マイスター制度とは【メリットやデメリット、導入事例について解説します】

記事更新日:2024年06月05日 初回公開日:2024年06月05日

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大企業や中小企業では長年人材不足が問題となっていますが、長年伝承されてきた伝統や技術の分野においても人手不足は大きな問題になっています。しかし人手不足が慢性化していることから、熟練した技術者から技術を伝承していくための時間が確保できないなどの問題がどの企業でも起きています。そういった自体を改善していくためには、ドイツ発祥であるマイスター制度を導入することで技術の伝承などを効果的に実施することが可能です。今回はマイスター制度について解説していきますので、人事担当者の方は参考にしてみてください。

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マイスター制度とは

高い技術を持つ人を支援する制度のこと

マイスター制度とは、高い技術を持つ人を支援する制度のことです。マイスターはドイツ語から来ており、巨匠や名人という意味を持っています。そのため、専門的な知識や技術・豊富な経験を持っている人物をマイスターと呼びます。マイスター制度は、マイスター認定されている人に対して手当支給などの優遇措置を行う・社内外のマイスターから技術や支援の取得を行う支援をする制度です。企業によって設定されている内容や待遇などは異なります。

ドイツ発祥の制度

マイスター制度は、ドイツ発祥の制度です。ドイツではて工業などの職人になりたい場合には義務教育終了後に職業訓練を受けるようになっています。職業訓練学校で知識の取得を行いながらマイスターから語術を学びます。ここでは「ゲゼレ」という国家資格を取得します。そして更に訓練を積み対象の国家資格を受けることで、「マイスター」の称号を貰うことが可能です。日本と同様にものづくり大国であるドイツでは後継者不足などの解消のために制定されました。

日本でマイスター制度が浸透している背景

少子高齢化が進んでいる

日本でマイスター制度が浸透してきているのは、少子高齢化が影響しています。ドイツ発祥のマイスター制度は、後継者不足や伝統技術が途絶えてしまわないようにするために制定されました。ドイツと同じようにものづくり大国である日本は、継承しなければならない伝統技術や伝統芸能が様々ありますが、後継者不足に悩んでいる人が殆です。マイスター制度を導入しサポートを受けられる事によって、日本で少子高齢化による後継者不足の打開策の一つになっています。

マイスター制度のメリット

後継者育成ができる

マイスター制度のメリットは、後継者育成が出来る点です。普段の業務の中で、経験豊富な人からマンツーマンで時間をかけて指導してもらう機会は少なくなってきています。人手不足により若手に技術を引き継ぐ時間が取れないため、後継者不足が問題になっています。そういった状況下でも、マイスター制度を導入することによって育成対象となるマイスターに対してしっかりと時間を取って指導することが出来るようになり、後継者の育成がしやすくなります。

難しい技術を継承できる

マイスター制度は、難しい技術を継承できる点もメリットです。伝統技術を守っている職業であればマニュアル化することなく、先輩や師匠の背中を見て技術を盗むという考えが未だに継承されているところが殆です。マイスター制度を導入することで、今までマニュアル化出来なかった技術をわかりやすく教えることも出来ます。また伝統技術だけでなく製造業や建設業なども属人化してしまっているノウハウがある場合は、マイスター制度の導入で技術を継承することが可能です。

生産性が向上する

生産性が向上するのも、マイスター制度のメリットの一つです。マイスター制度を導入し、熟練したマイスターの技術やノウハウが継承されていくことによって能力の高い人が社内に増えていきます。今までは頼める人が限られていた業務でも、マイスター制度で技術を継承していくことで業務負荷を減らすことにも繋がります。頼める人が増えることによって生産性の向上などにも繋げられるだけでなく、更にマイスターを増やしていくことも出来ます。

マイスター制度のデメリット

職種選別が求められる

マイスター制度は、職種選別が求められることがデメリットといえます。マイスター制度は、様々な技術などに適用することが出来ますが社内の全ての技能に対して一度に適用しようとすると、膨大な費用と時間がかかります。すべてを同時に行ってしまうことによって、技能伝承が中途半端になってしまい結果マイスターの育成が上手くいかない可能性もあります。マイスター制度は専門的な知識やスキルのノウハウ伝承に適しており、マッチしない職種に導入しても上手く活用できません。

新しい技術が生まれなくなる

マイスター制度のデメリットは、新しい技術が生まれなくなる点です。伝統技術を途絶えないようにするため、継承していくことは大切です。しかし昔と同じやり方に固執してしまいすぎると新しい技術が生まれなくなってしまう可能性もあります。マイスター制度を導入することで、技術を伝承していくことは出来ますが新しい技術が誕生することは考えにくいと言えます。イノベーションを起こすためには、継承だけでなく積極的な働きかけも重要です。

モチベーションが低下する

モチベーションが低下するのも、マイスター制度のデメリットです。技術を学ぼうと考えている側からすると、時間をかけて今まで学ぶことがなかった技術の習得を行えるという点はメリットといえます。しかし後継者育成候補として選ばれなかった場合や、認定試験に何度も落ちてしまうといったことになると、モチベーションの低下を招く可能性があります。指導する側も長時間拘束されてしまうなどデメリットがあるため、十分な報酬や資格取得に対しての動機づけなどが大切です。

