不法就労とは【具体例や防止法をお伝えします】

記事更新日:2022年10月07日 初回公開日:2022年10月07日

用語集 外国人採用・雇用 外国人留学生の採用 グローバル用語解説
日本人労働者の不足により、外国人雇用の必要性が高まっています。企業が、外国人を雇用する際に最も注意しなければならないことのひとつが、不法就労です。不法就労をさせてしまった場合には、経営者も罰せられる可能性が出てきます。気づかぬうちに不法就労となってしまうケースもありますので、正しい知識や理解を深めることが重要なのです。ここでは不法就労の実態や原因、不法就労をさせてしまった場合の罰則、外国人雇用の際にチェックすべきことなどを説明し、未然に防ぐために必要なことをお伝えしていきます。

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不法就労の現状

増加傾向にある

外国人不法就労の現状をみると増加傾向にあります。犯罪やテロ行為などに関係する恐れがある不法就労の問題は国をあげて取り組まねばなりません。不法就労の原因を理解し、外国人労働者に対する企業側の態度が不法就労を助長することにつながることが無いようにしましょう。政府の不法就労問題に対する取り組みを確認して、違法にならないように準備することが必要です。外国人労働者に安心して仕事を任せるために労働環境を良くし、労働基準の順守、安全衛生対策をしっかり講じることが企業側には求められます。

不法就労となる例

不法に入国した外国人が就労している

不法就労となる例の一つは、不法に入国した外国人が就労している場合です。たとえば正規の査証やパスポートを持たずに不法入国した者や、在留資格の更新手続を行わずに不法残留となった者が就労した場合などが該当します。不法滞在をしている外国人でも、生きていくためには仕事をしてお金を稼がなければなりません。そのためなんとかして日本で生活していくために不法就労の道を選んでしまうのです。劣悪な労働環境に耐え切れず失踪する外国人や、日本で働くために多額の借金をして来日する人もいます。そのような外国人は帰国したくでもできず、やむを得ず不法就労をしてしまうケースがあります。

在留期間を超えて滞在している

不法就労となる外国人は在留期間を超えて滞在している場合があります。多くは入国時に査証を必要としない在留資格で入国し、そのまま在留期限が切れた後も日本に滞在して就労を繰り返しているのです。15日以内の短期滞在と装ってパスポートのみで入国するケースや、90日以内の観光目的などの短期滞在査証で入国するケースです。このような外国人は退去強制事由に該当します。不法就労した本人だけでなく、雇用者側も不法就労助長罪として罰せられますので注意が必要です。

在留資格の範囲を超えて就労している

在留資格の範囲を超えて就労している場合も不法就労となるので注意が必要です。技術、医療、教育、企業内転勤など18資格では、限定された分野での就労が許可されています。しかしその範囲を超えて別の仕事をした場合には不法就労とされます。また、外国人留学生は週28時間、就学生はアルバイトとして1日4時間までの単純労働が認められます。けれども許可された時間以上の勤務や1日4時間以内でも同じ日に複数の会社にかけもち勤務する場合は在留資格違反となり罰せられます。

不法就労によって本人が受ける罰則

自国へと強制送還される

不法就労のよって本人が受ける罰則は、原則として自国への強制送還です。日本への不法入国で強制送還された外国人は近年増加の傾向にあります。入管法の改正によってさらに外国人労働者が増加することで、外国人犯罪の増加に伴って送還数も増加していくでしょう。偽造文書などによる不正な在留資格取得や、入国後まもなく所属先を離脱し本来の活動を行わずに在留し続けるなどの偽装滞在者があります。そのような外国人への対策を強化するため入管法により罰則を整備し、在留資格取り消し制度を強化しています。

一定期間入国できなくなる

本国へ強制送還された場合は、例外を除き日本を退去した日から最低でも5年間日本への再入国ができなくなる場合があります。出国命令または退去強制を受けるのが2回目以上の者は10年間になります。ただし、国内外で1年以上の懲役もしくは禁錮刑の刑事処分を受けた場合などは再入国を認められないケースがあります。不法滞在により収容されてしまった場合に強制送還を望まないのであれば、退去強制令書が発付される前に在留特別許可が出るよう最大の努力をすることが必要です。

不法就労によって雇い主が問われる罪

不法就労助長罪

不法就労の外国人を働かせる場合や、不法就労を斡旋した場合には雇い主が不法就労助長罪に問われることになります。罰則は3年以下の懲役または300万円以下の罰金、もしくはその両方です。就労資格がないことを知らなかったとしても、処罰を免れることはできませんので注意しましょう。採用面接で本人が「就労の許可がある」と言っていた場合や、雇用契約の際に在留カードを確認し忘れた場合などでも、雇用主は確認を怠った過失があるとみなされます。ただし日本語が上手で名前が日本名であるなど、面接で外国人であると判別するのが困難だった場合には罪に問われないこともあります。

営利目的在留資格等不正取得助長罪

企業が金銭の受け取りをするような営利目的で、違法に外国人材の在留資格の認定、更新を手助けした場合は営利目的在留資格等不正取得助長罪に該当します。たとえば行政書士が実際の業務内容は飲食店での単純業務にも関わらず翻訳業務に従事しているという虚偽の書類を作成してしまうような場合には、営利目的在留資格等不正取得助長罪が適用されます。営利目的在留資格等不正取得助長罪に問われた場合には最長3年の懲役、最大300万円の罰金が科される可能性があります。

