環境型セクハラとは【具体例や対策についても解説します】

記事更新日:2024年03月15日 初回公開日:2024年03月15日

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現在企業の間で周知されつつあるセクシャルハラスメントには、環境型セクハラと対価型セクハラの二種類が存在します。中でも環境型セクハラは一見嫌がらせとは断定しにくい行為も該当するため、判断基準に困る場合も少なくありません。そんな環境型セクハラですがセクハラの言葉自体は知っていても、環境型セクハラは知らないという方も多いのではないでしょうか。今回は環境型セクハラについて、環境型セクハラとはどういうものなのか、起こった場合どのような悪影響があるのかを具体例を交えてご紹介していきます。環境型セクハラについて詳しく知りたいという方は、ぜひご参考にしてみてください。

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セクハラとは

性的な言動を受けて不利益を被ること

セクハラとは、職場の上司や同僚など周囲で関わりのある人物から、性的な言動が原因で不利益を被るなどのいやがらせを受けることです。この定義における不利益とは不利な労働条件だけでなく、本人が性的な言動により精神的な不調やストレスを感じ、通常よりも仕事の効率が下がってしまうことも不利益と解釈されます。また、セクハラは異性に対して行うものと思われがちですが、本人が不快に感じればたとえ同性相手でもセクハラに該当するため、注意が必要です。

性的な言動の例

セクハラの定義における、性的な言動の具体例は様々です。例えば、「胸が大きい」「太っている」など相手の身体的な特徴を指摘する行為や、相手の性別によって不利な労働条件やきつい仕事を押し付ける行為が該当します。また、上記のような分かりやすいものだけでなく、相手が嫌がっているのにも関わらず執拗に恋人の有無を聞き、プライベートを必要以上に詮索する行為もセクハラです。自分は些細な世間話のつもりでも、相手にとってはセクハラに成り得る行為もあることを覚えておきましょう。

環境型セクハラとは

性的言動により就労環境が悪化し支障が生じること

環境型セクハラとは、職場の人材の性的言動により本人の就労環境が悪化し、支障が生じてしまうことです。具体的には、日頃から性的言動を受けていることが原因で本人がストレスを感じて、仕事のパフォーマンスが下がってしまう状況がこれに該当します。また、環境型セクハラは加害者から被害者への直接的な言動だけが対象ではありません。例えば、自分以外の他の職員同士が性的な言動を職場で繰り広げている場合や、過度に露出の多い掲示物がオフィスに貼っている場合も環境型セクハラになる可能性があります。

対価型セクハラとの違い

対価型セクハラとは、加害者が行った性的言動に被害者が拒絶や抵抗をした場合に被害者に対して解雇や減給を行うなど、客観的に見て不当に不利な処遇を押し付ける行為のことです。具体的には、加害者の性的な言動に被害者が苦情を入れたことが原因で、被害者に対して当たりが強くなることも該当します。そのため、環境型セクハラは分かりやすい実害のある対価型セクハラと比較すると、被害が明確に認識されにくいハラスメントと言えるでしょう。

環境型セクハラの判断基準

平均的な男女を基準にする

セクハラに該当する言動には様々なパターンがあり、その時の状況や被害者の個人的な背景によっても異なります。特に環境型セクハラは、被害者が直接性的な言動を受けたわけではない場合もケースに含まれるので判断基準に迷うことがあります。また、セクハラは男女の価値観の違いによっても、ハラスメントと断定できるか否かは異なります。そのような場合には、被害者が女性の場合は、女性の平均的な感じ方を基準にし、男性の場合は男性の平均的な感じ方を基準として考えましょう。

環境型セクハラが及ぼす悪影響

労働生産性が下がる

環境型セクハラが被害者やその周囲に及ぼす悪影響として挙げられるのは、労働生産性の低下です。職場で常日頃から性的な言動を受けている人は、精神的なストレスが溜まりがちになります。この状態が長く続くと、被害者は集中力が低下するだけでなく休職や離職に追い込まれる可能性があります。また、止めてほしいと伝えているのに相手が言動を止めない場合は、周囲との信頼関係が壊れてしまい仕事上の連携が上手く行かなくなります。そのため、結果的に職場全体の能率にも悪影響を及ぼすリスクも懸念されるでしょう。

行政指導を受ける恐れがある

厚生労働省は、業種に関わらずすべての企業に対してハラスメント防止措置を図るように義務付けています。そのため、環境型ハラスメントが職場で起きた場合に、事態を放置していると行政指導を受ける恐れがあります。行政指導の措置を企業が受けると社員は対応しなければならないため、その分労力や時間が浪費され業務に支障が出る可能性があります。このような理由から、企業は日頃から対策を行い指導のリスクを低下させ、自社で環境型セクハラがあった場合には事態を大きくしないためにも早急な対応が必要です。

訴訟のリスクがある

環境型セクハラは放置していると、訴訟のリスクが発生します。環境型セクハラにより損害を受けると、被害者は加害者を名誉棄損や侮辱罪などで訴えることができます。また、企業がセクハラに対して適切な対応を取らなかった場合にも職場環境配慮義務に違反しているとして損害賠償を請求される恐れがあります。そのため、企業は職場で環境型セクハラが起きた際には当人同士の問題として判断するのではなく、会社全体の問題として事実を重く捉えなくてはなりません。

企業のブランドが落ちる

環境型セクハラが職場で発生すると、企業のブランドが落ちる可能性もあります。昨今ではSNSや求人サイトなどで、企業で働く社員の口コミを誰でも簡単に閲覧できるようになりました。そのため、セクハラに対して企業が適切な対応を取らないと、その事実が公表される恐れがあります。企業の悪評が世間に広まると求職者が減少するだけでなく、企業全体の業績悪化の原因となるリスクも少なくありません。このような理由から企業の環境型セクハラへの対応は、自社のブランド力を維持するためにも必要な処置と言えます。

