記事更新日:2022年01月14日 | 初回公開日:2022年01月06日
人事・労務お役立ち情報 グローバル経済 グローバル用語解説 用語集海外研修とは、グローバルな人材育成の一環として社員を海外へ派遣することです。海外に社員を派遣し現地で研修を受けたり、大学で専門分野について学んだりします。実際に海外に行って学ぶことで日本では身に付けることのできない言語力や、外国人との関わり方を身に付けることができます。また、日本と海外の違いを学ぶことで帰国した際に会社に還元できるでしょう。さらに、異文化の人とコミュニケーションを図ることで考え方が変わり、自主性や責任感の向上につながります。
海外研修の目的としては会社の将来を担うグローバルリーダーの育成です。グローバルリーダーとは、言葉だけでなく、国境や地域、文化などを越えてして幅広く活躍できるビジネスリーダーのことです。海外研修を経験することで、海外の文化に触れることができます。そのため、言語力やコミュニケーション能力、積極性が向上します。海外では自発的に学んでいくことが重要になります。さらに、主体性やリーダーシップを身に付けることができる海外研修はグローバルリーダーの育成には最適です。
海外研修の目的の1つに海外赴任候補の若手社員の育成があります。海外赴任には様々な懸念点があり、その一つが言葉の壁です。海外に行けばもちろん言葉が異なり、日本とは文化の異なる国がほとんどでしょう。いきなり海外赴任すると、困難に直面することが多く仕事が進まない可能性があります。また、海外の文化に触れたことがない人では驚くことが多くストレスの原因にもなりかねません。このような懸念点を払拭するために海外研修を取り入れている企業がほとんどでしょう。
語学研修は文字通り語学を学ぶための研修です。現在は英語圏が多くいため英語を学ぶ研修が多くなっています。海外では日常会話はもちろん、授業もすべて英語になります。そのため英語に触れる機会が増えるので、短期間での習得を実現でき、コミュニケーションを通すことで海外独特の文化も学ぶことができるでしょう。実際に海外に身を置くことで、英語に触れる機会を増やし、より短期間で習得することを目的とした研修となっています。
専門研修は、主にビジネススクールや大学などに通い専門の知識を勉強します。海外の大学で勉強では授業は、すべて英語になるため言語力の向上と専門的な知識が得られるでしょう。通訳が付くケースが多く、参加の時点で語学力がなくても参加しやすいです。国内で取り組んでいたことを研修でも学習する場合があり、比較的学びやすいと言えるでしょう。さらに、日本と海外との違いを知ることもできるため、日本に帰った際に、実際に業務に活かすことができます。
海外の会社を視察するものです。日本の企業との働き方の違いなどを学ぶことができるため、同業でなければならないというわけではありません。他業種でも、最先端の働き方、参考にしたい働き方をしている企業を視察するのがより良いといえます。日本と海外ではやり方の異なることがあるため、学ぶことが多く、実際に海外で得たことを日本の企業に導入するきっかけになります。事前に行先の会社で参考にしたいことなどを事前に研修メンバーに共有してから研修に行くとよいでしょう。
海外大学への留学は、主にMBAなどがあります。MBAとは経営学を学ぶプログラムのことです。経営学における大学院の修士課程にあたり、ビジネススクールとも呼びます。英語での講義となるため、語学力と専門性の両方を身に着けることができるでしょう。授業では、経営に必要なマネジメントや金融の知識、リーダーシップ、経済学などについて学びます。そのため、卒業後には起業する人も多くなっています。MBAには受験資格があり、ある程度の英語力と、社会人経験が必須です。
海外研修のメリットとしては、まず語学力やグローバルスキルが向上するといった点が挙げられます。実際に海外に行き、さまざまな文化の方と交流することができます。そのため、コミュニケーションを取る機会が必然的に増えることで、研修者の語学力がアップします。また、海外の知識を取り入れることで専門性が向上したり、日本との違いも学んだりすることができます。さらに、いろんな文化に接することでチャレンジ精神が芽生えたり、柔軟性といったグローバルスキルの向上にも繋がるでしょう。
海外研修に行くことで社員の人間的な成長が期待できます。海外研修は誰もが行けるわけではなく、選ばれた人のみ参加することができるため、社員の自信にもつながるでしょう。さらに、短期間で会社のお金で行くことになるため、何か少しでも学び取ってから帰ろうと意欲的になるでしょう。また、会社の改善点も見えてくるため帰国後に仕事に活かすことができます。海外では日本のような受け身な姿勢では通用しないため、積極的な姿勢が身に付くでしょう。積極的な姿勢を身に付けることで、人間的にも成長ができます。
海外研修には新しい視点や発想を得られるといったメリットもあります。海外に行くことでさまざまな方と交流をすることになるでしょう。外国の方と交流をする中で新しい発見や日本人との考え方の違い、さらに日本にはない文化などを学ぶことができます。また、外国の方との交流するうえで言語の壁、文化の壁にぶつかるでしょう。困難なことを乗り越えることで人間的な成長も期待できます。さらに、コミュニケーションを取るなかで、日本人にはない発想や、視点を得ることができるでしょう。
