効果的な部下の叱り方とは【やってはいけない部下への叱り方を交えてお伝えします】

記事更新日：2023年08月24日｜初回公開日：2023年07月05日

チームが上手く機能して目標を達成するためには、上司と部下の良好な関係やコミュニケーションの円滑さが少なからず影響します。中には、「部下が思うように動いてくれない」「同じミスを繰り返す部下がいる」など悩みを抱えるリーダーの方もいるのではないでしょうか。叱ることはネガティブな行為と捉えられがちです。しかし叱り方を工夫すれば、意欲を下げることなく部下の行動を改善に導くことができます。この記事では、部下の効果的な叱り方や間違った叱り方などを解説します。部下の指導方法に悩んでいる方は是非参考にしてみてください。

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叱り方と怒り方の違い

目的や意義があるかないかの違い

叱り方と怒り方の違いは、目的や意義があるかないかの違いにあります。叱ることは、今回のことを踏まえて部下といった相手の成長を促します。どのような点が至らなかったのか、次回はどうすればよいのかを伝えてあげることによって、次の改善に繋げることができます。一方で、怒ることは目的や意義がないまま、単に自分の感情を相手にぶつけることを指します。叱ることが相手の成長を手助けするといった目的や意義がある一方で、怒ることが目的や意義がなく自分の感情をぶつけるのが大きな違いです。

間違った部下への叱り方

乱暴な言葉を使い大声で叱る

乱暴な言葉を使い大声で叱る行為は、パワハラ行為と捉えられかねない不適切な叱り方です。あからさまに部下が恐怖心を抱くような叱り方は、怒りの感情があらわになるため怒る方に近くなります。部下は萎縮し、怒られることを避けるためにコミュニケーションをなるべく避けるようになる可能性もあります。そうなると、報告・連絡・相談ができなくなり信頼関係ができないことや、職場の雰囲気の悪化による生産性の低下につながるでしょう。

大勢の人前で叱る

大勢の前で叱ることは、部下の自尊心を傷つけるため不適切な叱り方です。大勢の前でミスや問題点をさらされた部下は、叱られただけでも心にダメージを受ける上、恥ずかしい思いをするでしょう。当然、叱ってきた上司への反発心や不信感が芽生えます。そのような状態の中、上司が促すように問題点を解決するための行動をしたいとは思えません。部下の反感を買うだけでなく目的の達成にもつながらない、間違った叱り方と言えるでしょう。

他人と比較する

他人と比較して叱ることは、部下の心を傷つける逆効果の叱り方です。人前で叱ることと同じように、上司に対し反感を抱くようになります。自分の問題点を認識したとしても、素直に行動できなくなるでしょう。人はそれぞれ違う価値観や性格、習熟スピードがあるため、他人と比較する必要はありません。部下自身がそれを認識し、他人と比較して悩んでいる可能性もあります。叱る際は相対的な評価を用いず、部下が受け入れて行動化しやすい叱り方を工夫することが大切です。

否定ばかりする

叱る際に否定ばかりしていると、部下の自己肯定感は失われてモチベーションの低下につながります。否定しかされていないと、悪いところしか見てもらえておらず自分は必要とされていないと感じるためです。効果的な叱り方をするには、「褒める」要素も含めると部下がポジティブに受け止めやすくなるでしょう。例えば、「いつも業務にスピード感があって助かる。でも正確さが足りていなくて～」という内容で伝えれば、部下の日ごろの努力を認めた上で指導できます。

なぜ？という言葉で責める

なぜ？という言葉で原因究明することは部下が責められているように感じ、相手を追い詰めます。問題に焦点を当てている場合、言い訳や説明を考えることはあっても前向きな改善にはつながらないでしょう。なぜ？という言葉での原因追求は、相手を委縮させるため、彼らの思考停止に繋がってしまいます。叱ることはあくまで相手の成長を促すという目的があるので、一方的に攻めるのではなく、一緒に原因や改善策を考えられるようにしましょう。

効果がある部下への叱り方

叱るタイミングと場所を考慮する

叱り方には、適切なタイミングと場所を選ぶことが非常に大切です。問題が発覚してから早い段階で、一対一になれるタイミングで叱ることが望ましいでしょう。問題が発覚しても部下が自身で是正できるかどうか見守る余地があれば、様子を見た後に叱り方を工夫することも効果的です。わかっていても発生したミスであれば、指摘されたことでモチベーションが下がることもあります。また、叱るときはわかりやすい呼び出し方ではなく、二人きりになれるタイミングをうまく作り出す必要があります。

叱る理由を明確に伝える

部下を叱る際は、理由を明確に伝えることが必要不可欠です。理由が曖昧であれば部下は何が問題なのか根本的に理解できず、改善するための行動ができないためです。改善できない上に、よくわからない理由で叱ってくる上司に対して、部下は不信感を抱くでしょう。また理由を明確に伝えられれば、上司が問題点を違った認識で捉えている場合に部下が説明できます。相互で誤解が生じていた場合は今後の業務にも影響するため、明確な理由を説明した上での叱り方は大切です。

期待していることを伝える

部下を叱る際には、同時に期待していることを伝えるモチベーションコントロールが必要です。叱る行為は、部下にとってはどうしてもネガティブなことに捉えられるでしょう。しかし、叱ることの本来の目的は「部下の成長を促す」ことです。期待されていることを感じれば部下にとっても叱られている本当の意味が理解できますし、期待に応えるために行動しようと努めることができます。部下が前向きにとらえて成長に意欲的になるためには、部下に期待していることを伝えることが非常に重要です。

