レジリエンスとは【能力を構成する要素や企業に取り入れる方法を徹底解析】

記事更新日:2021年05月18日 初回公開日:2021年05月18日

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日々目まぐるしく変化し、複雑化する現代のビジネス環境への適応能力として、注目を集めているのが「レジリエンス」です。レジリエンスという言葉が耳慣れない方も、「打たれ強い」「折れない心」と聞くと分かりやすいのではないでしょうか。本記事では、このレジリエンスという能力について、構成している要素やその鍛え方を紹介します。レジリエンスは個人が人生を幸せに歩んでいくためにも、組織がビジネスとして価値を発揮していくためにも、大変重要な能力といえるでしょう。本記事を通して、ぜひ身の回りの組織のレジリエンス能力を見直してみてください。

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レジリエンスとは

精神的に回復する力

レジリエンス(resilience)とは、跳ね返り、弾力、回復力、復元力という意味を持つ言葉で、困難や脅威に直面している状況にうまく適応し、精神的に回復する力のことを指します。元々は物理学の分野で使われていた言葉ですが、概念としては第二次世界大戦下のホロコーストで生まれた孤児への追跡調査を通して注目が高まりました。調査によると、逆境を乗り越えた人たちは、困難な状況に圧し潰されることなく「状況に準じて生き抜く回復力」を持っていると判明したのです。近年ではこの概念が個人・組織に対し「さまざまな環境・状況に対して適応し生き延びる力」として使われるようになっています。

トレーニングで鍛えられる

レジリエンスの能力は、トレーニングにより後天的に鍛えることができます。レジリエンス研究の第一人者、米国ペンシルベニア大学のカレン・ライビッチ博士によると、レジリエンスは遺伝子としての先天的な要素だけでなく、家族・コミュニティなど社会環境によって形成された後天的な要素が大きいといいます。例えば自制心や自己効力感など、幼少期から育ってきた環境で育まれた要素は、大人になった後でもトレーニングにより高めていくことが可能なのです。後述するトレーニング方法をぜひ試してみてください。

レジリエンス能力を構成する要素

自己認識

レジリエンス能力を構成する要素の一つ、自己認識(Self-Awareness)とは、自分自身の感情や思考・価値観を正しく認識できる力のことです。逆境を乗り越える第一歩は、まず自分が陥っている状況、感情を正しく認識すること。この力がないと、自分でも気づかないうちにネガティブ感情を抱え込んでしまいいつのまにか心身が疲弊してしまっていた、という可能性もあります。この自己認識の力があれば、自分の強みや弱み、大切にしている価値観や人生の目標を正しく認識することができ、日々の生活の充実・幸せに直結します。

自制心

自制心(Self-Regulation)とは、その時々の状況に応じて自分の感情や思考、行動を律すること、適切に制御する力のことで、これもレジリエンス能力を構成する重要な要素の一つです。逆境に陥った時に取るべき最初のステップは感情や思考を自己認識することですが、次に求められるのは自分の感情をうまくコントロールし、適切な行動に移ることです。一つ一つの状況に一喜一憂していると精神の消耗に繋がってしまいますが、自制心のある人は自分にとって本当に大切な価値観を踏まえ、自分の感情を適切に制御することができるでしょう。

精神的敏捷性

精神的敏捷性(Mental Agility)とは、物事を多面的に捉え、大局的見地から対処する力のことで、特にビジネスにおけるレジリエンス能力を構成する重要な要素の一つです。この能力が高い人は、何らかの逆境に直面したとき、慌てふためいたり感情的になったりすることなく、冷静かつ客観的に状況を見極め対応ができます。どんな時でも落ち着いて本質的な原因を究明し、適切な解決策を講じて、迅速に対処する。そういった現実的・客観的・実務的な対応ができるための精神性を養いたいものですね。

楽観性

レジリエンス能力を構成する要素の中では、楽観性(Optimism)も重要です。楽観性というと、「なんとかなる」というようなお気楽なスタンスをイメージしがちですが、それとは少し異なり、「未来はより良いものになる、自分なら良くすることができる」というスタンスです。困難や失敗に直面しても、「自分にできるのだろうか」という不安感ではなく、自分がもう一回り成長するための挑戦だと前向きに捉えることができる能力のことで、自尊心とも関連があるでしょう。

自己効力感

自己効力感(Self-Efficacy)は、自己に対するポジティブな評価のこと。問題を解決したり、外部の世界を自分でコントロールしたりできる、つまり「やればできる」という自信を指します。自己効力感が高い人は、逆境に直面してもひるむことなく勇気を持って行動する傾向が強く、逆境に打ち勝つことでその自信はさらに補強されます。このサイクルはレジリエンス能力の大きなエンジンとなっているのは言うまでもありません。たとえ失敗してしまったとしても、「さっきよりはうまくできた」とその失敗に価値を見出せる人は自己効力感が高いといえるでしょう。

つながり

レジリエンスを構成する要素の一つとして、他者とのつながり(Connection)も挙げられます。これまで挙げたような自分自身が持っている能力とは性質が異なりますが、支えてくれる他者の存在は、その人が持つ貴重な財産の一つなのです。逆境に見舞われたとき、そばにいてくれた家族や仲間に救われた、という経験は誰しも理解できるものでしょう。あなたの周りには、どんな時も味方になってくれるような他者はいるでしょうか。日頃から信頼できる仲間を作っておくことは、自分自身のレジリエンスの強化にも繋がります。

