諭旨解雇とは【要件や方法、事例などについて説明します】

記事更新日:2022年03月11日 初回公開日:2022年03月03日

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諭旨解雇という言葉をニュースなどでよく耳にする機会がありますが、どのような意味かをご存知でしょうか。諭旨解雇は懲戒処分のひとつで、懲戒解雇の次に重い処分とされています。諭旨解雇は懲戒解雇処分に該当する従業員に対して行う温情措置として用意されており、法令による具体的な定めのない解雇方法です。この記事では諭旨解雇と懲戒解雇の違いや諭旨解雇の対象となる具体的なケース、手続きの方法などについて解説します。

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諭旨解雇とは

雇用者が一方的に労働者をやめさせること

諭旨解雇とは、労働者に対して行う懲戒処分です。労働者が解雇に相当する重大な規則違反を犯した場合に、懲戒解雇よりも温情的な措置として行われる退職手続きとなっています。「諭旨」は種子や理由を諭し告げるという意味です。諭旨解雇は従業員の「任意」という形式をとっていますが、実質的な解雇処分となります。諭旨解雇を命じられた従業員が最終的な退職を拒否することは事実上できません。ただ、諭旨解雇は懲戒解雇よりも退職条件の面で優遇されることがあります。

懲戒処分の中で二番目に重い

諭旨解雇は懲戒処分の中でも、2番目に重い処分です。懲戒処分に該当する事案でありながら、企業側の温情によって若干軽減された処分が諭旨解雇となります。懲戒処分は大きく分けてけん責、減給、出勤停止、降格・降職、諭旨解雇、懲戒解雇の6種類があります。諭旨解雇は懲戒解雇よりも軽い措置となっていますが、実際は懲戒解雇と同等の懲戒であることに違いはありません。本人から反省の色が見えている場合や、将来を考えた方が良い余地があるとなった場合などに選択肢を与える手段として、諭旨解雇があります。

諭旨解雇と懲戒解雇の違い

懲戒解雇は強制的で退職金が支給されない

諭旨解雇と混同される言葉の一つに懲戒解雇があります。懲戒解雇とは労働者に罰を与えるための解雇であり、労働者に課されるペナルティの中でも極めて重い処分となります。通常、企業は労働者を何の理由もなく解雇できません。しかし、従業者としての義務や規律違反といった企業の秩序維持を乱すものに対しては懲戒解雇が認められます。懲戒解雇を課せられた従業員は退職金を支給されません。ただし諭旨解雇は懲戒解雇と異なり、一般的な解雇と同様に退職金が支給される場合が多いです。

諭旨解雇と退職推奨の違い

退職推奨は退職をすすめること

諭旨解雇と混同される言葉に、退職推奨というものもあります。解雇が「雇用者が一方的に労働者をやめさせること」であるのに対し、推奨とは「やめることをすすめること」という意味になります。退職推奨は雇用者が労働者に退職を勧めて労働者がそれに応じる形となるため、強制ではありません。労働者に対して「やめてほしい」と伝えても、労働者が拒否をすれば、そのまま働き続けることも可能です。退職推奨をするにあたって、退職金の加算や再就職先への斡旋、有給休暇の取得などのメリットや在籍し続けた場合のデメリットなどを提示する必要があります。

諭旨解雇にあたる事例

長期にわたる無断欠勤

諭旨解雇にあたる事例のひとつに、長期にわたる無断欠勤があります。長期にわたる無断欠勤とは労働基準観察署が即時解雇を認定する具体的な基準を発表しています。行政通達により「原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の細則に応じない場合」を即時解雇の具体的な基準としています。そのため、一般的に「無断欠勤が14日以上で懲戒解雇」という基準で就業規則を定められる企業が多くなっています。ただし、企業の就業規則によって無断欠勤の日数などは異なります。

