エンプロイー・エクスペリエンスとは【注目される背景などについて解説】

記事更新日:2021年08月31日 初回公開日:2021年08月31日

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働き方改革が推進される中で、日本の企業では様々な取り組みがなされています。そこで今回ご紹介するのは「エンプロイー・エクスペリエンス」です。この言葉は近年の人事業界で注目されているトレンドワードの一つです。この記事ではエンプロイー・エクスペリエンスが注目される理由から関連するキーワードなどについてもご説明をしていきます。さらにエンプロイー・エクスペリエンスを上げる方法なども紹介するので、人事や総務担当者の方は是非参考にしてみてください。

エンプロイー・エクスペリエンス(EX)とは

従業員が組織において得られる経験価値

まず初めにエンプロイー・エクスペリエンスの意味について説明します。エンプロイー・エクスペリエンスとは会社で働く従業員が組織の中で得られる経験価値のことを指します。エンプロイー・エクスペリエンスは会社と従業員のすべての接点で発生します。要するに入社前の採用プロセスから入社後の研修や配属、異動などの全てのプロセスで発生していることになります。この経験価値はマーケティングの概念から派生して誕生しました。

組織の人事や総務分野において重要な考え方

エンプロイー・エクスペリエンスは組織の人事や総務などの分野において非常に重要な考え方の一つです。人材管理や育成、採用、事務作業などの業務をする人事や総務の仕事では、このエンプロイー・エクスペリエンスを向上させることは大きなミッションとなるでしょう。もちろん具体的な取り組みは全社的に行う必要がありますが、やはりその中心となるのが人事や総務の担当者です。組織風土の改善や人材の採用力強化といった面からも重要なものであると言えるでしょう。

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エンプロイー・エクスペリエンスが注目される背景

デロイト社のHRレポートでトレンド入り

ここではエンプロイー・エクスペリエンスが注目されるようになった背景を3点紹介します。1点目はコンサルティング事業を行うデロイト社のHRレポートでトレンド入りしたことです。デロイト社が毎年発表するレポートでヒューマンキャピタルに関するトップ10のトレンドのひとつとしてエンプロイー・エクスペリエンスが登場しました。このレポートの発表がされてからエンプロイー・エクスペリエンスに対する関心が高まってきています。

エンプロイ―・センタード思考の浸透

2点目はエンプロイー・センタード思考がビジネスの世界で浸透するようになったことです。エンプロイー・センタード思考とは人材に関するあらゆる企業活動を従業員中心とする考え方です。今までは会社目線でアプローチをするカンパニー・センタードが主流でしたが、近年はエンプロイー・センタード思考を取り入れる企業が増加しています。企業経営の在り方や哲学の根本的なシフトがエンプロイー・エクスペリエンスの注目に繋がったと言えるでしょう。

日本国内における働き方改革の推進

3点目は日本国内で働き方改革が推進されたことです。現在の日本は少子高齢化による労働人口の減少が大きな問題として取り上げられています。さらに近年は終身雇用もなくなりつつあり、企業にとっては優秀な人材の確保や社員の離職率低下が重要な課題になっています。このような流れの中で、働き方改革を実施する企業が徐々に増えています。この働き方改革の一つとして従業員の視点に立ったエンプロイー・エクスペリエンスが注目されるようになりました。

エンプロイー・エクスペリエンス向上によるメリット

従業員の満足度や定着率が向上する

次にエンプロイー・エクスペリエンス向上によるメリットを2例紹介します。1つ目は従業員の満足度や定着度が上がることです。エンプロイー・エクスペリエンスを高めることにより職場環境が整備されるので、従業員にとっては働きやすくなり定着度も上がることが期待されるでしょう。実際にコンサルティングファームのPwCが実施した調査によるとエンプロイー・エクスペリエンスの成熟度が高い企業ほど、従業員満足度が改善していることが明らかになっています。

組織の成長に繋がる

2つ目は組織の成長に繋がることです。エンプロイー・エクスペリエンスを向上させることは従業員全体のエンゲージメントを高めることに繋がります。するとそれぞれが組織の一員であることに対して自信や誇りを持つようになり、生産性の向上や組織のさらなる発展を見込めるようになるでしょう。最終的には企業の利益アップにも繋がるので、従業員、そして企業の両方にとって良い結果を生むことになると言えるでしょう。

エンプロイ―・エクスペリエンスに関連するマーケテイング概念

ユーザーエクスペリエンス(UX)

エンプロイー・エクスペリエンスに関連するマーケティング概念を2つ紹介します。1つ目はUXと呼ばれるユーザーエクスペリエンスです。ユーザーエクスペリエンスとはあらゆる製品やサービスをとおしてユーザーが感じる使いやすさや感動、印象などの体験すべてを表します。低コストの商品であれば売れる時代は終わり、今では商品やサービスを通じて良質な体験を提供することがビジネスで重要視されています。

カスタマーエクスペリエンス(CX)

2つ目はCXと呼ばれるカスタマーエクスペリエンスです。カスタマーエクスペリエンスとは顧客が企業やブランドと取引を始めてから終わるまでの期間の間に得る体験や価値などのことです。商品やサービスを売る側からすると一度購入してくれた顧客にリピーターになってもらいたいと思うのが普通です。そこで近年注目されるようになったのがCXです。CXを高めることでリピーター客の獲得やブランドイメージの向上、既存顧客による宣伝効果など様々なメリットを得ることが出来るでしょう。

