企業が早期退職を勧めるメリットは?【希望退職との違いや退職金の扱いについて】

記事更新日:2021年01月14日 初回公開日:2021年01月14日

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定年を迎える前に自ら企業に申し込むことができる「早期退職」制度は、コロナ禍の影響下であることからも、昨今多くの企業が取り入れています。また、早期退職は、長くに渡った勤めを終えて悠々自適に暮らすためだけではなく、転職を考えている従業員を送り出すといった意味合いも持っています。終身雇用という従来の雇用のパターンを塗り替え、身に付けたキャリアを他社で生かしたい従業員の希望や将来の選択を尊重しつつ、企業の若返りや体制の見直しが可能な制度です。この記事では「早期退職」について詳しく解説していきます。

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早期退職とは

早期退職は企業が設けている制度

早期退職制度とは、従業員が定年を迎える前に退職できる制度のことで、60歳あるいは65歳の定年を迎える前に会社を退職することを言います。組織の長期的な若返りを図る、従業員の自らのキャリア選択の背を押すための恒常的な人事制度です。一般的には40代~50代以降を対象とすることが多いですが、転職を前提とした30代での早期退職を募集している企業も増える傾向にあります。また、特定の時期に募集するのではなく、希望する従業員が常時応募可能で、退職金の割り増しなど、様々な優遇措置が用意されているのも特徴です。2009年のリーマンショック以降は、多くの企業が導入しましたが、近年は減少傾向となっていました。しかし現在では、新型コロナウィルスの影響を受け業績の悪化が進み、早期退職や希望退職を奨励する例が増加しています。

2020年問題とバブル期採用の人員のコスト

現状では特に、バブル期に採用した現在50~60代の大量に採用された世代のコストが高く、人件費の負担により経営悪化が懸念されている企業が増加しています。これを「2020年問題」と言い、企業の抱える大きな悩みとなっています。さらに、少子高齢化により従業員の平均年齢も上がって行くことが見込まれるため、それに見合うポストを用意するだけの体力がある企業ばかりではないのが現状です。これまで手厚く賃金を支払ってきましたが、中高年層よりも若手の、新しい人材確保のためにコストを振り分けるため、業績に関わらないリストラを決行する企業も増えてきています。業務の中でもパターン化された内容であれば、人工知能などを用いての自動化対応が進みつつあり、むしろ人間がじかに取り組まないことでヒューマンエラーを減らすことも可能となってきました。こうした事実からも、単純な年功序列型の賃金形態で恩恵を授かることが難しくなったとも言えます。

早期退職と希望退職の違い

早期退職は社員の人生に選択肢を与える

「早期退職」と「希望退職」は、どちらも定年を待たずに勤めた会社を去ることなので、一見すると同じ意味に捉えてしまいそうな言葉です。しかし意味するところは大きく異なります。「早期退職」は、会社の業績に関わらず、一定の年齢に達したところで自分の考えで判断できる、福利厚生の意味合いを持った退職制度です。現在では以前と異なり、終身雇用の概念も変化してきています。早期退職は健康なうちに一度退職金を手にし、キャリアを元に転職活動をして次のステップへ進む推進力ともなり得ます。なお、従業員が自分で早期退職の年齢を決めることが多いため、原則として「自己都合での退職」となります。そのため、雇用保険上では一般の離職者となるため、ハローワークに申請をしたあと、失業手当を受け取れるようになるまでに7日間の待機と最長3か月の給付となります。

希望退職は人員整理が目的

一方、「早期退職」に対し「希望退職」制度は、会社の業績悪化や人員の若返りを目的とした整理を目的としていることが多いとされています。労働法では会社が一方的に従業員を解雇することはできないため、整理解雇であるリストラの前の段階として希望退職者を募って人員整理を行うものです。あくまで限定した時期に会社が募集をかけ従業員が申し込む、臨時の人事制度で、失業保険の取扱いは「会社都合での退職」になります。そのため、ハローワークに申請後、7日間の待機後にすぐ失業手当を受け取ることができ、期間も最長11か月までとなります。

早期退職のメリット

経験を次のキャリアへ生かすことができる

早期退職の場合、これまでの経験を活かし転職を目指すことも可能です。経験豊富な中高年の流出は、即戦力として今後再活躍のチャンスが増えていくものと考えられますが、現状ではミドル・シニアの年齢から自力での再就職は難航することも少なくありません。そのため、会社があらかじめ再就職支援会社と契約することで、早期退職の再就職をあっせんする再就職支援のサービスを受けられます。退職者が経済的に、また精神的に安定した再スタートを切れるよう、再就職支援の導入は大切と言えます。

退職金が増える

早期退職をする場合、退職金の割り増しを行うのが一般的です。退職金の割り増しは、制度を利用して早期退職する従業員にとっても一番のメリットとなります。ただし、金銭のことは口頭でのやり取りだけでは後々トラブルになることもあるものですので、決定までには慎重に話し合いを進める必要があります。話し合いの際には本来の退職金や、実際に割り増しとなる金額、その根拠、退職金の支給日をしっかり決めて合意しておくことが大切です。