不法就労はなぜ起こるのか

証明書などの偽造

不法就労はなぜ起こるのでしょうか。外国人の日本への受入れや企業への雇い入れに際し、証明書の偽造が行われる場合があります。企業が外国人を雇用する際には在留資格や在留期限、特別な就労許可証の有無など多くの情報を確認する必要があります。そしてそれらの情報は外国人が所有する「在留カード」をもとに確認しなければなりません。しかし近年、その在留カードを偽造して意図的に不法就労をする外国人が増えています。外国人雇用の際は偽造在留カードに細心の注意を払いましょう。

雇い主のチェック不足

不法就労の原因のひとつには在留資格などの証明書の偽造があります。たとえば外国人ビザの申請手続をしている過程で書面に不整合があることに気づくことがあります。外国人はビザが欲しい一心で不正を行ってしまっているかもしれません。このようなケースを見逃してしまうと、企業が不正なビザ取得に荷担したということになります。企業は虚偽申請を行わないことは当然ですが、就労ビザ申請の際の事実確認を徹底する、入管への提出書類の内容の確認を徹底する等、正しいビザ申請が求められることを十分理解しましょう。会社全体で法令遵守を最優先事項として外国人材の雇用を検討することが重要です。

不法就労について注意すべき点

知らなかったでは済まされない

不法就労について注意すべき点は、雇っている外国人が不法就労だと知らなかったでは済まされないということです。在留外国人の就業に関する知識の不足や、就労条件等の確認不足などによる企業側の過失は罪に問われるということを認識しましょう。在留カード、在留許可の範囲の確認、書類に偽造が無いかのチェックなどをしっかり行わなければなりません。外国人が就労する業務の範囲や時間についても許可の範囲であるかを確認する必要があります。外国人の雇い入れに関して不安がある場合には専門家に相談することをお勧めします。

不法就労を防ぐ方法

必要書類の提出を怠らない

不法就労を防ぐ方法として、必要書類の提出を怠らないようにするということが挙げられます。本来は就労が認められていない在留資格の外国人でも、入管法第19条で定められた資格外活動許可申請を行えば働くことが可能です。留学生、卒業後の1年間で就職活動中の人、家族滞在の在留資格の外国人は本来は働くことが認められていませんが、資格外活動申請を出すことで週28時間以内の就労ができるのです。しかしこの場合でも1週間の労働時間を28時間以下に抑え、本来の在留資格の活動を妨げないようにすることが必要となります。

在留カードの内容を確認を詳しく確認する

外国人を雇用する場合には、在留カードの内容を確認を詳しく確認しましょう。正しい在留カードの記載がどのようになっているかを把握した上で、一つ一つの文字が半角か全角かや文字の間隔、色などの情報を細かく目視などでしっかりチェックしましょう。偽造在留カードを見分ける方法として、出入国在留管理庁提供の在留カード番号失効情報照会で確認する方法があります。在留カード番号と有効期限をサイトに入力すると、その在留カードが有効かどうかの判定がその場でできます。

労働時間の制限を確認する

雇用する外国人の在留資格による労働時間の制限を確認しましょう。在留資格の種別により労働時間に制限のあるケースと無いケースがあります。在留資格が留学や家族滞在、特定活動の一部や給与を支給するインターンシップである場合には労働時間には制限がありますので注意が必要です。一方その他の就労区分や特定技能、技能実習生、ワーキングホリデー、給与の支払いが発生しないインターンシップには制限がありません。また、残業時間の上限についても日本人と同様に労働基準法と36協定で定められていて順守しなければなりません。

許可されている業務範囲を確認する

雇用する外国人が従事する業務が、その外国人が在留資格によって許可されている業務範囲内かどうかを確認しなければなりません。しかし資格外活動許可があればその範囲以外の就労も可能となります。資格外活動許可の有無は、在留カードの裏面に記載されています。表面の就労制限の有無が就労不可であっても、裏面に許可と記載されていれば勤務しても問題はありません。ただし資格外活動許可を受けていればどの業種でも働けるという訳ではなく、風俗営業の従事などは不可となっていますので注意してください。

専門の機関に相談する

不法就労をさせていないか不安な場合や不法就労をさせてしまったという時には、専門の機関に相談することをおすすめします。外国人雇用にあたっては、経営者側も雇用契約前に不法就労ではないかをしっかりとチェックすることが求められています。不法就労をさせた場合には罰せられるため、事業にも大きな影響が出ることがあります。しかし文書の偽造を見抜くことや、法律への対応を適切に行うことは簡単ではありません。専門の機関に相談することで、事前の対策やスムーズな解決が可能になるのです。

まとめ

不法就労を未然に防ぎましょう

外国人を雇用する時には不法就労を未然に防ぎましょう。不法就労が発覚してしまうと、厳しい罰則に問われ企業のイメージダウンにつながります。知らなかったでは済まされないこともあるために、不法就労かどうかを確認するすべをきちんと知っておきましょう。専門家の意見を取り入れたうえで雇用方法について十分に検討していくことをおすすめします。雇用する外国人の在留資格に合った適正な労働条件を守り、労働環境を整えましょう。外国人を雇用するなら必ず在留カードを確認し、正規に就労できる資格を持つ人を雇用するようにしてください。

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