ジョブ・クラフティングとは【メリットやデメリット、実践方法についてお伝えします】

記事更新日:2023年02月07日 初回公開日:2023年02月07日

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企業に所属している以上、自分のやりたい業務だけやるという訳にはいきません。退屈な単純作業や上司や先輩から言われて半強制的に業務に取り組んでいるという人もいるのではないでしょうか。自分の意思ではなくやらされていると感じてしまうと、モチベーション維持が難しくサービスの質も落ちてしまう為評価も下げられる可能性があります。従業員がそのような状況に陥ってしまわない為にも、ジョブ・クラフティングを行い業務に積極的に取り組んでもらえるようにしていきましょう。今回はジョブ・クラフティングについて解説していきます。人事担当者の人は参考にしてみてください。

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ジョブ・クラフティングとは

従業員が自ら行動を変えて仕事のやりがいを生み出す手法

ジョブ・クラフティングとは、従業員が自ら行動を変えて仕事のやりがいを生み出す手法のことです。働いている人が会社や上司の指示ではなく仕事への意識や行動を変えることによって、今までやりがいを感じていなかった業務へもやりがいを感じるように変化させます。ジョブ・クラフティングは、イェール大学の経営大学院で組織行動論を研究している2人の教授によって2001年に提唱されたものです。従業員が自分の意思で仕事への向き合い方を変えることで、個人のモチベーションが高まり生産性の向上等も期待できます。

ジョブ・クラフティングが注目される背景

VUCA時代に突入している

ジョブ・クラフティングが注目されているのは、VUCA時代に突入しているからだとされています。VUCA(ブーカ)時代とは、先行きを見通すことが出来ず将来の予測が困難なことを指します。VUCAとは、olatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった軍用用語です。社会情勢を加味し、2010年頃からビジネスでも使われるようになりました。社会情勢だけでなくビジネスやキャリア等も最近では先行き不透明な状況になっており、このような状況を改善するためにジョブ・クラフティングが注目されています。

ジョブ・クラフティングとジョブ・デザインの違い

ジョブ・デザインは組織側がデザインする

ジョブ・クラフティングとジョブ・デザインの違いは、主体性を持っているかどうかという点です。ジョブ・デザインは企業側が業務などのデザインを行います。ジョブ・デザインは、業務を「技能の多様性」「職務の完結性」「職務の重要性」「自律性」「フィードバック」を元に分析し従業員に与えるモチベーションを考えるための方法です。ジョブ・クラフティングが従業員が主体になるのに対し、ジョブ・デザインは経営者の為の理論です。「仕事のやりがいを見つける」という点では同じですが、能動的か受動的かという点が異なります。

ジョブ・クラフティングを企業で実践する方法

基礎知識を周知する

ジョブ・クラフティングを企業で実施するためには、基礎知識を周知しましょう。ジョブ・クラフティングを企業で効率的に行うためには、期待される効果などをしっかりと周知する必要があります。実際にジョブ・クラフティングを行うことで、実施前と後ではワーク・エンゲージメントの向上が見られ、心理的ストレスが軽減したという結果が出ています。ジョブ・クラフティングの要素である、「作業クラフティング(仕事のやり方への工夫)」「人間関係クラフティング(周りの人への工夫)」「認知クラフティング(考え方への工夫)」をしっかりと伝えましょう。

架空の事例を用いてワークを行う

ジョブ・クラフティングは、架空の事例を用いてワークを行うことで企業で取り入れやすくなります。従業員が業務に対して積極的でなく行き詰まりを感じている場合ジョブ・クラフティングの架空事例を用いて、どのようにジョブ・クラフティングを行うべきなのかを考えます。そのため、ジョブ・クラフティングは従業員一人一人のニーズに合わせて事例を用意しましょう。先述した3つの要素を元に個人で考えた後、グループ内で共有を行うことで他人のアイデアを知りより効果的なジョブ・クラフティングが行えます。

