年5日の有給休暇義務化が2019年4月スタート【罰則や就業規則例を紹介】

記事更新日:2020年04月20日 初回公開日:2019年12月18日

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働き方改革により労働基準法が改正され、有給休暇の義務化が労働基準法に追加されました。ただ、どのような場合が対象なのか?義務化に対応できない場合、罰則はあるか?など、いまいち理解できていない部分もあるのではないでしょうか。違反をすると罰則もある制度なのでしっかりと理解しておきたいところですよね。今回は、会社が取り組むべき必須項目、取り入れやすい方法など担当者はもちろん、働く側も知っておきたい項目を詳しく解説していきます。

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有給休暇義務化とは

日本でも本格的に働き方が見直され、残業時間の規制などが徹底されるようになってきました。その取り組みのひとつとして労働基準法が改正され、1年に10日以上有給休暇の権利がある従業員には、最低でも5日以上は有給休暇を与えることが義務付けられました。これまで有給休暇は個人が希望することで取得していましたが、義務化されたことで企業側が有給休暇日を指定し、有給休暇を必ず取得させる必要があります。

有給休暇が義務化される背景

日本の有給休暇取得率の低さ

この義務化が施行された背景には、日本人の有給休暇取得率の低さが大きく関わっています。厚生労働省の調査結果によると、年次有給休暇の平均年間取得率は50%未満となっています。これは世界的に見ても低く、日本人の有給休暇取得率は3年連続最下位です。昔から休みを取りにくい文化とは言われていましたが、法律で規制するこで有給休暇取得率を上げるべく、抜本的な改革に取り組みはじめました。

有給休暇の取得でプライベートと仕事の両立

有給休暇の取得率と仕事やプライベートの満足度も大きく影響してきます。休みを取れないと、家事や育児の時間に避ける時間も少なく、共働き世帯や介護世帯にとっても大きな負担となります。また、仕事とプライベートを両立することで仕事効率もよくなり、離職率も低くなるという研究結果もあります。体調不良や育児以外のリフレッシュ目的の休暇をとれることは今後の働き方にも大きく影響を与える大切なポイントです。

年間5日の有給休暇義務化の条件は?

年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して5日

有給休暇義務化は全ての従業員が対象になるのではなく、年次有給休暇が10日以上付与される従業員に限られます。10以上の年次有給休暇はある従業員は、必ず5日は休みを取らなければいけません。有給休暇は、正社員で一定の基準をクリアしていれば6ヶ月で10日、1年半で11日、2年半で12日と勤務年数が長くなるにつれ日数が増えていきます。つまり、有給休暇が10日未満の従業員は対象から外れることになります。

有給休暇義務化はパートやアルバイトも対象

有給休暇は、正社員や契約社員以外の派遣やアルバイトにも付与されますが、勤続年数だけで決まるわけではないので少し注意が必要です。派遣やアルバイトは、週に4日、3日や2日と働き方がさまざまです。勤続年数に合わせて、労働日数によって有給休暇の付与日数が変化します。例えば、週4日の従業員は3年半以降、週3日の従業員は5年半以上になると有給休暇が10日を超えてくるので、有給休暇義務化の対象に入ります。

有給休暇義務化はいつからはじまるのか

有給休暇義務化は2019年4月より開始しています

この有給休暇義務化は、労働基準法のもと有給休暇消費率を改善するために2019年4月からスタートしました。内容が複雑であまり理解していない担当者や管理職の方も多いかもしれませんが、違反すると罰金などの厳しい罰則もあります。この義務化は、その名の通り「推奨」などのお願いではく、義務です。忘れていた、知らなかったでは済まされないので、しっかりと理解しておく必要があります。

いつからいつまでに5日の有給休暇を消化するか

5日の有給休暇を消化する期間がいつからいつまでかというと、全ての従業員が一律ではなく入社日によっても異なります。はじめて年次有給休暇を取得した日を「基準日」として、その日から1年以内に5日間の有給休暇を取得しなければいけません。例えば、4月1日入社であれば、10月1日〜翌年の9月30日までに5日間を消費するといった計算です。つまり、4月から3月末までというような計算式ではないので従業員ごとに個別に見ていいく必要があります。

有給休暇義務化で企業はどう対応する?

有給制度の見直し

すでに1年に5日以上の有給休暇を取得できる風土がある企業は、そこまで心配する必要はありませんが、有給休暇取得率が低い企業にとっては大きな課題となります。有給休暇を取得しずらい一番の原因は、人手不足と言われおり、業務内容も働く人数も変わない状態だと、有給休暇を取りづらい環境は変わらないでしょう。全ての従業員を5日休ませるためには、業務内容の見直しと合わせて有給を取りやすくするための制度事態を大きく見直す必要があります。

計画的付与制度

有給制度の見直しを行う際に取り入れやすいのが、労働基準法に定められている計画的付与制度です。この制度は、年次有給休暇の日数のうち、5日を超えた残りの日数は、労使協定を結べば、企業側が計画的に年次有給休暇を割り振ることが可能になる制度です。簡単に言うと、年次有給休暇のうち5日間は従業員が自由に選べ、残りは会社側が計画的に付与できる制度です。

リフレッシュ休暇などは年5日有給の対象外

休暇には法律で定められた「法定休暇」と、企業独自が定めている「法定外休暇」があり、年次有給休暇や産前産後休暇などが法定休暇にあたります。一方の法定外休暇には、夏季休暇やリフレッシュ休暇が該当し、定める場合は必ず就業規則に記載しなければいけません。ですので、企業が独自に取り入れているリフレッシュ休暇を年次有給休暇の5日に割り当てることはできないのです。

