記事更新日:2021年10月27日 | 初回公開日:2021年10月26日
用語集 採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報リスキリングとは、企業が従業員に必要なスキルを獲得させる取り組みのことを指します。これまでは企業が必要としているスキルを持った人材を新たに採用するというのが一般的だったのに対し、既存の従業員に新たにスキルを獲得させるというものになります。かなり早いスピードでテクノロジーが発展していく社会のなかで、従業員の入社当時のスキルだけでは対応できないケースも増えてくるでしょう。単純にそうした人材の雇用をやめるのではなく、リスキリングをすることで従業員の雇用を守ることにもつながるのです。
企業のDX化が進んでいることは、リスキリングが求められるようになった最も大きな要因といえるでしょう。DXとは、データやIT技術によって製品やサービスなどを変革していく動きのことです。このような先進的な技術は企業にとって非常に役立つと同時に、それを扱うことのできる人材はまだ多くはないというのが現状です。リスキリングによってDXに対応することのできる人材を育成することができれば、企業の成長に大きくつながるでしょう。
デジタル人材が不足しているということも、リスキリングが注目されている理由のひとつとして考えられます。経済産業省委託事業の調査によると、デジタル人材は2030年までに最悪の場合79万人不足するといわれています。これによってDXやAIの発展に遅れが生じてしまうと、その経済的な損失は国単位でかなり大きなものになってしまいます。これは企業においても同じことがいえるため、DXなどに関する技術的な遅れを取らないためにもリスキリングが非常に重要となるでしょう。
リスキリングと似たような指導の仕組みとして、OJTがあげられます。しかしこれらには明確な違いがあり、導入する際にはそれを理解しておく必要があるでしょう。OJTというのは現時点で企業が取り組んでいる業務について、その内容や流れなどを社員に理解してもらうという制度です。それに対してリスキリングは、今後企業にとって必要とされるであろう新しい業務に役立てるための知識やスキルを身につけることを目的としています。
社内でスキルの習得を実施するリスキリングに対してリカレント教育は、大学に入り直すなど職を離れることを前提とするケースが多いです。新たな能力の習得を目的としている点においてはほぼ同じとも捉えられますが、リカレント教育はより社員が主体的に取り組むというイメージです。またリカレント教育も、現在取り組んでいる業務のために必要な能力の習得を目的としていますのでリスキリングとは目的としているスキルが異なるでしょう。
リスキリングは社内の人材を対象に実施するため、企業の持つ文化を継承させやすいと考えられます。新規採用で優秀な人材を手に入れることができたとしても、企業の持つ文化や社風についてはもちろん一から指導する必要があります。リスキリングで習得したスキルに関しても、既存の従業員の方が企業により適した形で役立てることができるでしょう。したがって、企業全体のレベルを上げたいけれど伝統や文化をうまく引き継いでいきたいという企業にとってリスキリングは非常に有効といえるでしょう。
リスキリングを企業に導入することによって、採用にかかるコストを削減することにもつながるでしょう。労働力の確保が困難になっているのにくわえ、需要の高いIT人材を新規採用するには多くのコストが必要となってきます。リスキリングによって既存の従業員の能力を伸ばすことができれば、コストを抑えられるだけでなく新たな事業にもスムーズに配属することができます。新規採用に課題を抱えている企業こそ、リスキリングに注力するべきともいえるでしょう。
リスキリングを導入するにあたってまずは、従業員が現時点で保有している能力や業務への適性を把握しておく必要があります。現在すでに持っているスキルと、必要となることが予想されるスキルを明確にしてからリスキリングを実施するためです。スキルを明確に可視化することは、従業員だけの力では難しいでしょう。スキルを可視化するための外部サービスを導入するなど、企業全体として従業員の能力の把握に取り組むことが重要です。
従業員が実際に学習を進めるためのプログラムを作成することも、リスキリングの導入において企業が担う大きな役割でしょう。オンラインで受講できるサービスも充実しているため、時間を効率的に利用してリスキリングを行うのがポイントです。業務時間外の時間を使って受講させてしまうと、従業員が不満を感じてしまうケースも考えられます。したがって、できるだけ業務時間を使って実施できるように工夫して学習プログラムを作成しましょう。
