技術移転とは【目的や成功させるためのポイント等について解説します】

記事更新日:2021年09月08日 初回公開日:2021年09月07日

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現代社会はグローバル化が進み、ビジネスの世界でも国境はなくなりつつあります。しかしながら経済の発展度は国や地域によって大きな差があるのが現状です。そこで高い技術を持った組織が発展途上国を中心にその技術を提供しています。そして今回ご紹介するのが「技術移転」です。技術移転はメリットとデメリットの両面があるので、慎重に行うことが重要です。この記事では、技術移転の目的や具体的な方法、成功させるためのポイントについても触れているので参考にしてみてください。

技術移転とは

国や企業間で技術の提供を行うこと

まず始めに単語の意味について確認しましょう。技術移転とは、国や企業の間で技術の提供を行うことです。技術移転は特に高度な技術を持った国や公的機関、企業などから発展途上国やベンチャー企業に対して技術提供や指導が行われます。一般的には国際的な移転を指すことが多いですが、国内で完結することもあります。また、技術移転の対象となる技術は様々で、製品などの加工技術だけでなく、生産流通体制やマーケティングのシステムなども含まれています。

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技術移転の目的

業界に新技術を取り入れる

続いて技術移転の目的は大きく分けて3つあります。1つ目は業界に新技術を取り入れることです。世界中の研究者や技術者の努力によって技術は日々進化を繰り返しています。そのため過去に使用された技術が現在も通用するとは限りません。そこで新技術を持った組織が他の組織に対して技術移転をすることで、業界全体にその新技術を浸透させることが出来ます。その結果、業界全体の大きな発展につながり、利益も増加するでしょう。

技術者を育成する

2つ目は技術者の育成を行うことです。技術移転では、単に技術を提供するだけでなく、指導も行われます。そのため技術移転のプロセスの中で指導を受けた技術者は新たな技術に関する経験を積むことが出来るでしょう。指導を受けることで技術者はこれまでの知識をさらにアップデートし、今後の仕事に活かすことが出来るはずです。特に先進国から発展途上国に対する技術移転を行う場合は、この技術者の育成が目的の場合が多い傾向にあります。

発展途上国の技術発展を促す

3つ目は発展途上国の技術発展を促すことです。近年はアジアやアフリカの発展途上国を中心に経済発展が加速していますが、技術的には先進国と比べると進んでいないのが現状です。これらの国に対して技術の提供を行うことで、その国の技術発展に大きく貢献することが出来ます。最終的にはその国全体の経済成長にも繋がるため、技術移転は大きな役割を果たしています。特にインフラ整備など、人々の生活に直結する分野での技術移転は様々な国で積極的に行われています。

技術移転を行うメリット

業界全体の技術力の底上げにつながる

技術移転を行うことでどのような利点があるのでしょうか。1つ目のメリットとしては技術移転をする業界全体の技術力の底上げにつながることです。技術移転の目的にも記載したように新技術を業界全体に取り入れることで、その業界の発展に大きく繋がります。しかし技術移転をせずに新たな技術を一つの組織のみで所有した場合、その技術は業界内では中々広がりません。技術移転によって将来的な企業の利益損失に繋がる場合は、特許料や使用料を提示することで、不利益を未然に防ぐことが出来ます。

新しい市場を開拓できる

2つ目のメリットは、新規市場を開拓できることです。技術移転は多くの場合、先進国から発展途上や経済が急速に成長している国に対して行われます。多くの日本企業も海外へ生産拠点を移す際に技術移転を行ってきました。海外の国で技術移転を行うことで、自社の技術を伝えるだけでなく、同時にその国でのビジネスチャンスを得ることが出来ます。つまり新しい市場を開拓することになるので、特にメーカーを中心とした日本企業にとって技術移転は利益を生み出すことになるでしょう。

技術移転を行うデメリット

他社に技術的優位に立たれてしまう可能性がある

技術移転を行うことはメリットばかりではありません。技術移転をすることで新たな市場の開拓に繋がるなどの利点はありますが、自社の立ち位置によってはハイリスクとなってしまいます。例えば他社に技術的優位に立たれる可能性があるでしょう。その理由として自社からの技術提供によって技術的優位性が喪失し、他社にシェアを確保される可能性があるからです。また機密情報が漏れてしまう危険性もあるので、双方でしっかりとした取り決めを行うようにしましょう。

技術移転の方法

マニュアルを作成して伝える

次に技術移転の具体的な方法をご紹介します。1点目はマニュアルを作成して伝えることです。技術移転によって伝える技術の内容は様々ですが、どれも口頭のみで理解してもらうのでは不十分です。ですので、技術移転を行う際は、事前に目的や利用方法、手順などを詳細に記したマニュアルを作成するようにしましょう。そうすることで技術を提供したあとも定期に振り返ることができ、コミュニケーションミスも減らすことが出来るはずです。海外向けにマニュアルを作るときは、言語面しながら作成しましょう。

