記事更新日:2020年10月30日 | 初回公開日:2020年10月21日
外国人採用・雇用 採用成功事例 人事・労務お役立ち情報 採用・求人のトレンドまず、介護業界の人材不足を語る上で避けて通れないのが「高齢化問題」です。これは介護業界に限った話ではなく、日本全体で起きている大きな社会問題です。内閣府によると2019年10月の時点で、日本の総人口は1億2,617万人。そのうち65歳以上の方は3,589万人で、全体に占める割合は28.4%です。つまり日本に住む人の4人に1人以上は65歳以上ということになります。そして事態は今後も深刻化する見込みで、その割合は2035年には3人に1人になると試算されています。
高齢化が加速する一方で、日本の出生数は年々減少しています。2006年で109万人だった出生数は、2065年には56万人になると推計されています。出生数の減少は生産年齢人口にまで影響を及ぼすとされ、2029年の生産年齢人口は6,951万人。そして2065年には4,529万人 になると見込まれています。 これらの結果から分かるように、今後も日本全体で介護を必要とする高齢者は増え続け、新たに介護を担う者は減っていくことが予想されています。
それでは、介護の現場で一体どれほどの人材が不足しているのでしょうか。厚生労働省によると、団塊の世代が75歳以上となる2025年の介護人材の需要見込みは253万人、それに対し介護人材の供給は215万人です。つまり約38万人の介護人材が不足すると予想されています。実際に、介護労働安定センターが公表した「令和元年度介護労働実態調査」によると、現在65.3%の介護施設で人材不足が問題になっていると報告されています。
介護業界における人材不足の特徴として、労働者側でも高齢化が進んでいることがあげられます。介護労働安定センターが発表した「令和元年度介護労働実態調査」によると、60歳以上の介護職員の割合は 22.4%。年齢割合においては40歳台が最も高く、次いで50歳台、3番目に60 歳台が多いという結果となりました。職員の平均年齢も年々上昇しており、2019年で47.7歳、2020年は48.8歳に上昇しています。介護される側だけでなく、する側においても高齢化の波が押し寄せているのです。
介護業界の人材不足の具体的な原因の一つとして考えられるのは、仕事の大変さに比べて社会的地位が低い点です。実際に、介護労働安定センターの「令和元年度介護労働実態調査」によると、介護全職種の平均賃金は 23万4,439 円なのに対し、厚生労働省が公表した2019年の全産業の平均は30万7,700円でした。介護業界は全体に比べ賃金水準が低い傾向にあるのは明らかです。しかしながら、介護職は未経験や無資格から始めることが可能で、初めのうちは安くとも経験年数などにより賃金アップが見込める点も考慮すべきです。
離職理由に「人間関係」があがるのは、どの業種・職種でも起こりえることですよね。ただ、介護職は誰かのケアをするという仕事柄、特に周りのスタッフとの円滑なコミュニケーションが求められます。介護労働センターによると、介護者が離職した理由として、男女ともに「人間関係」が常に上位にあがっています。介護職とは、介護者やその家族、そして他の医療スタッフなど様々な人と積極的に関わる仕事であるため、人間関係の悪化が辞める理由になりやすい傾向があるのです。
介護を必要とする高齢者の増加により、年々、介護環境の整備が進められています。そのため介護施設や事業所は増えていますが、残念ながら就職を希望する人が少ないことで、介護職員の採用は容易ではありません。介護労働安定センターの調査によると、人材不足の理由として約9割もの介護事業者は「採用が困難」だと回答し、その詳しい内容として「同業他社との厳しい採用競争」をあげています。限られた人材を業界内で取り合う実情が明らかになっています。
介護職には「体力的にも、精神的にもきつい」というネガティブイメージが世間で広まっており、それが新たな人材採用を難しくしている側面があります。排泄、食事、入浴といった技術的な介護は、肉体的も精神的にも負担となるのは事実です。しかしながら、実際のところ介護者の離職理由としてこれらあがることはほとんどありません。実態とは異なる世間からの介護職へのネガティブなイメージの払拭が、介護業界に求められています。
政府は介護人材の確保、そして介護職のイメージアップのために施策を打っています。2019年10月に「特定処遇改善加算」が施行されたことにより、勤続10年以上の介護福祉士に月額平均8万円の賃金アップが定められました。これは、勤続10年以上の介護士であれば、正社員・パート社員ともに対象になります。ただし、対象者や賃上げの額は事業所によって違うので、すべての介護士の賃金が平等に上がるわけではありません。そのためにも地道に経験を積み、専門的なスキルを身につけることの大切さに変わりはありませんね。