構造改革・人員の調整ができる

企業は一定の年齢以上の従業員から早期退職者を募ることによって、従業員の若返りを図ることができます。好景気の時代に増やしてしまった役職やポストを整理することで組織をスリムにしていくことで、人件費にかかっていた経費を相当額削減することも可能です。また、制度を利用して人員を大きく入れ替えることで、年功序列でマンネリ化していた職場がフレッシュな雰囲気に変わる、新しい風が吹くなどの良い効果が期待できます。

早期退職のデメリット

退職者が想定より多い場合人件費を圧迫する

しかし、早期退職の希望者が想定外に一度に多く集まると、一時的に会社の人件費を圧迫する可能性があります。会社は割増退職金を合わせた退職金を一度に支出しなければならないためです。そういったリスクを避けるため、早期退職制度を設ける場合は、あらかじめ募集人数を設定して募るなどの工夫が必要と考えられます。特に早期退職によって若返りを図る場合は、バランスの良い人材の入れ替えのために、必要な措置の一つとあると言えるでしょう。

一時的な人員減となる可能性がある

また、早期退職希望者が多いと、一時的に会社の生産性が落ちてしまう可能性が考えられます。会社を去ってほしくない人材、重要なポストに就いていた人材までが早期退職を希望し流出してしまうリスクも想定しなくてはなりません。特に社内での信頼の厚い従業員が退職する場合は、残っている社員が不安になる、余計な憶測を呼ぶなどのデメリットがあります。それにより組織のモチベーションが下がり、業務効率が落ちるケースも考えられます。これを避けるために、事前の根回しや条件の設定などが必要です。

早期退職を導入している企業

ホンダ

ホンダは12/2、55歳~58歳の正社員を対象として退職・転職を優遇する制度を来年4月に導入することを発表しています。日本では2030年以降はガソリン車を販売しない方向となっており、大きな事業変革が必要となっています。加えてホンダはベテラン層の比率が高いため、人件費の削減を狙ったものと考えられています。従来の退職金に加え上乗せ分を追加支払い、希望者には再就職のサポートも行う予定となっています。なお、募集人数は特に定めず、長期的に若い世代への世代交代を進める方針です。

カシオ計算機

カシオ計算機では、営業部門、間接部門に10年以上在籍している正社員、及び無期契約社員のうち、45歳以上の一般社員と50歳以上の管理職が対象とした早期退職制度を導入します。退職日は21年5月20日を予定、募集人数は特に定めていないとの発表ですが、100人程度の応募が想定されている模様です。人員の整理により、既存の事業の強化に加え、新規事業の創出につなげる見込みです。従来の退職金のほか、特別退職金を上乗せしての支給を予定しており、希望があればば再就職の支援も行います。

オリンパス

オリンパスでは、2021年2月に国内従業員の約6%に相当する950人程度の早期退職者を募集すると発表しました。募集の対象となるのは、21年3月末の時点で40歳以上、かつ勤続3年以上の正社員、定年後の再雇用者、無期契約社員のいずれかを満たす従業員で、該当者は約7000人です。募集期間は21年2月1日~19日を予定しており、退職日は同3月31日となります。人員の削減によって固定費の支出を抑える目的です。また、希望者には再就職の支援をします。

公務員にも早期退職制度が導入されている

早期退職制度は民間企業だけではなく、公務員にも採用されています。国家公務員では「応募認定退職」という制度があり、勤続年数20年以上かつ退職まで15年を切っている職員が対象となります。大臣から対象者に向け、募集期間、人数などについての告知がされます。公務上で必要な人材である場合を除き、原則早期退職が認定されます。認定通知書が交付されたのちに退職手当が支給されます。退職金の支給率は通常通り勤続年数に応じて規定されたものに加え、定年までの日数に応じ3~2%の割り増しがあります。

早期退職の退職金

早期退職の場合は割増退職金を加算するケースが多い

従業員が早期退職制度を利用して退職する場合、会社は従来よりも多く退職金を支払うことが一般的です。つまり早期退職の希望者が多い場合は、その分一時的にコストがかかることも念頭に入れておかなくてはなりません。早期退職者は厚生年金から公民年金に加入が変わり、これまでは企業が半額払っていた年金負担額をすべて自己負担しなければならなくなります。また、配偶者がいる場合は、その分の国民年金も支払うことになるなど、負担が増えるのが一般的です。そのため、早期退職者にとってはこの割増額は非常に重要です。

割増退職金の相場は

一般的に早期退職の割増退職金は、早期希望退職時の年収の2倍ほどと考えられています。この試算の場合、仮に従業員が50歳で早期退職をした場合、定年で支払う退職金に加えて2年分の年収を支払うことになります。つまり定年まで勤めあげたほうが収入自体は良くなるわけです。とは言え若くして早期退職制度を利用する場合の多くは、転職を考えていることも多いものです。制度の導入と同時に退職後の就職支援を視野に入れておくと、安心して従業員を送り出すことも可能です。

まとめ

早期退職制度を活用しよう

このように、早期退職制度を活用することで、会社は円満に従業員の整理や若返りを図ることができます。割増退職金を支払うなどの一時的なコストはかかりますが、年齢層が上昇の一途をたどる企業にとっては非常に画期的な制度と言うことができ、今後も導入する企業は増えていくことと考えられます。また、以前のように終身雇用を考えている社員は今後少なくなっていくと考えられます。このような社会や時代の動きに対応できるよう、長期的な見通しを立てていくことが重要です。

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