外国人離職率を下げるためには【離職の原因とその改善方法について解説します】

記事更新日:2021年08月05日 初回公開日:2021年08月03日

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現在、日本企業の人手不足は深刻化しています。人手不足の影響で、優秀な人材の確保が難しい中、大きな手助けとなるのが外国人労働者の存在です。外国人労働者を離職させず日本企業に定着させ、長く働くことができる環境を整えれば、企業と外国人労働者の双方にとってメリットがあります。今回は外国人労働者の離職について悩んでいる企業に向けて、外国人労働者が離職しないために、企業としてできる取組を紹介します。外国人労働者の離職に歯止めがかからない状況を改善したい企業に、読んで頂きたい内容となっていますので、ぜひご覧ください。

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外国人労働者の離職率の現状

日本人より離職率が高い

現状では、日本人の離職率より外国人労働者の離職率の方が高い水準となっています。日本では過去20年にわたり、「新卒から3年以内の離職率」は30%台を推移しており、このデータだけを見ると日本の離職率が高いように見えます。しかし、日本全体の離職率は10.1%と低めの水準です。一方で外国人労働者の離職率は全産業と全事業者規模で44.5%となっています。(平成18年厚生労働省外国人雇用状況報告より)外国人労働者が多く就労する職業には偏りがある上、正社員率も日本人と同一ではないので、一概に比較はできません。しかし、外国人労働者の離職率が日本人よりも高いことを示す一つの指標といえるでしょう。

入社後の満足度は外国人労働者の方が高い

外国人労働者の離職率は日本人より高いということを前項でお伝えしましたが、入社後の満足度に関しては外国人労働者の方が高いというデータがあります。外国人労働者による入社後の満足度は、内定直後は96.4%、入社3年以内には70.3%と多少は下がります。しかし、外国人労働者の満足度は内定直後から入社3年以内まで、日本人を上回るという結果となりました。外国人労働者が入社後に定着するためにはこの満足度をいかに下降させないかが大きな鍵となるでしょう。

日本企業と海外企業の相違点

社員が想定しているキャリアパス

日本企業と海外企業では、社員が想定しているキャリアパスに違いがあります。日本企業のキャリアパスとしては、「新卒で入社し、会社内で実績を積み上げ徐々に昇進または昇給をしていき、最終的に終身雇用で定年を迎える」が一般的でしょう。それと比べて、海外企業のキャリアパスは日本企業とは違い、新卒採用はあまり一般的ではありません。「転職によって市場価値を上げ、入社後に即戦力として働き、成果を出した分だけ自分に帰ってくる」という、成果主義であることが海外企業のキャリアパスの特徴です。

昇進スピードの差

日本企業と海外企業との間では、昇進スピードに違いがあります。日本企業では年功序列の風潮が根強く残っており、年次が上の人を下の人が抜いて昇進することは稀です。一方で海外企業は「成果主義」です。仕事で成果を出していれば、年次に関係なく昇進することができます。逆に、成果を出さなければ昇進は望めず、時には解雇されることも少なくありません。海外企業の昇進はあくまでも、成果や能力によって評価されます。成果を出し続けていれば、人よりも早く昇進することも夢ではありません。海外企業は昇進スピードが速いと言われる所以は「成果主義」にあると言えるでしょう。

若手社員への裁量権の大きさ

日本企業と海外企業では若手社員に対する裁量権の大きさに違いがあります。日本企業では若手社員の裁量権は小さく、一つの仕事を任せてもらえるチャンスは、入社後かなり時間が経ってからということも珍しくありません。一方で、海外企業ではどうでしょうか。海外企業は日本企業と比べると若手社員の裁量権が大きく、入社して間もなく色々な挑戦ができ、成長が見込める環境が整っています。若手社員にもチャレンジの機会が与えられるというのは、海外企業で働く事のメリットといえるでしょう。

外国人労働者の主な離職理由

労働時間や給与への不満

外国人労働者の離職理由として第一に挙げられるのは、労働時間や給与への不満です。すべての企業に当てはまるわけではありませんが、外国人労働者が離職することが多い職場では、外国人労働者と日本人の労働者で給与に大きな差があるケースが見受けられます。外国人労働者も、故郷から外国にまで来て労働しているのに、現地の人材より低給与であれば、離職したいと考えるのは致し方ないでしょう。外国人労働者が現地の労働者への不満を抱えている場合、働く意欲を削いでしまうことにもなりかねません。不公平感を感じさせないように環境を整えたいですね。

職場での人間関係

日本の企業で働く労働者の間でも職場での人間関係が原因で離職をしてしまうことがありますが、外国人労働者の間でも離職する理由として多いものの一つです。日本の企業の関係性は独特です。先輩と後輩といった「縦のつながり」や同期入社した社員同士の「横のつながり」など、人間関係のつながりが、仕事をする上で大きく影響する企業があります。それが原因で外国人労働者が輪の中に入れず、孤独を深め、離職に繋がるケースも少なくありません。日本企業の独特な風習に慣れない外国人労働者をフォローアップすることが、外国人労働者の離職を防ぐためには必要なのではないでしょうか。

日本の企業文化に馴染めない

外国人労働者の離職理由に「日本の企業文化に馴染めない」というものがあります。確かに日本企業の文化は独特であり、外国人労働者には理解しがたい部分があるかもしれません。例えば、日本企業は個人よりも組織を重んじる風潮があります。そのため、個人の裁量が小さいことも珍しくはありません。業務上、社員がその場で決断をした方が効率良い場合でも、上司の承認を得なければそれ以上の業務を進めることができないケースが大半です。このスピード感に不満を覚える外国人労働者が離職をしてしまうことがあります。

