ドライバー不足で起こる2024年問題とは【ドライバー不足が起きるのはなぜか、解決策や対策はあるのかについてわかりやすく解説します】

記事更新日:2024年01月19日 初回公開日:2024年01月19日

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働き方改革により、ワークライフバランスを重視する人が増えている中で様々な業界でも以前に比べ働き方が変わってきています。その中でも202年に最も影響を受ける物として、運送業界が挙げられます。運送業界では2024年4月に働き方改革関連法によって時間外労働の上限が設けられるようになっています。運送業界の人手不足が深刻になる中、労働環境を整備するために実施される施策ですがメリットだけではありません。今回はその2024年問題について解説していきます。運送業界の方は参考にしてみてください。

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2024年問題とは

ドライバーの時間外労働規制で生じる諸問題

2024年問題とは、ドライバーの時間外労働規制によって生じる諸問題の事です。2023年までは時間外労働を行っていてもきちんと給与が払われていれば罰則などはありませんでした。しかし働き方改革関連法などが制定されたことによって、ドライバーの時間外労働が年間960時間に制限されました。これにより、1人当たりの走行距離が短くなりドライバーの収入が減ってしまう恐れだけでなく、長距離で物が運べなくなるという懸念が出ています。

2024年問題の根幹となる政府の規制

働き方改革関連法

労働時間に関する規制

2024年問題の根拠となる政府の規制は、働き方改革関連法などで労働時間に関する規制が行われています。働き方改革関連法では、2024年4月より自動車運転業務の時間外労働を月45時間・年間960時間までと制限しています。一般企業の時間外労働は月45時間・年間で360時間とされているため、一般企業と比べて時間外労働の上限は異なりますが今までよりも厳しい規制となります。但し、休日出勤を行う場合は時間外労働とはみなされません。

賃金に関する規制

2024年問題で働き方改革関連法で規制されるのは、賃金に関する規制です。従来であれば、時間外労働を行った分だけ給料を得ることが出来ていました。しかし働き方改革関連法で時間外労働の時間を規制されてしまうと、上限を超えた賃金は発生しません。重労働で大変な仕事ですがその報酬をモチベーションとして勤務している人も少なくないはずです。そのモチベーションを維持できなくなるため、運送業界が更なる人材不足に陥る可能性もあります。

違反時の罰則

働き方改革関連法によって違反時の罰則も定められており、2024年問題が注目されています。2024年4月より1日や1か月の拘束時間が細かく定められており、労使協定などと契約を締結している場合や例外として条件を守れば上限を伸ばすことも可能ですが、毎日・毎月延長できるわけではありません。もし仮にドライバーを雇用している企業が上限を守らずに働かせた場合は、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

2024年問題で考えられる悪影響

ドライバーの収入が減る

2024年問題で考えられる悪影響は、ドライバーの収入が減ることです。運送に関わるビジネスは、典型的な労働集約型産業です。売り上げの原資になるドライバーの労働時間を減らすと、それに比例するように売り上げも下がります。ドライバーは時間外労働が減ることから手当がもらえなくなり、会社自体も売り上げが下がってしまうので基本給アップも見込むことが出来ず、給料が下がってしまう可能性があります。手当がモチベーションになっている人は、転職を考える恐れもあります。

運送や配送のリソースが減る

2024年問題は、運送や配送のリソースが減ることが悪影響とされています。ドライバーの労働時間が今まで11時間働いていて8時間に減少した場合、単純に計算してもリソースが3割減ることになります。1人当たりの運送や配送リソースが3割減少するだけでも影響が出てきますが、運送業界全体のリソースが3割減ってしまうと今まで運べてたものが運べなくなります。受け取り手だけでなく、配送を依頼している会社でも物が滞ってしまいます。

配送コストが上がる

配送コストが上がるのも、2024年問題で考えられる悪影響です。ドライバーの労働時間が制限され、リソースが3割減少することで運べる量に限りが出てきます。1回の運搬で運べる量が少なくなることで、自然と配送コストも上がって行きます。配送コストが上がるという事は商品に転嫁せざるを得ず、物価高などに繋がります。従来までは運送会社は荷主より弱い立場でしたが、運送が限られることでパワーバランスが変わる可能性もあります。

2024年以前から問題となっているドライバーの不足の原因

ドライバーが高齢化している

2024年以前から問題となっているドライバー不足の原因は、ドライバーが高齢化している事です。令和3年に行われた労働力調査によると、道路貨物運送業においての労働者の年齢構成で45~59歳に該当する人が全体の45%を占めていました。更に60歳以上が17.5%と殆どのトラックドライバーが高齢であることが分かります。業界全体で高齢化が進んでいると、健康上の理由や定年によりドライバーの人数が減っていき深刻なドライバー不足に陥ります。

女性ドライバーが少ない

2024年以前から、女性ドライバーが少ない事がドライバー不足の原因として問題になっています。近年では、様々な業界で女性が活躍する場が増えていますが物流・運送業界においては、未だ男性社会であることが殆どです。以前国土交通省が発表したガイドラインでは、全産業の女性労働者の割合が約43%であるのに対しトラック運送業の女性労働者は20%に満たっしていませんでした。更にトラックドライバーに従事している女性は3%と極僅かです。