違反行為の繰り返し

諭旨解雇にあたる事例に、違反行為の繰り返しがあります。戒告やけん責、減給などの懲戒処分に当たる行為の繰り返しや、注意指導をされていた行為を繰り返し行う悪質なケースは諭旨解雇の対象となり、認められる可能性があります。また、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントなどのハラスメント行為や業務命令違反などは、それだけでは懲戒解雇となることはありませんが、是正措置に従わない場合は諭旨解雇が認められる可能性があります。

諭旨解雇が認められるための要件

就業規則上に懲戒についての定めがあること

諭旨解雇が認められるための要件として、就業規則上に「懲戒の種別」や「懲戒の事由」が定められている必要があります。企業が諭旨解雇を行う為には、諭旨解雇を行うことがある旨をあらかじめ就業規則上に定めておかなければなりません。また、具体的にどのような場合に懲戒処分を行うのかという懲戒事由を就業規則に定めておく必要があります。諭旨解雇は非常に重い懲戒処分なので、通常の懲戒処分などとは別に懲戒事由を定めておくことが望ましいでしょう。

就業規則を周知していること

もうひとつの諭旨解雇が認められるための要件として、就業規則を従業員に対して周知していることが挙げられます。過去に、最高裁判所の判決で「就業規則が法的規範としての性質を有するものとして、拘束力を生じるためには内容の適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続きが取られていることを要する」と判事されています。また、労働基準法上でも、就業規則を従業員に周知することは使用者側の義務とされています。使用者側としては、諭旨解雇を行う前提として明記された就業規則を確実に労働者に周知することが大切です。

諭旨解雇を行う場合の手続き

懲戒事由に該当するかどうかを調査する

次に、諭旨解雇を行う場合の手続きについて説明します。諭旨解雇を検討するにあたって、懲戒事由に該当するかどうかを調査します。処分の対象となる行為について就業規則違反になるか十分な調査を行わなければなりません。処分の判断は社会通念や経営者の価値観で判断するのではなく、当該行為が就業規則に違反しているのかどうかや就業規則内の諭旨解雇の適用範囲かどうかなどという観点で調査するということを忘れないようにしましょう。

従業員に対して弁明の機会を与える

諭旨解雇を行う際の手続きの適正を確保するために、従業員からの言い分を聞くのも大切です。解雇権濫用との関係で、弁明の機会が十分付与されていたかどうかは、諭旨解雇処分を適切に行えていたかどうかの判断の重要な考慮要素となるためです。人事担当者と労働者が一対一で話す機会を与えると、労働者が自由に弁明できるような状況を確保して面談を行うことができます。面談記録を作成し保存しておくことで、弁明の機会を与えられていたことの証明にもなるので用意しておきましょう。

諭旨解雇処分を決定する

次に諭旨解雇の処分内容を決定します。諭旨解雇は本来、懲戒解雇総統の行為であるところを温情によって軽減する制度です。ここでは諭旨解雇にすべき情状酌量の余地があるかどうかについて検討を行います。最終決定にあたっては、これまでの企業に対する貢献度や本人の反省などを考慮し、必要な場合は専門家にアドバイスをもらいながら検討を進めていきます。諭旨解雇処分が重すぎないか、事実誤認がないかなどを今一度精査しましょう。

従業員に対して諭旨解雇処分を通知する

企業側が諭旨解雇を決定した場合、諭旨解雇を決定した旨および退職日を記載した通知を従業員に対して交付します。なお諭旨解雇の場合にも、解雇予告期間などは労働基準法上のルールが適用されます。労働基準法第20条1項には、「使用者は労働者を解雇しようとする場合においては少なくとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者h30日分以上の平均賃金を払わなければならない。」という記載があります。諭旨解雇を行う場合には従うようにしましょう。

