事していても、常に契約期間満了に伴う雇止めの不安を抱え、キャリア形成の機会も限定的でした。雇用環境の不安定な状況は労働者の生活の安定を脅かし、企業の人材戦略にも少なからず影響を与えていました。働く人の保護と企業の成長のため、無期転換ルールが施行されたのです。
無期転換ルールの条件として、有期労働契約の期間が5年を超えていることがあげられるでしょう。5年という期間は、平成25年4月1日以降に開始された有期労働契約からカウントが始まります。契約社員やパート、アルバイトなど雇用形態の名称を問わず、契約期間の定めがある労働者が対象となります。企業は正確な期間管理が求められ、通算5年を超えた契約の期間中に労働者は無期転換を申し込める権利を得ます。労働者からの申込みに対し、企業は原則として拒否できません。
無期転換ルールの条件として、1回以上の契約更新が行われていることがあげられます。通算契約期間が5年を超えることに加え、期間中に少なくとも1回以上の契約更新が必要です。例えば最初に長期の有期契約を締結し、一度も更新されることなく契約期間が満了する場合には無期転換申込権は発生しません。有期労働契約が反復して更新された結果、通算5年を超えたケースが対象となるルールです。期間の経過だけでなく、契約更新が権利発生に不可欠です。
無期転換ルールの条件として、同一の使用者との間で契約更新が行われていることもあげられるでしょう。形式的には別会社であっても実質的に同一の事業主と評価される場合には、通算契約期間として扱われる可能性もあります。ただし、一般的には法人格が異なれば別使用者とみなされ、通算されないのが原則です。派遣労働者については、契約の相手方(使用者)は派遣元企業なので派遣先企業が異なっても、派遣元との有期契約が継続していれば通算対象となりえます。
無期転換ルールの注意点として、例外が存在することがあげられます。代表的なものとして、定年後に引き続き有期契約で雇用される高齢者や、高度な専門知識・技術を有する研究開発職等の労働者などがあげられます。こうした特例を適用するためには、事業主が「無期転換ルール特例計画」を作成し、都道府県労働局に申請して認定を受ける必要があります。認定なしに独自に特例を適用することは認められていません。適用の可否については、厚生労働省が公表している「特例制度に関する指針」や「認定申請マニュアル」等を参考に、慎重に判断することが重要です。
無期転換ルールの注意点として、部署移動があっても契約期間は通算されることがあげられます。例えば、A部署で3年間、B部署で2年間の契約を続けた場合、原則として通算5年間の契約期間として扱われ、無期転換申込権の対象になり得ます。無期転換ルールにおいて重視されるのは、契約の形式や業務の種類ではなく使用者が同一であり、実質的に雇用関係が継続しているかどうかです。したがって、社内での異動や業務変更はそれ自体では契約期間のリセット要因にはなりません。
無期転換ルールの注意点として、一定期間無契約期間があるとクーリングされることがあげられるでしょう。有期労働契約と次の有期労働契約の間に、契約関係がない一定の無契約期間が存在するとそれ以前の契約期間は通算されず、リセットされます。クーリング期間の長さは、原則として無契約期間の直前の有期契約の期間に応じて定められています。例えば、直前の契約期間が1年未満なら6か月以上の無契約期間でリセットされます。ただし、企業が意図的に無期転換を回避する目的で不自然な空白期間を設けることは、法の趣旨に反し問題となるので注意が必要です。
無期転換ルールの注意点として、労働条件が改善されない点があげられます。無期転換ルールにより無期契約に転換した場合、契約期間が「期間の定めなし」となる点以外の労働条件は原則として直前の有期契約時点の内容が引き継がれます。たとえば、賃金、職務内容、勤務地などが自動的に正社員と同様になるわけではありません。もちろん、企業側が無期転換者向けに別の制度を設け、処遇を改善するケースもありますが法的な義務ではなく企業ごとの判断によります。無期転換されたからといって「正社員化」されたと誤解しないよう、事前説明が重要です。
