ARCSモデルとは【4要素企業への活用事例をご紹介します】

記事更新日:2021年12月21日 初回公開日:2021年11月25日

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ARCSモデルという言葉をご存じでしょうか。ARCSモデルとは、教育現場における学習意欲向上のために考えられた、動機付けのモデルです。近年ではビジネスシーンでも、人材育成にARCSモデルを用いることが注目されています。今回は、ARCSモデルの基礎知識と、企業において実践できるARCSモデルの活用方法を解説していきます。

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ARCSモデルとは

ケラーが提唱した自発的に学習意欲を高めるモデル

ARCSモデルは、教育心理学者であるジョン・ケラーによって提唱された、学習意欲向上のための動機付けをモデル化したものです。その特徴は、「Attention(注意)」「Relevance(関連性)」「Confidence(自信)」「Satisfaction(満足感)」の4つの側面からアプローチして、学習者の意欲向上を維持継続させることを目的とした考え方であり、多くの教育現場で採用されています。

教育現場や企業での人材育成にも活用できる

ARCSモデルは元々、こどもや学生に向けた授業の魅力を高めるために考えられたもので、多くの教育現場で採用されています。このモデルの本質は、「本人のやる気を引き出してモチベーションを維持させる」ということにあり、さらにその実用性の高さから、人材育成のためにARCSモデルを導入する企業が増えています。社員の自発的な学習意欲を引き出すことができれば、業務の効率化や生産性の向上につながり、企業の発展を促進させることができます。

ARCSモデルとインストラクションデザイン(ID)の違い

IDは教育の効果・効率・魅力を高める手法

インストラクションデザインとは、直訳するとInstruction(教育)Design(設計)。教育において、最適な効果を得るためのプロセスを構築することを指します。日本では2000年頃からeラーニング(情報技術を用いた学習)が普及しはじめましたが、eラーニングは学習者の自由度が高い分、やる気の喚起やモチベーションの維持に不安が残り、それを補う形で、学習環境の「効果」「効率」「魅力」を高めることを目的としたインストラクションデザインが広まったのだといえます。

ARCSモデルは「魅力」の向上に着目したIDの1つ

インストラクションデザインには複数の理論があり、代表的なものに「ADDIEモデル」「ID第一原理」などがあげられますが、ARCSモデルもインストラクションデザインの理論の一つ。よい教材の準備も、しっかりと計画を立てることも重要ですが、学習者のやる気がなければ意味を失ってしまいます。そこで、どうしたらやる気が出るような学習内容にできるか、つまり、いかにして学習内容の「魅力」を高めることができるか、ということにフォーカスしてARCSモデルは作られました。これを活用することで、指導者側の工夫すべき点が明確になり、より魅力のある学習内容にすることができます。ここからは、ARCSモデルを構成する4つの要素について詳しく解説していきます。4つの要素は、それぞれ3つの観点に分けて考えられており、それらに沿って学習内容を分析することで、より魅力のあるものになっているかどうか、また改善点を発見できるようになっています。

ARCSモデルの4要素

Attention(注意)

人間は、興味がないものには当然関心が持てません。関心が持てなければやる気も出ません。まずは「面白そうだ」と興味を持たせて、「もっと知りたい」という好奇心や探求心をくすぐり、また注意を持続できるように、マンネリを防ぐことも必要です。

知覚的喚起

<関心を持たせて知覚レベルの好奇心を喚起し、興味を持てるようなことができているか>最初に注意を引くことができなければ、学習者の意欲は引き出せません。例えば思わず敬遠してしまうような難しいタイトルから、学習者が気軽に取り組めるようなタイトルに変換するだけでも、かなり印象は違います。

探究心の喚起

<「もっと知りたい」と探求的な行動を引き出せているか>授業中や講義中には触れない、文献などの参考資料を掲示するなどして、さらに深く知りたい、もっと調べてみたい、と自主的に学習につながるような工夫をしましょう。

変化性

<注意を持続させられるよう、内容に変化を持たせているか>集中力を持続できるように、座学と実践を交互におこなったり、ときには映像学習を取り入れたりと、マンネリ化させずに学習者を退屈させないようにすることが求められます。

Relevance(関連性)

多くの学習者が感じるであろう「この勉強をして一体何の意味があるのか」という疑問。何のためにこの学習をするのか、価値を見出すことができれば、「やりがいがありそうだ」と学習者の意欲は向上します。学習を身近なものとして親しみながら、学習者と学習内容の結びつきを強くしていくことを目指しましょう。

親しみやすさ

<学習者の経験と学習内容を関連づけられているか>学習者が過去に経験してきたことや興味関心があること、または得意分野に関係した学習内容であれば、親近感が湧きやすく、苦手意識を持たずに取り組むことができるでしょう。

