記事更新日:2025年01月29日 | 初回公開日:2025年01月29日
用語集 グローバル用語解説 採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報現在外国人労働者は増加傾向にあります。2023年に日本の外国人労働者数は200万人を突破し過去最高を記録しました。企業や業界が積極的な外国人の登用をしていて、国もそれにあわせて制度を整えてきました。これは国内の労働者の不足を補うため、女性や高齢者の人材の活用を進めてきましたが、それだけでは現下の人手不足に対応できないからです。今ではコンビニエンスストアや飲食店をはじめとして、介護現場や製造現場で外国人労働者の姿を見ることができます。近年ではホワイトカラーの仕事でも外国人労働者は珍しくありません。
外国人労働者は低賃金の傾向にあるといわれています。これは、最低賃金に近い待遇の業種での就業が多いといった理由があるでしょう。また、技能実習生の例をあげると、労働者というより技能取得者として受け入れられているので、給料が安く抑えられる傾向にあります。外国人労働者の中には給料の未払いや、各都道府県で定められている最低賃金未満の違法な労働に従事させられるといった被害も報告されています。ただし、これらの日本人労働者との賃金格差は業種などにもよるので、一概にすべての外国人の賃金が日本人より安く抑えられているわけではありません。
外国人労働者が多い職場は労働環境が過酷であるといわれています。違法な長時間労働をはじめとして、外国人労働者を採用する現場では重労働で事故や怪我の確率が高いといわれています。建築現場で物が落ちてきたり、転倒するといった事故や怪我が報告されていて、これは企業側の安全確認の意識の低さが原因といえるのではないでしょうか。また、長時間労働による疲労は職場における注意力の低下を招き、結果的に事故や怪我のリスクを高めているといえます。
外国人労働者とのコミュニケーションが難しいと感じる人も多いようです。そもそも日本語能力が低く、日本の文化への理解が乏しい外国人労働者は職場で孤立しやすいのです。コミュニケーション不足は、他の従業員との誤解と摩擦を引き起こす原因となるでしょう。また、日本語能力の低さはマニュアルが理解できなかったり、注意や指導が行き届かなかったりと、やがて取り返しのつかない事故やクレームにつながりかねません。このような事態にならないように、やさしい日本語を使ったり、記号や標識で注意を促すという方法があります。
外国人労働者のなかには能力主義や成果主義になじんでおり、日本の人事評価の基準がわかりにくいといった人がいるようです。日本企業は年功序列で評価の基準がはっきりしていない企業が多く、外国人労働者が納得できないといったケースもあるようです。昇進や昇給などキャリアアップの場面で納得できず退職したり、定着率の低下を招きかねません。外国人労働者に人事評価について説明することも大事ですが、評価基準を明確にし、外国人労働者にもわかりやすい制度に改革することも大事です。
地域コミュニティが外国人を受け入れるのになれていない場合、外国人労働者との間に溝ができる可能性があります。日本の文化やルールに慣れていなかったり、日本語能力が十分でない外国人労働者の側から積極的になるのは困難でしょう。地域のイベントに参加を促すなど、地域住民との交流を促します。また、ゴミ出しのルールや夜に友達と大騒ぎしないなど、日本で暮らす上でのマナーを伝えることも重要です。特に特定技能で外国人を受け入れる企業は、このようなサポートを適切に実施する義務があり、怠った場合は罰則が適用されることもあります。
当然ですが、外国人労働者と日本人労働者は同等に待遇しましょう。しかし、実情は日本人より安い賃金で働かされている外国人労働者がいます。このような待遇の格差は、不満を呼び早期の退職につながりかねません。また、外国人労働者に社会保険料や労働保険料の天引きを納得してもらえないケースがあります。このような時は社会保険や労働保険の意義をしっかり伝えましょう。このように外国人に日本人と同等の給与を支払い、給与体系に納得してもらうことが定着率の向上につながります。
外国人労働者を雇用するときは在留カードの確認をおこないます。職場で雇うことができる在留資格かどうか確認しましょう。在留期間を過ぎた不法滞在者や資格外で働かせた場合は不法就労となり、この場合は不法就労期間に応じて出国命令や強制退去処分となります。また雇用時に確認を怠った場合は、雇用主にも3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されます。また外国人労働者にも、労働基準法をはじめとした労働法が適用されるので、採用後も労働基準法をはじめとした法律を守りましょう。
外国人の受け入れ体制を整えましょう。ここでいう受け入れ体制とはコミュニケーションと相互理解を促す体制のことです。外国人従業員が育ってきた文化や背景を理解し、従業員同士の交流を図る機会をつくります。社内研修を通じて、外国人従業員と日本人従業員に相互理解の大切さや文化の違いなどを理解してもらいましょう。日本語が拙い外国人労働者の場合は、同じ国の先輩社員を支援担当員にするなど、疎外感を感じさせないような配慮が大切です。また、受け入れる側の社員への負担が過度にならないようにします。仕事とプライベートの支援を一人の従業員に担当させるなどは避けて分担制にするといいでしょう。
