記事更新日:2023年09月19日 | 初回公開日:2023年09月19日
用語集 人事・労務お役立ち情報 採用・求人のトレンドエレベーターピッチとは、30秒ほどの短時間で相手を引き付ける話し方のことです。単にピッチと呼ばれることもありますが、他の意味のピッチという言葉と判別するためにもエレベーターピッチと呼ばれます。エレベーターが下から上に上がる短い時間(逆も同じ)に、どれだけ自分をアピールできるかという意味からきた言葉です。短い言葉に思いを込めたり上手く伝えたりすることは難しく、企業でのプレゼンや就職活動などで注目されています。
エレベーターピッチができた背景には、多忙な顧客に対して短時間でアピールする必要に迫られたことから始まりました。獲得したい顧客は他の企業も欲している顧客であることが多く非常に多忙であり、限られた時間で自社や製品をアピールしなければいけません。伝えたい重要事項を与えられた短時間で他者よりも魅力的に話し、商談にまで持ち込めるようにするために考えられた話し方です。自由な時間が少ない人に対して、短いスピーチを聞き入れさせることが勝負になります。
ビジネスの交渉に役立つ言葉として生まれたエレベーターピッチですが、現在では就職フェアや社員コミュニティにおいて有効とされています。短時間で自分の長所をアピールし、順序良く相手に好奇心を持たせる言葉選びと話し方は就職活動などにおいて非常に役立つからです。面接などにおいても自己紹介は欠かせないものであり、短く簡単とは言いながらも相手に興味を持ってもらう必要があります。やはり最初の言葉が相手に与える影響は大きく、他の人に差をつけるためにもエレベーターピッチは有効な手段です。
ビジネスの場面で自己紹介は欠かせません。限られた時間でスピーチをする際も短い自己紹介は省かないものです。その中で自分を上手くアピールすることが重要であり、その後に続くプレゼンなどにも大きく影響します。言葉選びだけでなく相手の目を見て話すことも大事で、軽いジョークなどを交えながらも礼儀正しい印象を与えなければいけません。聞き手となるオーディエンスの情報なども事前に入手し、相応しい内容を考えておきましょう。
エレベーターピッチの構成で重要なのは、ピッチの中で相手の興味関心を惹く問題提起をすることです。聞き手が関心を持つことを話すとともに問題提起をすることで、相手方は関心を持って考えることになります。これによって話の中に引き込むことが可能になるのです。単に問題提起をするのではなく、相手が聞きたいと思うことを問題として選択することが重要になります。ですから、相手が知りたい事や求めることを事前に調査したうえで、さりげなく問題提起して自然に話に引き込むことが大事です。
問題提起をしたからには、相手が求めている解決法を伝えなければいけません。単に解決策を伝えるのでは他社と変わらないため、いかに魅力的な解決法であるかを簡潔に伝える必要があります。遠回しに話しても相手をイラつかせるだけであり、大きな効果は得られません。求められる解決方法を先に伝えたうえで、その解決策の魅力を後付けして説明する方が聞きいものです。余計な修飾語などは使わずに、解決法と他社との違いを明確に提示しましょう。
問題を解決することにより、相手方がどのようなメリットを得られるかを説明することも重要です。分かっていることであっても、魅力的な言葉を使い他社よりも優れた部分があれば強調して話すようにします。一次的なメリットだけでなく、連鎖でおきる二次的なメリットなども考えてみましょう。更に好循環が連鎖することも多くあります。誇張し過ぎない程度で、メリットが他社よりも多いことを事実や経験を裏付けとして話すようにすると良いでしょう。
エレベーターピッチに欠かせないのが「GTCメモ」で、最初の「G」は「Goal」です。エレベーターピッチで言うゴールとは、ピッチをする本人が最終的に到達したいと考える結論や目的のことを言います。新商品を売りたい、希望の企業と深い関わりを持ちたいなどもゴールです。ゴールである目的などが明確でなければ、目標達成は難しくなります。できれば具体的な数字に表してみることなどによっても、目的を達成するために有効になるでしょう。
「GTCメモ」の「T」は、相手の希望や要望を意味する「Target」です。相手が興味のないことをいくら魅力的に話したところで、エレベーターピッチでの成功はあり得ません。相手が欲することを満たすことにより満足させることができます。その方法や過程を魅力的な言葉で話すことにより、相手はこちらの話に耳を傾けてくれるのです。相手が求めているものや、痒い所に手が届くような相手を満足させるターゲットを根気よく見つけましょう。