目的指向性

<学習者の目的や目標と、学習内容を結び付ける工夫をしているか>学習者の目指すゴールや目標と、学習内容が関連付けられるようにすることで、学習する意味を見出し、自分の役に立つものだと感じることができます。

動機との一致

<目的を持たない学習者に対しても、学習に関与させるための動機付けがされているか>例えば、学習する目的をディスカッションしてもらうこと。頭の中を整理して発信することで、自分の中に落とし込むことができ、そして学習内容を自分ごととして捉えられるようになります。

Confidence(自信)

自分に自信が持てないと、どうしても消極的になり「どうせ無理だ、できない」と諦めてしまいます。学習者の自信を高めるには、成功体験を積み重ね、その成功が学習者の努力の賜物である、という実感ができるようにします。そうすれば、「自分はやればできる」というポジティブな思考ができるようになるでしょう。

学習欲求

<学習者が意欲を持てるような学習内容になっているか>「これなら自分にもできるかもしれない」と、スキルや知識の獲得に期待感を持てるようなものにします。簡単な内容からはじめられるものであれば、あまり自信のない学習者でも取り組みやすくなりますね。

成功の機会

<小さな成功を重ねていく機会を与えられているか>学習の難易度が高すぎると出鼻をくじかれてしまうため、まずは目標を低く設定して、少しずつハードルを上げていき、小さな成功体験を積み重ねていけるようにすると、段々と自信を高めていくことができます。

コントロールの個人化

<学習者の成功が自分の努力によるものだと確信が持てるようにできているか>自分の選択や努力が成功につながるということを認識し、それを信じることができたとき、学習者はより行動に自信を持つことができます。自信がそのレベルに達するまでは、着実に成功体験を積んでいきましょう。

Satisfaction(満足感)

学習したことによる効果や成長の実感ができないままだと、モチベーションが低下してしまいます。そのため重要なのは、「やってよかったな」と満足感を得られるようにし、さらなる学習への意欲につなげること。努力を認め、公平な評価をおこない、常に新たな学習の手助けをすることで満足感を高めることができます。

内発的な強化

<身につけた知識を活かせる機会を与えられているか>学習者が自信を持つことができ、やる気があるうちに、学習で得た知識を役立たせる機会を設けましょう。学習したことによってできるようになった、という経験が学習者自身を満足させ、次のステップへのモチベーションになります。

外発的報酬

<学習者の行動や成果に対し、報酬や賞賛を与えているか>学習したことによる効果やメリットをより実感するためには、周囲からの賞賛や何かしらの報酬を与えることも効果的です。努力に応じた報酬がもたらされれば、もっと頑張ろうと思えるはずです。

公平さ

<チェックリストやルールブック等を用いて公平な評価ができているか>具体的な評価基準を公表し、不公平のないフィードバックをおこなうようにします。そうすれば学習に対する姿勢や成果を平等に評価されていると感じ、満足感を得られます。

ARCSモデルの活用事例

社員のモチベーションを上げたい時

今おこなっている事業や研修の内容をARCSモデルの4つの要素を見ながら見直してみると、改善すべきところが見つけられたり、様々な気づきが得られます。社員の好奇心や探求心を刺激することができれば、そこからARCSモデルのサイクルを回していくことが可能です。社員が業務を自分ごととして捉え、親しみをもって取り組むようになり、やりがいや満足感を感じられれば、モチベーションも生産性も向上することでしょう。

社内研修での社員の自発性を高めたい時

研修タイトルを斬新なものにしたり、ユーモアを感じられるようなものにすると、社員の注意をひくことができます。また、ビジネスゲームを取り入れた研修を企画し、「ゲームを用いた研修」という告知があると、「なんだか面白そう」と思ってもらえるかもしれません。研修を業務と関連付けるためには、事前にアンケートをとり、社員が研修に求めることや現在抱えている課題を知ることが有効な手段といえます。研修でおこなう課題のレベルはなるべく低くして、社員が自信をなくしてしまうという事態を避けましょう。これくらいならできそうだ、と意欲的に取り組める程度の難易度にすることがおすすめです。そして最後には講師からの肯定的なフィードバックを受けられると、「研修に参加してよかった」と満足感を得られます。研修が終わってからは、毎日自分の仕事ぶりを5段階評価してカレンダーに1~5の数字を入れていくなど、社員のモチベーションを維持できるような仕組みをつくり、実践していけるようにしましょう。

まとめ

ARCSモデルを活用して社員の学習意欲を高めましょう

ARCSモデルを上手に活用することで、企業の人材育成においても、社員自身のやる気を引き出してモチベーションの維持継続を促すことができます。今回ご紹介した通り、非常に取り入れやすく実用性が高いものだということがおわかりいただけたと思います。ぜひ一度、ARCSモデルと既存の指導マニュアルを照らし合わせ、見直してみてはいかがでしょうか。社員のやる気がないことの原因を知ることができ、少なからず企業の成長、発展につながる足がかりとなるはずです。

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