コーポレートアイデンティティとは?【失敗しない作り方とは】

記事更新日:2020年09月24日 初回公開日:2020年09月16日

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ビジネスパーソンであれば、一度は耳にしたことがあるであろう「コーポレートアイデンティティ(CI)」という言葉。コーポレートアイデンティティを適切に策定すれば、他社との差別化を図り、市場優位性を獲得できます。しかし、コーポレートアイデンティティの本来の目的や意味を正確に理解している人は少ないのではないでしょうか?今回はコーポレートアイデンティティの意味や作り方を実例を交えつつ解説します。企業のイメージを確立したい、他社との差別化を図りたいというビジネスパーソンは是非ご覧ください。

コーポレートアイデンティティとは

企業を想起させるもの

コーポレートアイデンティティとは、企業の個性・特徴を明確に示し、企業のイメージを統一する企業戦略をいいます。現在では、他との差別化を図り市場優位性の獲得をもたらす重要な資産と捉えられていますね。その発祥は1930年代のアメリカですが、時代の変遷と共に世界中でその重要性が認識されるに至っています。単に企業のロゴを作成することだけがコーポレートアイデンティティではありません。企業を想起させ、事業を成功に導くためのの武器と呼べるものがコーポレートアイデンティティとなるのです。

コーポレートアイデンティティの構成要素

コーポレートアイデンティティは、以下3つの構成要素から成り立ちます。企業理念を指す「マインド・アイデンティティ」、社員の行動指針を指す「ビヘイビア・アイデンティティ」、ロゴやスローガンを指す「ビジュアル・アイデンティティ」。これらを統一し外部に発信することで市場に認知されやすい企業イメージがつくられ、市場競争力を持つ企業のブランドが醸成されていきます。企業文化、顧客とのコミュニケーションの方針、ブランドの名称やロゴなど、これらは全てコーポレートアイデンティティの要素の一つとなります。

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コーポレートアイデンティティの目的

企業のブランディング

企業の理念やビジョンを確立し消費者に認知させ、市場優位性を獲得する。これがコーポレートアイデンティティの目的です。コーポレートアイデンティティは、いわばその企業の独自性・ユニーク性です。多くの商品やサービスで溢れ、しかもそれらをインターネットで簡単に検索できる現代では、個性の無いものは消費者に響きません。コーポレートアイデンティティによりユニーク性が確立されていれば、他に差をつけ、消費者の目にとまる企業となることができるでしょう。

コーポレートアイデンティティの重要性

マーケット・アウトの時代からマーケット・インの時代へ

従来のビジネスは、作り手側の理論を優先するマーケット・アウトが主流でした。作り手側が売れると考えたものを市場に投入し消費者はその中から選ぶ、とういビジネスモデルです。もっとも、消費者の趣味や嗜好が多様化した現代では、作り手側の理論が消費者にマッチするとは限りません。そこで、ニーズを多角的に分析し、そのニーズに沿った商品やサービスを市場に投入するというマーケット・インが主流となりました。しかし、マーケット・インが進んだ結果、市場は商品やサービスで溢れ、消費者はどれを選んでよいか分からなくなってしまったのです。

市場優位性の獲得

このように選択肢で溢れている市場で企業が優位性を獲得するためには、他との差別化を図らなければなりません。この差別化を図るうえで重要なのが、コーポレートアイデンティティです。コーポレートアイデンティティを確立し、一目見ただけでその企業を想起することができれば、市場において他の選択肢に埋もれてしまうことはありません。企業のユニーク性を打ち出すコーポレートアイデンティティの策定は、厳しい競争に勝たねばならない企業にとってマストな課題ではないでしょうか。

コーポレートアイデンティティの作り方

ビジョンの検討・見直し

まずは現在の企業理念やビジョンを見直してみましょう。絶対に変えられない不変の部分、時代やニーズに合わせて変えてもよい可変の部分というように、企業の軸を分析するのです。そして、自分達が目指すべきビジョンとステークホルダーや消費者の認識のされ方との間に違いが生じていないかを調査します。これら一連の作業は幅広い分野のメンバーで行いましょう。それぞれ別の立場から意見や経験を持ち込み多角的に検討すれば、企業の目指すべき方向性が客観的に明らかになります。

シンボルの作成

外部から最も認識されやすいビジュアル・アイデンティティの部分です。ビジョンが決まったら、シンボルやロゴ、スローガンといった企業を端的に表現する方法を検討します。専門家へデザインを委託する場合は、自社の理念やシンボルなどに込めたい想いを伝えましょう。作成が完了したら、企業のホームページやパンフレットに反映させます。コーポレートアイデンティティの設定を機に新たなツールを作成してみるのも良いかもしれません。

企業文化の醸成(インナーブランディング)

1つ目でご紹介したビジョンの検討と合わせてマインド・アイデンティティの部分となるものです。加えて、それを行動に移すビヘイビア・アイデンティティでもあります。ビジョンやシンボルが決まったら、それらを社内に浸透させましょう。社内報、イントラの活用や研修の実施が一般的な方法です。立派なビジョンや見栄えのよいシンボルを作成しても、社員ひとりひとりの行動が伴わなければ、コーポレートアイデンティティは確立できません。逆に、社員が意識を持って行動していれば、自然とコーポレートアイデンティティは確立されていきます。