環境型セクハラの具体例

視覚的に性的不快感を与える

環境型セクハラの具体例としては、視覚的に性的不快感を与えることなどが挙げられます。例えば会社で使うPC画面の待ち受けを水着や下着姿の女性にしている、グラビア写真集や過激な内容の雑誌をデスクに置いているなどの行為も該当します。加害者からすれば、他人に意図的に見せているものではないとしても、被害者が目にすると居心地の悪い気分になるのも事実です。そのため、他の社員に不快感や誤解を与えないためにも、私物やPCの取り扱いには十分に注意を払う必要があります。

意に反して身体的接触をする

被害者の意に反して身体的接触をする行為も、典型的な環境型セクハラの一種です。具体例としては、性別を問わず社員の肩や手などを触る、腰に手を回すなどの行為がこれに該当します。また、飲み会の席では異性の社員が嫌がっているのにも関わらず、無理に隣に座るよう強要する行為やお酌を指示する行為もセクハラです。このような本人の意に反した身体的接触は本人が不快に思うだけでなく、その後も「また触られるかもしれない」という恐怖を植え付けることになります。これは、同性であっても該当することなので、性別に関わらず不必要な接触は避けることが大切です。

意に反する性的発言を行なう

意に反する性的発言を行う行為も、環境型セクハラと言えるでしょう。セクハラの典型的な言動としては「彼氏や恋人は居るのか」など、異性関係をしつこく質問する行為が思い浮かびがちです。しかし、「何処に住んでいるの」「休みの日は何してるの」など、プライベートに深く踏み込む言動もセクハラに該当します。上記の内容は加害者にとっては世間話のつもりでも、聞かれたくない人にとっては苦痛を与えられる行為です。そのため、部下や後輩など立場上拒絶できない立ち位置に居る人材には、特に距離感に気を付けてコミュニケーションを取らなくてはなりません。

男女という固定概念を押し付ける

セクハラは分かりやすい性的な言動だけでなく、男女という固定概念を押し付ける行為も該当します。具体的には、「男なんだからしっかりしろ」「女はもっとお淑やかにしろ」など、男女の固定概念を個人に押し付ける行為がこれにあたります。女性や男性はこうであるべき、という個人の偏見を他者に押し付けてしまうと、押し付けられた本人は不快に思うだけでなく自分を否定された気分になります。また、従来は男女の性差によって区別されてきた職場の役割も昨今では是正されつつあるため、時代の流れに取り残されないためにも従来の価値観を職場に持ち込む行為は控えましょう。

環境型セクハラの対策方法

ハラスメント研修を行なう

環境型セクハラの対策方法として企業が行うべき手段の一つが、ハラスメント研修です。環境型セクハラに限らず、あらゆるハラスメントに該当する行為は非常に多岐に及びます。そのため、実際にどのような行為がハラスメントに当たるのかを社員に周知させるためにも、ハラスメント研修は必要不可欠です。研修を行う際には企業の担当社員が資料を用意して社内で実施するのも効果的ですが、外部の人材を招いた講義を行うとより客観的な視点からハラスメントについて学ぶことができます。

就業規則を定める

環境型セクハラは、行った場合実際にどのような罰則が加害者に下されるのか明確にすることが大切です。そのため、ハラスメントに対する企業の対応をあらかじめ就業規則に盛り込むと、有効な抑止力となります。企業が毅然とした態度でハラスメントを許さないという体制を取ることで、社員全体にもハラスメントを抑止する意識が広がります。また、職場でハラスメントが起きた際に、加害者に罰則を加える際にも就業規則に規定が無いと罰するのは困難です。このような観点から考えても就業規則に明確な規定を加える行為は重要な要素となります。

アンケート調査や相談窓口設置を行なう

環境型セクハラが職場で起こった場合には、企業はその事実をなるべく早く認知し対応しなければなりません。このような理由から定期的なアンケート調査や相談窓口の設置も対策としては必要不可欠です。被害を受けた際にすぐに報告できる環境が整えられていると、早急な対応が可能になるだけでなく被害者の心的負担も軽減できます。また、相談窓口を設置した際には、被害者と加害者の立場を守るためにも、必ず担当者も設置し個人情報の取り扱いや守秘義務の徹底を心がける必要があります。

セクハラに関する判例

福岡地裁平成4年4月16日

福岡地裁で平成4年に行われたセクハラ被害の裁判では、職場で性的嫌がらせを受けた女性が加害者の男性社員と会社を訴え勝訴しています。この裁判では加害者の男性が被害者女性に対して、職場での評価が著しく低下する発言をしたことが認められています。また、会社もセクハラの事実を認知していながら、適切な配慮を取らなかったことが認められました。結果として加害者と会社は被害者に対して150万円の慰謝料支払いを命じられました。被害者の女性は、裁判には勝訴したもののセクハラが原因で転職を余儀なくされています。

まとめ

環境型セクハラの内容を理解して発生を防止しよう

環境型セクハラは、直接的な言動に限らず加害者が悪気無く行った行為が被害者を無意識に追い詰めている可能性があります。また、環境型セクハラは本人に甚大なダメージを与えるだけでなく、企業全体に悪影響を及ぼすリスクも考えられる行為です。前述した判例でもわかる通り、ハラスメントの放置は被害者だけでなく加害者及び企業にも大きな損失を与えるケースも少なくありません。このような理由から環境型セクハラとはどんなものなのか、企業はしっかりと内容を理解し発生を防止していく必要があります。

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