記事更新日:2023年06月20日 | 初回公開日:2023年06月20日
用語集 グローバル用語解説 人事・労務お役立ち情報レディネスとは、学習の為の準備状態を指す心理学用語の事です。1913年に心理学者のエドワード・L・ソーンダイクによって提唱されました。学習する為の前提条件として、知識や経験・環境などが整っている状態の事を指している為、学習の場においてレディネスは欠かせない物だとされています。レディネスが整っている学習者は積極的に学習を行っていきますが、レディネスが整っていない学習者はそもそも学習に興味がなく効果に繋げることは難しいとされています。
レディネスには、デジタルレディネスという種類があります。昨今では、日本でも多くの企業がITを活用してビジネスモデルや組織の変革を行っていくDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいます。こういった社会情勢の変化や時代の流れに対応し、デジタル化に備えて行くことを「デジタルレディネス」と言います。デジタルレディネスが整っている人材が多い企業では、DX化に向けた業務推進が行いやすいと言えます。
レディネスの種類として、就業レディネスがあります。就業レディネスとは、学生から新入社員として入社する為の心構えが整っている状況の事を言います。就職活動を通して自己分析や自己理解を深め、社会人として働く自覚が芽生えている人の事です。就業レディネスが整っている人は、入社してからも新人研修やOJTに積極的に参加することが出来ます。反対に就業レディネスが整っていない人は、内定辞退や早期退職に繋がりやすくなっています。
職業レディネスも、レディネスの種類の一つです。特定の業務に強い関心や興味があり、その業務を遂行できるという自信を兼ね備え企業から期待される役割を果たす為の準備ができている事を職業レディネスと言います。職業レディネスを判断する際は、職業レディネス・テストを行うことで興味・関心が何に向いておりどの位自信を持っているのかを判断出来ます。定期的に人事面接などで活用することで、配置転換を的確に行うことも可能です。
レディネスと関連する心理学用語に、ゲゼルの成熟優位説があります。子供の学習に関して心理学では、学習優位説と成熟優位説があります。学習するには早ければ早い程と考える学習優位説と一定の成熟をしており学習をする準備が整っていないと学習する意味がないと考える成熟優位説です。レディネスは成熟優位説に基づいた考えになっています。ビジネスにおいても、階層別研修などに応用されており環境が整った状態で研修をすることで、効果をより高めることが出来ます。
レディネスは、離職を防止する効果があります。新入社員が入社前のイメージと入社後の現実とのギャップからネガティブな感情を抱くことを、「リアリティショック」といいます。企業内での変化にうまく対応出来ない場合、レディネスが低下して離職に繋がりかねません。リアリティショックを防ぐために、内定者研修など入社前に企業を知ってもらう仕組みづくりを行い、就業レディネスを整えて離職を防止しようと考えている企業が増えています。
レディネスが注目されているのは、生産性が向上するからです。レディネスが整っている人材は時代の変化により生じた新しい業務や、新しい業務に必要なスキルの学習・取得にも積極的に取り組みます。レディネスが整っている人材は、従来のやり方などに捉われることなく新しいアイデアやビジネスを生み出す可能性を持っています。その為、レディネスが整っている人材は企業の業績にも貢献できる能力を持っており、生産性向上に繋げることも可能です。
レディネスが注目されている理由は、企業のイメージが向上する為です。従来では売上を上げている企業に人材が集中していましたが、高い給料を払うだけでは人材の確保が難しくなっています。その為、人材育成や従業員が働きやすい環境を提供している企業が求職者に強い魅力となっています。企業のブランドイメージが向上することで、結果として売上アップやより良い人材を採用する事が可能です。レディネスを意識して適材適所の人材育成を行い、更なる企業のイメージを向上させることに繋がります。
新入社員の育成に繋がるのも、レディネスが注目されている理由です。社会人は、職場や地域社会など様々な環境の人と仕事をするために「社会人基礎力」を求められます。経済産業省によると、社会人基礎力は「考え抜く力」「チームで働く力」「前に踏み出す力」の3つの力によって構成されています。新入社員が社会人基礎力をしっかりと身に付ける為にも、レディネスを整えることが大切です。レディネスを整えることによって、新入社員の時期からキャリアを切り開く一歩となります。