無期転換ルールの注意点として、タスクが重くなる可能性があります。無期契約になると企業側は労働者に対して、より長期的・継続的な戦力としての役割を期待するようになります。これまでよりも責任の重い業務や、専門性の高いタスクを任される可能性も出てくるでしょう。キャリアアップやスキル向上の機会でもありますが、同時に業務負荷の増加や能力開発の必要性という側面もあります。企業としては無期転換後の役割や期待値を事前に明確に伝えるとともに、必要に応じたサポート体制(教育訓練・配置転換の配慮など)を整えましょう。
無期転換の類型として、雇用期間を変更するケースがあります。このケースでは賃金、職務内容、勤務時間などのその他の労働条件を変更せず、有期契約から「期間の定めのない契約」に切り替えるのみとなります。労働者にとっては契約更新の不安が解消され、安定的に働けるメリットがありますが、その他の待遇が自動的に向上するわけではありません。企業側にとっても既存の条件を維持したまま無期雇用化を進められるため、制度導入のハードルが比較的低い点が特徴です。期間の定めをなくすことに主眼を置いた、無期転換の基本形といえるでしょう。
無期転換の累計として、多様な正社員への転換もあげられるでしょう。これは従来のフルタイム・無限定正社員とは異なる働き方を望む労働者のニーズに応えつつ、企業側が柔軟に無期雇用化を進める手段の一つです。例えば、育児・介護などとの両立を希望する労働者にとって、短時間正社員制度は魅力的な選択肢となり得ます。導入にあたっては対象者の範囲、労働条件、キャリアパス、評価制度などについて、就業規則や社内規程で明確に定めることが不可欠です。また、無期転換申込権の行使に際して「多様な正社員」として契約を締結する場合には、労働者との合意が前提となることにも留意が必要です。
無期転換の類型として、従来の正社員へ転換する道もあります。この場合、雇用期間の定めがなくなるだけでなく賃金制度や昇格制度、福利厚生など、労働条件全般が正社員と同等に変更されるのが一般的です。企業側にとっては意欲や能力の高い人材を長期的に確保し、育成していくための有力な人事施策となるでしょう。ただし、正社員登用として扱う場合には選考基準や処遇のルールを明確にし、社内の公平性・透明性を確保することが重要です。無期転換を契機として企業の人材戦略に応じた、より責任ある役割へのステップアップを図ることも可能です。
無期転換を企業が回避することは法の趣旨に反し、重大な労務リスクを招く可能性があるので雇用契約書は適切に整備しましょう。例えば、契約更新の上限を設ける場合にはその合理性を説明できる明確な基準や手続きを文書化し、労働者の納得を得る必要があります。また、有期契約の通算期間をリセットする「クーリング期間」についても、脱法的に悪用するような手法は厳に慎まなければなりません。企業としては法令を踏まえたうえで、自社の雇用方針に沿った誠実な契約管理を徹底すべきでしょう。
無期転換を理解し処理を適切に行いましょう。人事労務担当者は制度の趣旨や適用条件を理解し、契約更新状況の管理や対象者の把握、説明責任を果たすことが求められます。特に、無期転換申込権が行使された際には契約条件の確認、書面での対応、制度の説明など、丁寧な対応が不可欠です。こうした対応を怠れば、法令違反のリスクだけでなく、労使間の信頼関係にも悪影響を及ぼしかねません。厚生労働省のガイドライン等で最新情報を確認しつつ、正しい知識と誠実な姿勢で制度を円滑に運用しましょう。
グローバル採用ナビ編集部では外国人の採用や今後雇い入れをご検討されている皆様にとって便利な「就労ビザ取得のためのチェックリスト」をご用意いたしました。また、在留資格認定申請書のファイル(EXCEL形式)もこちらよりダウンロード可能です。
他社での事例やビザ申請の際に不受理にならないようにまずは押さえておきたい就労ビザ取得のためのポイントを5つにまとめた解説付きの資料です。
「日本語+英語+さらに語学が堪能な社員の採用」「海外の展示会でプレゼンが出来る人材」「海外向けサービスのローカライズ出来る人材」「海外向けWebサイト構築・集客」など、日本語も堪能で優秀な人材へのお問い合わせが当社に相次いでいます。
この記事を読んだ方は次のページも読んでいます。