求人票や雇用条件を明確にします。就業時間や給料など主な労働条件をわかりやすく明示し、必須の資格や歓迎の条件も求人票に記載します。英語やその国の言語で求人票を出して、たくさんの人材が情報にアクセスできるようにしましょう。外国人労働者を雇うにあたって雇用条件の説明は極めて重要です。充分理解していないにもかかわらず、雇用契約を結んでしまうと後で話が違うと退職のきっかけになるので、納得のうえで雇用契約を結べるようにすべきです。
外国人労働者を採用することで人手不足の解消が期待できます。近年女性や高齢者の労働参加が多くなっていますが、それでも人手不足に悩ませている業界や職種があります。製造業や小売業などはその典型でしょう。特に中小企業や地方に顕著で、人手不足倒産も増えており、国内の人材だけではあらゆる産業が成り立たなくなっています。労働人口の不足は経済の停滞を招きます。こうした傾向が続く限り外国人労働者を受け入れる企業は今後も増加し、現在受け入れていない企業も対応を迫られるでしょう。
優秀な人材を獲得できるのも外国人労働者の受け入れのメリットです。インバウンドによる訪日外国人数は、2024年に3686万人と過去最高を記録しました。それに伴い、英語やその他の言語が使える人材の需要は今後も増え続けると予想されます。外国人旅行者向けのサービス業務に外国人労働者の活躍がますます期待されます。また少子高齢化が著しい日本において、若い人材の確保はこれからますます難しくなっていくでしょう。若い人材は労働力だけでなくこれから先長い間消費者にもなってくれます。若い外国人労働者の雇用は企業や地域の経済活動に持続可能性をもたらすでしょう。
組織が活性化されるのもメリットの一つです。海外からの視点は事業にそれまでなかったアイデアをもたらします。高いコミュニケーションスキルは、同僚や顧客と接する際に活かされるでしょう。労働力を補うだけでなく、組織や人にそれまでと違う価値観やイノベーションをもたらしてくれます。その他には外国人労働者を雇うに当たって人事評価制度を明確にしたり、多様な価値観や働き方を認めていくことで結果的に従業員の定着率やモチベーションの向上が期待できます。このような、組織の活性化は企業の競争力を高めるでしょう。
外国人労働者の採用は海外進出への足掛かりになることがあります。企業側が、進出を考えている国の人間を受け入れて一緒に働くことで進出先の事情を知ることができます。何より外国人労働者が、日本語と進出先の言語を使える貴重な人材として活躍することが期待できるでしょう。また、帰国をしたとしても日本のビジネスを学んだ人材が母国で働くことは現地に進出する際、日本企業にとって有利な条件となります。長期的に見て外国人労働者を雇うことは多くの日本企業にとって利益になります。
外国人労働者を採用することでコスト最適化につながることがあります。日本人だけでなく外国人の求人を募ると、母数が増えて人材獲得のチャンスが増えるので、求人広告費用や募集から採用までの時間といったコスト削減につながるでしょう。また、母国の給料水準に比べて日本の賃金水準が高い場合、比較的低賃金で募集しても応募者が集まりやすくなります。当然のことながら最低賃金以上の賃金でなくてはならないのは言うまでもありません。また、外国人労働者の採用にあたって活用できる助成金があるので、厚生労働省のサイトを確認してみてください。
外国人労働者を採用するにあたって特有の手続きが必要になります。雇用する際行う業務が在留資格で許可されているかを確認します。例えば、留学ビザで来日している外国人は資格外活動許可を入管に申請しなければなりません。許可を得ずに雇った企業も罪に問われるのでこういった在留資格別の制限や手続きをさせるのは重要です。特定技能実習生の場合は受け入れ後の適切な支援が義務づけられています。支援の内容が多岐にわたるため中小企業など規模の小さい事業者は負担が大きいかもしれません。支援機関に委託するなど対策をしましょう。
文化や風習の違いも懸念点と言えるでしょう。国が違えば常識も違います。地域住民とのトラブルや、他の従業員とうまくコミュニケーションができず業務に支障をきたすかもしれません。叱るときは人前で叱らないといったことや、やさしい日本語を使って相手に伝わりやすい表現を使うなど、受け入れ側の配慮が必要です。外国人労働者側には研修などを通じて、日本の文化やビジネス慣習に理解を求めましょう。日本人従業員には、出身国の紹介など外国人労働者への理解を深める機会を作りましょう。
この記事では、外国人労働者にまつわる現状や課題と解決策などをまとめました。現状の課題をきちんと認識し、言語や文化の壁を越えて意思疎通をはかり、交流すれば外国人労働者は企業や地域社会に貴重な経験や、利益をもたらすでしょう。しかしながら、外国人労働者をこれから雇おうとしている企業の中には、課題や手続きが煩雑に思えて、腰の重い人事採用担当者や経営者の方もいるのではないでしょうか。日本は、これから労働生産人口の減少であらゆる業界や職種で外国人労働者の受け入れが進むでしょう。外国人労働者は人手不足に悩む企業や社会にとってなくてはならない存在です。日本社会に定着するための支援や、労働条件を適切に設定するといった基本的なことを実施することが、優秀な外国人労働者の獲得につながります。
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