介護離職とは【メリットや離職防止をしている企業事例について解説します】

記事更新日:2024年05月14日 初回公開日:2024年05月13日

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少子高齢社会が進んでいる日本にとって、労働人口の減少により企業は長年人材不足に悩まされています。高齢化が進むことにより、労働人口減少だけでなく介護が必要になることから介護離職を余儀なくされる人も増えてきています。介護は肉体的負担が大きく、仕事と介護の両立を行うことは簡単ではありません。高齢化が進むことは、介護を行う従業員が増えるため企業としても何らかの対策を講じる必要があります。今回は介護離職について解説していきます。人事担当者の方や、介護離職を考えている人は参考にしてみてください。

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介護離職とは

家族の介護のために仕事を辞めること

介護離職とは、家族の介護のために仕事を辞めることです。要介護度が上がるにつれて、食事や排泄など日常生活のすべてのことに介助が必要になります。しかし仕事をしている場合、早朝と夜間以外の時間は介護を行うことが出来ません。仕事から帰ってきた後も介護をしなければならず、かと言って放置することも出来ないため心身ともに追い詰められてしまいます。こういった状況から、やむを得ず仕事を辞めるという選択肢を取らざるを得ない人が増えてきています。これが介護離職です。

中高年で増加傾向にある

介護離職は、中高年世代で増加傾向にあります。介護が必要な場合、ヘルパーさんや外部の施設などに預けるという選択肢もありますが費用が掛かってしまい、簡単に預けるという選択肢を取れない人もいます。また要介護者が自宅で介護を受けることを望んでいる場合は、一般的に配偶者や子供が介護を行うことになります。一般的に介護が必要になる人は高齢な人が多く、自然と介護をする人も高齢になっており老老介護になってしまいがちです。負担が集中してしまい、仕事をやめざるを得ない人が増えています。

介護離職の実態

1年間で介護や看護のために離職した人は約10.5万人

介護離職は年々増加傾向にあります。総務省が行っている令和4年就業構造基本調査結果によると、1年間で介護や看護のために離職した人は約10.5万人いるとされています。年間で多くの人が介護や看護を理由に仕事を辞める選択肢をしており、少子高齢社会が進んでいる昨今では益々介護離職が増えると考えられています。労働人口が減少し、人手不足が長年にわたり問題になっている日本では介護離職で人材が減ってしまうのも大きな問題です。

6割弱の人が介護と仕事を両立している

先述した総務省が行っている調査によると、日本で介護をしながら働いている人は約630万人いるとされています。その内の6割である約365万人の人が、介護と仕事を両立して行っています。多くの人が、介護に大きな負担を感じているのが実態です。介護や看護を行うことは、身体的だけではなく精神的にも負担が大きいため仕事と両立させることは簡単ではありません。介護は終わりが見えないため、将来に不安を感じている人も少なくありません。

介護離職を防止するための手順

従業員の介護の実態や不安を把握する

介護離職を防止するためには、従業員の介護の実態や不安を把握する必要があります。従業員が離職する原因が介護なのかを、しっかりと把握しなければなりません。介護離職を防ぐためには、従業員が実際に介護を行っているか・介護についての自社や国の支援制度についてどの程度知っているのかについてアンケートを行いましょう。アンケートを取ることで、従業員の介護の実態や仕事との両立の課題などをしっかりと把握することが出来ます。

制度の設計と見直しを行う

介護離職防止には、制度の設計と見直しを行いましょう。介護休暇を取りやすい職場環境であれば、介護を理由に離職をする人を減らすことが出来ます。アンケート結果に基づいて、現在設定している介護休暇や休業制度などの制度設計や見直しを行います。従業員と十分な話し合いを行ったうえで、利用しやすいように整備することが大切です。休みを取る事ができるだけでなく、介護を行っている人が始業時間や終業時間を選べるなど柔軟な対応が必要です。

介護に関わる前の従業員に情報提供しておく

介護離職の抑制として、介護に関わる前の従業員に情報提供を行うことも効果的と言えます。従業員がいつ介護を行うようになるのかを予測することは出来ません。そのため、従業員が介護を行わなければならなくなったタイミングで情報提供を行うのではなく、事前に介護に関係する制度や支援策などについて周知する体制を作っておきましょう。具体的には、自社で行っている介護支援制度の周知や、介護について話しやすい職場風土の醸成です。

介護に関わっている従業員を支援する

介護に関わっている従業員に対して支援を行うことで、介護離職を防止することが出来ます。介護を行っている従業員に対しての支援は大きく3つに分けられます。介護の体制が整うまでの働き方の支援を行う「相談・調整期」、介護の体制が整い中長期的な働き方支援を行う「両立体制構築期」、仕事と介護の両立を定期的にフォローする「両立期」です。介護は孤独を感じてしまいがちなため、会社としてしっかりフォロー体制を整えていくことが大切です。

介護と仕事を両立できる風土をつくる

介護と仕事を両立できる風土を作ることで、介護離職の防止が可能です。介護離職を防ぐためには、介護を行っている人が離職せずに働き続けられる職場環境を作る必要があります。そのために制度整備はもちろん重要ですが、周りの従業員が介護に対してしっかりと理解できていることも重要です。いくら制度を整備しても周りの協力がなければ、職場に居づらくなってしまう可能性もあります。職場内でお互い様であると理解できる風土の醸成も大切です。