海外研修のデメリットとしては企業は社員の海外研修期間中の研修費用をサポートすることです。費用は研修によって異なりますが、例えば3カ月の語学研修をする場合、アメリカでは100万円、ニュージーランドで60万円ほどかかるでしょう。一方で、MBA留学は専門性が高く期間も長期になるため、費用が高くなります。アメリカのハーバード・ビジネススクールの場合、学費だけでも2年間で800万円に上ります。海外研修は、高額な研修費を支払うことがデメリットの一つです。
もう一つのデメリットとしては、高い経費をかけて海外研修をする意味があるかどうかが不透明であるということです。つまり、海外研修に行った社員が帰国後に会社の期待に応えられるかは見通しが立ちません。英語を勉強する機会を設けたのは良いが、英語を習得できず何も身にならない可能性があります。そして専門性が高ければ、これもまた頭に入らないこともあり得るでしょう。挙句の果てには、海外研修に行った社員が、辞めてしまうとなると本末転倒です。したがって、海外研修に行っても100%会社に還元されるわけではないということは肝に銘じておきましょう。
海外研修を成功させるには、事前に明確な目標設定が必須です。全カリキュラムに参加するなかで、研修を受ける社員が、研修の目的や意図をすべて理解しているとは限りません。もし目的をきちんと認識しないまま参加すると、何も学べずに終えてしまう可能性があります。そうなると、会社としてはただただ損失になってしまうため、日本にいる段階で、事前に海外研修の目的は互いに明確にしておきましょう。例えば、海外の文化や、日本と海外の仕事の方法の違いを学ぶなど具体的にビジョンを設定してあげると良いでしょう。
研修先との情報共有は海外研修を成功させるための重要なポイントといえます。研修先とは、研修にあたり目的やプロジェクトなど、入念に情報共有をしておくと良いでしょう。なぜなら、研修の情報が上手く伝わっていないと、先方の研修先は何をしていいのかわからないからです。研修先が毎回同じ場所の場合、お互い研修内容や目的などの伝達は意思疎通できていますが、異なる場合は研修先に、社員に学ばせたいことをその都度伝えるべきです。また事前に研修生にも、オリエンテーションを数回行い、目的と学ぶべきことを伝えておくことも重要です。双方に情報共有しておくことで、研修先と研修生に研修をする意図が伝わり、研修生は実のある有意義な時間を過ごせるでしょう。
くわえて海外研修を成功させるには、研修前後のフォローアップは必要不可欠です。研修前に、異文化交流にあたりコミュニケーションの大切さや自主性が肝心なことなどに関する座学をしても、すぐ研修中に体現することはなかなか難しいものです。そのため研修後、学んできたことや行く前と変わったこと、小さな変化でも良いので意見を出し合い、気づきを共有しましょう。そうすることで、業務に関する知識はもちろん人間的にも成長を実感し、仕事に向き合う姿勢が変わってくるはずです。以上のことから、海外研修に行く際は研修前後のフォローアップを大切にしましょう。
海外研修を取り入れている会社の例として、株式会社ヤクルト本社があります。ヤクルトでは国際塾という育成プログラムを実施しています。海外で働きたい人や、国内での海外関連業務に携わりたい人を対象にしたもので、研修は全6回です。3回目の研修で目的別に分かれて研修を行い、帰国後英語でプレゼンテーションをすることにより英語力を伸ばします。さらに、個人面談を行い次回の目標などを明確にし、研修は終了。これら海外研修からその後のフォローまで全カリキュラムを行うことで、ヤクルトには優秀な人材が育成されているのです。
もう一つの海外研修を取り入れている会社の例として、キヤノン株式会社があります。キヤノン株式会社ではさまざまな海外研修を行っています。そのうちの1つが若手社員を対象としたトレーニー制度というものです。トレーニーとは研修生という意味で現地で研修を受ける人という意味です。キヤノンにはアジアトレーニー制度と欧州トレーニー制度が存在します。どちらの制度でも現地の大学で半年ほど語学研修を受けます。その後に、年間トレーニーとして現地の法人で実務を経験するようになっています。長期スパンで若手社員、経営層を強化することで、キヤノンでは国際舞台でリーダーシップの執れる人材を育成しているようです。
海外研修にはメリットのほうが多く、デメリットをあまり感じさせません。社員の成長につながり、海外企業の働き方を取り入れるよい機会になります。さらに、グローバルリーダーを育成したい会社にとっては大きな一歩になります。また研修によって優秀な人材を見つけている会社や、若手社員のうちから海外研修を導入することでグローバルな人材を育成している会社も多いようです。ぜひ、本記事を参考にして海外研修を取り入れ、グローバルな人材を育成しましょう。
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