降格人事とは?【実施する主な理由や伝え方等について】

記事更新日:2021年02月05日 初回公開日:2021年01月07日

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企業では従業員の昇進だけでなく、降格が行われることがあります。人事異動の時期には、社員の降格を検討する企業もあるでしょう。しかし社員の降格はもちろん気軽に決定出来るものではありません。降格は社員のモチベーション低下やトラブルの原因になりかねないので、慎重に行う必要があります。そこで今回ご紹介するのが「降格人事」です。この記事では降格人事の種類から処分内容、注意点まで細かく説明していきます。特に人事担当者の方は内容を正確に理解して、適切な判断が出来るようにしましょう。

降格人事とは

従業員の地位や役職を下げること

まず初めに降格人事の意味について確認しましょう。降格人事とは一言でいうと、従業員の地位や役職などを下げることです。会社では就業規則に主任、課長といった役職や職位、あるいは職能資格などが記載されています。降格人事ではこういった上位の役職や等級から下位への引き下げが行われることになります。降格人事は従業員であれば避けたいものですが、企業が利益を出し続けるためには、時として必要な場合もあるかもしれません。

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降格人事の種類

人事降格

降格は、主に2種類に分けられます。1つ目は人事降格です。人事降格とは会社が従業員と結ぶ労働契約に基づき、企業が持つ権利として従業員を降格させることです。人事降格が行われる理由として、役職に求められる能力やスキルがないといった例が挙げられるでしょう。その社員の能力や経験、実績などを総合的に見て、その役職や等級が適切ではないと判断した場合に降格人事が適用されることがあります。また人事降格の中でも、職位を引き下げる降職と、職能資格や給与資格を下げる降格(降級)があるということも理解しておきましょう。

懲戒処分

続いて2つ目は懲戒処分による降格です。懲戒処分とは従業員が果たすべき義務や規律違反に対して行われる制裁措置のことです。懲戒処分の条件については就業規則に該当する行為や項目などを明記しなければなりません。懲戒処分が認められる例として、無断欠勤や機密情報の漏洩、犯罪行為などが含まれます。懲戒処分の該当となる行為によっては降格するだけでなく、退職命令が出ることもあるでしょう。尚この場合の降格人事は従業員の規律違反に対して、企業が制裁を与える懲戒権に基づいています。

降格人事を行う主な理由

能力不足

ここまで降格人事について説明してきましたが、なぜ降格人事が行われるのでしょうか?ここでは代表的な原因を2点ご説明します。1点目は該当社員の能力不足です。能力不足が個人の能力や経験、スキル不足による場合は人事異動としての降格人事を実施することが出来ます。特に役職者は部下やチームを統括するマネジメントスキルも求められますが、そういった能力がないと判断されれば、降格人事が行われる可能性もあるでしょう。また部署が成績不振などになった場合も社員の能力不足として降格となってしまうこともあります。

パワハラなどの問題行為

2点目は該当社員による問題行為です。例えばパワハラやセクハラといったコンプライアンス違反や遅刻や欠勤の常習化などが問題行為に当てはまります。また会社の備品の盗難や横領などの犯罪行為も対象になるでしょう。ただし犯罪行為の場合は降格だけでなく、懲戒解雇などの厳しい処分が下されることも少なくありません。いずれにしても従業員の問題行為を会社として許容する訳にもいかないので、問題行為への制裁として降格人事が行われることがあります。

降格人事の処分内容

減給

降格人事が行われると該当となる社員にはどのような影響があるのでしょうか?ここでは主な処分内容を3点紹介します。まず1点目は減給です。降格人事により役職が下がると役職手当や職務手当の支給額が減ることも少なくありません。基本給に関しても就業規則に記載がある場合や、降格の理由が合理的であると判断された場合は減給が認められます。また降格による減給の限度額についても法律では決められていません。ただし懲戒処分による減給の場合は労働基準法第91条で金額や期間が定められているので注意が必要です。

役職変更

2点目は役職の変更です。役職は主任、課長、部長、取締役などの社内でのポジションのことを指します。昇格と反対に降格の場合は、現在のポジションから下のポジションに変更にことがあります。ほとんどのケースでは降格人事によって部長から次長などのように1つ下の役職に就くことになるでしょう。同じ部署内でも降格人事が行われることで該当となる社員の業務内容や役割なども変わることになります。

異動や出向

3点目は出向などを含む人事異動です。ジョブローテーションと違い、降格人事による異動は減給を伴うことが多いのが特徴です。異動といっても幅が広く、職種や勤務地の変更などを伴う転勤や、所属する会社に在籍したまま他の企業で働く出向などがあります。社員は異動によって仕事内容が大きく変わることもあるかもしれません。出向に関しては民法にも記載されていますが、事前に該当となる社員の承諾が必要なので注意が必要です。

