記事更新日:2019年06月12日 | 初回公開日:2017年08月18日
外国人採用・雇用外国人を中途採用する場合には、「職務内容」と「在留期限」の2点によって対応方法が変わります。
ポイントは前職の職務内容と転職後の職務内容が一緒かどうかです。例えば前職で翻訳通訳業務として働いていた外国人が、転職後も同じ翻訳通訳業務で働く場合は問題になることは少ないですが、全く別の職務内容になる場合(例えば、翻訳通訳→エンジニアなど)は注意が必要です。現在持っている外国人の在留資格は、学歴と“前職での”職務内容のリンク、さらには“前職の”企業業績等をもとに許可がおりているものになります。ですので、そもそも学歴と職務内容がリンクしていなければ働けませんし、転職後の会社の業績等についても審査が入るので、必ずしも同じ職務内容だから大丈夫と言うわけでもありません。ただ、債務超過の企業など以外であれば、同じ職務内容であれば概ね更新の際も許可されます。
転職する外国人の在留期限が「長期で残っているか」「2~3か月しか残っていない」のかで対応が変わってきます。まず目安としては4か月以上在留期限が残っている場合は、転職の届出を入国管理局に出し、さらに「就労資格証明書」の交付申請をすることをおすすめします。就労資格証明書は法的には任意になりますが、転職後の仕事について入国管理局に対し、働いても問題がないとお墨付きをもらうものになり、これを取得しておけば、更新申請の際にいきなり不許可となることはなくなります。在留期限が2~3か月しかない場合は、「在留資格更新許可申請」を行います。更新申請と言っても、実際には雇用企業が変わっているので、新規申請と内容は変わりません。ですので「職務内容」と「学歴」のリンク、「企業の業績等」が条件に満たないと不許可になるケースもあります。
就労資格証明書とは、外国人がビザの変更を必要としない転職をした場合に、転職後の会社での職務内容が、現在持っている在留資格(ビザ)に該当するかどうか審査して交付される証明書です。こちらは、法律上は任意手続きとなっているため、転職後に就労資格証明書の交付申請を行わずに、更新申請のタイミングで不許可になってしまったとしても、悪質なケースを除いて就労資格証明書の申請をしていなかったことを理由に罰せられることはありません。ただし、私個人としての意見は、企業のキャリア戦略・外国人本人の今後の人生等を考慮すると、コンプライアンス的にも就労資格証明書の申請はするべきだと考えます。
外国人の場合、自己都合で退職をしてその後の転職活動で、中々決まらない場合や一旦本国へ帰省したりして、長期間にわたって無職状態が続いてしまう場合があります。入国管理法では、継続して3か月以上就労をしていない外国人に対して「在留資格取消制度」が設けられています。この在留資格取消制度は必ず実行されるものではございませんが、無職期間が長くなればなるほど、更新や変更申請時にスムーズに許可されないリスクが高まります。無職期間が長い外国人を中途採用する場合は、無職期間に合理的な理由があるかなども含めて検討すると良いです。
外国人が転職した場合にする手続きをまとめると下記になります。
1.転職の届出を入国管理局に提出する
2.在留期限までまだ時間がある場合は、就労資格証明書の交付申請をする(任意)
3.在留期限が間もなく切れてしまう場合は、更新申請をする
就労資格証明書の申請時期に決まりはないので、まだ在留期限に余裕があるからと、就労資格証明書の交付申請をせずにそのまま在留資格更新申請の時期を迎え、その更新申請が万が一不許可になってしまった場合、せっかく外国人従業員も慣れてきたところで退職せざる負えなくなり、外国人本人は然り、企業側にも大きな影響が出てしまいますので、後回しにすることなく余裕を持ったスケジュールで行動されることが大切になってきます。
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この記事を書いた人
塩野 豪(しおの ごう)
行政書士塩野豪事務所の代表。
外国人ビザ(在留資格)の専門家として活動し、フィリピンやカナダなど外国との繋がりも強い。
人材紹介会社の外部顧問としても活動している。
HP:行政書士法人フォワード
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