記事更新日:2022年07月20日 | 初回公開日:2022年07月11日
用語集 外国人採用・雇用 グローバル用語解説 採用・求人のトレンド日本で生活する外国人の増加に伴い、外国人労働者の数も年々増加しています。コロナ禍であった2020年以降を除けば、届け出が義務化された2007年以来過去最高人数を更新し続けてきました。前述の通り、日本では少子高齢化が進んでいることは明確であり、人材不足に苦しむ企業は中小企業を中心にかなり多いです。解決策としてロボットを導入する企業も増えてきましたが、依然としてその導入コストは高く、人を活用せざるを得ない状況です。その補完という意味でも現在外国人労働者は重宝されています。
外国人受け入れ政策の定義は、この記事では厚生労働省の示す外国人雇用対策と同義とします。厚生労働省によれば、この政策は高度外国人材の就業促進のための政策を指します。また、それを可能にしていくための外国人の就労支援や安定雇用確保、企業の雇用管理改善指導などの各種取り組みのことも指します。同時にこの定義は未だ外国人にとって日本での就労は様々な面で不安定であり、改善の余地が大いにあることも意味しています。
外国人受け入れで生じるメリットとして、若い人材を確保できる点が挙げられます。年々、少子高齢化社会の進展によって日本人の若手社員の獲得は難しくなってきています。それに対し、海外から日本に訪れる労働者は比較的若者が多く、強い労働意欲を持って日本にやってきます。また、こうした若い労働者は本国の大学や語学学校で日本語を学んでいたケースが多く日本語運用能力が高いので、採用できれば優秀なグローバル人材として確保できるでしょう。
企業の海外進出の可能性を拡大できるのも外国人受け入れで生じるメリットの一つと言えます。日本語を話せる労働者の多くは日本語は第三言語であることが多いです。つまり、第一ないし第二言語は英語であり、英語も流暢に話すことができます。また、優秀な外国人労働者を採用することによって海外の最新技術や文化やトレンドについても察知することができ、海外ニーズに応えられる会社を目指しやすくなるでしょう。外国人労働者の雇用によって会社の海外とのつながりが深まり、海外進出しやすくなることは間違いないでしょう。
社内で新しいアイディアが生まれやすい点も外国人受け入れのメリットと言えます。外国人労働者がもたらす経営や業務に対するアイディアは日本人にとってはかなり画期的なはずです。なぜなら彼らが育ってきた環境や教育、文化背景は私たち日本人とは全くもって違うからです。つまり外国人労働者を採用し、経営や仕事のやり方についての意見を聞くことで今まで気づかなかった社内の問題に気づく、また社内が活気づく可能性があると言えます。
グローバル化による社内発展ができる点も外国人を受け入れる大きなメリットです。外国人労働者が新たに社員として加わることで、社内のルールや基準がグローバル基準に変わる可能性があります。例えば、年功序列の概念のない国からいた外国人は日本の給与テーブルに不満を持つかもしれません。これにより給与テーブルや等級制度の見直しをすることもあるでしょう。こうして生まれた新たな基準が従来のものよりも効率的であるために社内の業務が効率化され、社内の発展につながる可能性があります。
外国人受け入れ政策の内容は、主に求職する外国人を積極的に支援することです。日本で働きたい外国人が必ずしも全員日本語が堪能なわけではありません。そこで、厚生労働省では外国人が集住する地域を中心に外国語の話せる専門の相談員を配置しています。また、日本語能力向上や日本の労働の仕組みを理解するための研修も随時開催しています。さらに日本語能力に配慮した職業訓練の実施もしています。このように、政策として外国人の働きやすい体制を目指しています。
近年の外国人労働者受け入れ政策の一環として、2019年4月1日から新たに特定技能と呼ばれる在留資格がつくられました。この特定技能により、従来よりも日本での就労のための在留資格取得に対するハードルが下がり、外国人が日本で働きやすくなりました。また、これは従来から存在する技能実習と混同されがちですが、大きな違いがあります。それは、受け入れ企業の人数枠の有無です。技能実習が適切に企業で指導するために人数制限が設けられているのに対し、在留資格にはそれがありません。他にも違いは多く存在しますが、総じて外国人が日本で働きやすくなったことは間違いなく言えます。
外国人の受け入れ政策が順調に進められてきていますが、まだまだ課題が多く、依然外国人の労働環境が良くないことは問題です。今まであまり外国人とコンタクトをとってこなかった企業や事業者側にとって外国人労働の文化理解が十分でないことが多いです。つまり、政府の外国人労働者の受け入れ拡大の指針に企業側が十分に追いついていないという現状があります。住居の紹介や銀行の開設などの難しい手続きを率先して雇用する会社がサポートをしていく体制の構築が必要でしょう。
