プレゼンティーズムとは【アブセンティーズムとの違いや対策法について解説します】

記事更新日:2024年05月01日 初回公開日:2024年05月01日

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体調が悪いのに無理をして出社したことはありませんか。休んだら迷惑をかけてしまうと、我慢して仕事をした経験がある人もいらっしゃることでしょう。このように、体調が悪いのに無理に出勤するものの、仕事の効率を低下させてしまうことを「プレゼンティーズム」と呼んでいます。自分が欠勤することで他の人に負担がかかることを気にして無理に出勤しますが、作業の効率を大きく低下させるため、企業と従業員の双方から注目されている問題です。ここでは「プレゼンティーズム」の意味や抱える問題点などから、プレゼンティーズムに陥る原因や対策方法まで詳しく解説いたします。

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プレゼンティーズムとは

出勤しているがパフォーマンスが上がらない状態のこと

プレゼンティーズムとは、出勤しているがパフォーマンスが上がらない状態のことを言います。欠勤には至らないものの、何らかの体調不良を抱えながら仕事をするため、十分な能力を発揮できません。そのため生産性が低下することになり、企業に損失を与えると考えられることから、「可視化しづらい損失」とも呼ばれています。本人からの申告や医師の診断などがなければ企業で把握することとは難しく、対策を立てづらいこともプレゼンティーズムの大きな特長です。

アブセンティーズムとの違い

アブセンティーズムとは、仕事を休業、もしくは欠勤している状態のことを指す英語です。心身に不調をきたしていることはプレゼンティーズムと同じですが、自ら企業に対して体調不良を明示し、早退や休業を申し出て仕事を拒むことが大きく異なります。そのため、プレゼンティーズムでは体調が悪く仕事の効率が落ちるものの、出勤しているため補充の人員は不要です。アブセンティーズムでは職場を離れることや休業することを申告しているため、企業では補充人員を用意する必要があります。

プレゼンティーズムが発生する原因

多少体調が悪くても出勤するという企業風土が残っているため

日本では多少体調が悪くても出勤するという企業風土が残っているため、プレゼンティーズムが多発すると言われています。欠勤することによって同僚や企業に負担や迷惑がかかるため、多少の体調不良は我慢すべきであるという考え方です。有給休暇の取得が義務化されても状況は変わらず、出勤数が減ることで突発的な休みは他に負担をかけると考えて、多少無理は我慢すべきとの考えが広く行きわたっています。余裕のない最低人数で業務分担をしている企業も多いため、プレゼンティーズムが発生することに繋がってしまうのです。

片頭痛

日本人の約10人に一人が片頭痛に悩まされているといわれます。片頭痛はれっきとした体調不良ですが、原因は様々で慢性の片頭痛に悩まされている人も少なくありません。原因がはっきりしないだけに特効薬もなく、病気としての認識が薄いことから我慢して仕事をする人も多くいます。しかし片頭痛を抱える人の半数以上が、生産性が50%以下に低下するというデータもあり、プレゼンティーズムが発生する大きな要因となっているのです。

月経不順やPMS

月経不順やPMSは女性特有のものであり、男性に知られることに抵抗を感じる人も多いようです。そのため、無理をして出勤する人も多いようですが、個人によって症状が異なります。重度の人に至っては仕事も手につかない状況であり、仕事に影響を及ぼすことは免れないでしょう。生理休暇を与える企業も多くなりましたが利用者は少なく、プレゼンティーズムによって、一人当たり年間で8~9日の総生産性損失をもたらすと言われています。

メンタル不調

メンタル不調はアメリカなどでは約5割の人が悩んでいるとも言われており、日本においても増加傾向にある現代病です。原因は、人間関係のトラブルや生活習慣の乱れなどと言われていますが、はっきりと判明することは多くありません。日本においてメンタル疾患は増加傾向にあるものの、会社に知られたくない病気の一つです。そのため無理をして出勤すれば、病を重篤化する可能性があるとともに、プレゼンティーズムに陥って生産性を低下させることになるでしょう。

プレゼンティーズムによる損失

1人当たり60~139万円

プレゼンティーズムによる損失は、年収400万円をベースに考えると、1人当たり60~139万円にのぼると言われています。また、プレゼンティーズムによる損失割合は男性よりも女性の方が大きく、ストレスの度合いが増すごとに損失額が増える傾向にあるようです。つまり、多くのストレスを受けたり抱えたりするほど、生産性は低くなるということになります。健康な人に比べて過度なストレスを受けた人は、2倍以上の損失を計上してしまうことを覚えておきましょう。プレゼンティーズムに陥った社員が二人いたならば、一人欠勤しているのと同等の生産性になると考えられます。

プレゼンティーズムに対処するメリット

組織が活性化し生産性が向上する

プレゼンティーズムに対処する大きなメリットは、組織全体が活性化し生産性が向上することです。プレゼンティーズムを抱えたままでは、出勤してもミスが増えるうえに作業効率も良くありません。プレゼンティーズムに対処することで、ミスが少なく生産性の高い効率よい作業が期待できます。作業ミスは、それに対処する作業も伴うため、ミスを減らすことは言葉以上に生産性向上に寄与するものです。皆が体調万全な状態で作業ができれば、組織全体に活気が溢れ、生産性が向上することも間違いありません。

プレゼンティーズムを把握する方法

健康経営評価指標をもとに該当者を抽出する

プレゼンティーズムを把握する方法として、健康経営評価指標をもとに該当者を抽出することが挙げられます。プレゼンティーズムに陥っていても会社には出勤しているため、誰が該当者で病んでいる程度も把握することができません。該当者を知ることにより、効果的な予防策や解決策を打つことができるため、必ず行わなければいけない施策です。プレゼンティーイズムの計測は、質問紙を用いて自己記入形式で回答してもらいます。この回答から指標を割り出し、業務パフォーマンスの低下がどの程度かを把握できます。

