心理学や行動経済学で扱われるアンカリング効果とは【ビジネスで実際に行われている例についてわかりやすく解説します】

記事更新日:2023年09月05日 初回公開日:2023年09月05日

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企業が業績を伸ばし続けるためには、顧客を獲得し続けることや組織内の円滑なコミュニケーションが必要不可欠です。そのため、ビジネスやマーケティングには戦略として様々な手法が取り入れられています。中には、心理的作用を利用する方法もあります。アンカリング効果は、最初に受けた印象がその後の行動の影響されるい心理的作用です。値引きされた商品やサービスを魅力的に感じた経験がある方は多いでしょう。本記事では、アンカリング効果の概要や活用方法、メリットやデメリットを紹介します。ビジネスを円滑に進める一つの方法として参考にしてみて下さい。

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アンカリング効果とは

最初の情報によってその後の意思決定が左右される現象のこと

アンカリング効果とは、最初に受けた印象や情報によりその後の意思決定が左右される現象のことです。先入観によって生じる認知的バイアスの一種で、対人関係やマーケティングで活用されることもあります。元の印象に影響されることから、アンカー(いかり)をおろして動けない船に例えられ「アンカリング効果」と呼ばれます。例えば、元の価格から値下げされていることや「当店限定」と表示されていると、お得感や特別感から購買行動に繋がることがあるでしょう。学術的にも実際に検証されており、強い心理作用として認められています。

心理学や行動経済学で扱われる

アンカリング効果は、心理学や経済学を組み合わせた行動経済学で広く扱われます。行動経済学は人間の非合理に基づいて研究され、ビジネスやマーケティングなどの様々な面で活用されています。アンカリング効果は、行動経済学における認知的バイアスの一つです。認知的バイアスは思い込みや周囲の環境により非合理的な判断をすることで、使い方次第ではポジティブに働かせることができます。逆に、判断を誤って仕事のミスに繋がることもあります。ビジネスやマーケティングに行動経済学を反映することは、売り上げの向上も期待されています。

アンカリング効果とフレーミング効果の違い

重視するのが情報提供の順番かやり方の違い

アンカリング効果と似たものに、フレーミング効果があります。フレーミング効果はアンカリング効果と同じ行動経済学の一つです。ただアンカリング効果とは「情報提示の順番」を重視していることに対し、フレーミング効果は「情報の提示方法」に重点を置いているという点で異なります。例えば、ある調査結果を伝える場合「15%の人が効果を実感できなかった」という表現は否定的に捉えられます。しかし、「85%の人が効果を実感できた」と言えば効果が高いように感じるでしょう。それがフレーミング効果を利用した手法の一つです。

営業におけるアンカリング効果の例

見積書に本体価格と値引額を記載する

営業で使われるアンカリング効果として、見積書に本体価格と値引き額を記載することが挙げられます。視覚情報で2つの情報を比較できることで、より「お得感」が伝わるためです。ポイントとしては値引きした金額を最初に提示するのではなく、値引き欄に最終的にいくら安くなったかを明らかにすると効果的です。また、高価なものとおすすめのものなど、商品やサービス2つ以上で提示して比較することで、一方がお得に見えやすくなります。顧客の購買行動に繋がる戦略として効果的な手法です。

マーケティングにおけるアンカリング効果の例

「何%OFF」のシールを張り付ける

マーケティングにアンカリング効果を活用する方法として、「何%OFF」のシールを張り付けることがあります。通常価格と値下げ価格を比較してお得に感じやすい効果があります。1000円で売っている商品が「40%OFF」と表示されているのを見て、購入に至った経験がある方は多いでしょう。通常価格の印象が強く残るためお得に感じやすいですが、実際に通常価格の価値があるかは分かりません。しかし、購入に繋げやすい手段としてアンカリング効果がマーケティングに用いられます。

株式投資におけるアンカリング効果の例

株の売買は過去の数字の動きに左右される

株の売買は、過去の数字の動きに左右されやすい傾向にあります。過去の動向をを調査した上で売買されることが多いためです。過去と同じ値動きをするかどうかは不確実であるものの、取引の参考にされることからアンカリング効果が影響していると言えます。過去の高値が忘れられず売る気になれない「高値覚え」や、逆に急な下落などでネガティブな印象になり買えなくなってしまう「安値覚え」など証券用語もあります。株式売買はアンカリング効果が影響しやすいと言えるでしょう。

アンカリング効果のメリット

消費者の判断に影響を与えやすい

アンカリング効果は、消費者の判断への影響を与えやすくなります。先に提供した情報が判断基準となり、その後の情報と比較できるためです。例えば、顧客がサービスの利用や商品の購入を検討しているとき、アンカリング効果により「お得」と感じれば、購買行動を後押しすることができます。売り上げの向上にも繋がりますし、消費者も安心して購入できるでしょう。新規のユーザーであれば自社の商品やサービスを知ってもらい、品質が認められることで今後の顧客となる可能性もあります。

売り上げ向上に繋がる

アンカリング効果は、うまく取り入れることで売り上げの向上に繋がります。消費者が「お得感」を感じやすく、購入する確率が高まるためです。例えば家電量販店が「他店舗の方が安い場合は、それより安くする」と競合を比較対象にする場合、「この店で買った方がお得だ」と感じて購入しやすくなります。激安で有名なスーパーでは、日用品が相場より安く買えることで利用者が増え売り上げが上がりやすいです。一見赤字にならないかと心配になりますが、他の商品との原価率のバランスでかばーできるようになっています。