現地に技術者を派遣する

2つ目は技術移転をする現地に技術者を派遣することです。マニュアルを作成することで内容を理解することが出来ますが、それだけでは充分ではありません。正確に技術を伝えるために、やはり専門家とも言える技術者を直接派遣するようにしましょう。マニュアルだけでは理解出来ない部分は技術者と一緒に確認をして不明点をなくしてから導入をすることが重要です。技術者はただ説明するだけでなく、一定期間現地に滞在をすることでしっかりとフォローアップすることが出来ます。

工場見学を実施する

3つ目は、工場見学を実施することです。メーカーなどの企業からの技術移転の場合は工場の生産設備や機械設備の技術を伝えるケースが多くあります。その場合はやはり実際に稼働している生産ラインや工場の現場を確認してもらうようにしましょう。そうすることにより、マニュアルで想像していたイメージがより具体化され、新たな現場で導入しやすくなります。また新技術を導入した際は、技術者に見学を依頼して、不具合がないか等を必ず確認してもらうようにしましょう。

技術移転の例

研究機関から企業への技術移転

技術移転は大まかに3つのパターンが存在します。1つ目は研究機関から企業への技術移転です。この場合は大学や専門の研究機関が新技術を開発し、その技術を一般の企業に提供します。特に国内の学術機関の場合は技術移転に関する契約や手続きが体系化されていることが多く、共同研究なども頻繁に行われています。技術移転の流れも比較的シンプルで分かりやすいことがほとんどです。また、技術移転機関と呼ばれる研究機関から企業への技術移転を支援する事業者も存在します。

企業から発展途上国への技術移転

2つ目のパターンは企業から発展途上国への技術移転です。このパターンは最も一般的なケースと言えるでしょう。発展途上国の生活に不可欠なインフラ整備に関する技術から、最新技術を生産拠点に導入するなど様々なパターンが存在します。このケースは、技術を伝えるだけでなく、利益目的で行う企業も多数あります。先程も書いたように新しい市場の開拓に繋がったり、ライセンス料で利益を生み出すなど、技術を提供する側も様々なメリットを得ることが可能です。

国内の企業同士での技術移転

そして最後は、国内の企業同士が行う技術移転です。技術移転は日本の場合、海外に向けてすることが多いですが、このパターンのように国内の企業同士で行うこともあります。この国内の技術移転は1990年代の半ば頃から注目されるようになりました。国際的な技術移転では両方の国の法律や制度、言語、文化などの違いによる問題が発生しやすいですが、国内であればこうした心配はいりません。特に系列やグループ企業内での技術移転は比較的多く行われています。同じ業界間の場合は、競合可能性があるので難易度はより高くなるでしょう。

技術移転を成功させるポイント

技術移転に関する双方の権利を明確にする

技術移転を成功させるためにはいくつか抑えるべきポイントがあります。1点目は技術移転に関する双方の権利を事前に確認することです。技術移転によるリスクを軽減するために契約条件の設定を双方が納得できる形にすることが大切です。どこまで技術移転すべきかという点については実施する前に必ず議論をするようにしましょう。また、技術移転によって組織の機密情報が漏れてしまう可能性もあるので、必ず双方の権利を保証することが重要です。

必要以上の技術を伝えないようにする

2点目は、必要以上の技術を伝えないようにすることです。デメリットの部分でお話したとおり、技術移転を実行することでその組織の技術的優位性は失われます。特に技術を提供する側が公的機関ではなく利益を常に追求しなければならない企業などの場合、技術移転は大きなリスクとなってしまいます。ですので技術移転をする際は、求められていること以上の技術は公開せず、しっかりと自社を守ることも同時に心がけるようにしましょう。

長期的な利益を想定する

3点目は長期的な利益を想定しながら行うことです。技術移転は技術を学ぶ側だけでなく、提供する側にも利点があることが多いです。特に多国籍企業は他の国で技術移転をすることが多く、これは長期的な利益が見込まれているからです。特許やライセンス料による収入や新規市場の拡大などがその例として挙げられるでしょう。また同じグループ内の企業であれば技術を共有することで利益を生み出し、グループ全体の業績アップに繋がる可能性もあります。

定期的に監査を実施する

最後の4点目は定期的に監査を実施することです。技術移転は一度技術を提供したら終わりではありません。技術移転によって提供した技術が指導どおり利用されていることを監査を通じて定期的に確認を行うようにしましょう。また、あらかじめ決定した情報などに関する技術移転の条件に違反している場合は、厳正に対応をすることが必要です。監査を定期的に実施することで、技術移転の効果も同時に確認することが出来るでしょう。

まとめ

技術移転で業界の発展に貢献しましょう

今回は技術移転をテーマに様々な角度から説明を行ってきました。この記事を読んで技術移転に関する知識を深めることが出来ましたでしょうか。今回ご紹介した技術移転は、メリットもある一方で技術提供をする企業にとってはリスクも存在します。ですので、技術移転を検討する際は具体的な方法と成功させるためのポイントを必ず押さえるようにしましょう。そして最終的には技術移転によって業界全体の発展に貢献していきましょう。

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