有給休暇義務化の就業規則例

有給休暇が10日以上与えられる従業員に対して5日の付与の主旨を記載

社内で年次有給休暇制度を運用していくためには、就業規則による規定が必要です。これは、年次有給休暇における休暇に関する事項は、「賃金の決定方法や始業・終業時刻などとともに就業規則に必ず記載しなければならない」とされているためです。今回、改定された「有給休暇が10日以上与えられる従業員に対して5日の付与をする」という項目を就業規則にも記載するようにしましょう。

自ら取得した有給休暇がある場合はその日数分を5日から控除することを定める

企業は有給休暇義務化において、1年間に5日の有給休暇を従業員に取得させなければならなくなりました。しかし、この制度では1年にすでに5日以上の休暇を取得している従業員には、企業側から取得日を指定する必要はなく、時季指定も必要ありません。年次有給休暇は全ての従業員に与えられた法律上の権利のため、この内容も就業規則例に記載するようにしましょう。

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5日の有給休暇の与え方

「個人別付与」年次有給休暇取得表の作成

年次有給休暇の義務化をスムーズに行うためには、個人別付与計画表を作成するという方法があります。この方法は、暦の上で祝日などがバラけてしまっている場合に計画付与制度を活用し、連休とすることで取得を勧めます。例えば、土日を休日とする企業で火曜日が祝日となった場合、月曜日を年次有給休暇を付与すると4連休とすることができ、旅行など従業員が計画しやすくなります。

「交代制付与」班・グループ別

その他の方法ですと、班やグループ別に交代制で年次有給休暇を取得する方法もあります。例えば、ゴールデンウィークやお盆(8月)など、グループ別に所定の休日を付与することが多く、計画的付与制度と組み合わせると大型連休を作ることができます。定休日を増やすことが難しいサービス業などにおすすめです。個別に付与するよりも労務担当者の手間も省け、効率良く運用することが可能になります。

「一斉付与」企業・事業所別

個人別付与、交代制付与以上に効率良く従業員に有給休暇を取得しやすいのが、事業所全体で全員が一斉に有給休暇を取ることです。全員が休みを取ることで引継ぎコストもかからず、「周りを気にして休みを取りづらい」という日本独特の風潮でも心置きなく休むことができます。メーカーなどの製造部門は、個別に指定するよりも、工場全体を休みにすることでも生産性のメリットも大きく、活用しやすいのではないでしょうか。

有給休暇の義務化違反に対する罰則は?

有給休暇義務化の違反は30万円以下の罰則が科される

従業員の人手不足や業務が多忙だったり等を理由に、もしも有給休暇を取得させることができなかった場は罰金が発生します。有給休暇を取得することは、本来は従業員の権利であり、今回の改定では「企業から指定して取得させることが義務」と指定されています。従業員1人あたり30万円以下の罰金に処せられるのでその点を念頭に入れてしっかりと取り組むようにしましょう。

労働者1人ごとに30万円の罰則

また、注意しておきたいのが「1人あたり30万円」という点です。違反した企業に対して30万円以下の罰金ではなく、1人あたりなので100人であれば3,000万円、1,000人になれば3億円もの罰金になってしまいます。大企業ほど管理が大変にはなってきますが、上記にあげた計画的有給休暇などを積極的に取り入れることで、漏れがないよう取り組むようにしたいところです。

有給休暇義務化の抜け道はあるのか?

労働条件の一方的な変更は違法

もしも有給休暇の義務化に違反すると、30万以下の罰金もある厳しい制度ではありますが、どの企業もすぐに取り入れられるとは限りません。社内で有給休暇制度を整えるまでの抜け道とも言える方法はありますが、どの方法も企業側からの一方的な変更は違法になります。就業規則を変更した場合、パートやアルバイトも含む、従業員の過半数以上の同意が得られなければ違法になっていますので気をつけましょう。

もともと休暇である日を有給休暇にする

1つ目の方法が、もともとあった年間の休日を有給休暇に取り組むことです。海外に比べ祝日や連休の多い日本は取り入れやすいのが特徴です。しかし、従業員からすると、もともとあった年間の休日が減っただけで、有給休暇(所定の労働日に休める)を取得したという感覚がありません。見方によっては従業員の不利益にもなってしまうので、実施する場合は就業規則に記載する必要があります。

一度契約解除し、再度契約する方法

その他の方法で一部の企業で取り入れられているのが、従業員との契約を一度解除し、10日以上の有給休暇をとれる権利のある従業員をなくすことです。正社員だと半年ごとなので難しいかもしれませんが、パートやアルバイトであれば3年経ったら契約を一度解除し、再契約するという方法です。会社と従業員で合意が取れていれば違法ではありませんが、従業員にとってはメリットが感じられない方法ですね。

抜け道探しは違法の可能性が高いので避けましょう

ご紹介した抜け道は、あくまでも義務化を回避するための行動です。有給休暇は、従業員が休むことが許された権利なので、何かにすり替えたりする行為は本来の目的とはそぐいません。このような抜け道を使った行為は、指摘される可能もあり、労働基準法違法として扱われるケースもあるので避けることが賢明です。

有給休暇義務化がもたらすもの

労働生産性をあげる業務改革を

有給休暇の義務化は、企業にとって厄介な法律ではなく生産性をあげるための良い機会でもあります。有給休暇を取得できることで、従業員のモチベーションアップはもちろん、優秀な人材の確保や企業イメージの向上などさまざまなメリットが考えられます。労務担当者は、個別に対応したりと面倒な作業は増えてしまうかもしれませんが、働き方改革を取り入れ企業成長の足掛かりにしましょう。

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