海外の公務員と日本の公務員との違いとは【給料体系や働き方の違いなどについて解説】

記事更新日:2022年08月18日 初回公開日:2022年08月17日

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公務員は雇用が安定している、人の役に立ちやりがいがあるなど、人気のある仕事です。現代では、日本の公務員として海外に勤務する、国際公務員になる、海外に居住してその国の公務員になるなど、海外で公務員として働くことを選択することも可能になっています。グローバル社会で海外の公務員として働くとはどのようなことなのでしょうか。具体的な事例を見ながら、どのような仕事があるのか、どうしたらなれるのかを考えてみます。また、日本の公務員と他の国の公務員の働き方や採用の仕方などに見られる違いを見ていきます。

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海外の公務員

国家公務員

日本の代表として外国との政治的・文化的な交流の最前線に立ち、紛争・人権・貧困・教育などの世界のさまざまな課題解決に向けて働く仕事です。 具体的には、外交官や、独立行政法人JETRO、独立行政法人JICAの職員などです。また、国際的な機関に所属し、発展途上国などで支援活動に携わる仕事もあります。国連事務局(UN)、国連児童基金(UNICEF)、世界保健機関(WHO)、経済協力開発機構(OECD)など、海外に本部がある国際機関で働きます。現地国の現地事務所に求人があるかを確認し、個人で応募するのが一般的です。

地方公務員

海外に事務所を設置している日本の地方自治体が数多くあり、そのような海外事務所で働くことができます。主な仕事は地元企業の海外進出の支援、海外の姉妹都市や姉妹校との交流支援、地元の観光資源、物産などのPRや販路開拓、自治体からの視察団のアテンド、情報収集・発信などです。一般的には派遣人数は1名か2名程度で、その他の職員は現地採用です。地方自治体では、職員は毎年人事調書というものを提出しますが、そこに希望部署として「海外事務所」と書くことが可能です。希望していなくても使命されることもあります。

海外の公務員の認識の違い

韓国では人気の職業である

韓国は学歴社会で就職の状況が非常に厳しいので、安定して働ける公務員の仕事は人気が高いです。日本の公務員試験と同様、韓国でも試験があり、最も低い9級から1級まであります。日本の国家 I 種に当たるのは5級です。そのため、公務員試験は非常に難しく、ハーバード大学へ入るよりも難関と言われています。公務員は育児休暇などの働く環境や年金制度も整っていて、多くの人にとって魅力のある職業となっています。日本では教師への就職希望者が減ってきていますが、韓国では公務員の中でもトップの人気を誇っています。

転職先のひとつとして考える国もある

日本では公務員というと雇用が安定しているイメージが強いのですが、一般企業と同じように転職先のひとつと考える国もあります。例えばアメリカの公務員は年功序列や終身雇用という考え方が無く、Open Career System(開放型任用制)が取られています。公務員であってもキャリアアップと見なして、転職先としているのです。日本のような新卒一斉採用は無く、ポストに空きが出たら募集がかけられます。そのポストの即戦力となる人材が求められるので、試験の点数よりも経歴や実績が重視されがちです。

海外の公務員ができる副業の例

不動産運用

ヨーロッパ諸国やアメリカなどでは公務員の副業が認められていますが、日本の公務員は法律により基本的には副業は禁止されています。しかし不動産運用や投資など例外的に認められている副業もあります。公務員が海外で勤務する場合に、日本の自宅を賃貸し収入を得るということは可能です。5棟以下の独立家屋、10室以下の賃貸マンションやアパート、年額500万円以下の家賃収入という条件がついています。この規定以上になってしまう場合には承認を得なければなりません。公務員は与信が高いので、不動産投資には有利です。管理を委託会社に任せれば海外にいても運用できますし、本業に差し支えることもありません。

工場などの一般的なアルバイト

日本では、公務員は信用失墜行為の禁止、守秘義務、職務専念義務の三原則の観点から、副業は原則禁止されています。従って、日本の公務員として海外で勤務する場合でも、工場などの一般的なアルバイトなどの副業はできません。公務員は特に私企業との過度の接触を避けるという目的からも一般企業で働く事は認められていないのです。副業禁止規定に抵触した場合には、免職・停職・減給・戒告などの罰則を受けることもありますから十分に注意してください。海外にいるからといって安易に副業をすることはやめましょう。

海外の公務員の年収と給料体系

ドイツ・フランス型

ドイツやフランスは、公務員の給与に公務員としてふさわしい生活水準を保証するという伝統的な考えが反映されています。そして協約締結権は認められていません。各職位で年棒が決められています。評価制度は職務能力が評価されます。労働時間は週35時間で残業はありません。日本の公務員の平均給与よりも3~4割高くなっています。定年は65歳でしたが、現在は67歳まで引き上げようとしている段階です。定年後は恩給制度、あるいは年金制度があり、給与の7割程度は支給されていますので、安定して高水準の生活が保障されています。

ヨーロッパ・アメリカ型

公務員だからといって優遇されることはありません。ヨーロッパ・アメリカ型の給与体系は職位ではなく等級によって棒給が決められています。目標管理による評価制度を取られていて毎年実施されています。年功序列や終身雇用、定年という概念がありません。公務員も転職先の一つと考えられ、ポストに空きができれば、そのポストに就く人が募集されます。そのため、年収はそのポストによって大きく異なります。公務員の中では軍人は人気があります。軍人には恩給制度があり、20年間勤めれば恩給需給資格が得られるのです。また、警察官や教師も人気のある公務員です。