それぞれの業務に落とし込んでもらう

それぞれの業務に落とし込んでもらうことも、ジョブ・クラフティングを企業で行う上で大切です。架空の事例を元に、自分が行っている業務にどう活かしていくのが重要なのかを考えます。グループ内で出された業務内容やアイデア等を元に、どのようにしてジョブ・クラフティングを実行していくべきなのかの案出しをグループワークで行うことで更に魅力的なアイデアが増加します。ジョブ・クラフティング実施期間を明確に定め、具体的に「何を・いつまでに・どうするのか」という計画カードを作成し実行に移していきましょう。

振り返りを行う

ジョブ・クラフティングは、振り返りを行うことで企業で上手く実践することが出来ます。ジョブ・クラフティングの実行期間終了後に、回数や実行したことによって業務への意識が変わったのかどうか次回に向けてのポイントなどをグループワーク等で振り返ります。1度経験することによって、更に効果的にジョブ・クラフティングを行うアイデアを出すことが可能です。振り返りをしっかり行うことで次に活かし、従業員が意欲的に業務に取り組めるようになります。

ジョブ・クラフティングに個人で取り組む方法

業務内容の分類と自己分析

ジョブ・クラフティングに個人で取り組むには、業務内容の分類と自己分析を行いましょう。自分が携わっている業務を全て書き出し、リストアップしたものを分類していきます。業務の分類を行った後は、会社全体の業務の流れの把握・業務を行う上でどういった人と関わっているのかも洗い出しておきましょう。洗い出しを行うことで、自分が業務においてどのような結果を出したいのかといった動機を考えることが出来ます。上司や部下・顧客等の様々な視点から見た時の自分の強みを分析することが重要です。

改善案を考えサイクルを回す

改善策を考えてサイクルを回すことで、ジョブ・クラフティングを個人で取り組むことが出来ます。自分の業務を主体的に見た際に行う必要がある動機と、自分の能力で行える改善策を考えて具体的な案出しを行いましょう。制度の改定や業務の効率化を図れるツールの導入などもひとつの案です。改善策を考える際には、自ら考えて業務を工夫出来る方法を見つけることが大切です。出した改善策を元に業務を行い、サイクルを回して上司などの意見を聞きながらより良いものに近づけていきましょう。

ジョブ・クラフティングのメリット

従業員が能動的になってアイデアが生まれる

ジョブ・クラフティングは、従業員が能動的になってアイデアが生まれるというメリットがあります。自分が携わっている業務のやりがいを見出せていない時には、受け身になっており言われたことをやるというような惰性で業務を行ってしまいがちです。ジョブ・クラフティングを行うことにより、従業員が日々行っている業務に意味を見出して能動的になることによって、業務の効率化を図り生産性の向上も見込めます。従業員の仕事に対する姿勢を変えるという点においても、ジョブ・具ラフティングは非常に有効な手段だと言えるでしょう。

人員を適材適所に配置できて従業員満足度が高まる

ジョブ・クラフティングを行うことで、人員を適材適所に配置する事が出来て従業員満足度が高まることもメリットです。従業員が能動的に動き主体的な考えを持つことによって、業務効率を上げるために作業手順や役割分担の見直しを行います。従業員がしっかりと話し合いを行い、業務で行える工夫をしていくことで従業員の得意分野を活かせる適材適所の人員配置が出来上がります。一連の流れに沿って話し合いを行う中で、リーダーシップを発揮する従業員なども現れ、社内の活性化にも繋がります。

人間関係の改善に繋がる

ジョブ・クラフティングには、人間関係の改善にも繋がるというメリットもあります。ジョブ・クラフティングを元に従業員が業務を行いやすくするには、人間関係が大切だとされています。業務にやりがいを感じるためには、円滑な人間関係が欠かせません。今まで以上に周りの人としっかりコミュニケーションを取ることにより、今まで時間が掛かっていた業務をスムーズに行えることも可能になります。コミュニケーションをしっかりとれていることによって、人間関係による精神的ストレスの軽減にもなる為今までよりストレスなく働いて貰えるメリットもあります。