レジリエンスの鍛え方

感情をコントロールする

レジリエンスを鍛える方法の一つ目は、感情をコントロールすることです。悲しいこと、辛いことがあった時も、そのマイナスの感情に囚われないような事故コントロールができる人は強いですね。ここでは感情をコントロールする一つの方法として、「ABCDE理論」を紹介しましょう。感情は出来事に対する解釈により生じるもの。同じ出来事でも、自問自答し、それへの解釈を変えることで、その後の感情や行動を変えていく、という考え方です。自分の思考・解釈の傾向や癖をあらかじめ知っておくことも役立つでしょう。

自尊感情を高める

レジリエンスを鍛える方法の二つ目は、自尊感情を高めることです。自尊感情とは、ありのままの自分を受け入れ、自分には価値があると感じること。他人との比較ではなく、長所・短所をひっくるめて自分で自分を認めてあげることが大切です。そのためには、まず、自分の長所・短所を理解し、一方で短所も長所として捉えられないか考えてみましょう。例えば、飽きっぽいという短所は、新しいことに次々と取り組めるという長所に変換することができるかもしれません。自分の長所や短所を正しく認識することで、自分を唯一無二の存在として肯定することにつながります。

自己効力感を高める

さらに、レジリエンスを鍛える三つ目の方法として、自己効力感を高めることが挙げられます。自己効力感とは、困難な出来事に対して「私はできる、達成できる、乗り越えられる」と、自信を持つ力のことを指します。自己効力感を高める一番の方法は、定期的に自分の成長を実感すること。最近うまくいったこと、逆境を乗り越えた経験、それによって得られたスキル、などを定期的に振り返ることで、成長を実感できます。思い当たることがない場合は、実際に成功している他者の行動を真似することでその成功を代理体験し、自分の成長に活かすという方法もお勧めです。

ビジネスにおけるレジリエンスとは

組織が生存するために予想し適応する能力のこと

レジリエンスの中でも、ビジネスにおけるそれは、企業組織が生存していくために環境変化を予想して適応する能力のことを指します。変化に抵抗し、ダメージを抑え、創造的に飛躍することで、最後は成長につなげられる、というのが、組織としてのレジリエンスの理想です。組織レジリエンスが高い企業は、新しい価値を創造していく可能性が高く、投資家に対して信頼を構築しやすくなります。このような事象から、企業は自社の企業価値、つまり生存可能性を示す根拠としてレジリエンスを活用しているのです。

変化する環境下で適応できる能力のこと

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また、組織レジリエンスは、変化する環境に応じて自らを変化し続けられる、適応能力とも言い換えられます。このことから、ビジネス環境においてレジリエンスは、今後発生してくるリスクに対する危機管理能力の一つとしてみなされているのです。様々なリスクや危機の可能性が否定できない現代社会では、この重要性が高まっていることは明らかでしょう。決して現状で満足することなく、常に状況を読み変化を厭わないレジリエンスの能力は、企業や組織だけでなく社会全体のあらゆる場面、レベルで備えておくべきものといえます。

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レジリエンスの意識が高い組織

危機管理能力がありそれを糧に成長できる

レジリエンスの意識が高い組織は、危機管理能力が高く、何か困難があってもそれを糧に成長することができます。もちろん、ビジネスをする中で困難・逆境を完全に排除するというのは不可能です。しかしレジリエンス意識が高い組織であれば、困難・逆境をより早い段階で察知したり、そこで発生するストレスをうまく処理したりすることができます。失敗や困難は必ず発生するものと認識した上で、そこからできるだけ早く回復し、それを糧に次の行動へ繋げていくことができる、これがレジリエンスの高い組織といえるでしょう。

レジリエンスが強くなる組織作りのポイント

新人社員のレジリエンスを高める

挑戦や失敗をさせる

新人社員のレジリエンスを高めるには、挑戦・失敗を数多くさせることが最も重要です。特に最近の若手には、失敗を恐れるあまり挑戦をできない傾向があるようです。社会人経験において、失敗を元に成長した経験は欠かすことができません。新人社員のうちに失敗してもそれが成長に繋がったという実感を得ることができれば、その後も失敗を怖がらないマインドを持ち続けやすくなります。その為にも、組織全体で初めての業務も積極的に任せ、失敗も叱責することなく乗り越えさせる雰囲気づくり行いましょう。

管理職のレジリエンスを高める

自分と部下を高める

管理職の立場であれば、自分と部下のレジリエンスをそれぞれ高めることが必要です。まずは管理職自身のレジリエンスが高くなければ、部下やチームのレジリエンスにまで配慮することはできません。困難な状態に陥った時の自分の行動が部下にも影響を与えることをしっかりと自覚しましょう。そして、部下の感情をコントロールし、自己効力感が高められるような声がけ・指導をするのも管理職の仕事です。広い視野を持ち、部下ひとりひとりのレジリエンスを高く保てるよう心がけていきましょう。

まとめ

レジリエンスを鍛えて成長に繋がる繋がる組織づくりをしましょう

企業を取り巻く環境は激変し、今後も企業の将来に不確実性が増すことが予想される現代において、全ての企業組織でレジリエンスを向上することが必要不可欠となっています。まずは個人ひとりひとりのレジリエンス能力を鍛え、組織としても変化に強い構造を築いていきたいものですね。本記事では、困難な状況への適応能力である「レジリエンス」について、これを構成する要素やこの能力の鍛え方を解説しました。まずは自分の、そして身近な組織のレジリエンス能力を自己採点してみませんか。レジリエンスのメカニズムを正確に把握し、企業として適切に運用していけば、変化の強い企業組織として大きく成長できるはずです。

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