ミスマッチの防止効果があるのも、レディネスの特徴です。新卒社員が入社して3年以内に離職してしまう確率は約3割です。これは2009年以降変わっていない為、新卒採用を行っている企業は学生とのマッチ度を高めて入社後にミスマッチが起こらないようにしなければなりません。レディネスを上手く活用し、メリットばかりを見せるのではなく現実に沿った仕事内容を開示する事で学生の納得度を高めることが出来ます。納得度が上がることで、レディネスが向上しミスマッチを防ぐことが可能です。
その人のレディネスがどれくらい整っているのかを判断出来るのが、レディネスレベルです。レディネスレベルは意欲と能力で構成されています。レベル1は能力と意欲がどちらとも低い状態を指しています。レベル1の人は、言い訳が多く納期までに仕事が終わらないといった人が多い傾向です。まずは意欲を引き出すために働くことに前向きになるような指導が必要です。レベル1の人は指導側の力量も問われる為、教えることに集中しプレッシャーを掛け過ぎてしまわないことが大切です。
能力が低く、意欲が高いのがレディネスレベル2の人です。レベル2の人は、積極的に人の話を聞き素早く行動に移すことが出来ますが、業務の目的を理解できておらず結果を重視する傾向にあります。意欲は高いので、教育の仕方によっては能力を伸ばしていくことが出来ます。レベル2の人を指導する場合には、しっかりとコミュニケーションを取り、どういった役割を担っているのかを説明することが大切です。業務に納得感を得られることで、仕事への責任感へと繋がっていきます。
レディネスレベル3の人は、能力が高く意欲が低い人が該当します。レベル3に該当する人は、仕事をやらされている感が強く新しい業務に着手するまでにとても時間が掛かります。仕事を行うことにストレスを感じている人も多い為、仕事が出来るのにやる気がないと見られがちです。やらされている感を強く感じているレベル3の人には、業務の決定を一緒に行うことや仕事ぶりを褒め信頼関係を構築することが大切です。積極的に参加させることによって、チームの一員であるという意識が芽生え業務態度の改善を行うことが出来ます。
能力と意欲がどちらとも高く、上司や先輩から指導や意欲換気などを全く必要とせず頼りになるのがレベル4の人です。レベル4の人は、報連相を適切に行い1人で業務を遂行できる能力があります。それだけでなく、チームメンバーに協力的なサポートを行いチームの責任を引き受けることも出来ます。レベル4の人には、必要な時にサポートだけを行い成果を報告して貰う自律した関係性が適しています。お互いが自律した関係性を築きつつ、部下の中長期的なビジョンの方向性を明確にしていきましょう。
レディネスを把握するには、レディネステストを受けさせましょう。レディネステストとは、イメージや動機に対してどれだけ理解しているかを図ることで、仕事に対しての興味や関心・自身の人となりなどを確認するテストです。職業レディネステストを行うことで、テスト受講者がどういった業務に適しているのかや、職業に対してのレディネスを図る事が出来ます。テストを行うことで受講者の仕事に対しての意欲や能力などを把握出来る為、人事異動や配置転換に役立てることが可能です。
レディネスを高める方法は、ARCSモデルを参考にする事です。ARCSモデルは、1983年に教育心理学者のジョン・ケラーによって提唱された学習意欲向上モデルです。「注意喚起(Attention)」「関連性(Relevance)」「自信(Confidence)」「満足感(Satisfaction)」の4つの頭文字を取っています。ARCSモデルは教育の場で指導者が取るべき行動を提示する役割があります。部下のレディネスを高めるためには、ARCSモデルを理解し指導に生かしていくことが大切です。
レディネスを活用する際には、適切なコミュニケーションを心がけましょう。従業員同士がしっかりとコミュニケーションを取り、信頼関係を構築出来ている企業は人材の定着率が高まります。厚生労働省の調査によると、働き方の希望や自身のキャリア展望についてしっかりと意思疎通が出来ている企業は出来ていない企業に比べて離職率が低い事が分かっています。レディネスを活用して、部下の興味関心を理解し能力に合った人材配置を行うことが重要です。その為にも、部下とは適切なコミュニケーションをを取ることを心がけましょう。
レディネスの種類や注目されている背景などについて解説しました。レディネスは学習の為に必要な心理状態を意味しています。4つのレベルに分類することが出来る為、入社時にレディネステストを実施する事で能力や意欲がどれくらいあるのか、何に興味関心を持っているのかを図る事が可能です。行ったテストを元にして適切な人材配置や教育の方法などが分かり、従業員に合った対応を行えます。離職率低下や企業のイメージアップに繋げるためにも、レディネスを高めて従業員の学習意欲を引き出していきましょう。
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