生産性が向上する

生産性が向上するのも、ジョブ・クラフティングのメリットです。ジョブ・クラフティングを行い能動的に業務に取り組んでいる従業員は、ワークエンゲージメントが高まることにより様々な事にチャレンジする意欲が湧いてきます。人間関係も良好な為、チャレンジする際に周りの人から助言を受けられたりより良くなる為のアイデアを出してもらえたり様々なサポートを受けられます。ジョブ・クラフティングの色々なメリットが組み合わさることで、従業員のパフォーマンス力が向上して結果的に生産性の向上に繋がります。

ジョブ・クラフティングのデメリット

従業員のプレッシャーとなる場合がある

ジョブ・クラフティングを行う際に考えられるデメリットは、従業員のプレッシャーになる場合があるという点です。ジョブ・クラフティングは企業全体で行うため、どのように進めたらいいか分からないと考える人や、成果を出さなければと焦ってしまう人も出てくるかもしれません。今まで主体的に業務を行う職場環境ではなかったにも関わらず急にジョブ・クラフティングを行うことで主体性を求められ、戸惑ってしまうことも考えられます。従業員がプレッシャーを感じてしまわないようにするためにも、しっかりと配慮することが大切です。

仕事の属人化が進む可能性がある

ジョブ・クラフティングを行うことで、仕事の属人化が進む可能性があることもデメリットです。ジョブ・クラフティングは従業員に能動的に動いてもらい自分らしく業務を行うことを重視していますが、行き過ぎてしまうと仕事の属人化に繋がります。仕事の属人化が起きてしまうと、異動になった際の引継が難しくなるなど様々な問題が発生しやすくなります。属人化を防ぐためには業務の改善を行う際に、従業員に一任してしまうのではなくしっかりとサポートを行いましょう。従業員が主体的に働ける為の方法の一つであるということを忘れずに活用していくことが大切です。

ジョブ・クラフティングの注意点

やりがい搾取を起こさないようにする

ジョブ・クラフティングを行う際には、やりがい搾取を起こさないようにしましょう。やりがい搾取とは、やりがいを盾にして従業員に無理な条件で労働を強いたりすることです。従業員が業務にやりがいを見つけると、企業は「やりがい=給料」と結びつけてしまいがちです。業務にやりがいを感じているのであれば給料は低くてもいいだろう、多少きつくても問題ないだろうと企業は考えてしまうかもしれません。やりがい搾取を行ってしまうと、長時間労働や低賃金に繋がりトラブルも発生しやすくなります。やりがい搾取にならないよう、しっかりと待遇などで返すようにしましょう。

チームワークを阻害してはならない

ジョブ・クラフティングは、チームワークを阻害しないよう注意しましょう。ジョブ・クラフティングは従業員それぞれが、自分の行っている業務に対してやりがいや意味を見つめる為の手段です。ジョブ・クラフティングを行うことで多様性を許容していますが、個人業務において多様性は問題なくてもプロジェクトに参加しているチームが別々の意義を見出してしまうとチームワークが阻害される可能性があります。チームワークを阻害しない為にも、お互いの意見を尊重しながらジョブ・クラフティングを行うことが大切です。

まとめ

ジョブ・クラフティングを取り入れて従業員のやりがいを引き出そう

ジョブ・クラフティングのメリットやデメリットについて解説しました。ジョブ・クラフティングは、従業員が携わっている業務に主体的になり、やらされていた業務をやりがいのあるものとして考えるようになる方法です。ジョブ・クラフティングを適切に活用することによって、従業員の生産性が向上するだけでなくワークエンゲージメントの向上や人間関係の改善等様々なメリットがあります。ジョブ・クラフティングをしっかりと理解することで、企業は従業員のやる気を引き出して主体的に業務に取り組む環境づくりを行っていきましょう。

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