アンカリング効果のデメリット

必ずしも値下げや割引が効果を発揮するわけではない

アンカリング効果は、必ずしも値下げや割引が効果を発揮するとはかぎりません。そもそも商品に関心がないと、購買意欲にも繋がらないでしょう。アンカリング効果だけに頼らず、マーケティング戦略として幅広い視点で商品を売り出していくよう工夫する必要があります。また、そもそも消費者が相場を知っている価格のものは、値下げしても効果を発揮しにくいです。相場の情報が浸透していない商品など、アンカリング効果を発揮しそうなものを選んで導入する必要があるでしょう。

景品表示法違反になる可能性がある

アンカリング効果は景品表示法違反になるリスクもあります。景品表示法とは商品・サービスの価格や内容、品質などの偽った表示を規制する法令です。例えば、実際の品質より著しく優れたように見せかけることや、実際にかかる値段より安く案内していることが該当します。利益追求のためだけにアンカリング効果を使用すると、景品表示法に抵触する可能性は十分にあります。アンカリング効果をマーケティングに導入する際は、消費者庁が発行するガイドラインに従わなければいけません。

時間が経つと消費者が割引額に慣れてしまう

アンカリング効果によって一度成功しても、消費者が割引額に慣れてしまうデメリットがあります。消費者に利用を続けてもらうには、マーケティングの効果を持続させなければいけません。アンカリング効果は即効性があっても、長期的な戦略としては対策を考えた上で臨む必要があるでしょう。例えば、ある特定の商品の割引をしている場合は、一定期間で割引する商品を変えるなどができます。それによっても消費者はお得感と共に特別感を感じ、購入を続けることが期待できます。

盛りすぎると逆効果になる

アンカリング効果を狙って盛りすぎると、逆効果になるデメリットがあります。あまりわかりやすい手法は、消費者の信頼を失うことに繋がるためです。特に相場を知っている人や判断力に優れた人からすると、あからさまにアンカリング効果を使っていることが分かってしまいます。その場合、販売側への印象が悪くなり、購買行動には繋がらなくなるでしょう。また、商品を値下げしすぎた場合はいくら売れたからとはいえ、利益に繋がらないリスクもあります。販売戦略をしっかり行った上で実践することが大切です。

他の商品の売り上げに影響を及ぼす

アンカリング効果を使った商品は売れても、他の商品は売れないなどの影響を及ぼすリスクがあります。消費者目線では、どうしても「お得」に感じる商品が魅力的に映り、需要が集中してしまうためです。需要の集中を防ぐためには、それぞれの商品のマーケティング戦略を考えておく必要があります。例えば、割引の商品を時々変える、他の商品と組み合わせると割引になるなど、売り上げが一つの商品に集中しないような戦略が必要です。アンカリング効果の運用と上手く組み合わせて売り上げの向上を目指しましょう。

ビジネスにおけるアンカリング効果の活用法

採用活動に使用する

アンカリング効果は採用活動にも活用ができます。就職活動の際、求職者は企業の給与面も重視します。その際、業界における相場の目安は把握していることが多いでしょう。他の企業に比べて給与が高く提示されている場合はポジティブな印象を受け、会社に魅力を感じやすくなります。企業における人手不足が叫ばれる中、採用活動の重要性はより高まっています。そのため、求職者に魅力を感じてもらえるようなアピールで、応募者を獲得することが必要不可欠です。多くの人材が応募すれば、優秀な人材の採用に繋がります。

社員のモチベーションを上げる

アンカリング効果は、適切に使うことで社員のモチベーションアップにも繋がります。仕事で成果を上げた社員の成功体験をパターン化することで、成功への行動がアンカーとなるためです。成功するためには何をしたらいいかがそれぞれの社員に定着するため、未来の姿を想像してモチベーションアップに繋げることができます。成功のための行動は業務関係に限らず「毎日デスク回りを整理整頓する」というような習慣的なものでも効果的です。社員のモチベーションが高いと、現場の生産性の向上や組織の活性化が期待できます。

社員をコントロールし会社全体の指揮を取る

アンカリング効果は社員をコントロールできるため、会社全体を指揮することも可能です。組織をマネジメントする際には、自分の指示で社員に業務を遂行してもらう必要があります。中には、社員が引き受けたがらない業務もあるでしょう。そんなとき、最初に厳しい条件を提示しておけば指示した内容を引き受けてもらいやすくなります。例えば、業務量が多いことを前提としておき、指示する際にはそれより少ない業務量を依頼することなどです。前提にあった情報(業務量)と比べて少ないことで負担が軽いと感じ、指示に従いやすくなります。

まとめ

アンカリング効果を上手に活用し売り上げ向上に繋げよう

アンカリング効果の例やメリット・デメリットなどについて紹介しました。最初の情報の印象がその後の行動に影響するアンカリングは、上手く活用すれば売り上げの向上や円滑な人間関係に繋がるメリットがあります。一方、消費者が値段に慣れて効果が薄くなるため、対策なしに長期的な効果は見込めません。有効活用するためには、アンカリング効果のみに頼るのではなく、他の商品や消費者の動向を把握した上でマーケティング戦略を考えることが大切です。アンカリング効果を上手く用いて、会社の売上向上に繋げましょう。

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