従業員から退職届が提出される

企業側が諭旨解雇を決定・通知して従業員が諭旨解雇を受け入れた場合、従業員から退職届が提出されます。その後、諭旨解雇の通知に則り、予定された退職日をもって従業員は退職することになります。諭旨解雇を決定し通知したにもかかわらず、期限まで従業員が退職届を提出しない場合があります。トラブルを防ぐためにも、企業側は退職届に提出期限を記載しておくことが望ましいでしょう。提出が拒否された場合は、就業規則に記載された処分方法に則り適切な方法で処分を再度通知します。

諭旨解雇を拒否された場合には懲戒解雇へ移行する

従業員が諭旨解雇を拒否すると、諭旨解雇は懲戒解雇へと移行されるのが一般的な処遇となります。企業側は、懲戒解雇へと移行する際も改めて機関で決定を行わなければなりません。諭旨解雇が事実上の強制解雇処分という扱いになるのは、諭旨解雇が拒否された場合は後に懲戒解雇が控えていることが多いからです。そのため、企業側としては諭旨解雇を行う段階で懲戒解雇に相当する違反行為に該当しているかを検討し、懲戒解雇にあたるかどうかの判断もしておかなければなりません。

諭旨解雇を行う際の注意点

段階的に処分を課す

諭旨解雇を行う際には、懲戒処分の程度が軽い物から段階的に課すことに注意しなければなりません。諭旨解雇のようないきなり重い懲戒処分を行ってしまうと労働者側が不意打ちであると申し出る可能性があります。例えば、処分の軽いものから順に戒告、けん責、減給、出勤停止、降格というように段階的に懲戒処分の程度を引き上げていく方が良いでしょう。段階的に課すことで、従業員に改善の機会が与えられていると観られるため、合理的に懲戒処分が行われていたと判断される可能性が高くなります。

諭旨解雇を行う前に十分な改善指導を行う

諭旨解雇を行う際には、諭旨解雇を行う前に十分な改善指導を行う必要があります。諭旨解雇が適法であると判断されるためには、従業員に対して改善の機会が与えられていたかどうかが重要な要素となります。そのため、上司や人事部などが中心となって改善指導を行います。改善指導を行っても改善されなかったため諭旨解雇をおこなったと説明できるようにしておくことが大切です。改善指導の過程や内容はメールや文書などで証拠となるように記録しておくとよいでしょう。

諭旨解雇決定の適切な手続きを行う

諭旨解雇が適切な手続きの下で行われていたかどうかは、諭旨解雇の適法性を判断する重要なポイントとなります。例えば諭旨解雇の手続きを行う段階で労働者に対して弁明を行う機会を充分に設けることや、懲戒処分に関する社内規定に従って適切な機関の下で諭旨解雇を決定するなどです。これらは、適切な手続きの下で諭旨解雇が行われていた証拠になります。諭旨解雇の決定する過程が合理的であったと明確にしっかり説明できるようにしましょう。

関連する法律について理解を深めておく

諭旨解雇を行う際の注意点として、諭旨解雇に関連する法律について理解を深めておく必要があります。そのため企業が従業員を諭旨解雇する場合には、事前に弁護士に相談をして法的な理論武装を行うことが大切です。諭旨解雇は、従業員にとってきわめて大きな不利益を課す懲戒処分なので、従業員側が何らかの反論をしてくることも考えられます。企業としては、諭旨解雇の適法性に関する検討や従業員の主張内容などを踏まえて、状況に合わせて適切に対応することが重要です。

まとめ

諭旨解雇を行うときには十分注意しよう

諭旨解雇は懲戒解雇の温情措置として用意されています。しかし、諭旨解雇は2番目に重い懲戒処分であり、その適法性や有効性は法的に厳しく審査されます。企業側が諭旨解雇を行う場合には、処分が重すぎないか、適切な手続きによって処分が決定されているかを精査しなければなりません。諭旨解雇によって労使間のトラブルが起こる可能性も考えられるので、検討する段階から専門家などに相談することも重要です。労働者とのトラブルを防ぐためにも諭旨解雇を決定する際には十分注意しましょう。

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