従業員がリスキリングを修了した後には、習得したスキルを実際の現場で活用してもらうように心がけましょう。せっかく習得したスキルですので、そのまま使う機会がしばらくないというのは非常にもったいないです。また、実践的な場面で使うことによって従業員のスキルはさらに強く定着していくでしょう。座学だけではどうしても補えないという部分もあるため、実践を通じてスキルを完成させるようなイメージを持っておきましょう。
リスキリングの実施に対して、ポジティブなイメージを持っていない従業員がいる場合も考えられます。そのような従業員に対して半強制的にリスキリングを実施しても、十分な効果を得ることは難しいでしょう。したがって、リスキリングの必要性やそのメリットなどについてしっかりと理解してもらう必要があります。さらに、従業員のスキルを可視化することによってリスキリング実施へのモチベーションも上げることができるでしょう。
リスキリングをより効果的に実施するためには、従業員の能力だけではなく企業側からのサポートも不可欠です。従業員のひとりひとりが高いモチベーションを持って取り組めるように、経営陣や管理職といった役職の人材からもリスキリングの必要性を伝えるようにしましょう。リスキリングによってスキルを習得した従業員へのインセンティブを用意しておくなどの方法も、企業側が従業員に対してできるサポートの一つとして考えられます。
AT&Tは、アメリカにおいていち早くリスキリングの必要性を認識して実際に取り組んできた企業です。将来的に必要とされるであろうスキルを徹底的に特定したうえで、具体的なプログラムを作成しました。部門ごとに必要とされるスキルを明確に示すことで、それを習得した人材の社内での異動も円滑に行えるようになりました。また大学などの外部の教育機関とも連携しながら、オンラインでデータ解析やプログラミングなどのさまざまな分野の学習を実施できるコースも提供されています。
日本Microsoftでは自社内での従業員の教育だけではなく、他の企業に向けた従業員教育プログラムも展開しています。パーソルイノベーション株式会社と協業で、日本のDXを推進させることを目的として取り組んでいます。2023年までにクラウドやAI関連の認定資格取得者を15万人創出することをを予定しているのでため、非常に大規模な取り組みです。このように大企業がリスキリングによってデジタル人材の育成を計画していることからも、自社でのリスキリングは非常に重要視されることがわかります。
富士通ではDXカンパニーへと移行していくことを経営方針として、企業の成長に対して投資を加速させています。DX企業へと変革するための投資は、5年間で5000億円から6000億円といわれています。これらの投資の内容としては、企業のサービスなど価値創造のための投資も含まれています。そのなかでも従業員のリスキリングは重要課題であると明確に示しており、企業を内部から強化していく意向が強いことがうかがえるでしょう。
日立製作所ではデジタルに対応できる人材の強化を重要な課題のひとつとして挙げ、その実現のためにリスキリングを社内で推奨しています。日立製鉄所の人材育成を行っている日立アカデミーではデジタル関連の学習プログラムが非常に充実しており、約100コースものさまざまなプログラムが用意されています。2020年にはその日立アカデミーと連携し、「デジタルリテラシーエクササイズ」という新たな基礎教育プログラムを開発しました。
大阪ガスでは、今後はデータを経営に活かすことのできる人材が今後のDX時代において重要となってくることを前提に考え、従業員に対してリスキリングを実施しています。従業員ひとりひとりのスキルレベルに応じたコースが用意されているため、リスキリングに参加することへの抵抗を少なくするのに役立っていると考えられます。講義形式だけではなく、ケーススタディやグループ演習などさまざまな形式で行われているというのも特徴です。
リスキリングの重要性と、導入する際のポイントについてお分かりいただけたでしょうか。ITスキルを持つ人材の採用は、今後さらに困難になっていくと予測されています。しかしそのような新しいスキルを持つ人材は、企業にとって必要不可欠です。企業の文化を引き継ぎながら社会の変化に対応していくためにも、既存の従業員に対してリスキリングを行うのは非常に有効な手段といえるでしょう。社外からの人材の採用に頼るだけではなく、リスキリングによってまずは社内のスキルアップから取り組んでみてはいかがでしょうか。
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