厚生労働省によるマイスター制度

ものづくりマイスター制度

厚生労働省によるマイスター制度には、ものづくりマイスター制度があります。労働人口の減少により、生産現場でも人材不足が若年層の技能者の育成やものづくりに欠かせない技術の伝承などが産業全体としての課題になっています。ものづくりマイスター制度は、建設業と製造業の111職種中で熟練した技術者を政府がものづくりマイスターと認定する制度です。ものづくりマイスターになるには、技能五輪の全国大会で3位以内に入賞する技能を持っている・実務経験が15年以上あるなど要件が定められています。

ITマスター

厚生労働省のマイスター制度の一つに、ITマスターがあります。ITマスターは若手社員に実務に必要なIT技術を伝承します。ITマスターはものづくりマイスター制度の中のIT版のマイスター制度です。ITマスターになるには、実務経験が7年以上必要です。情報技術に係る修士課程の修了の場合は、実務経験は5年以上に緩和されています。但しただITの実務経験が7年以上あればいい訳ではなく、国家検定の所有もしくは技能五輪全国大会などの指定されている大会で3位以内に入っている人が対象です。

テックマイスター

テックマイスターも厚生労働省によるマイスター制度です。テックマイスターは、ITを活用して環境・効率・品質を改善する方法を行うための人材の育成指導ができるマイスター制度です。テックマイスターになるには、実務経験が15年以上必要です。それだけではなくビジネスキャリア検定生産管理分野区分2級以上、技能検定特級・1級・単一等級の有資格者・技術五輪大会で3位以上に入賞している必要があります。他にも改善の実績や経験があり、IT技能を有していなければなりません。

マイスター制度の導入企業

株式会社アシスト

マイスター制度は、株式会社アシストで導入されています。アシストは1972年にコンピューター用パッケージの販売・教育サポートを行う企業として設立しました。アシストでは、次世代の会社をリードしていく人材を育成するためにマイスター制度を導入しました。技術者の理想像やキャリアパスを明確化したことで、技術者のスキルアップとモチベーション向上を計っています。厳正な審査の元、トップレベルの技術を持っている従業員にマイスターを付与し表彰したことにより該当の従業員のモチベーション向上に成功しています。

サカイ引越センター

マイスター制度を導入しているのは、サカイ引越センターです。サカイ引越センターでは、企業独自のマイスター制度を導入しています。梱包・運搬技術、応対マナーや企業に関する知識までスタッフとして求められる要素を高いレベルで身につけたスタッフをマイスターです。マイスターを育てるために、技術講習と安全運転講習・技術講師試験・指導経験などを実施しています。マイスターになるには技術講習で指導した経験が最低でも1年以上ある人のみが試験を受けられるように定められています。

高島電機株式会社

マイスター制度を導入している企業は、高島電機株式会社です。高島電機株式会社は、1949年に創業された電設資材やFA機器、制御機器を製造する会社として設立しました。従業員の機器設計に関する理解を深めてもらい、営業活動に対して付加価値をつけることを目的としてマイスター制度の導入を行っています。社外から認定されているマイスターを呼び、営業担当全員を対象に実技指導を実施してもらったことによって機械設計に関しての理解を深めることに成功しました。結果として、売上向上に繋がっています。

白崎コーポレーション

白崎コーポレーションでもマイスター制度を導入しています。白崎コーポレーションは、再生トナーカートリッジを販売している企業です。同社では派遣社員や契約社員のモチベーションを上げることを目的として2010年より全部署を対象としてマイスター制度の導入を始めました。再生トナーを製造するスキルを細かく定義し、習熟度によって3つのレベル分けを実施しています。レベルごとに表彰するなどし、モチベーションアップを狙っています。導入から約半年で、作業時間を従来より短縮させることに成功しています。

富士興業株式会社

富士工業株式会社もマイスター制度を導入している企業の一つです。1957年に建設業の会社として設立した富士工業では、専門性の高い知識を求められるプラントエンジニアリング人材の育成に課題を感じていました。その課題を解決するために、マイスター制度の導入を行いました。従業員の能力によって5つの階級に分け年齢や経験に関わらず正しく公平に評価できる制度を設定しています。これにより従業員のモチベーションアップに繋がり、技術やノウハウの伝承に成功し生産性向上に繋がっています。

まとめ

マイスター制度を理解し技術継承を行おう

マイスター制度のメリット・デメリットや、実際に導入している企業について解説しました。マイスター制度はドイツ発祥の制度ですが、導入することで若手技術者を育成出来るだけでなく、社内全体の技術力向上や組織としての生産性向上などに繋がります。技術の伝承に最適な方法ですが、マイスター制度が向いていない職種もあるため導入前に自社にあっているか確認することが大切です。マイスター制度をしっかりと理解した上で導入し、効果的に技術継承を行っていきましょう。

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