外国人受け入れ政策の課題として、日本人の外国人に対する差別が挙げられます。文化や風習が異なる外国人はもちろん働き方に対する考え方も日本人とは異なります。この差異を受け入れない姿勢から差別が生まれる恐れが生じてしまいます。また、彼らが日本語能力に欠けることを悪用して不当に賃金を他の労働者よりも低くする、または保険に加入させないなどといった問題も起こっています。日本の中で異文化理解を促進させていくこと、そして法的にさらに外国人の権利を守ることが今後の課題でしょう。
外国人労働者のキャリアアップが望まれにくい点も外国人受け入れ政策の課題と言えます。特定技能の新たな創設によって確かに日本で働ける外国人が増えましたが、それと同時に外国人の単純労働が拡大しました。当然単純労働ではキャリアアップは期待できず、これに不安を抱く外国人は多いでしょう。また、総合職として外国人を企業に採用するケースは未だ少なく、日本での外国人のキャリアアップのモデルは少ないです。これも外国人労働者がキャリアアップをイメージできない一つの理由です。
外国人労働者の日本語教育の負担を企業で補わなければならないのも外国人受け入れ政策の課題です。企業側は業務時間内に講座を設けることがほとんどであり、そのため人員を何人か割かなければなりません。また、日本語を効率的に教えるにはノウハウも必要となってきます。外部の日本語教室を利用することが一番効率的ですが、コストがかかってしまうというデメリットがあります。政府によるこれらの財政支援が必要と言えるでしょう。
外国人を受け入れるにあたって、在留資格と在留期間をあらかじめ確認しておかなければなりません。なぜなら外国人の不法滞在を認めて雇用をし、就業させた場合の法的責任を会社側が追わなくてはならないからです。在留カードの表面に就労制限の有無が記載されているので、そこを参照すれば就労させることができるか確認することができます。また、教育をはじめとする18の在留資格は定められた範囲でのみ就労が許可されているので、その点も注意しなければなりません。就労条件を十分に確認をして合法的に雇用手続きを進めていくことが重要です。
外国人を雇用する全ての企業はハローワークに外国人雇用状況の届け出が義務づけられています。対象者は日本国籍を持たない在留資格の「外交」と「公用」以外の人です。また、企業側で用意する届け出だけでなく、雇用している外国人から提出しなくてはならない書類に関しても不備がないか確認する必要があります。というのも、その場合も雇用の取り消しをしなくてはなりません。本人が適切に申請しているかどうかを企業側が確認することが重要です。
また、外国人労働者を受け入れる際に他の正社員との待遇の差別がないかにも注意しなければなりません。労働基準法では、国籍を理由に差別的な待遇をとることが禁止されています。安い賃金のみならず、昇給させないことや労働条件を通知しないことも認められていません。労働条件を提示する場合は、日本語での文書に加えて母国語の文書も作成することが重要です。とはいえ母国語での労働条件の作成は難しいので、翻訳業務を得意とする有償の民間サービスを利用することも効果的でしょう。
外国人労働者政策による受け入れの事例として、株式会社府中テンパールの事例が挙げられます。同社は高度な技術を求める業務と単純業務の中間業務のできる人材の育成を目指し、特定技能1号と技能実習生の受け入れをしました。業務のノウハウ蓄積だけでなく、地域の活動への参加や日本語勉強会など日本文化に親しんでもらえる機会を提供した点が工夫した点です。これにより社員と外国人労働者との間のコミュニケーションも円滑に進んだ点も参考にできる点です。
美濃工業株式会社も外国人労働者の受け入れを積極的に行なっている企業の一つです。同社は、業務拡大を進める中で人材を必要としていましたが、日本人の技工がなかなか採用できなかったために特定技能の人材の活用に踏み切りました。工夫した点として、日本語能力の高い特定技能外国人が作業のマニュアルを作成し、技能生が円滑に業務の理解をできた点です。このように技能の伝承を日本人から外国人だけでなく、外国人同士で教え合う環境整備ができた点は非常に参考となります。
人材不足の中で外国人の人材の活用は、社内の発展やグローバル人材の獲得など、非常に多くのメリットがあります。外国人の受け入れ政策が積極化したことで、さらに外国人は活用しやすくなってきています。しかし、在留資格や在留期間の確認、そして差別のない待遇などに十分注意をして雇用をすることが重要です。労働基準法や政府の政策をはじめとした外国人に対する労働上の規則をよく確認をして人材活用を行なっていきましょう。
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