契約社員の5年ルールとは?【5年ルール関する定義や条件なども解説します】

記事更新日:2025年05月20日 初回公開日:2025年05月20日

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契約社員として勤続5年が目前となり、「この先も更新されるのか?」といった不安を感じていませんか?5年ルールについて耳にしても具体的にどうなるのか、正社員との違いは何なのか、正確な情報が不足していると心配になるものです。ルールを知らずにいると無期転換の機会を逸したり、意図せず不利益を被ったりする可能性も否定できません。この記事では、5年ルールについて知りたい契約社員の疑問に答えます。5年ルール(無期転換ルール)の4つの条件やメリット・デメリットなどを理解し、自身のキャリアプランの構築に役立ててください。

契約社員の5年ルールとは

契約社員が5年同じ会社で働けば無期雇用契約へ転換できるルール

契約社員の5年ルールとは、契約社員が5年同じ会社で働けば無期雇用契約へ転換できるルールです。同じ会社で有期労働契約が通算5年を超えていくつかの条件を満たすと無期転換申込権が発生し、契約社員自身からの申込みがあれば無期雇用契約へと切り替えられます。ただし、自動的に無期雇用へ変わるわけではなく、労働者本人による「申込み」というアクションが必要となる点には注意しましょう。この制度は雇止めの不安を減らし、雇用の安定を図る目的で導入されました。

無期転換ルールとも呼ばれる

契約社員の5年ルールは無期転換ルールとも呼ばれます。無期転換ルールは、有期雇用契約から期間の定めのない無期雇用契約への転換を直接的に示す呼び方といえるでしょう。5年ルールという呼び方は転換権が発生するための通算5年超という期間要件に焦点を当てた、覚えやすい通称といえます。指している制度は全く同じなので、どちらの言葉を聞いても「同じルールのことだ」と認識しておくと、情報収集の際に混乱しないでしょう。

契約社員の5年ルールが制定された背景

従業員の雇止めに対する懸念を払拭するため

契約社員の5年ルールが制定された背景として、従業員の雇止めに対する懸念の払拭があります。ルールが導入される以前は、契約社員は長期間勤務していても次の更新があるのか、いつ雇止めされるか分からないという不安定な立場に置かれていました。特に、長年にわたり会社に貢献してきた契約社員を保護する必要性が高まりました。無期雇用への転換という選択肢を用意して雇用の安定性を高めることが、ルールの制定の背景にあります。

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契約社員の5年ルールに関する用語の定義

有期労働契約の意味

契約社員の5年ルールに関する用語の定義として、有期労働契約の意味を理解しましょう。有期労働契約は1年間や6ヶ月間といった期限が設定され、期間が過ぎれば原則として契約は終了します。企業(使用者)と労働者がお互いに合意すれば、契約を更新して働き続けることも可能です。契約社員として働く多くの方が、この有期労働契約を結んでいます。契約社員の5年ルール(無期転換ルール)は、この雇用形態で働く人々を主な対象とする制度といえるでしょう。

無期労働契約の意味

契約社員の5年ルールに関する用語の定義として、無期労働契約の意味を理解しましょう。有期労働契約とは異なり、働く期間に期限が設けられていない労働契約を指します。契約の終わりを前提としないため労働者が継続勤務を希望し、かつ企業に定年の規定があれば、その年齢まで基本的に働き続けられる雇用形態です。正社員が一般的にこの契約ですが5年ルールによって有期雇用から転換した契約社員なども、期間の縛りがなくなるため、無期労働契約に分類されます。雇用の安定性が大幅に向上する点が、有期雇用契約との大きな違いでしょう。

契約社員の5年ルールの条件

4つの条件がある

契約社員の5年ルールの条件として4つの条件を満たす必要があります。第一の条件として、現在の契約が有期労働契約であること。第二に、同じ企業との有期労働契約が更新され、トータルの契約期間が通算5年を超えていること。第三に、その期間中に最低でも1回は契約更新を経ていること。これら3つの要件が満たされると、労働者に無期転換を申し込める資格(無期転換申込権)が生まれます。第四のステップとして資格を得た労働者本人の無期雇用転換の意思表示が、最終的な条件となります。

無期転換の類型

雇用期間を変更すること

無期転換の類型として雇用期間を変更することがあげられます。有期労働契約で働いていた人が無期転換の権利を行使した場合、契約内容のうち期間に関する部分だけが無期限に修正されるというものです。給与や勤務時間、業務内容、働く場所などの期間以外の労働条件は企業と労働者の間で特別な取り決め(別段の定め)がなければ、有期雇用時のものがそのまま維持されます。雇用は安定しますが、待遇面がすぐに正社員と同等になるわけではないことを理解しておきましょう。

正社員へ転換すること

無期転換の類型の中には正社員へ転換があげられるでしょう。契約社員の5年ルールによる無期転換のタイミングを利用して、企業が当該契約社員を正社員として新たに雇用契約を結び直すケースです。単に契約期間が無期になるだけでなく、給与体系、賞与・退職金制度、福利厚生、業務の責任範囲なども含めて、他の正社員と同様の労働条件に変更されることが一般的です。企業によっては無期転換の対象となる契約社員の中から、勤務実績や能力などを評価・選考した上で正社員へ登用する制度を設けています。

条件付きの正社員に転換すること

無期転換の類型として条件付きの正社員に転換することがあります。例えば勤務地が特定の地域に限定されていたり(転勤なし)、職務内容が専門分野に限定、労働時間が短いなど、働き方に限定がされています。契約社員の5年ルールによる無期転換にあたり、企業がこうした限定正社員制度を導入する背景には、労働者の多様なニーズに応える意図があるといえるでしょう。具体的な労働条件は企業ごとに異なりますので、就業規則等での確認が不可欠です。

