ピグマリオン効果とは【他の効果との違いや具体例、活用する際のポイントなどを解説します】

記事更新日:2023年09月20日

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テレワークといった新しい働き方が普及している中で、コミュニケーションを取ることが難しくなってきています。そういった中で部下とのコミュニケーションや部下の教育を行う手段の一つとして注目されているのが、ピグマリオン効果です。ピグマリオン効果は教育現場で活用されている事が多い心理効果ですが、企業での教育やマネジメントにも活かすことが出来ます。ピグマリオン効果を理解することで、企業の教育を効果的に進める事にも繋がります。ピグマリオン効果について解説していきますので、教育担当の方は参考にしてみてください。

ピグマリオン効果とは

他者から期待されると成績が向上する現象

ピグマリオン効果とは、他者から期待されると成績が向上する現象です。ピグマリオン効果とは、ギリシャ神話に登場する彫刻家の名前が由来となっています。アメリカの心理学者であるローゼンタールが提唱したもので、「教師の期待があるかないかで生徒の成績が変わってくる」という実験から考えられました。この効果をビジネスにも応用して、部下や後輩の教育やマネジメントに活かす事が出来ます。厳しく叱るよりも期待をかけ見守る方がいい結果につながる可能性が高まります。

ゴーレム効果との違い

ゴーレム効果は、相手の期待感がなく能力を発揮出来ないまたは能力が低下してしまう現象の事をいい、ピグマリオン効果と反対の現象です。相手に見込みがないと思っていると、暗にそう考えている事が伝わってしまい相手の成長に悪影響を及ぼす可能性があるという事です。もしくは直接相手にやる気が感じられないなど決めつけた発言をしてしまう事によって、期待されていないと感じゴーレム効果が働き更にパフォーマンスが下がってしまいます。

ハロー効果との違い

ハロー効果は、相手の一部に対しての評価を全体の評価と錯覚してしまう心理効果で、ピグマリオン効果と似た意味として使われます。ハロー効果は、後光の事を指しており肩書や見た目の後光に目がくらんで全体像や本質が見えにくくなるという意味が込められています。肩書や見た目に影響されて評価が上がるポジティブハロー効果と、評価や見た目によって評価が下がるネガティブハロー効果があります。似た意味で使われますが、心理効果が働く対象が自分なのか他の人なのかという点が異なります。

ホーソン効果との違い

ホーソン効果とは、相手から期待されることでその期待に応えたいという気持ちから能力が向上する効果の事です。ピグマリオン効果と似ていますが、効果の対象が他者ではなく自分という点が異なります。またピグマリオン効果は部下や上司・教師や生徒など上下関係や立場が異なる場合に発生しますが、ホーソン効果は立場関係することなく発揮されます。ホーソン効果は別の実験を行っている時に発見された効果で、意識が変わることで条件に関わらずモチベーションが上がり作業効率がアップしたとされています。

ピグマリオン効果の実験内容

ネズミを用いた心理学の実験

ピグマリオン効果の実験は、ネズミを用いた心理学の実験です。ピグマリオン効果を提唱したローゼンタールとフォードはネズミの迷路実験を行う際に、学生に訓練された賢い系統のネズミと訓練されてないのろまなネズミと説明して渡しました。そうすると賢いと説明されたネズミは学生から丁寧に扱われ、のろまだと説明されたネズミは学生からぞんざいに扱われました。このことから、ネズミに対しての扱いが実験結果にも反映されたと結論付けます。

教育現場における実験

教育現場における実験も、ピグマリオン効果を検証するものです。1964年にサンフランシスコの小学校で、ハーバード式突発性学習能力予測テストと名付けられたテストが行われました。テストの際に学級担任の人にこれから数か月間の中で学力が向上する学生を洗い出すためのテストと説明し、実施後に結果とは関係なく無作為に学生を抽出します。その名簿を担任に見せ、このリストの生徒たちが成績向上する生徒であると伝えました。すると実際にリストの生徒たちの成績は向上したといいます。

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ピグマリオン効果の社員育成における具体例

部下のマネジメント

ピグマリオン効果の社員育成における具体例は、部下のマネジメントです。上司から期待されていないと感じる部下よりも、上司から期待されていると感じる部下の方が業務に積極的に取り組もうとします。期待を掛けられていると感じることで、期待に応えるために自分で考えて行動を起こすなど能動的に動くようになります。部下が起こす行動によって、上司への連絡や相談の機会が増えていきます。相談・報告されることによって上司はより一層部下を気に掛けるようになります。

新入社員の教育

新入社員の教育も、ピグマリオン効果を発揮する社員育成の一つです。新人教育では、先輩社員からOJTやOff-JTを学びますがその場面でも活用することが出来ます。先輩社員が期待をかける事によって、新入社員は期待に応えるために作業スピードを向上させようとします。それによって、質問の回数も増えコミュニケーションが活発になります。新入社員としっかりコミュニケーションを取りながら教えることで、先輩社員の教育スキル向上も見込めます。

