成人発達理論とは【ビジネスで注目されている背景や提唱されている4段階についてわかりやすく解説します】

記事更新日:2024年01月30日 初回公開日:2024年01月30日

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少子高齢化や労働者人口の減少だけでなく、企業を取り巻く環境は日々進化しています。企業としての課題に人材確保を上げている企業も少なくありません。しかし労働人口減少により新しい人材の確保は簡単ではなく、企業は既に働いている社員に対して人材育成などを行っていく必要があります。社員のスキルや知識を上げるために、企業として工夫できることは様々ですが、今回は成人になっても成長し続ける事が出来るという考え方の成人発達理論について解説していきます。社員の成長について考えている経営者の方はぜひ参考にしてみてください。

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成人発達理論とは

成人以降も成長や発達を遂げていくという考え方

成人発達理論とは、成人以降も成長や発達を遂げていくという考え方です。成人してからも知性や意識が発達するという意味を持っていることから、成人以降の知性発達理論や成人以上の意識発達理論と呼ばれることもあります。成人発達理論は、ハーバード大学教育大学院教授・組織心理学者であるロバート・キーガン氏によって提唱されました。キーガン氏以降にも成人発達理論について提唱をした学者は沢山いましたが、全てにおいて成人の意識や知性の発達がベースとなっています。

成人発達理論がビジネスで注目されている理由

技術が発展してきているため

成人発達理論がビジネスで注目されてるのは、技術が発達しているからです。テクノロジーなどIT化が進んでいる昨今では、心理学の分野においても様々な調査手法が確立されています。従来であれば心理学は調査手法や統計などを取るすべがありませんでしたが、技術の進化によってデータなどによる裏付けが可能となりました。発達心理学のひとつである成人発達理論においても、データの裏付けにより理論の整合性が認知され信頼を得る事が出来るようになりました。

VUCAが到来しているため

成人発達理論がビジネスにおいて注目されている理由は、VUCA時代が到来しているからです。VUCAとは、大きな環境変化や不確実性などによって、将来の予測が困難なことを意味しています。最近では、新型コロナウイルスの流行や諸外国での戦争による物価高などが挙げられます。予想できない事象の発生により、将来的にビジネスルールが変化してしまう可能性もあります。こういった中で変化に対応していくためには、社員一人一人が柔軟に価値観や判断基準を変えていく事が必要です。

人口が減少してきているため

成人発達理論は、人口が減少していることからビジネスで注目されています。日本では長年少子高齢化や人口減少といった問題が課題となっています。労働人口の減少により、会社として新しい人材を確保することが難しくなっています。また定年延長により高齢の労働者の割合も年々増加傾向です。雇用を取り巻く環境も年々変化しており終身雇用制が崩壊し転職が当たり前になっています。限られた人材の中で会社として生き残っていくためには社員の人材育成や能力向上が不可欠です。

関連書籍の売れ行きが好調であるため

関連書籍の売れ行きが好調であるため、成人発達理論がビジネスで注目されています。成人発達理論の提唱者であるキーガン氏の著書である、『なぜ人と組織は変われないのか ― ハーバード流 自己変革の理論と実践』は日本語にも訳され出版されています。キーガン氏の著書だけでなく昨今では成人発達理論に関する関連書籍の売り上げが上がっており、日本で注目されている証拠です。欧米に後れを取っているものの、世の中のニーズは高まってきています。

成人発達理論で分類される知性の段階

環境順応型知性

成人発達理論で分類される知性の段階は、まず環境順応型知性です。環境順応型知性とは、周囲の環境に応じて知性が形成されていくという考え方です。周囲に合わせるための知性を身に付けていく段階のため、この知性に分類される人に自己は生まれていないとされています。リーダーに任命された際に、経営者やメンバーの意見に合わせようとして周りの考えを尊重し指示待ち人間になっている人の事を指します。自立した人材には遠いですが、周りを尊重しチームワークを重視することも大切です。

自己主導型知性

環境順応型知性を身に付けた後は、自己主導型知性へと変化していきます。自己主導型知性は、自分の価値観や判断基準を持ち、自ら判断・選択できる状態の人です。周囲の意見ばかりに合わせるのではなく、必要に応じて自分で判断し時には軌道修正することも可能です。自己主導型知性に該当する人は、自律型人材とも呼ばれ現代で求められる特徴の一つです。自立はしていますが、この知性に該当する人は自分の考えにこだわる人が多く、客観性に欠ける事を認識しておく必要があります。

自己変容型知性

自己変容型知性は、成人発達理論の知性の最終段階です。自己変容型知性とは、自己主導型知性よりもさらに冷静な判断を行える状態のことを指します。自分の判断や価値観が常に正しいとは限らず、周囲の人が持っている価値観と照らし合わせながら調整を行っていける思考を持った人材です。自己変容型知性では、自分の価値観や考えは持っていながら周りからの情報や意見を柔軟に聞き、取り入れていく事が出来ます。周りの状況を見ながら、最適な判断が行える段階です。

