LMSとは【導入にあたってのポイントや種類を解説します】

記事更新日:2021年09月16日 初回公開日:2021年03月11日

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企業にとって人材教育・研修は必要不可欠なものですが、インターネットの発展、広がりとともに、eラーニングを業務に取り入れる企業が急増しています。本記事では、そのeラーニングをさらに効果的に行うためのシステムであるLMSについて、その役割や種類、導入に当たってのメリットやデメリットを解説いたします。実際にLMS導入を検討されている人事・総務ご担当者様向けに、導入の際のポイントや具体的な導入事例も参考になるでしょう。eラーニングに限らず、自社の教育・研修方法を検討されているご担当者様はぜひ最後までご確認ください。

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lmsとは

学習教材を統合した管理システム

LMSはLearning Management Systemの略で、「エルエムエス」と読みます。日本語では「学習管理システム」と呼ばれ、その名の通り企業において社員の学習を一元管理するシステムのことです。決して単なるeラーニング学習を行うためのシステムというだけではありません。LMSは人材育成に関する教材を総合的に備え、さらにその進捗管理やモチベーションアップまでも支援する、総合的なキャリア開発ツールといえます。例えば、集合研修の予定管理機能やアンケート機能、学習履歴・資格情報を登録するデータベース機能、社員同士のコミュニケーションを活性化するためのSNS機能など、多くの機能を持ち合わせています。

lmsの役割

学習教科の総合管理

LMSは主に2つの役割を担っており、まず一つ目に学習すべき教科の総合管理を行うという役割があります。企業では、研修カリキュラムに沿って、どの時期にどの内容の研修を受けるかが決まっていることが多いですよね。LMSには、社員が受けるべき教科を一覧で管理し、eラーニング配信を行ったり、課題の提示・回収を行ったり、集合研修の予約を行ったり等の機能が備わっています。例えばテスト問題の合格・不合格を設定し、結果に応じて次の教材を割り当てる等、学習者と教材のマッチングを適切に行うことができるのです。

学習者の進捗管理

LMSが持つ2つ目の役割は、学習者の進捗管理です。学習者がどの教材を完了したか、理解度はどの程度であったかを、学習者自身だけでなく管理者側も一元的に把握することができます。進捗のレポートや期限までのアラート通知を行うことができるシステムも多く、学習者にとっても管理者にとってもスムーズな学習を支援してくれるといえるでしょう。また、取得資格を登録し、キャリアカルテのような形で使うこともでき、個人ごとの人事情報や今後のスケジュールまで管理をすることも可能です。

lmsができた背景と理由

e-ラーニングを補うため

多くのLMSが生まれ、注目が集まっている背景には、eラーニングの広まりがあります。eラーニングは便利で多くの社員教育に繋げやすい一方で、管理側が学習者の進捗管理ができない、学習者はどの教材から取り組めば良いかがわからない等のデメリットがありました。これらの問題点を解決するため、必要な機能を予め搭載したプラットフォームがLMSです。オフラインでの教育研修に比べて強制力が薄いためモチベーションを保つことが難しく、学習効果が見込めにくい等の課題も、LMSの導入によりある程度の改善が期待ができます。

lmsの種類

オンプレミス型

LMSには利用サーバーによって2つの種類があり、1つは「オンプレミス型」と呼ばれます。これは自社の社内サーバーにLMSのアプリケーションをインストールする方式です。社内ネットワークで利用ができ、他のシステムと連携して設計することが可能です。セキュリティ基準についても自社の基準で設計することが可能です。一方、一度導入した後は自社で継続的に保守・メンテナンスをしていく必要があるため、運用コストが高くなるというデメリットがあります。に分けられます。

クラウドワークス型

もう1種類のLMSは「クラウドワークス型」と呼ばれ、LMSベンダーが持つサーバー上に自社専用のサイトを構築するものです。ユーザー側はインターネットを使えるPCさえあれば、どこからでもアクセスすることができ、便利ですよね。兼ねてから企業システムのクラウド化が進んでいますが、LMSにおいても現在はクラウドワークス型が主流となっています。すでにあるサーバーを活用するため導入もスムーズな他、システム管理をベンダーが全て担ってくれるという点でコスト面でもメリットがあります。

lms導入のメリット

社員の知識の底上げが可能

LMSを導入することでのメリットは、まず1点目に社員の知識の底上げが可能になるという点です。社員の学習状況を適切に把握できるLMSを使うことで、得意・不得意や理解度に応じて、テストや追加課題の作成を行うことが可能です。オンラインだけで完結しない場合は、直属の上司とも状況を共有し個別フォローを行うなどの対策ができます。大人数に向けた一斉教育だけに留まらず、一人ひとりにあったカリキュラム提示ができるため、長期的には社員の知識の底上げが期待できますね。

人の成長過程の情報共有化が可能

LMSを導入するメリットの2点目は、社員の成長過程を簡単に把握・共有できるという点です。LMSのデータベースには学習者がどの研修に参加したか、履歴やその結果が情報として保管されています。管理者向けの発展的な使い方としては、LMS上での学習履歴やスキル情報を元に、配置の検討や組織横断的なプロジェクトチームの立ち上げなどを効率的に行うことも可能です。データが蓄積されることで、会社として人材育成の戦略を検討ていく材料にもなりますね。