エンプロイ―・エクスペリエンスを高めるには

従業員アンケートを実施する

続いてエンプロイー・エクスペリエンスを高める方法についてご説明します。1点目は従業員に対してアンケートを実施することです。アンケートを実施することで組織の問題や課題をいち早く、そして客観的に発見できるため、改善するためのプランの策定をすることが可能となります。アンケートに記載する内容としては従業員の組織に対する満足度や働き甲斐、職場環境などに関する質問を入れると良いでしょう。匿名性をしっかりと担保して、組織に対する率直な意見を取り入れるようにしましょう。

「動機づけ要因」と「衛生要因」を見直す

2点目は「動機づけ要因」と「衛生要因」を見直すことです。エンプロイー・エクスペリエンスを構成する要素としてハーズバーグの二要因理論に基づき、動機づけ要因と衛生要因が含まれます。動機づけ要因とは働き甲斐やモチベーションといった業務に満足感をもたらす要因のことです。衛生要因は従業員の健康や賃金、休暇、労働時間といった満たされないと不満を持つ要因を指します。これらの2つの要因を見直し、そして改善することでエンプロイー・エクスペリエンスを向上させることが出来るでしょう。

組織環境を整える

3点目は組織環境を整えることです。今の時代は、職場はただ仕事をする場ではなくなりつつあります。従業員が自由にコミュニケーションが取れるスペースを作るなど、魅力的なオフィスを作る企業は増えています。またエンプロイー・エクスペリエンスは人事担当者だけで高めることは出来ず、全従業員同士の連携が必要になります。そのため、組織環境を整えて横断的に連携が取れる組織づくりを目指すと良いでしょう。

健康経営を推進する

4点目は健康経営を推進することです。健康経営とは従業員の健康増進や管理を経営課題として、戦略的に取り組む経営手法のことを指します。近年は長時間勤務や従業員に対するパワハラやセクハラといった従業員の健康障害が大きな問題として取り上げられています。それによって、心身共に健康に働ける会社づくりをすることが重要視されるようになりました。健康障害をなくすためにも、それらをチェックする機関を社内に設けることが必要です。

エンプロイ―・エクスペリエンス向上において活用できる手法

エンプロイ―・ジャーニーマップ

エンプロイ・エクスペリエンスを向上するために使用されている手法を2つご紹介します。1つ目はエンプロイー・ジャーニーマップです。エンプロイー・ジャーニーマップとは従業員の採用から退職までを一連の流れとして、その間にどのような経験をして成長するのかを図にまとめたものです。仕事を通じて得られる経験は職種などによっても異なるので経験を種類別に分類し、ターゲットとペルソナに合わせて作成をしていきます。作成したマップを他の人に共有して、フィードバックを受けるとより精度の高いものになるでしょう。

オンボーディング・プログラム

2つ目はオンボーディング・プログラムです。オンボーディングは直訳すると飛行機や船に乗っているという意味になります。オンボーディング・プログラムとは新しく組織に加入したメンバーが早くから活躍出来るようにサポートするプログラムのことです。このプログラムを行うことで、新しく組織に入ったメンバーが元々持っていた価値観や文化を加えて組織の多様化を実現することが出来ます。また他にも社員の定着率アップや業務の効率化など多くのメリットがもたらされます。

積極的にエンプロイ―・エクスペリエンス向上に取り組む企業例

Airbnb

最後にエンプロイー・エクスペリエンス向上に取り組む企業を2社紹介します。1社目は宿泊サービス事業などを行うAirbnbです。Airbnb社の人事部の部門名は「エンプロイー・エクスペリエンスチーム」と呼ばれており、全社的にその価値観を浸透させています。さらにチームのミッションを「社員の面倒をいろいろと見る部署として、会社の健康と幸せの向上のために日夜働くこと」としています。業務の内容も幅広く、超一流人材のスカウトや最新テクノロジーの用意、社食の献立作りなど多岐にわたっています。

Starbucks

2社目はコーヒーやカフェとして有名なStarbacksです。ユーザーエクスペリエンスが世間に浸透するようになったきっかけでもあるStarbacks社のハワード・シュワルツ氏は「スターバックスはコーヒーを売っているのではない。体験を売っているのだ。」という言葉を残しています。さらに同社は従業員に対して充実した学びの機会を提供し、エンプロイー・エクスペリエンスの向上に努めています。具体的には通信教育に対して会社が補助を行い、従業員のスキル開発を手助けしています。その結果、従業員の能力を伸ばすことに成功しています。

まとめ

エンプロイ―・エクスペリエンスを向上させて企業の組織力を高めましょう

今回はエンプロイー・エクスペリエンスについて幅広い視点からご説明をしてきました。エンプロイー・エクスペリエンスを向上させることで従業員の定着率増加や組織全体の成長に繋がるなど多くのメリットを得ることが出来ます。またエンプロイー・エクスペリエンスを上げる方法も様々あるということを理解していただけのではないでしょうか。是非自社でもこうした取り組みを行い、企業の組織力を高めていきましょう。

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