速達の需要が増えている

2024年以前から問題となっているドライバー不足は、速達の需要が増えているのが問題とされています。配達日の指定や即日配達は現在当たり前になっているサービスです。2010年にはヤマト運輸が即日配達サービスを実施し、2015年にはAmazonがプライム会員向けに特定のエリアであれば注文後1時間以内に配達するサービスを開始しました。大手を中心に行われていますが、人が充足しているからこそ実施できる施策です。ニーズが高まり人手不足では対応できなくなる恐れもあります。

事故の多いイメージが拭えない

自己の多いイメージが拭えないため、2024年以前からドライバー不足の原因とされています。警察庁によって発表されている「交通事故統計」によると、営業トラックによる事故は近年減少傾向にあります。しかしその事実はあまり知られておらず、一度事故が発生してしまうとニュースなどで大きく取り上げられ事故が多いというイメージを持たれがちです。再発防止のための周知としては必要ですが、ドライバーを目指す人が減るのも事実です。危険への懸念を払しょくしてもらう工夫などが必要です。

業界の賃金水準が低い

業界の賃金水準が低いことから、ドライバー不足であると2024年以前から問題視されています。トラックドライバーは時間外労働を行う事で手当をもらい、給料を上げることは出来ます。しかし基本給はそこまで高くなく、時間外労働も多いためあまり就職先に選ぶ人が増えないという現状もあります。またトラックドライバーは荷物を運ぶだけでなく、荷下ろしなどを行わなければならない事もあり、重労働にも関わらず業界全体として賃金水準が低いことが人手不足に繋がっています。

2024年問題であるドライバー不足に対する施策

中継輸送

2024年問題であるドライバー不足に対する施策は、中継輸送を行う事です。何人かのドライバーでリレー形式で運転して荷物を運搬する中継輸送は、時間外労働を減らす効果を見込むことが出来ます。一人のドライバーが長距離で物を運ぶと負担が増えるだけでなく、どうしても労働時間が延びてしまいます。長時間労働を防ぐために、複数のドライバーを活用し中継地点まで交代で運転することで一人当たりの労働時間を削減可能です。但し中継地点で荷物の積み替えに時間が掛かる・積み替え時に荷物が破損してしまうなどデメリットもあります。

共同配送

2024年問題を解決するためには、共同配送を行う必要があります。労働時間の削減は、複数の運送会社と連携し荷物を1台のトラックで運ぶ共同配送も方法の一つです。複数の運送会社の荷物を同じトラックで運ぶことで、効率よく稼働することが出来ます。マンパワーを分け合い運送することで、少ない人数で多くの荷物を届ける事も可能です。但し、1つのトラックを複数の運送会社で運営しているため、柔軟な対応が難しくなる可能性があります。荷物の追加や現在地追跡などは工夫が必要です。

拠点の分散

2024年問題のドライバー不足を改善させるためには、拠点の分散が必要です。大きな拠点から複数の場所へ配送する場合は、走行距離が必要なため一人当たりの労働時間が長くなります。しかし拠点を各地に分散することが出来れば、配送効率の向上やコストの削減に繋がります。また災害などで足止めされる場合なども、在庫を一転集中してなければ業務を継続させることも可能です。しかし拠点を増やすことで運用コストやその拠点まで配送する時間なども必要になってくるため、コスト比較などを行う必要があります。

DX化

DX化を行う事で、2024年問題であるドライバー不足を改善することが出来ます。IT・IoTの技術を活用したクラウドサービスを利用することにより、配車や輸送計画をスムーズに行うことが可能です。DX化を行う事で、複雑な輸送システムをシンプルに管理することができ稼働時間だけでなく、人件費などの調整も効率的に行えます。メリットの多いDX化ですが、DX化を進めるためには一定額の投資と業務形態に合わせた専門家の支援なども必要です。導入する時はコスト比較などを行っておきましょう。

女性の働きやすい環境の整備

女性の働きやすい環境の整備を行う事で、ドライバー不足を補うことが出来ます。先述したように、物流業界では女性労働者が働いている割合が20%を切っており、トラックドライバーに従事している女性は3%と女性が極端に少ない業界です。男社会の環境を変え、女性が働きやすい職場環境を整える事で人材不足を補うことが出来ます。女性専用のトイレやシャワー室の整備、男性よりも荷物の重さや量を減らすなど工夫が必要です。女性が働きやすい職場は男性にとっても働きやすくなるので、結果として人材を増やすことに繋がります。

まとめ

2024年問題の実態を把握し今後に備えよう

2024年問題で考えられる悪影響や、ドライバー不足に対しての施策などについて解説しました。長時間労働が当たり前になっていた運送業界において、働き方改革関連法で時間外労働に上限を設け環境整備を行うのは一定のメリットがあります。しかし即日配送などのサービスが当たり前になっている現在では、時間外労働を制限すると物流が滞ってしまう懸念もあります。制限される中で効率よく物流運搬するためには、業務の見直しやデジタルツール導入などが必要になってきます。2024年問題の実態を把握して今後に備えましょう。

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