介護離職しないために個人ができること

職場に現状を伝えて理解を求める

介護離職しないために個人ができることは、職場に現状を伝えて理解を求めることです。昇給や昇進に影響してしまうのではと考え、介護を行っていることを中々職場に伝えられないという人もいるのではないしょうか。しかし介護休業を利用した従業員に対して、企業が解雇や降格・減給など不当な扱いを行うことは育児・介護休業法で禁じられています。そのため、職場に介護を行っていることを伝えできること・出来ないことを理解してもらうことが必要です。

勤務先の支援制度を活用する

介護離職しないためには、勤務先の支援制度を活用しましょう。国としても介護離職を防ぐために、様々な介護支援制度の制定を行っています。これに伴い、介護休暇の取得延長や介護休暇時の給与の一部もしくは全額支払い・見舞金の支給など独自の介護支援制度を導入している企業も増えています。また円滑に介護支援制度を利用できるように相談窓口や介護カウンセラーを設定している企業もあります。自社の介護支援制度を知ることも大切です。支援制度を利用することで、介護離職を行うことなく介護と仕事の両立を行うことが出来ます。

介護を委託できるように費用を準備する

個人で介護離職しないためにできることは、介護を委託できるように費用を準備することです。介護には配偶者や家族が自ら介護を行う「直接介護」と公的介護の認定やサービス利用の手続きなどを行う「間接介護」などがあります。同居している場合は、直接介護を選択する人が多い傾向にありますが離れて暮らしている・子供がいるといった理由から介護が出来ない場合もあります。経済的に余裕がある場合には、在宅介護サービスなど外部に委託することで介護離職を行う必要がなくなります。

相談先を複数確保する

相談先を複数確保しておくことで、介護離職を避けることが出来ます。介護を上手く行っていくためには、公的支援などをフル活用する必要があります。しかし公的サービスは仕組みが難しい上に、改正も頻繁に行われており今どんな制度を利用することができるのか理解することは簡単ではありません。そのためには、ケアマネジャーや支援センターなど介護について相談できる窓口をいくつか確保しておくことが大切です。問題解決だけでなく、相談することで自分の考えをまとめられるようになります。

介護離職のメリット

余裕を持って介護ができる

介護離職のメリットは、余裕を持って介護ができることです。介護と仕事を両立させることは、肉体的な疲労だけでなく精神的にも疲労が蓄積し、介護期間が長くなればなるほど孤独を感じてしまいます。介護は重労働であるため、被介護者が倒れてしまうことも少なくありません。そのため介護離職を行えば両立を行う必要がなく介護に専念することが出来ます。介護に専念することで、余裕のある対応もできるようになります。心身の負荷は両立するときと比べて、少なくすることが可能です。

介護離職のデメリット

金銭面やキャリアの不安が生まれる

介護離職のデメリットは、金銭面やキャリアの不安が生まれることです。仕事と介護の両立が難しくなった場合に選択肢になるのが介護離職ですが、一定の収入や社会との繋がりがなくなり介護者と距離が近くなりすぎるといったデメリットがあります。三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社の調査では、介護に専念するために介護離職をしても、専念したことで負担が増えたと答えている人が過半数でした。介護離職をしたことで負担が増え後悔をしている人もいるため、介護離職を行う際には慎重に考える必要があります。

介護離職を防止するための企業事例

コーデンシTK株式会社

介護離職を防止するためにコーデンシTK株式会社では対策を行っています。半導体の製造販売や電子応用機器の開発を行っているコーデンシTK株式会社は、2015年に「東京都中小企業ワークライフバランス推進助成金(介護奨励金)」を申請しました。社内の介護について実態把握を行い、従業員の不安度などのヒアリングを行い相談窓口などの設置を行っています。社内研修で介護についての理解を深めてもらい、実際に介護休暇を取得する従業員のフォロー体制を整えることに成功しています。

EY Japan

介護離職の対策を行っているのは、EY Japanです。EY Japanは、アシュアランス、税務およびコンサルティング等の業務提携を行っている企業です。EYでは2020年に社内でオンライン介護セミナーを実施しました。このセミナーには20〜50代の幅広い従業員200人が参加しました。在宅勤務を基本のワークスタイルにし、中抜け制度などの導入も行い従業員が介護を行いながら働きやすい環境づくりを行っています。働き方の柔軟性を上げて従業員の不安を払拭しようと様々な施策を実施しています。

まとめ

介護離職を減らすための施策を考えよう

介護離職の現状や介護離職を防ぐために行う対策などについて解説しました。介護離職を行うことで介護に専念することは出来ますが、かえって負担が増えてしまうだけでなく、社会との繋がりが絶たれてしまうというようなデメリットもあります。介護しながら働いている人も年々増えているため、企業としても介護と仕事を両立出来るような支援を行う必要があります。実際に介護休暇などの制度を導入している場合は、従業員が取得できるように周知をしっかりと行いましょう。介護離職を減らすための施策を考え、両立支援を行っていきましょう。

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