非上場企業のメリットとは【大企業として有名な企業の例も紹介します】

記事更新日:2023年02月22日 初回公開日:2023年02月22日

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「非上場企業」と聞くと安定性がない、知名度が低いといったイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。しかし日本には誰もが聞いたことがあるような企業であっても、上場企業ではない場合もあります。上場を行うには様々な費用や準備するための時間が必要です。そういったものを避けるために、大手であってもあえて上場を選んでいない有名企業も多く存在しています。この記事では非上場企業のメリットやデメリット、実際に非上場を選んでいる企業について解説していきます。非上場企業で働こうと考えている人は参考にしてみてください。

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非上場企業とは

証券取引所に参加していない企業のこと

非上場企業とは、証券取引所に参加していない企業のことを言います。参加していないだけでなく、一旦上場していたが上場を廃止した場合にも非上場企業に該当します。反対に上場企業とは、株式の売買取引を行う証券取引所に自社株を公開している企業のことです。非上場企業の株も購入することは出来ますが、上場企業に比べると証券取引所に公開していない為あまり流通しておらず会社の役員等が多く所有している場合が殆どです。しかし上場していない企業だからといって、信用が上場企業より弱いとは限りません。

あえて非上場である企業も少なくない

世の中には、よく知られている企業でもあえて非上場にしている企業も少なくありません。有名企業でも上場しているとは限らず、日本でも約99%の企業が非上場企業です。企業規模が小さく、上場する条件に満たしていない為上場出来ていない場合も勿論ありますが上場に必要な条件を満たしている大手企業でも非上場を選択しています。非上場を選択している企業の中には、「買収されるリスクが少ない」、「自由に会社経営を行いたい」などの明確な目的や理由から上場していない企業が殆どです。

非上場企業のメリット

上場のためのコストがかからない

非上場企業のメリットは、上場するためのコストが掛からないという点です。企業が上場する場合は、上場する前・上場した時・上場後とそれぞれに費用が発生します。上場前には、監査法人や証券会社・株式事務代行機関等様々な関係機関に約2000万円以上の支払いが必要です。また上場する際には、上場審査料や登録免許税等およそ500万程度支払わなければなりません。また上場した後も年間上場料や監査法人・証券会社への支払い、株式総会の運営費等上場後毎年2000万以上の資金が必要です。上場しないことによりコストを掛けずに済みます。

経営の自由度が高い

非上場企業は、経営の自由度が高いというメリットがあります。非上場企業を選ぶ理由として1番に上がるのが、経営方針を株主の意向等に左右されないという点です。上場してしまうと、収益が減少した場合に企業は株主などから決算内容について厳しく追及される為、説明責任を果たさなければなりません。状況次第では、代表の交代など経営陣の刷新を求められることもあります。株主の意向に沿った経営を求められることもあり、企業の考えている経営方針とかけ離れてしまうこともあります。上場していなければそういった責任の追及や経営に口を出されることもない為、経営者が自由に企業運営を行うことが可能です。

買収のリスクが低い

非上場企業であることで、買収されるリスクを下げることが出来ます。上場している企業は、株式市場で自社の株式を不特定多数の第三者に購入され、場合によっては株式を買い占め経営権を奪おうと考えている投資家もいるかもしれません。証券取引所に上場すると、常に第三者である他の誰かから買収されてしまう可能性があります。企業はTOB(敵対的買収)を仕掛けてくる投資家から企業を守るために様々な対策を講じていますが、可能性を0にすることは簡単ではありません。上場しないことによって、そう言ったリスクを心配する必要もありません。

有価証券報告書の提出義務がない

有価証券報告書の提出義務が無いのも、非上場企業のメリットです。証券取引所に上場した企業は、金融商品取引法に基づいて財務計算や内部統制・有価証券などに関する報告書を企業の決算後に提出しなければなりません。有価証券報告書等は作成する際にコストが掛かります。株主総会を実施する際にも様々な労力やコストが発生し、ストレスの多い作業です。上場していなければ、有価証券報告書等の作成を行う必要はほぼありません。株主総会も上場企業などと比べ小規模で済むため、上場しない事で書類の作成のコストなども抑えることが出来ます。

非上場企業のデメリット

資金調達が難しい

非上場企業のデメリットは、資金調達が難しいことです。上場した企業は株式を第三者に購入してもらえるため、企業が株式の購入先を探し出す必要がありません。株式を購入してもらうことによって、多くの資金調達も同時に出来る為、その資金で設備投資など企業運営に役立てることが可能になり将来の経営方針も立てやすくなります。非上場企業では、株式から資金調達をしようとすると企業自ら株式を購入してくれる人を探さなければなりません。上場していないことにより株価も存在しない為、資金調達は簡単ではありません。

非上場企業で働くメリット

意見が通りやすい

非上場企業で働くメリットは、意見が通りやすいという点です。上場していると株主の意見も加味しなければならず、社内の人間だけで意思決定を通すことは簡単ではなく、方針決定なども時間が必要です。しかし上場していなければ、株主の意見に左右されず意思決定が出来る事から従業員が意見を出しやすく、提案した意見が通りやすくなります。意思決定が通りやすいということは、企業運営も社内だけで完結することが出来る為、意思決定のスピードも上がり経営陣が企業運営をしやすい環境です。