ピグマリオン効果を活用する際のポイント

実際に裁量権を与える

ピグマリオン効果を活用する際のポイントは、実際に裁量権を与えることです。上司や先輩から「期待しているよ」という言葉を掛けられていたとしても、実情では業務中に上司からあれこれ指示をされていると信じられていないと感じてしまいます。部下や後輩に期待しているといっているのは口先だけだと思われてしまうと、効果が発揮しないだけでなく信頼関係を気付くことも出来ません。過保護になり過ぎず裁量を与えるところではしっかりと裁量権を与え、部下に任せることが大切です。

期待していることを言葉で伝える

ピグマリオン効果を活用するには、期待している事を言葉で伝えるようにしましょう。言葉に出さずに期待している事を相手に伝えることは出来ません。業務を依頼する際に、業務についての説明だけでなく期待している旨を一緒に伝えることで業務に対してのモチベーションに繋がります。上司から期待している・必要とされている事が分かると業務に対しての姿勢も変わってきます。期待していても言葉にしないと相手には伝わらないので、言葉にして伝えることが大切です。

適当な課題を与える

ピグマリオン効果を活用していく為には、適当な課題を与えることがポイントです。上司の声かけで業務をやる気になっても与えられる業務が多すぎる場合や、業務を行う権限を与えられていなければ期待されているけど無理だと感じてしまうかもしれません。しっかりと本人とコミュニケーションを取った上で、克服して欲しい課題に応じて権限や裁量を上司が判断して設定するとよいでしょう。口を出すのではなく見守る姿勢が大切です。部下が困っている時のみフォローできる様にしておきましょう。

積極的に褒める

積極的に褒めることで、ピグマリオン効果を活用することが出来ます。褒められて嫌だと感じる人はあまりいないはずです。部下を褒めてやる気を出してもらうことで、業務に対してのモチベーションを維持することにも繋がります。褒めることはすぐ出来る行為ですが、日本において褒め慣れている人は少なく上手く出来る人は少ないかもしれません。しかし褒めることを口に出さずに態度で表そうと思っても、相手に伝わるかどうか分かりません。ピグマリオン効果を活用するには、言葉で伝えることが大切です。

結果だけでなく過程も評価する

結果だけでなく過程も評価することによって、ピグマリオン効果が十分に発揮されます。どうしても結果だけを見てしまいがちですが、期待が形になっているかどうかは過程でも判断する事が出来ます。結果に至るまでの取り組み方や準備も努力の証であり、結果だけでなく過程も評価されることで頑張りを認めてもらえたと感じます。正当に評価を行う為にも、過程を評価する事は大切です。期待に応えられるよう頑張っても、評価されなければモチベーション低下にも繋がりかねません。

結果を出せないときにはアドバイスも与える

ピグマリオン効果を十分に活用するには、結果を出せない時にアドバイスを与えるようにしましょう。上司から期待されている旨を直接伝えられていても、成果を出すためにはスキルや経験が必要な場合があります。そのため途中で躓いてしまう可能性もあるので、その際は任せたままにするのではなく適度にフォローを行いましょう。フォローを行う際は、全てをやってあげるのではなくお手本を見せる・ヒントを与えるといった自力で行う為のサポートです。自力で達成できた経験が、業務への自信やモチベーションに繋がっていきます。

公平な評価制度を整える

公平な評価制度を整えて、ピグマリオン効果を活用していきましょう。期待していると伝えるだけでなく、平等な評価制度の下で評価される点や改善点を提供される環境作りも大切です。公平な評価制度が設定され居ていないと、頑張ってもきちんと評価されることはないと認識されてしまいます。評価をしてもらえないと感じると業務に対してのやる気低下にも繋がってしまいます。公平に評価をされていると感じることで、生産性向上やモチベーション向上など様々なメリットがあります。

ピグマリオン効果を活用する際の注意点

褒めすぎない

ピグマリオン効果を活用する際には、褒めすぎないように注意しましょう。ピグマリオン効果を発揮するためには、言葉に出して褒める事が大切だとお伝えしましたが褒めすぎてしまうと効果を発揮でき辛くなります。適度に褒められることでやる気になり生産性の向上などメリットがありますが、褒めすぎてしまうと現状に満足し手を抜くなど成長を止めてしまう可能性があります。有効活用するためには、部下の性格をしっかりと把握し頑張りや成果に対して褒めるよう心がけましょう。

過度に期待をしない

ピグマリオン効果を活用する際の注意点は、過度に期待をしないことです。ピグマリオン効果は部下に期待すればするほど、効果を発揮できるというものではありません。過度に期待をしてしまうと、それがプレッシャーとなり本来の力を発揮できなくなる可能性もあります。期待をかけている側は適度な期待だと思っていても、受け取り手の性格や心理的状況によっては過度な期待だと判断してしまう場合もあります。期待しすぎないように意識した上で、接することを心がけましょう。

まとめ

適切にピグマリオン効果を用いて社内教育に活かそう

ピグマリオン効果を活用する際のポイントや、実施するときの注意点などについて解説しました。ピグマリオン効果は、期待をかけることでその期待通りの結果を出すことが出来るという心理的効果です。期待している事や業務への取り組みに対してきちんと言葉にして相手に伝えることで、自身やモチベーションに繋がります。但し褒めすぎや期待のし過ぎはかえって逆効果になることもある為、相手に合わせた対応が必要です。適切にピグマリオン効果を活用して、社内教育に生かしていきましょう。

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