記事更新日:2023年05月22日 | 初回公開日:2023年05月22日
用語集 外国人採用・雇用 グローバル用語解説 人事・労務お役立ち情報パーパスとは、企業の存在意義を指しています。パーパスの本来の意味は、目的や意図などと訳されることが多いですが、最近では存在意義という意味合いで使われることも増えています。ビジネスや企業経営においてのパーパスは、企業が何のために存在しているのか・その事業を行っている理由は何かという考え方です。企業経営を行う上での根拠や原点になる物であり、自社の揺るぎない指針です。パーパスを一度確定したら基本的には変更がないものと考えられています。
パーパスと経営理念は近い概念です。しかし経営理念は、企業の活動方針の基本的な考え方であり経営者の想いを言葉にしているものです。「社会との繋がりをどの程度意識しているのか」「策定した内容が変化しやすいか」という点が異なります。経営理念は考え方や想いを言葉にしている為、社会との繋がりは意識されていません。パーパスは企業が存在している理由を社会への繋がりをベースとして考えます。また、パーパスは基本的に変わることはありませんが、経営理念は時代の流れやニーズを受けて変化します。
企業理念もパーパスと近い概念ですが、企業が最も大切にしている考え方や価値観を理念としてあらわしており社会との繋がりを意識しているかどうかが異なる点です。企業理念は、英語ではミッションビジョンバリューと言われています。企業が果たすべき使命をミッションとし、実現したい未来をビジョン、企業としての勝ちや強みをバリューとして3つの要素が備わっています。概念が近いことからミッションにパーパスの意味合いを込めて、実行している企業もあります。
パーパスが注目されているのは、ミレニアル世代やZ世代の価値観が影響しているからです。ミレニアル世代とは、1980年~1995年頃に生まれた人達の事を指しており、今ではこの世代の人達が経営層やマネジメント層に多く影響を与えています。2000年以降のミレニアル世代の人達は、企業の社会的責任や社会的意義に対する意識が従来より高い傾向にあります。個人差はあれど、ミレニアル世代とZ世代は昇進や昇格といった地位な名誉よりも体験価値や働きがいなどに重きを置く傾向です。
パーパスは、SDGsの浸透により注目され始めています。2015年に行われた国連サミットで、持続可能な開発を行う為2030アジェンダが採択されました。これにより、SDGsという言葉を多くの人が認識することになります。働く社員の価値観の変化に合わせるだけでなく、企業は収益を出すことも大切ですが環境の変化により社会的責任を果たすことやSDGsへの対策が求められています。消費者も意識的に環境に優しいものを求めている為、企業もそれに対応することが重要になっています。
VUCA時代が来ているのも、パーパスが注目されている理由です。VUCAとは、Volatility:変動性・Uncertainty:不確実性・Complexity:複雑性・Ambiguity:曖昧性の頭文字をとったものです。先行きが不透明で将来を予測することが難しい時代の中で企業を成長させるためには、自社に関わってくれている人達からの信頼が欠かせません。不安定な環境の中で自社の存在意義を明確に示すことで、共感や信頼を得ることが出来る一つの方法として、パーパスが活用されています。
パーパスを策定することで、ステークホルダーからの信頼獲得が出来ます。企業運営を行っていくためには、顧客や取引先と言ったステークホルダーから信頼を得ることが大切です。企業の利益ばかりを求めて目標などを明示していない企業よりも、社会貢献や企業指針などを明示している企業の方が外部からも魅力的に映り支持を得やすくなります。結果として、ステークホルダーの増加に繋がりステークホルダーが増えることによって企業の利益向上も見込めます。
パーパスは、従業員のエンゲージメント向上が期待できるメリットがあります。企業が目標や存在意義をパーパスで表すことによって、従業員の存在意義も明確にすることが可能です。企業から目的や目標が明示されていない状態では、従業員がやりがいを見出すことが出来ずモチベーションが下がってしまうかもしれません。携わっている業務がどういった社会貢献に繋がっているのかを認識することで、従業員のモチベーションアップにも繋がります。
新たなイノベーションの創出につながることも、パーパスを策定するメリットです。企業として明確なパーパスを掲げている事によって、重大な選択をする必要がある時に指針を元に判断する事が出来ます。企業が目標を明示している事によって、従業員も企業の目標に沿った行動が出来、組織全体が一体となれます。経営層と従業員が同じ目標を持つことで、新しい商品や事業なども生まれやすくなり企業改革や業務改善等に繋げることも可能です。