ストレスチェックを行なう

定期的にストレスチェックを行なうことも、プレゼンティーズムを把握する良い方法です。労働安全衛生法では、50人以上の従業員が常時在籍する事業所に対し、1年に1回のストレスチェックを義務付けしています。この回答の中にはメンタルヘルスの不調を訴えるサインが現れており、有効に使うことが大切です。ストレス社会ともいわれる昨今では、多数の人が多様なストレスに悩まされており、人知れず心身の不調と戦っています。そのことに早く気付いてあげることで、企業の生産性はアップし、企業への信頼も厚くなるでしょう。

従業員調査を行なう

個々の従業員調査を行なうことも、プレゼンティーズムを把握する方法の一つです。ただし、従業員間での問題や上司から受けた抑圧などが原因となっていることも多いため、匿名や秘密を守ることを約束して行う必要があります。周囲に知られてしまっては、個人の立場が難しくなり、かえってストレスを増やすことにもなり兼ねません。アンケート調査などでは、人事部門の人などが直接用紙を配り回収することが大切です。たとえ人気のある上司であっても、職場内の人の目に触れさせない工夫をしてください。

ラインケアを強化し組織単位でキャッチアップする

ラインケアを強化し組織単位でキャッチアップすることで、プレゼンティーズムを把握するとともに未然に防げることも多くあります。ラインケアとは、職場のライン上にいる上司が、部下の異変に早期に気付いて対処することです。プレゼンティーズムは体調不良を隠して行うことが多く、表面化されにくくなっています。対応が遅れると重症化してしまうこともあるので、直属の上司が部下の異変に気付いて、早めに声をかけてあげることが大切です。働き方改革などによりコミュニケーションが希薄になりがちですが、なるべく部下と話す機会を持つようにしましょう。

プレゼンティーズムへの対処方法

声掛けを行なう

プレゼンティーズムへの有効な対処方法として、声掛けを行なうことが挙げられます。体調が悪そうな人に声をかけるようにし、具合が悪ければ無理をして働かなくていいということを伝えてあげましょう。そして声かけを続けることで、体調がすぐれない時には無理に働かなくていいという風土をつくることが肝要です。また、職場内でお互いを気遣い声掛けする習慣が身につくことで、職場のコミュニケーションが活性化することに繋がります。日頃から従業員同士でお互いを気遣い、フォローし合う気持ちが見られるようになれば、無理をして働く人は少なくなるでしょう。

お互いにサポートする

プレゼンティーズムに陥る大きな原因は、自分が休むことで他の人に負担がかかってしまうという考え方によるものです。従業員の心中に「お互いにサポートすることが当然である」という気持ちが定着することで、相互サポートも仕事の一つであるという環境が育ちます。そして、健康な状態で仕事をすることが重要であるという意識が従業員に根付くことにより、体調が悪い時には無理せず休めるようになるでしょう。プレゼンティーズムを回避するためには、心理的安全の確保が第一であり、職場内に「お互いにサポートする」するという意識づけが有効になります。

ハラスメントに気を配る

ハラスメントに気を配ることも、プレゼンティーズムへの対処方法の一つです。プレゼンティーズムの原因は体調不良であり、体調不良はストレスと深く関係しています。どんな種類のハラスメントであっても、相手にストレスを与えて体調悪化を招く要因となります。そしてハラスメントに怯えるあまりに、無理をして働こうとする慣習が生まれてしまうのも事実です。とくに女性特有の月経不順やPMSに至っては、職場内の雰囲気によって非常に言い出しにくいものです。職場全体がハラスメントに対する正しい知識を持つことで、体調不良を相談できる環境が整います。

相談窓口を設ける

企業側が相談窓口を設けることで、プレゼンティーズムの対処に大きく貢献するでしょう。プレゼンティーズムに陥った多くの人が、誰にも相談できず一人で悩みを抱えています。このような状況では、プレゼンティーズムを回避するどころか、体調不良を悪化させることになってしまうでしょう。できるだけ早く相談に乗れるように、窓口を設けることは非常に重要です。できれば匿名で相談できるような専用ダイヤルを用意することや、相談する際には別室を用意するなど、相談者への配慮を欠かさないようにしましょう。

健康経営を促進する

経済産業も推奨する「健康経営を促進」とは、プレゼンティーズムへの対処として非常に有効な考え方です。健康経営とは、従業員の健康を第一と捉え、従業員の健康づくりに投資することで企業経営も安定維持できるというものになります。実際に健康に不安を抱える従業員の作業効率は著しく低下するため、従業員の健康維持することは企業の生産力向上に大きく寄与します。また、企業側が従業員を気遣う姿勢を見せることで、従業員のモチベーションアップやエンゲージメント向上にも繋がることでしょう。

まとめ

プレゼンティーズムに対処し働きやすい職場を実現しよう

プレゼンティーズムでは、一人が体調不良を我慢して働くことで、他の人にも無理をさせるような企業風土を助長します。プレゼンティーズムを対策するためには、個々の意識改革とともに、企業風土を変えていくことが必要です。しかし、自分が他に迷惑をかけてしまうという考えが根底にあるため、企業側でのフォロー体制も不可欠になります。まずは、無理をして仕事をしても、ミスを増やし生産性を低下させるだけで、企業側もそれを望んでいないことを示すことが重要です。ぜひ、プレゼンティーズムに対処する工夫を施し、従業員が働きやすい職場を実現しましょう。

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