キャリアドリフトとは【メリットなどについて具体的な例と合わせて解説します】

記事更新日:2022年07月20日 初回公開日:2022年07月08日

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将来のキャリアを考えながら仕事を行っている人は少なくありません。しかし年功序列制や終身雇用制度が活用されている企業が少なくなっている中で将来のキャリア計画を行うことは簡単ではありません。また、思い描くキャリアを固めてしまうと周りの環境等の変化に対応することが難しく、思っていたキャリアからかけ離れてしまう可能性もあります。そこで流れに身を任せてキャリアを形成していくという考え方の「キャリアドリフト」を活用しましょう。キャリアに悩んでいる人や人事担当の方は是非参考にしてみてください。

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キャリアドリフトとは

流れに身を任せてキャリアを積むこと

キャリアドリフトとは、流れに身を任せてキャリアを積むことです。ドリフトには漂流するという意味があります。自分自身のキャリアを事前に「こうありたい」という道筋を詳細に決めようとはせず、節目ごとに起こる変化を楽しみ自然の流れに身を任せるようにキャリアを楽しみます。終身雇用や年功序列制が基盤になっていた日本では自ら道筋を作らず「キャリアに身を任せる」生き方は珍しいかもしれません。しかし今までの「何を目指しているのか」よりも「どのように働きたいか」に重きを置いて漂うことが推奨されています。

キャリアドリフトとキャリアデザインの違い

キャリアデザインは自ら主体的に設計する

似ているようでキャリアドリフトと対義語の意味を持っているのがキャリアデザインです。キャリアデザインは自ら主体的にキャリアを設計するという意味を持ちます。キャリアデザインやキャリア開発と言われているものは、何になるのか(職業やどのような仕事をするのか)という考え方に重きを置いています。近年日本でも海外のように成果主義を導入する企業が増えたことにより「キャリアは自分で作るものだ」という考えが広まったことから、キャリアデザインという言葉が生まれました。

キャリアドリフトとキャリアデベロップメントの違い

キャリアデベロップメントは企業側が活動の主体となる

キャリアドリフトととキャリアデベロップメントの違いは、企業側が活動の主体になっているかどうかという点です。従業員が練ったキャリアプランを元に企業が求めている人物像になるよう人材を開発することを意味します。キャリアドリフトは個人が主体となりますが、キャリアデベロップメントは企業が主体となり長期的に社員の研修や昇進などキャリアをどのように形成していくのかの道筋を作る手法です。対象となる社員がキャリアドリフトを上手く活用するためには企業側が作る道筋と合致している必要があります。

キャリアドリフトとキャリアパスの違い

キャリアパスは詳細な道筋を立てる

キャリアパスはキャリアドリフトとは異なり、詳細な道筋を立てることを意味します。キャリアパスは目標を達成するために必要な経験や順序を指し示す方法です。昇進までに必要な年数やスキル・経験を従業員に提示することによって、従業員が希望する職位への道筋を示す際に使用可能です。具体的な道筋を提示されることにより、従業員は何をすればいいのかを想像することが出来ます。キャリアドリフトが生き方を示すのに対し、キャリアパスは具体的な道筋を提示する点が異なっています。

キャリアドリフトが生まれた背景

将来の予測が困難である

キャリアドリフトが生まれた背景には、将来の予測が困難であることが原因となっています。今までは年功序列制や終身雇用制度が一般的でしたが、そういった制度を活用している企業は減少しており同じ企業で長く安定した中で働いていく事が難しくなっています。市場や社会の目まぐるしい変化において将来の予測が出来ない中、変化に対して柔軟に対応できることが大切です。キャリアのビジョンを固めていても環境の変化で崩れてしまう可能性もあります。今できることに集中し、環境の変化に負けないような態勢を作り変化の激しい時代に即したキャリア理論です。

キャリアドリフトの方法

節目を意識しながら柔軟に対応する

キャリアドリフトの方法は、節目を意識しながら柔軟に対応することが大切です。節目となる時期のキャリアデザインを行った後はキャリアデザインにこだわりすぎずに業務内容の変化にも柔軟に対応することが重要です。しかし節目には意識して業務を見直し、今までのキャリアデザインとの乖離を把握し先のキャリアデザインを行いましょう。節目になるものとして、年齢・危機感・メンターからの声・楽しさ・ライフイベントが上げられます。この5つを意識しながらキャリアドリフトを行っていきましょう。

信念に基づいて方向修正する

キャリアドリフトは信念に基づいて方向を修正する方法があります。先述したキャリアの節目には、気持ちや感覚が大きくかかわってきます。自分の気持ちや感覚を大切にすることが、目指しているキャリア像を築いていく中でとても重要です。計画したキャリアデザインの実現を完璧に行うことが本来の目的ではなく、自分のなりたい将来像や社会貢献の実現がキャリアにおける目的のはずです。節目ごとに感じる自分の気持ちを大事にしながら、信念に基づいてキャリアデザインの方向を修正していきましょう。

決めたキャリアに全力で取り組む

決めたキャリアに全力で取り組むことがキャリアドリフトを実行する方法です。自分の感覚に基づき、キャリアデザインを更新した後はその時に得た業務に全力で取り組みましょう。キャリアデザインをアップデートしたことにより、部署の異動を行ったり転職するという事も選択肢として上がってきます。異動や転職まではいかなくてもキャリアデザインを更新することによって今携わっている業務への姿勢が変わってくるはずです。キャリアデザインを修正し、必要な行動を起こした際には与えられた業務に全力で取り組むことが大切です。