改善案を共有する

正しい叱り方には、改善案の共有が必要不可欠です。どのように改善したらいいかわからなければ、同じミスを繰り返すことにもなります。同じことで叱られ続けるとモチベーションの低下にもつながるため、一度で修正できるよう伝え方や改善策の示し方に工夫が必要です。習熟度に応じて理解度も変わるため、部下の状況に合わせた叱り方が求められます。部下を叱る際は、イメージがしやすい具体的な内容で改善案を共有することが大切です。

注意だけで終わらせずフォローも行う

部下を叱ったときは注意で終わらせず、良かった点を褒めるなどフォローを行うことも重要です。叱った後は気まずい雰囲気になりがちですが、フォローすることで解消できるためです。例えば、「この行動は素晴らしかった。」と別の面で長所を見つけて褒めることができます。長所は伸ばすことにつながるため、叱るだけではなくモチベーションを向上させることも可能です。フォローする形で締めくくられればお互いにネガティブな感情を抱きにくく、関係性に影響もないでしょう。

短時間で終わらせる

叱ることには時間をかけず、短時間で簡潔に終わらせましょう。長時間続けば、お互いに疲労を感じて集中力を失い、本来伝えるべき内容を忘れることやが伝わらない可能性があるためです。特に話が脱線しがちな人は、説明している途中で話題が逸れて本題を見失うため、注意が必要です。伝えるべき内容が伝わらず、叱るために取った時間が無駄になります。叱る前には伝えたいことを簡潔に説明できるようまとめておき、部下から質問を受けた際に答えるくらいの時間を見込んでおくと効果的でしょう。

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同じミスをする部下への叱り方

指示を理解しているか確認する

同じミスが目立つ部下には、指示を正しく理解しているか確認することが必要です。ミスが繰り返されている場合、上司の指示を誤解して良かれと思ってやっていることもあります。指示を理解しているかの確認には、指示内容を復唱させることが効果的です。自分の口から発することで間違って理解していることが分かり、部下も是正した際の内容を落とし込みやすくなります。指示は上司からの一方的なコミュニケーションになりがちなため、注意が必要です。指示の意味を正しく理解して定着すれば、同じミスを防げるでしょう。

部下からの質問を受け付ける

叱った際や指示を出した場合、部下が質問できるような環境が必要です。部下の習熟度によって言われた内容だけでは、情報が不十分なことがあります。部下が不明点を抱えている場合でも、上司が忙しそうにしていたら声を掛けられないこともあるでしょう。部下には、質問があれば声を掛けるように伝えることや、様子をみて上司から質問がないか声を掛けることが効果的です。部下がミスを繰り返さないよう適宜質問を受け付け、疑問点を解消した状態で業務に臨むように努めましょう。

メールでの部下への叱り方

丁寧な言葉口調を意識する

メールで叱る際は丁寧な言葉遣いや口調を意識しましょう。対面で伝える場合とは違い、表情や声のトーンなどによるニュアンスの読み取りがしづらくなります。そのため、言葉遣いに注意しないと威圧的に感じることや、命令されているように感じやすくなります。威圧的な印象を受けると、今後業務しづらいと感じることもあるでしょう。また、意図していることが伝わりきらないことや誤解される可能性も高いです。メールで叱る場合は丁寧な文章を意識し、作成後は相手の立場になって読み返すなど最新の注意が必要です。

効果的な部下への叱り方が学べる本

部下が変わる本当の叱り方

「部下が変わる本当の叱り方」は、組織改革コンサルタントである吉田裕児氏による書籍です。上司が抱えがちな悩みから叱ることの本当の意味、部下の意欲の高め方など、部下との良好な人間関係や目標達成のヒントになる内容です。特に、「慕われ上司」になるための4ステップは、部下への声のかけ方や具体的な行動が挙げられています。すぐに仕事に取り入れられるため、早い段階で知識を活かしやすいでしょう。部下に慕われてチームでの成果につなげたい方や人間関係に悩む方は読んでおきたい一冊です。

嫌われずに人を動かすすごい叱り方

組織活性化・人材育成コンサルタントの田辺晃による書籍で、叱り方に特化した内容です。叱ることを上司と部下のコミュニケーションとして捉えて叱り方の本質に迫り、不適切な叱り方に関しても言及しています。自分の普段の叱り方や部下との関係性の見直しにもつながるでしょう。また、シチュエーションや部下のタイプ別の叱り方についても紹介されています。怒るのではなく上手に叱るための実践方法を教えてくれるので、効果的な叱り方について知りたい方におすすめの一冊です。

まとめ

効果的な叱り方で部下の成長を促そう

部下の正しい叱り方や間違った叱り方、悩みの解決に役立つおすすめの書籍を紹介しました。叱るという行為は、部下の行動を改善して目標の達成に導くために必要不可欠です。しかし、叱り方を間違えると部下のモチベーションを下げることにもつながります。部下の意欲を高めるには、期待を伝えることやフォローなどでポジティブな方向へ導くことも大切です。記事で紹介した内容や書籍を参考に効果的な叱り方で部下の成長を促し、組織の目標達成に向けてチームワークを高めましょう。