「GTCメモ」の最後の「C」は、「Goal」と「Target」の一致点となる「Contact」です。自分が求める目標である「Goal」と、相手方が欲する「Target」の両方が満足できるものであれば最高の結果となり、ウインウインの関係が作れます。それは双方が良好な関係を長く維持する事も示唆するものです。こうした順序でエレベーターピッチを完成させることにより、相手側に他社よりも魅力的な提案であることをイメージさせることができます。
エレベーターピッチのメリットの第一は、アピールする機会を増やせるという点です。エレベーターピッチは前述のように30秒程度の短い時間で自社商品の魅力などを要約して話す手法になります。そして短い文章としてまとめながらも、相手方が興味を持って話を聞いてくれることが最大の魅力です。こうした手法を身に付けることにより、他社をはじめ外部に向けてアピールする機会が増えていきます。外部へのアピールは企業の宣伝にもなり、思わぬ副産物も期待できるでしょう。
スピーチ力の向上は、コミュニケーションの質や表現力にも良い影響を与えます。コミュニケーションの質や表現力などが向上することにより、社内の雰囲気も明るく活性化したものになるはずです。企業のポテンシャルも上がり、企業としての価値も上がります。人材確保が難しい時代においても魅力的な企業には優秀な人材が自然に集まるでしょう。また、魅力的な企業と関係を持ちたい企業も増えるため、企業としての幅が広がるとともに企業の繁栄に繋がることは間違いありません。
エレベーターピッチは、昨今システムやソフト開発の主流となっている「アジャイル開発」においても活用できます。アジャイル開発では、計画-設計-実装-テストという4つ工程を繰り返すことでシステム開発などに繋げる方法です。「アジャイル」という言葉は日本語で「素早い」などという意味であり、まさに必要最小限にまで要約したエレベーターピッチがピッタリとはまります。更にプロジェクト参加者が同じ目標を持つことにより一体感を持つことができ、サービス実践までの時間を短縮するなど大きな効果を与えることでしょう。
エレベータピッチは短い時間で話せるように要点を上手くまとめることが重要であることは前にお話しした通りです。ただし、短くまとめることにだけ集中してしまっては、相手が求めるターゲットや自分が求めるゴールがブレてしまうこともあります。ターゲットやゴールがぼやけてしまっては最終的なコンタクトもブレてしまうでしょう。そうならないように、重要な部分は書き出して適切な言葉を選ぶようにしてください。まとまった美しい文章であっても魅力的な提示でなければ受け入れられないことを忘れてはいけません
"エレベータピッチをするときには、ゆっくりかつはっきりと話すことが重要です。とくに商品やサービスを提案するプレゼンの時などは、短い時間で話そうとするあまり、早口になってしまいがちです。プレゼンはこちらから話すものですが、相手に聞いてもらう会話であると考えましょう。プレゼン後に相手方からの質問がされやすいように、お互いの会話を意識することが大事です。プレゼンは一方的に話すものではなく、相手が興味を持ちもっと聞きたくなるようにゆっくりと落ち付いて話しかけてみましょう。
エレベータピッチの作成や話し方などを解説しましたが、実際にスピーチするときは勝手が違うので戸惑うことも多くあるでしょう。そのため、どんな状況下にあっても冷静にスピーチが続けられるように練習を繰り返しておくことをおすすめします。大勢の人を前にするときや身分の高い人の前で話すことは緊張するものです。また、頭で考えることと実際に声に出すことは大きな違いがあります。何度も繰り返して練習することで話し方も自然になり、聞く方にも余裕ができ魅力的なプレゼンになるはずです。
"企業でエレベーターピッチの活用例として有名なのは、フリマアプリの第一人者である「メルカリ」です。メルカリではエレベーターピッチの構成7要素と呼ばれるものを上手く使っています。第一のニーズは「自分のものを売りたい」、第二の顧客ターゲットは「若者女性主体」、第三のプロダクト名は「メルカリ」です。続く第四のカテゴリーは「フリマアプリ」で、第五の提供価値は「持ち物を出品して販売できることであり、第六の競合は「ヤフオク」と言っています。そして最後の競合他社との差別化は「モバイルアプリだけで簡単に出品できる機能を持つ」と、簡単かつ関心を持たれるようにまとめているのが特徴です。
エレベーターピッチは、その手法をプレゼンなどに使う事も非常に有効ですが、他の分野にも応用できる効果的な文章作成およびスピーチ方法です。また、組織でエレベーターピッチを利用すれば、共有の目的やターゲットを持つことができ、大きな力になり得ます。エレベーターピッチは単に相手に自社や自分をアピールする方法ではなく、ビジネスチャンスを大きく切り拓くための効果的な手法です。ぜひエレベーターピッチの特徴を生かし、ビジネスチャンスを拡大するようにチャレンジしてください。
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