成人発達理論で分類される成長の段階

具体的思考段階

成人発達理論で分類される成長の段階は5つあります。第一段階は、具体的思考段階です。具体的思考段階は、言語を習得した子供や未成年者の事を指しています。具体的に言語としての理解は出来ますが、形のないものを想像して理解することは出来ません。具体的思考段階だからという事ではなく、全ての段階に言える事ですが「子供だから」「未成年だから」理解が難しいとは言い切れません。成長段階には個人差があることを念頭に置いておく必要があります。

道具主義的段階

成人発達理論の第二成長段階は、道具主義的段階です。第一段階は具体的思考から始まっていますが、成人は道具主義的段階から該当する人が殆どです。道具主義的段階とは、自己中心的な発達段階であることを意味しています。他人を道具のように扱ってしまう事から道具主義と言われており、自分の欲求を満たすことや関心があることにしか興味が向かない状態です。他人の事を自分事に捉えることが出来ず、自分は自分・他人は他人と思っているため自己中心的に行動します。

他者依存段階

道具主義的段階の次は、他者依存段階が成人発達理論の第三段階です。他者依存段階は、道具主義的段階とは反対に自分の意見を持たず他人や組織に意思決定や判断を任せます。この段階の人は、自分の意思がなく流されやすいと言った特徴があります。他人に依存する形で意思決定を行っていることから、意見を求められた時に自分の考えや思いを伝えられず指示待ち人間のような状況です。自分の価値観や考えを持っていないため、環境や状況によって意思や価値観が変化していきます。

自己主導段階

自己主導段階は、成人発達理論の第四段階に該当します。自己主導段階に該当する人は、自分自身の価値観や判断基準で行動・思考を行う事が出来ます。指示を待つことなく自律的に業務を行う事が可能です。行動や思考の中で気になったことを発言出来るだけでなく、周りの意見に左右されることなく自分自身の中に確固たる価値観を持っています。但し自己主導のため、自分の意見や価値観が正しいと思っている場合もあり、周りの意見と折り合いをつけていく事などは苦手としています。

自己変容・相互発達段階

成人発達理論の最後の段階は、自己変容・相互発達段階です。自己変容・相互発達段階では、他人の価値観を柔軟に受け入れ自分自身の意見や考え方・価値観に縛られることなく仕事を進めていく事が出来ます。この段階は他人と関わっていく中で、自分だけでなく他人の成長を促していく事も可能です。この段階にいる人は極僅かとされており、自分の成長だけでなく他人のサポートも行なえる事からリーダーとしての高い資質を身に付けている段階でもあります。自己成長のために他人と積極的にかかわるのもこの段階です。

成人発達理論をビジネスで活用する方法

理論を分かりやすく説明する

成長発達理論をビジネスで活用する方法は、理論を分かりやすく説明することです。人が成長するためには、自分を客観的に判断することが必要です。成人発達理論を活用するには、社員が今どの段階にいるのかを意識してもらう必要があります。自分が何が出来ていて、何が出来ていないのかを認識することで成長するためには何を行うべきなのかがはっきりします。成人発達理論を説明する必要はありませんが、どのようなステップで人は成長するのかを説明することで理解してもらう事が可能です。

批判的内省を促す

成人発達理論をビジネスで活用するためには、批判的内省を促しましょう。批判的内省とは、自分の行動や言動の振り返りを行い信念や固定概念を自問自答する深い内省の事です。自分自身の否定を行うのではなく経験や考えを深く掘り下げる事で、新たな価値観・行動規範を構築でき次の行動に生かすことが出来ます。個人で批判的内省を行うのは簡単ではないため、上司や先輩と1on1ミーティングなどを行い、振り返りの習慣を身に付けていく事で成長に繋げていく事が可能です。

成長を可能にする組織づくりをする

コミュニケーションの機会を設ける

成人発達理論を活用し成長を可能にする組織づくりを行うために、コミュニケーションの機会を設けるようにしましょう。個人や組織でマネジメントを行っていたとしても、成長することが難しい環境であれば社員の成長を望むことは出来ません。社員が発言をしにくい環境やチーム内でのやり取りが少ない職場では成人発達理論の段階を踏んでいく事が難しくなります。成人発達理論を活用しながら社員の成長を促していくためには、誰でも発言できる雰囲気がある職場やコミュニケーションが活発な職場であることが大切です。

企業の理念や目標を明確にする

企業の理念や目標を明確にして成長を可能にする組織づくりをするために、成人発達理論を活用することが出来ます。例え社員が意欲的に成長したいと考え知識やスキルを身に付けていたとしても、企業の目標に沿っていなければその社員は組織内で成長していくことは出来ません。企業としての戦力になってもらうためには、社員に企業理念や目標をしっかりと理解してもらう事が重要です。理念や目標を理解してもらう事で、成人発達理論を元に知識やスキルを身に付けてもらう事へ繋がっていきます。

まとめ

成人発達理論を理解しビジネスに応用しよう

成人発達理論が注目されている理由や、成人発達理論をビジネスで活用する際の方法について解説しました。成人発達理論は、人は成人になっても成長することが出来るという考え方です。個人の成長は知識やスキルの向上だけでなく、知性や意識を変える事で成長することが出来ます。知性や意識の成長は周囲からの働き掛けも大切です。価値観や判断基準が多様化し将来の予測が困難な現代において、成人発達理論は人材育成の分野で欠かせない考え方です。成人発達理論を理解してビジネスに活用していきましょう。

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