新たな人材を育成推進するため、政府が介護福祉士資格の取得推奨にともなう制度を設けていることをご存じでしょうか。介護福祉士養成施設等で修学を希望する者に対し、修学資金の貸付を行っています。希望者は、修学金として月額5万円、入学と卒業時にはそれぞれ20万円を準備金として借入することができます。この制度の最大の魅力は、養成施設等を卒業後に貸付けを受けた都道府県内で5年間介護または相談援助の業務に従事した場合においては、返還が免除される点です。
新たな人材育成だけでなく、さまざまな理由で一旦は介護の現場を離れてしまった「潜在介護人材」の復職を促す対策においても、期待が寄せられています。潜在介護人材の再就職をサポートするために、準備金として最大40万円の貸付を可能とする、政府が設けた「再就職準備金貸付制度」。この制度においても、2年間継続して介護現場で働くことで返還が全額免除されます。過去の経験を活かしながら、今の介護の現場をしっかりと支えてくれる人材の確保が求められているのです。
介護職の魅力は、年齢や性別に関係なくキャリアアップできる点です。現在の介護職従事者の男女比は、男性が約3割、女性が約7割という女性が圧倒的に多いのが特徴です。だからと言って男性が不利なわけではありません。力のある男性が求められる場面も多く、性別に関係なく働ける業界だと言えます。また、未経験や無資格の状況でも始められるため、資格を取得し実績を積んでいくことで、キャリアアップが見込める将来性のある仕事です。
介護施設の多くは、いわば24時間365日営業です。そのため介護職員はシフト制で働いているので、勤務時間帯を選ぶことも可能です。施設にも寄りますが、多くは早番、日勤、遅番、夜勤と4種類あるので、個人のライフスタイルに合わせて働くこことができるのは大きな魅力だと言えるでしょう。しかしながら、介護は人が相手の仕事である以上、全て自分の思うように時間が使えるようになるとは限らないことを理解する必要があります。
介護職とは、身体の不自由な高齢者や障がい者など要介護者の生活に寄り添い、介護を行う仕事です。そのため、介護を通じて人から感謝され、人と人とのつながりに大きな喜びを感じる仕事だと言えるでしょう。介護職は「感謝、感動、感激」の3K職だとも言われています。厳しい労働環境なのは確かですが、自分との関わりによって、要介護者がいきいきと生活をされている姿を間近で見られるのは、この仕事の大きなやりがいになるでしょう。
最近よく耳にするICTという言葉ですが、介護の現場でもこのICTを活かした業務効率化に期待が寄せられています。ICTとはInformation and Communication Technologyの略で、情報通信技術という意味です。介護従事者の体力的負担の軽減が期待される「介護ロボット」をはじめ、スマートフォンやタブレットを使った事務作業の軽減など、介護の現場に活かすことができます。ICTの導入には手間がかかる印象があるかもしれません。しかし、業務の幅が広い介護職を、いかに効率化していくかによって今後の働きやすさが変わるのではないでしょうか。
入居者一人ひとりの状態に応じた「個別ケア」を提供する「ユニットケア」をご存知でしょうか。これは、従来型の1部屋4人程度の「集団ケア」ではなく、入居者個人のプライバシーが守られる「個室」でケアが受けられる介護スタイルです。そして、入居者10人程度を1ユニットとし、固定の介護職員がサポートにあたるため、一人ひとりの個性や生活リズムを尊重したケアが可能です。そのため入居者の満足度が高く、介護職員のストレスも軽減されることにより業務が円滑に運ぶと注目されています。
現在、政府が最も力を入れているのが「外国人人材の受け入れ」です。外国人採用の制度が整い始めているため、一番現実的な対策だとも言われています。既に、2017年からベトナム人の外国人技能実習生の受け入れが開始されており、その受け入れ人数は3年で1万人を増えると見込まれています。また政府は、ベトナムだけでなく東南アジア各国からの人材受け入れを検討しているとの方針を示しており、介護人材の確保につながると期待できますね。
このように、日本全体として高齢化社会が深刻化する中、介護業界は新たな人材を増やしていくためにも、さらなる「採用」と「定着」に力を入れていく必要があります。介護職は将来性があり、今後も求められ続ける職業です。実際に介護福祉士の需要は、2000年に制度が設けられて以来上昇し続けています。今後、介護現場の処遇が改善されネガティブなイメージが払拭されれば、介護業界の人材不足解消に繋がるのではないでしょうか。
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