世界中で利用が可能

LMSを導入するメリットの3点目は、インターネット回線さえあれば世界中どこでも利用ができるという点です。新型コロナウィルスの流行で場所を問わない働き方が認められつつあり、その観点からもLMSは有用です。特に、海外展開をしているグローバル企業でも、LMSを使うことで全世界の社員に同じ教育機会を提供できます。全社教育は国内の本部から、業務教育は各拠点の教育管理者から、などの柔軟な施策も可能ですね。日本企業のグローバル進出が進む中、海外拠点での教育展開は大きな課題の一つですが、LMSは解決策の一つになるはずです。

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lms導入のデメリット

費用がかかる

一方、LMSを導入する際のデメリットは、まず費用が発生するという点です。費用間はサービスにより様々ですが、初期費用コスト及び運用コスト、また導入時には時間的手間も発生します。一方で、LMSを導入すると、これまで社員への教育研修にかかっていたコストは削減できることが多いでしょう。会場費用や社員が会場に来るまでの交通費や宿泊費、資料や教材費等は削減が可能ですね。導入にあたる費用対効果はしっかりと考えたいものです。

使いこなす人が必要

LMSを導入する際のデメリットの2点目は、このサービスを使いこなすための管理運用者が必要という点です。すでに述べてきたように、最近のLMSの多くは単なるeラーニング配信ツールではなく、人材育成の総合的なプラットフォームとして様々な機能を備えていることが多いです。そのため、毎月の費用を払っていても機能を充分に活用しきれていないパターンもあるのではないでしょうか。LMSの機能要件をきちんと把握した上で、自社が求めるシステムとして活用するには専門の担当者が必要です。

社員教育が必要

LMSを導入する際に考えられうるデメリットの3点目は、社員教育が必要であるという点です。LMSを導入するだけでなく、それをどのように活用していくか、運用方法の社員教育・周知は大きな課題になりえます。既存の研修体系からどのように変わるか、現場の状況を理解しつつ適切に設計した上で、教育を進めていく必要があるでしょう。企業によっては、学習テーマによってシステムが複数に跨っていたりする場合もありますが、社内教育をシンプルにするためにも、できるだけ1つに統合することが相応しいです。

lmsを導入する2つのポイント

具体的な目的を考える

LMS導入にあたり注意すべき1つ目のポイントは、導入による具体的な目的を明確にさせることです。社内情報を収集し、現場目線でどのようなニーズがあるのか、現在の運用上の課題、理想のシステム条件等を洗い出しておきましょう。これらがシステム検討の際の機能要件になりますね。更に、これらの目標をどう達成したいか、具体的なKPI数値を持っておくとスムーズです。例えば、社員の学習習熟度を○%上げる、社員の学習進捗確認にかかる工数を年間で○時間削減する、等をイメージしてみましょう。

lmsの機能と予算を把握しておく

LMSを導入する際に注意したいポイントの2つ目は、LMSが持つ機能と社内予算を把握しておくことです。まずは3〜4社から情報収集を行い、システムごとの機能やサポート情報、概算費用を比較してみましょう。上記で確認した自社の求める機能要件とも照らし合わせながら、大まかな費用感を掴むことが大切です。その上で、自社で拠出可能な予算感についても確認することがポイント。LMS導入の際、予算はIT部門から捻出することも多いようですが、先述のように現状の人材育成にかかる費用も併せて把握しましょう。

lmsを導入している企業

ファミリーマート

コンビニ大手のファミリーマートでは、LMSを人材教育だけでなく現場・本社からのリアルタイムな情報共有、ブランディング力向上の目的で活用しています。LMSの「コミュニティ機能」をカスタマイズし、全社員が基本理念の実現に通じる情報やエピソードを共有し合い、さらに社員同士のつながりも深めるためのツールとして利用しているとか。他拠点の事例について企画を出したり、実際には会ったことのない社員の書き込みについて意見をや称賛を送ったりと、予想以上のアクセス数で運用できているそうです。

楽天

ECモール「楽天市場」を運営する楽天では、2000年1月に「楽天大学」を設立し、楽天市場への出店舗の売上を最大化するための教育プラットフォームとして機能させています。画面の分かりやすさ、レポート機能やリマインドメール機能など受講者フォローの仕組みを充実してLMSシステムを選定したことで、eラーニング講座の受講率、ログイン率、修了率向上が格段に改善したそうです。 自社の求める要件とそれにマッチしたLMS導入ができた好事例だといえるでしょう。

NEXCO西日本サービス関西

NEXCO西日本サービス関西では、高速道路ICの料金収受を担当する社員向けにLMSを通じた教育を実施しています。関西全域で特殊な勤務サイクルで業務をしている社員には集合研修の時間設定が難しいという点、また費用の観点からLMS導入を決意しました。ほぼ50〜60代で普段インターネットに使い慣れていな社員が多かったようですが、必要のないボタンをできるだけ画面上からなくし、送信ボタンなどはより大きくする等で問題なく運用できているそうです。このように、個社ごとのカスタマイズが可能なのもLMSの魅力ですね。

まとめ

lmsを導入して効率的に自社の力を伸ばしましょう

LMSは現代の人材育成、社員教育を効率的に実施するために大変有用なシステムの一つです。上手に活用することで学習者が自分に適した学びを実施でき、企業にとっても人材育成を促進させられる、「効果的な学習」と「効率的な管理」を同時に実現しうるプラットフォームだといえるでしょう。本記事では、企業がLMSを導入する際のメリットやデメリット、注意すべきポイントについて一つずつ解説しました。より良い社員教育を実現する第一歩として、まずは自社の現状を確認し、LMSサービスの情報収集から初めてみてはいかがでしょうか。

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