降格人事を行う際の注意点

就業規則に降格の条件を明記する

降格人事は従業員にとって大きな不利益となるので、簡単に決断出来るものではありません。ここでは降格人事を実施する際の注意点を4つご紹介します。まず1つ目は就業規則に降格となる条件をあらかじめ記載しておくことです。管理者の主観的な判断による降格は決して許されません。トラブルを防ぐためにも、降格の根拠となる規定を用意しておくようにしましょう。特に懲戒処分や降級の場合は給与が減る可能性が高いため、就業規則への明記は必須となります。

具体的な証拠やデータを用意する

2つ目は降格の元となる具体的な証拠やデータ等を用意しておくことです。降格人事を行う理由に従業員が納得しなければ、訴訟に発展する可能性もゼロではありません。特に懲戒処分による降格については、社員の問題行為がデータや証拠として残っていることが非常に重要です。この場合、社員や関係者への聞き取りや書類などのデータが証拠となります。また、人事異動による降格の場合も就業規則のどこに当てはまるのかを社員に対して必ず示すようにしましょう。

正当な理由がなければ違法になる可能性が高い

3つ目の注意点は降格に関して正当な理由がなければ違法となる可能性があることです。社員が降格するには先程説明したように様々な理由があります。しかし当然ながら、降格の理由は客観的かつ正当なものでなければなりません。例えば社員を退職に追い込むことを目的とした降格や有給休暇などの正当な権利行使を理由とする場合は違法になります。また2段階以上の極端な降格についても違法であると判断されるケースが増加しています。

該当社員のモチベーションの変化に配慮する

最後に4つ目は降格人事の対象となる社員のモチベーションの変化に配慮をすることです。降格人事は、該当する社員のやる気やモチベーションの変化に大きな影響を及ぼします。理由に関わらず、一時的なモチベーションの低下は避けられないでしょう。最悪の場合は、社内全体のモチベーションに低下に繋がる可能性もあります。企業の秩序を保つために降格人事が必要な場合もありますが、社員のモチベーションとのバランスを留意した上で実行することが大切です。

降格人事を行う流れ

現状を把握する

降格人事はどのように行えば良いでしょうか?ここでは降格人事を行う際の基本的な流れを確認しましょう。まず初めにすることは現状や事実関係を正確に把握することです。先程も説明したように降格人事を行うためには具体的なデータや証拠が必要です。例えば規律違反が発生している、あるいは営業部の売上が著しく低下しているなどの報告があった場合、何が原因なのか、そしてどのような問題なのかという事実確認をしなければなりません。

降格人事を検討する

現状をしっかりと把握した上で、必要だと判断した場合には、降格人事の検討を行いましょう。降格人事には、大きく分けて人事降格と懲戒処分の2種類があると説明しました。該当となる社員の能力やスキル、成績不振などによる降格人事であるのか、あるいは規律違反などによる懲戒処分を検討するべきであるのかを判断する必要があります。特に懲戒処分の場合は、訴訟に発展する可能性もあるので、より慎重な判断が求められるでしょう。

弁明や改善の機会を設け、降格の可否を判断する

降格の検討が終わったら、降格人事を実行する前に該当となる社員に証拠となるデータや事実を伝えるようにしましょう。そこで本人に弁明する機会を与えて、しっかりと事実確認をすることが大切です。また本人の行動や問題行為などが改善する可能性があれば、一定期間様子を見てから最終的な判断をすることが望ましいです。弁明や改善の機会を設けても変化がなければ降格人事を実施する手続きを進めましょう。

降格が決定した際の伝え方

正式な文書で通知する

降格人事が決定したら、本人に対しては必ず正式な文書で通知をするようにしましょう。メールや口頭で降格を伝えるとどうしても重要性が伝わりづらくなってしまいます。一方で文書であれば本人が後から見直すことも出来ます。文書を作成する際はビジネス文書の形式に従い、誰から誰に向けて通知するのかを必ず明確にする必要があります。また文書を渡すときは、受け取る本人が降格を受け止められるようにするためにも厳格な雰囲気で行うようにしましょう。

明確な降格理由を伝える

降格を伝えるときは必ず明確な降格理由を明記することが大切です。降格をすることで該当となる社員の評価は下がってしまいます。さらに、一度降格すると社内で新たに評価を得られづらくなるかもしれません。そのため降格人事を行う明確な理由を伝えて、本人が納得した上で仕事に取り組んでもらうことがとても重要です。お互いに納得した上で仕事が出来れば長期的なモチベーションの低下には繋がらず、より働きやすい環境を作ることが出来るでしょう。

まとめ

降格人事は慎重に行う必要がある

今回は降格人事について種類や注意点など幅広く解説してきました。会社で働く以上、降格をする可能性は誰にでもありますが、当然ながら降格をして喜ぶ社員などいないでしょう。降格人事は社員のモチベーションや意欲、給料などにも影響を及ぼす大きな決断になります。そのため降格人事の判断をする際は必ず根拠となる具体的なデータや証拠を用意することが不可欠です。社内でのトラブルを避けるためにも一人ひとりの社員に対して正しい評価を行い、慎重に降格人事を行いましょう。

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