キャリアドリフトの例

学生の例

キャリアドリフトは学生時代にも実施できます。学生にとって最初の節目となるのが卒業です。学生から社会人になることは身分が変わるだけでなく生活環境・人間関係も今までとは異なり、生活スタイルも社会人になるときに変化するため人生の転機と言えます。卒業してからの方向を決めることがその後の社会人生活を大きく左右しますが、情報収集できる方法には限りがあります。知りえた情報からどの仕事を選択するかを考えますが、正確な判断を下すことは困難です。そういった場合にキャリアドリフトを活かし、すべての経験が繋がっていく事を信じて新しいことにチャレンジすることが大切です。

20代の例

20代こそ、キャリアドリフトを楽しむべき期間と言えます。会社で働き始めると入社前に想像していた環境とは異なり、日々奔走し挫折を経験するかもしれません。しかし思い描いた夢を実現するために自分で選択した企業で起こる変化を楽しみながら次に来る節目までのデザイン修正するための経験を積む期間です。20代後半になると責任ある仕事も任されるようになり、企業の中において自分の存在価値や能力が分かり改めてキャリアを検討することとなります。周囲からの意見によって方向性を変えないためにもしっかりと目指す方向を意識することが重要です。

30代の例

30代は20代で設定したキャリアに関する目標や考え方を再度設定しなおしましょう。20代では次のステップの為に様々な経験を積むトライアル期とされています。自分中心の目標だったものが30代では責任ある仕事を任されるだけでなく、マネジメントを行う立場になる為に成長する年代でもあります。それだけではなく私生活では結婚や出産、転職など人生の大事な節目を迎える人が増加します。改めて自分の目標を設定しつつ環境の変化に適応していく事が重要です。組織や周りに流されすぎてしまわないように気を付けましょう。

女性の例

女性は男性以上に節目となる出来事が多いと考えられている為、キャリアドリフトを使って柔軟に対応することが大切です。女性の社会進出が制度としても後押しされるようになりましたが、結婚や育児・組織内での女性に対する風潮などを見るとまだ男性との差が大きい企業が多くあります。男性よりも節目が多いため、仕事だけでなく家庭や子供など多くの事情を想定したキャリアドリフトが必要です。結婚や出産なども大切な節目ですが、自分の目標に対してどのような判断をしていくかを考える為にも日頃からキャリアドリフトを活用する必要があります。

キャリアドリフトのメリット

環境の変化に対応できる

キャリアドリフトは環境の変化に対応できるメリットがあります。キャリアデザインを行いそれに沿った職業生活を行っていても自分のキャリアデザインと実際に携わっている業務に乖離を感じてしまうことがどうしても起こります。最初に自分が設定した目標に固執してしまうとキャリアの可能性が狭くなってしまい環境変化に対応することも難しくなります。その中でキャリアドリフトの考え方を元に業務を行うと計画にないキャリアデザインの出来事も、チャンスととらえることが出来柔軟に対応を行うことで新しいキャリアの可能性が広がります。

モチベーションを高められる

キャリアドリフトのメリットはモチベーションを高められることです。自分のキャリアデザインばかりに意識がいっていると、想定していなかった業務や役割を任されたときに仕事のモチベーション維持が難しくなってしまう可能性があります。その結果転職を繰り返してしまうなどし、元々想定していたキャリアデザインから遠く離れてしまうかもしれません。キャリアドリフトに沿った考え方で業務を行っていると打診される新しい役割などに対してもチャンスと捉えることが出来るので、仕事に対してモチベーションを高められ積極的に業務を行えます。

キャリアドリフトのデメリット

成果や報酬の算定が難しい

キャリアドリフトのデメリットは、成果や報酬の算定が難しいことです。企業や人事部門にとって長期的に貢献してもらえるキャリアドリフトはとても魅力的ですが、考え方をそのまま人事制度や評価制度に組み込むのは簡単ではありません。目標を可視化し管理している現行の制度に比べてキャリアドリフトは職業生活を通しての目標の為その結果は終わって初めてわかることが殆どです。しかしキャリアドリフトは過剰管理されている作業から従業員の負荷を減らす可能性を持っています。

キャリアドリフトを人事で活かす方法

社員を長期的に見て育成する

キャリアドリフトを人事で活かす方法は、社員を長期的に見て育成することです。現在多く活用されている目標管理型のキャリア制度では日々の実績や月次の目標など短中期的に多くの数値で目標を管理しています。短中期的な目標はもちろん必要ですが、こればかりに囚われてしまうと日々の成績によってモチベーションが影響されかねません。変化に対しての柔軟性が失われやすいのも短中期的目標管理のデメリットと言えます。キャリアドリフトでは長期的に目指せる目標を設定し方向性を重視します。短期的な数値に囚われることなく、長い目で従業員を育成する組織作りに有効です。

まとめ

キャリアドリフトで柔軟なキャリア設計を行いましょう

キャリアドリフトの方法や活用例・メリットについて解説しました。キャリアデザインを行っていても中々計画通りキャリアを積むことが出来ずに悩んでいる方や、配置換えが多い職場に勤めている人には特に有効な手段です。ただ周りにいわれるがままの状態で流されるだけではなく、節目にしっかりと自分の信念に基づいて方向を修正することにより、無理なく自分のキャリアを構築することが出来ます。従来の短中期的な目標を設定方法だけではなく、キャリアドリフトを活用し長期的に柔軟なキャリア設計を行っていきましょう。

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