契約社員の5年ルールに際して企業が準備すること

就業規則を整備する

契約社員の5年ルールに際して企業が準備することとして、就業規則を整備することがあげられます。無期転換した場合、どのような労働条件(給与、労働時間、休日、福利厚生など)にするのか、正社員と違いを設けるのかなど、就業規則上で規定しておく必要があります。労働契約法では転換後の労働条件は原則として転換前と同じとされますが、企業によっては無期転換者向けの規定を別途定めることもあります。後々労働者とトラブルに発展したり、人事労務管理が混乱するリスクがあるため、就業規則の整備は欠かせません。

契約社員の5年ルールによる労働者のデメリット

正社員になりにくい

契約社員の5年ルールによる労働者のデメリットとして、正社員になりにくいことがあげられるでしょう。5年ルール(無期転換ルール)は、雇用期間を無期にするための制度であり、自動的に正社員と同じ地位や待遇を得られるわけではありません。企業によっては無期転換した契約社員を、正社員とは別の雇用区分として扱い、給与体系や昇進の機会や福利厚生などに差を設けているケースもあります。たとえ正社員への登用制度が存在したとしても、適用には選考や一定の条件クリアが求められることが多く、希望者全員が正社員になれるとは限りません。

労働条件は変更されない

契約社員の5年ルールによる労働者のデメリットとして、労働条件は変更されないことがあげられます。雇用期間が無期になったとしても労働契約法上、労働条件は企業との間で就業規則などで「別段の定め」がない限り、有期雇用時のものが引き継がれます。「無期になったら給与が自動的に上がる」「賞与がもらえるようになる」といった期待は、企業が特別な措置を講じない限り、実現しないかもしれません。雇用の安定と引き換えに待遇面での向上が見込めない場合があるのは、デメリットといえるでしょう。

仕事が重くなる恐れがある

契約社員の5年ルールによる労働者のデメリットとして、仕事が重くなる恐れがある点も考慮すべきです。無期雇用になり、会社側も長期的な戦力として期待するようになる結果、転換前よりも責任ある業務を任されたり、担当する仕事の範囲が広がったりする可能性があります。「期間の定めがなくなったのだから、より会社に貢献してほしい」という周囲の期待が、プレッシャーや業務負荷の増加につながります。待遇が有期雇用時から変わらないまま、仕事の量や責任だけが増えると、労働者にとっては不満やストレスの原因となりかねません。

契約社員の5年ルールによる労働者のメリット

定年まで在籍が可能になる

契約社員の5年ルールによる労働者のメリットとして、定年まで在籍が可能になることがあげられるでしょう。有期労働契約では、契約期間が満了するたびに契約更新の有無や雇止めの可能性に不安を感じることがあります。しかし、無期労働契約へ転換すれば、雇用期間の定めがなくなるため企業に定年制があれば、その年齢まで原則として働き続けることが可能となります。法律上、合理的な理由のない解雇もされにくくなるため、雇用の安定性は格段に向上するでしょう。将来の見通しが立ち、長期的な生活設計やキャリアプランを考えやすくなる点は、大きなメリットです。

スキルアップが見込める

契約社員の5年ルールによる労働者のメリットとして、スキルアップが見込めるという点もあります。契約期間という制約がなくなることで、これまで担当できなかったような、より責任のある業務や幅広い仕事に挑戦する機会も増えるかもしれません。企業側が教育訓練や研修など、長期的な人材として育成する可能性も高まるでしょう。企業によっては、無期転換者向けのキャリアアップ支援制度を設けています。長期的な視点で仕事に取り組むことを通じて、専門的なスキルや知識を深め、自身の市場価値を高めることにもつながります。

収入が安定する

契約社員の5年ルールによる労働者のメリットとして、収入が安定することもあげられます。有期雇用の場合、契約が更新されなければ収入が途絶える心配がありますが、無期雇用になれば、定年まで継続して給与を得られる見込みが立ちます。毎月の収入が長期にわたり安定するのは生活の上での大きな安心材料となるでしょう。企業によっては、無期転換を機に賃金テーブルを見直したり、賞与の支給対象としたりするなど、待遇が改善される可能性もあります。(ただし、これは企業側の義務ではありません。)

契約社員の5年ルールの注意点

自動的に無期雇用へ転換されるわけではない

契約社員の5年ルールの注意点として、自動的に無期雇用へ転換されるわけではないことを知っておくべきです。通算の契約期間が5年を超え、その他の条件を満たしたとしてもそれだけで自動的に雇用形態が無期に切り替わるわけではありません。労働者自身が無期転換を希望する旨を企業に対して「申込み」をして初めて、無期労働契約が成立するのです。権利が発生していることに気づかなかったり、申込みをしないまま契約期間が満了してしまったりすると、無期転換の機会を失うことになりかねません。

まとめ

契約社員の5年ルールを理解し活用しよう

契約社員の5年ルールを理解し活用しましょう。5年ルールは、契約社員として働く方にとって、雇用の安定やキャリアップやスキルアップの可能性が拡がる制度です。しかし、通算5年を超えれば自動的に無期雇用へ転換されるわけではなく、労働者自身による申込みが必要となる点など、正しい理解が不可欠です。無期転換には雇用の安定やスキルアップといったメリットがある一方で、労働条件が原則変わらない、正社員とは異なる場合があるといった側面もあります。自身のキャリアプランや働き方の希望を明確にして、制度のメリット・デメリットを把握したうえでの、権利の行使がより良い働き方を実現させましょう。

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