自由度が高い環境である

非上場企業は、自由度が高い環境であることも働くメリットの一つです。非上場企業は大半の場合、従業員数が少なく企業規模もそれほど大きくない場合が殆どです。その為、従業員一人一人が様々な業務に携わっている事が多く、ある程度の裁量をもって働きたいと考えている人にはお勧めの環境です。上場している企業は資本を持っている場合が多い為、従業員も多く抱えています。従業員が多い程部署がしっかりと分かれており、業務も細分化されているため中々自由度を高く働くことは簡単ではありません。非上場企業であれば、裁量をもって働けることが多く自由度が高いと言えます。

非上場企業で働くデメリット

上場企業より社会的信用度が低いとされる場合もある

非上場企業で働くデメリットは、上場企業より社会的信用度が低いと考えられることがあります。上場している企業は、証券取引所の審査に通過しています。上場するための審査項目は様々ですが、上場を考えている企業は管理体制などの整備が行われて充実しているということを証明しなければなりません。上場を果たしている企業はその厳しい審査を通過しているため、企業として安定しているという証明にもなります。また上場企業には優秀な人材が集まりやすくなり、非上場企業と比べると上場している企業に人が流れやすくなります。

上場企業より待遇が劣ることもある

上場企業よりも待遇が劣る可能性があるという点が、非上場企業で働くデメリットです。上場している企業と比べて、非上場企業は企業規模や従業員数が少ない場合が殆どです。非上場企業は知名度等も上場企業よりもない為、中々人材の確保が難しくあまりコストもかけられないことから労働環境が整っていない企業が多い傾向です。その為、福利厚生や職場環境などがしっかり整備されていない事もあります。有名企業で敢えて上場をしていない企業は別ですが、非上場企業は上場する基準を満たしていない場合が多く上場企業と比べ待遇が劣っている場合があります。

非上場企業として有名な大手企業

サントリー

非上場企業として有名な大手企業は、サントリーです。サントリーは日本では誰もが知っている有名企業ですが、上場は行っていません。サントリーは長い間一族経営を行っており、主力であるビール業は45年間赤字を記録していました。もしサントリーが上場していたら、長年赤字路線である商品部門や開発等は株主から非難を浴びることは明白の為、ビール業界を席巻することは出来なかったでしょう。しかしサントリーは「やってみなはれ」精神を大切にするために、非上場を選んだとされています。

ロッテ

非上場企業として、ロッテも上場をしていない有名企業です。ロッテは様々な商品開発を行い、世代を問わず愛されているお菓子等を販売している大手企業ですが、非上場企業であることを知らない人も多いのではないでしょうか。ロッテは上場していない為、自社資本のみで企業規模を広げています。上場すれば、株式購入により更なる資本を得てより一層成長を見込めそうですが、上場すると株主の意向を汲まなければなりません。ロッテは長期的戦略を重視しているため、上場せず自社資本だけで運営を行っています。

YKK

YKKは有名企業ですが、上場は行っていません。YKKが非上場企業を選択している1番の理由は、上場を行い株式を第三者に購入してもらって資金調達を目的としていないからです。YKKは企業理念において、資金調達は金融機関から借りるものであると考えています。YKKの代表取締役の吉田忠裕さんは、上場によって社会的信用を得るのではなく自ら作り上げることを重視しているため、上場を行っていません。非上場企業であるYKKですが、現在でも社会的信用は十分作り上げられています。

NTTドコモ

NTTドコモも、非上場企業として有名です。ドコモはNTTの子会社として一度は上場していましたが、2020年12月に上場廃止を行いそれ以降非上場企業として運営されています。一度は上場していたNTTドコモですが、親会社であるNTTが完全子会社化するためにTOBを行い元々株主だった第三者に対して、売渡請求等でNTTが90%以上を保有しました。電話料金などの値下げを株主が良しとしなかった為に、完全子会社化を行い非上場企業に変更を行いました。一度上場していた企業であっても、株主と意見が合わず経営の自由度が下がった為非上場に変更することもあります。

IKEA

国内だけでなく、国外の有名企業で上場していない事で有名なのがIKEAです。創業者のカンプラード氏は、「非上場を保つことで、柔軟性が増して順調に成長でき、企業の発展に関して長期的な視点を持つことができると常々考えている」と述べています。それだけでなく、非上場企業でいることが驚異的な成長の要因になっていると考えています。ガンプラード氏も先述したように、非上場企業のメリットである経営の自由度等を重視しており、誰もが知っている有名企業ですが上場を行っていません。

まとめ

非上場企業について理解を深めましょう

非上場企業で働くメリットやデメリットについて解説しました。上場している企業は、上場するために証券取引所などの厳しい審査を通過しているため、社会的信用が非上場企業に比べると高いと言えます。しかし上場していると、第三者からの株式大量購入や株主から経営状況を追及されるといった様々なストレスを抱えなければなりません。上場しないことによって、経営の自由度が上がり買収のリスクも抑えられるなど経営者にとって様々なメリットがあります。非上場企業と聞くとあまり良いイメージを抱かない人もいるかもしれませんが、しっかりと理解を深めた上で上場企業が非上場企業どちらかを選ぶことが大切です。

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