パーパスを策定する際には、経営者の原体験を振り返るようにしましょう。原体験とは、その人の考え方や生き方のベースとなる影響を与えた体験の事を言います。パーパスは、企業が存在している意義を明示しているものです。経営者の体験を元にパーパスを決定することで、自分事として捉えやすくなります。人から見やすいような言葉にする事ばかりに気を使ってしまうと、綺麗事になってしまう可能性があり自分事として捉えづらくなってしまいます。そうならない為にも言葉選びが重要です。
パーパスの策定方法は、社会課題を考えることも重要です。原体験を基礎として企業の理想の未来を言語化出来た後には、今の社会との関連性を考えましょう。経営者として、現状で問題と考えている社会の状況や見て見ぬふりをしたくない物等を考えた際に、譲れないものが何なのかをしっかりと認識する事が大切です。その際には、他人から共感を得られるようにすることは考える必要がありません。自分の中で大切なことを言語化するようにしましょう。
パーパスは、目指す未来を考えて策定することが大切です。原体験を振り返り、譲れないものを考えた後はどんな未来を描いて行きたいのかを考えましょう。目指す未来が何なのかを明示することは、得意な人もいれば苦手な人もいます。しかし目指したい未来の言語化は経営者しか行うことが出来ません。5年後や10年後、50年後など社会がどうあって欲しいかは、しっかりと決めておくことが大切です。経営者が目指す未来を元にパーパスを作成することで、従業員も同じ方向を向くことが出来ます。
パーパスの策定は、現実に落とし込んで行いましょう。目指す目標に向けて、実現するためには何を行っていくべきなのかを考える必要があります。目標としている未来と現実にどれくらいの差があるのかを見極めて、絵空事になってしまわないようにしなければなりません。実現に向けて行う行動として、現状行っている事業を目標に向かって行っていく方法と一旦現在の事業を手放し、新たに事業を考える方法です。現在行っている事業を手放すことは簡単ではありませんが、目標に向けて最短距離で達成するためには見極めが大切です。
人に伝わる言葉で表すのも、パーパスを策定する方法の一つです。経営者が体験を元に、描きたい未来をパーパスに込め納得出来た際には、従業員に言葉で伝える必要があります。経営者自身は納得した上で設定している為、既に理解しており話したつもりになってしまうことが考えられます。一緒に働く従業員は同じ原体験をしていない為、しっかりと説明しなければ伝わらず理解することも出来ません。分かりやすく伝える必要がありますが、ありきたりな文章になってしまっては熱意などが伝わらない為、慎重な言葉選びを行いましょう。
パーパス経営を行っている企業に、ソニーグループがあります。ソニーグループは「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」をパーパスとして掲げています。最初は企業理念(MVV)を見直すための動きでしたが、海外ではパーパスという考え方があることを知り、ソニーグループでもパーパスを策定しました。パーパスを従業員に浸透させるために、専門の事務局を立ち上げポスターやビデオを作成しました。コロナ禍の困難な状況においてもパーパスを軸として従業員が業務を行い、成果に繋がったとしています。
パーパス経営の成功例として、株式会社ウェルカムがあります。ウェルカムは、「DEAN & DELUCA」といった食とデザイン2つの軸で多くのブランドを展開している企業です。運営店舗数も多く、多様な人材が働いているウェルカムでは、スマホアプリを活用してグループ全体の理念や行動指針・経営の想いなどを配信しています。アプリ内での従業員同士のコミュニケーション促進にも力を入れています。雇用形態を問わず、アプリ上で代表から企業の存在意義を発信することで、従業員のモチベーションアップ等に繋げることが出来ています。
パーパスを取り入れるメリットや、注目されている背景について解説しました。情勢の変化やSDGsの影響で、パーパス経営に注目が集まっています。パーパス経営を行う為には、ただパーパスを掲げるだけでは実行出来ているとは言えません。掲げたパーパスを従業員にしっかり浸透させ理解して貰うことが大切です。しっかりと浸透させることが出来れば、周りからの信頼を獲得出来るだけでなく、従業員のエンゲージメント向上など様々な相乗効果を得ることが出来ます。パーパスを策定して自社の存在意義を確認しましょう。
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