社内外への発信

コーポレートアイデンティティが確立したら、それを社内及び外部に積極的に発信していきます。営業の展開、広告の打ち出し、SNSの活用など様々な方法が考えられます。せっかく確立したコーポレートアイデンティティも、伝え方を誤れば間違った内容で認識されかねません。発信の際は関係各部門と密にコミュニケーションをとり、連携しつつ行う必要があります。一通り発信できたら、社内への浸透度合や外部の反応を調査し、今後に活かすべきことがないか検討するとよいでしょう。

コーポレートアイデンティティを経営に活かす

マーケット・インへの適応

前述の通り、今の主流は選択肢の多いマーケット・インです。この中で大切なことは、コーポレートアイデンティティは単に企業を想起させるだけでなく、そのイメージも定着させる必要があるということ。品質が高い、価格が安い、対応が丁寧など、その企業のイメージも同時に想起させることができれば、コーポレートアイデンティティは成功と言ってよいでしょう。選択肢が多すぎで困惑している消費者に対し、自社を選ぶ指標を示すことができれば、市場での優位性を獲得できます。

時代を見据えたコーポレートアイデンティティ

時代とともに企業を取り巻く情勢やニーズは変化していきます。時代の変化とともに経営戦略を変更する企業は多いですが、同時にコーポレートアイデンティティの見直しも行いましょう。企業戦略とコーポレートアイデンティティの両輪を回すことで、いつの時代も選ばれる企業になってくことが可能となります。とくに、今後マーケットの主役となるであろうミレニアル世代やジェネレーションZといった世代はユニーク性を重視する傾向にあります。コーポレートアイデンティティの確立は今まさに企業が取り組むべきテーマといえるでしょう。

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コーポレートアイデンティティをを導入している企業の実例

マクドナルド

赤の背景に黄色の「M」の文字が入ったマークを見かければ、多くの人はマクドナルドをイメージするでしょう。そして、このロゴを街中の看板、テレビのCM、チラシなどどのシーンで見かけたとしても無意識的にマクドナルドだと認識できます。このように、場面や媒体を問わず企業を想起させることことができるのはコーポレートアイデンティティの重要な条件です。また、ロゴを見ればマクドナルドという企業だけでなくハンバーガーやポテトを提供するファーストフード店というイメージも想起できますね。このように、ロゴを広く社会に広め企業を認知させたマクドナルドはコーポレートアイデンティティの成功例といえます。

ヤンマー

創業100年の歴史を持つヤンマーは、日本では農業機械の開発・販売を主な事業内容としている企業と認識されています。他方で、欧米ではヨットやクルーザーのエンジンメーカーとして高い評価を得ています。そこで、ヤンマーは自社を高級感あるブランド企業とイメージさせるためのコーポレートアイデンティティの構築を目指しました。スローガンやロゴの作成、各種商品のブランディングなどにコーポレートアイデンティティを反映するよう徹底。さらに、コーポレートアイデンティティの発信にはテレビCMや新聞、SNSを駆使しプロモーションを展開。これにより既存客だけでなくこれまで関わりの無かった新たな層からも注目を集めています。

キリンビール

キリンビールは、ビールを中心に酒類の製造・販売を行う日本でも有数の酒造企業です。聖獣麒麟のロゴをモチーフに、世界に通用する一大酒造企業として成長を続けています。聖獣麒麟の認知度は非常に高く、広く社会に浸透しているといえるでしょう。現在では医薬品などの他分野に進出し、その活躍の場を広げています。また、1983年のコーポレートアイデンティティ策定以後、時代の変化に合わせて企業理念やスローガンを変更。情勢やニーズの変化に対応し、常に企業の在り方を見直すその姿勢は見習う点が多いです。

コーポレートアイデンティティの失敗

失敗の原因

コーポレートアイデンティティの失敗の原因は、コーポレートアイデンティティの作り方がそのまま当てはまります。すなわち、前述の作り方のプロセスをおろそかにすることが失敗に直結するのです。例えば、自社の見直しが不十分、企業イメージと外部の認識のされ方にギャップがある、社内へ浸透することができていない、外部のアピール不足など。プロセスのどれか1つでも手を抜いてしまうと、コーポレートアイデンティティの策定を成功に導くことはできません。コーポレートアイデンティティは直ぐに利益に反映されるものではないかもしれませんが、企業の未来のため、真剣に取り組む必要があります。

失敗した企業の実例

コーポレートアイデンティティの失敗例として、ユニクロを運営するファースト・リテイリングが展開した野菜販売「SKIP」が挙げられます。事業開始1年後には9億円超の赤字を出し、そのは半年後には撤退することとなりました。ユニクロの高品質・低価格のイメージとSKIPの高品質・高価格のイメージとのギャップ失敗の原因と指摘されています。もうひとつ、SONYの高級AV機器「QUALIA」も失敗例として挙げられます。作り手目線による高級路線がとらた結果、消費者のニーズを無視することとなり失敗に終わります。ニーズを的確に把握し、それを会社全体で共有することの重要性がわかる例です。

まとめ

信念・見た目・言動を一貫して統一させることが企業の価値を上げる

コーポレートアイデンティティはマーケット・インの時代を生き抜くための企業の強力な武器となるものです。コーポレートアイデンティティを確立し他との差別化を図るためには、企業の信念、見た目、言動を統一することが重要です。この記事では、コーポレートアイデンティティの目的や意義、その作り方を実例を交えつつ解説しました。コーポレートアイデンティティの重要性は広く認知され、多くの企業が確立を試みています。自社を選んでもらえるよう、消費者に響き、市場優位性を確保できるコーポレートアイデンティティを確立させましょう。

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