海外と日本の公務員の働き方の違い

ストライキができる

日本の公務員は、法律によってストライキが禁止されています。その代わりに国から給与や身分を保証されていると言えます。福利厚生も充実していますし、法に触れなければ職を失うということは滅多にありません。しかし、フランス、イタリア、ドイツなどヨーロッパではストライキができる国が多くあります。賃上げや年金制度改革などについてのストライキが行われています。ストライキが行われると社会機能が止まってしまいますが、これらの国々では公務員のストライキが行われた場合には軍隊が代行することになっているのです。

副業ができる

日本の公務員は、基本的には副業が法律で禁止されています。しかし海外では、アメリカやイギリスなど、公務員でも副業が認められている国もあります。本業の妨げにならなければ何しても良いとされています。ドイツでも副業は自由です。ドイツでは副業を禁止すること自体が権利の侵害になるという考えです。またドイツでは、生活のためや節税のためにミニジョブと呼ばれる週15時間以内の仕事をすることが可能ですが、公務員も例外ではありません。諸外国に比べると、日本は副業をすることを厳しく制限していますが、近年は一部解禁にする地方自治体も出てきています。

海外の公務員になるための方法

永住権を有する必要がある

永住権とはその国に無期限に居住することができる権利のことですが、選挙権や公務員になることなどは必ずしも認められているわけではありません。日本では永住権を取得していなければ公務員になることができませんが、永住権を持っていても慣れる公務員は自治体や職務が限られています。海外でも、永住権を持っていなければ公務員になることはできず、なれる公務員は限られているという国も多くあります。カタールなど、管理職にはなれないけれど公務員になることはできるという国もあります。どちらにしても公務員になるためには永住権は必要です。

永住権と市民権が必要となる

海外で公務員になるには、永住権と市民権の両方が必要な場合があります。永住権を取るだけではその国の国籍を取れるわけではないので、あくまでも外国人です。一方市民権を取るということは帰化することですから、その国の国民になります。アメリカの場合には、永住権があれば就ける公務員の職もありますが、国家機密情報を扱う部門など、仕事によっては市民権が無いと就けない仕事もあります。国家の機密に関わる仕事は、アメリカ国家に忠誠を誓ったアメリカ市民でなければならないということです。オーストラリアでも連邦政府職員には永住権だけではなれませんが、州政府の職員にはなれる場合もあります。永住権と市民権の両方があれば、どの公務員の職にも就けるのが一般的という訳です。

海外の公務員制度の特徴

アメリカ

アメリカの公務員は、国家公務員と地方公務員の二種類に分けられます。軍人は厳密に言えば国家公務員ではありますが、通常軍人は公務員とは別の存在と考えられています。アメリカの政府中枢機関で働いている人々が国家公務員で、多くが競争試験によって採用されます。地方公務員は州政府、郡政府、市政府などの行政区画で区分されているのです。新卒一斉採用は無く、空きポストがあった時に募集されるのが一般的です。即戦力が求められることが多く、日本とは異なり経歴や実績を重視した採用基準になる場合が多いです。

ドイツ

ドイツでは公務員は連邦政府の公務員、州政府の公務員、市町村等の公務員、社会保険機関の公務員があります。連邦政府の公務員は官吏と公務被用者とにわかれています。官吏は雇用主が連邦であり、連邦に対する忠誠義務があり、権力の行使等に関わる業務をはじめ担当する職務を、行政の専門家として非党派的かつ公正に遂行する義務を負っているのです。官吏は職務専念義務があり必要な場合には超過勤務について金銭的な補償無しに、所定の週労働時間を超えて勤務することを義務付けられるとされています。しかし実際には他の個人の権利を守る法律により超過勤務に関して制限がなされています。

韓国

学歴社会で就職状況が厳しい韓国では、公務員は安定して働けるので人気の高い職業です。日本と同様、国家公務員と地方公務員があります。仕組みや仕事内容は日本と似ています。韓国の公務員は、1級から9級まで分かれています。試験があるのは9級、7級、5級で、合格すれば受かった級から始まることになっています。国家公務員の場合は5級が国会Ⅰ種と同じで幹部候補、国家Ⅱ種が7級、国家Ⅲ種が9級に当たります。地方公務員の場合は5級が地方上級、7級が地方中級、9級が地方初級です。韓国では級によって給与が異なります。日本と同様、長く働けば給与は上がっていくシステムになっています。

まとめ

海外と日本の公務員の違いを認識しておきましょう

日本では公務員は法律によってストライキができない、副業ができないなど制約があります。一方身分が保証され、簡単には解雇されず、給与や福利厚生が良くなっています。しかし海外の公務員は日本と同じではありません。自由度は高くストライキや副業が認められている場合が多いですが、長期雇用が保障されているとは限りません。日本のような一斉採用方式ではなく、空きポストごとに募集されるため、経験や実績などを重視される傾向があります。また、日本人であればどの公務員の職に就くことも可能ですが、海外に行った場合には、永住権や市民権を得なければ就ける公務員が限られてきます。

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