ハイレベルな日本語を求められる

日本企業では、たとえ多国籍企業を相手に仕事をしていても、社内では、コミュニケーションのすべてを日本語で取ることを求められることが多いです。会話や読み書きのすべてにおいて、日本語でのコミュニケーションが必要な場合、日本語が得意ではない外国人には、非常に大きな負担がかかります。日本語でのコミュニケーション能力が仕事の評価に影響するならば、日本語がネイティブである現地社員以上の評価を得ることは難しいものとなります。日本語能力によるモチベーションの低下が外国人労働者の離職に結びついているのです。

外国人への差別的な雰囲気を感じる

外国人労働者の離職率が高い理由として、「外国人労働者への差別的な雰囲気を感じる」というものがあります。外国人労働者は日本で働くにあたり、日本人と遜色ない待遇や昇進、目標とするキャリアパスを求めています。しかし、実際には外国人労働者であるために日本人労働者との待遇差が埋められないというのが現状です。「外国人労働者」として扱われることにより、思ったようにキャリアを積めないと判断したときに、外国人労働者は離職を考える可能性があります。

外国人離職率を改善するには

定期的なフォローアップを行う

外国人離職率を改善するために必要なのが、定期的なフォローアップを行うことです。日本企業で働く外国人労働者がぶつかる大きな壁は「日本人とのコミュニケーションの取り方」でしょう。日本企業特有の文化や慣習は、外国人労働者には理解しがたいものも少なくありません。しかし、定期的にフォローアップをし、「日本企業」について知ってもらうことで、徐々に理解を得られることもあります。自社の文化や慣習を理解してもらえるようフォローアップを忘れないようにしましょう。

仕事の評価基準やキャリアパスを明確に示す

外国人労働者の離職率が高い最大の理由が、日本企業でのキャリアアップが見込めないということです。外国人労働者のキャリア形成は、日本企業全体で早急に取り組まなければならない大きな課題です。そのため、外国人労働者を離職させないために、企業全体が社員のキャリアパスを明確に示す必要があります。また、外国人労働者は自分が携わった仕事に対し、正当な評価をされることを望みます。外国人労働者への評価基準を明確にし、企業内で共有することが重要となるでしょう。

採用の際に双方のギャップを埋める

日本企業の働き方は、外国人労働者から見ると独特なものに見えます。例えば、外国人労働者は実力主義ですが、日本では年功序列の制度が残っており、実力で昇給や昇進が進まないケースが大半でしょう。上司や先輩がいる関係上、自身が昇進できないことは、外国人労働者にとっては納得のできることでは無いかもしれません。このような働き方の違いから生じるギャップは、採用時に埋めておくことが大切です。自社の文化を理解してもらい、納得して就業することができるように努めましょう。

企業内のダイバーシティを推進する

外国人離職率を改善するためには企業内のダイバーシティを推進することも大事です。外国人労働者を雇用することにより、良い人材を確保することができても、人材を定着させることができなければ、意味がありません。外国人労働者の離職率を改善し、定着を図るためには、企業全体で外国人労働者をサポートする必要があります。まずは、外国人労働者の出身国に対する文化について理解を深めることが大切です。そして、日本企業独特の文化や慣習を見直し、外国人労働者が働きやすい環境を作る環境を整えることが、企業内のダイバーシティを推進する第一歩になるでしょう。

外国人労働者の多い職場

ITエンジニア

明確な評価基準でスキルアップを促進する

外国人労働者が多い職場として、ITエンジニアがあげられます。離職率が高いと言われる外国人労働者をITエンジニアとして雇用するうえで、人材を定着させるために、企業ではどのような取り組みをしているのでしょうか。まず、外国人労働者を離職させないためには、明確な評価基準でスキルアップを促進することが大切です。目標を設定し、スキルアップの基準を明確に定めることで、外国人労働者と企業の間でのギャップが埋まり、人事評価の際のトラブルを無くすことができます。また、スキルアップの基準が明確になることで、外国人労働者のモチベーションも上がり、結果的に離職率を下げることにつながるのです。

飲食店アルバイト

初期研修を入念に行う

飲食店アルバイトも外国人労働者が多い職場の一つです。飲食業は外国人労働者の入れ替わりが激しい印象がありますが、近年は初期研修を入念に行うなど、離職を防ぐ取り組みを始めています。初めから日本語が上手に話せる外国人労働者は多くありません。しかし、日本独特である接客業の在り方を伝える事で、外国人労働者はお客様とコミュニケーションが取れるようになります。日本語や接客サービスは働きながら覚えていくものではありますが、雇用する側も外国人労働者をフォローし続けることが離職率を下げることに繋がるのではないでしょうか。

まとめ

外国人の離職率を下げる為に、柔軟で細やかな職場づくりに努めることが大切

今回は外国人労働者について、離職率の高さと離職率を改善するための方法をお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。外国人労働者の離職率を下げることは、日本経済の発展を支えていく上でとても重要なことです。日本では、外国人労働者の存在が脚光を浴びる中、その待遇の在り方やフォローアップの方法に課題が残されています。外国人労働者の離職率を下げるために、待遇の改善や細やかなフォローアップなど、外国人労働者が安心して定着できる職場づくりに努めましょう。

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