記事更新日:2022年12月20日 | 初回公開日:2022年12月20日
用語集 グローバル経済 人事・労務お役立ち情報 グローバル用語解説ナレッジワーカーとは、専門知識や経験から新たな価値を生み出す労働者を指します。ナレッジ(知識)とワーカー(労働者)の造語です。経済学者や社会学者であるピーター・ドラッカーによる著作「The Landmarks of Tomorrow」の中で使われました。知識を活かして働いていることから、知的労働者ともいわれています。未経験の仕事であっても「より速く効率的に終わらせるにはどうすればよいか」という視点を持って行動することができるのが、ナレッジワーカーです。
ナレッジワーカーが注目される背景には、金融やITの分野が発達したことがあります。金融やITはこれまで発展し続けてきた「モノ」の生産とは異なり、知識を使って新たな価値を創造していく分野です。現代はテクノロジーが進化し、AIやRPAなどのロボットが工場だけでなくオフィスでも、単純作業を人の代わりに行う時代に変わりつつあります。仕事をするのが人からロボットに変わるという状況の中で、人間が持つ強みについて考える動きが出ています。そのため「知識労働者」「ナレッジワーカー」が注目されているのです。
専門的な知識をもとに新たに付加価値を生むのがナレッジワーカーですが、マニュアルワーカーは決められた手順の中で効率化を図ります。高度経済成長期の日本では、工場勤務などで決められたことを決められた通りにこなす事が求められました。そのためマニュアルワーカーの存在は欠かせないものでした。しかし近年ではマニュアル業務は機械が行い、人間は機械の使い方や問題点の発見など、クリエイティブな事を行うことが求められています。
ホワイトカラーは白いワイシャツを着て働く人材ということから、オフィスで頭脳労働して働く人々を指します。ホワイトカラーはデスクワークを単にこなすという印象があります。一方ナレッジワーカーは与えられた仕事だけではなく、「問題を解決する」「今まで気が付かなかった視点を与える」などの付加価値を生む存在を指します。問題を周囲との会話や状況などから推察し、解決に向けたアイディアを出して、上司や会社組織にアイデアを提案し会社全体に影響を与えるような存在です。
ナレッジワーカーの代表的な職種の一つにコンサルタントがあります。コンサルタントは企業などのクライアントからの相談について、知識や情報、助言などを与えます。コンサルタントには専門知識や情報収集能力、考察力や問題解決能力などが求められます。豊富な知識や経験を活かしながら、徹底した業界分析や大量の情報収集を行い、クライアントの問題解決を支援します。その仕事の特徴から、まさにナレッジワーカーに該当する仕事といえます。
ITエンジニアはプログラミングなどの知識を活かし、ITシステムの開発を行います。現代では企業の生産性向上や業務効率化の実現にはITシステムの活用が必要なので、ITエンジニアの存在は不可欠です。ITエンジニアにはプログラミングスキルだけでなく、物事を筋道立てて考えられる論理的思考力が必要です。時間を効率的に使い、知識を活かして高い成果をあげていくことが求められる仕事です。IT技術の発展とともに、今後ますます活躍の場が多くなるでしょう。
金融ディーラーは金融業界の中でも高収入を得られる職種で、顧客から預かった資金を株や債権などの運用で利益を還元する仕事です。金融ディーラーの主な仕事はディーリングで、高度な金融や経済の専門知識が必要となります。またアナリストは情報収集や分析の能力だけでなく毎日の研究が必要不可欠でしょう。結果が出せなければ仕事を続けられない厳しい面がありますが、年齢などには関係なく成果を上げることでどこまでも収入を増やせる可能性があります。
マーケターとは、企業の商品が売れる仕組みを考える職種です。マーケターは、インターネットを駆使してマーケティングを行います。WebサイトやSNSのデータを分析や検証し、クライアントの生産性向上のために協力します。マーケターには、専門的なスキルだけでなく高い分析力や情報収集能力が必要なのです。今やどんな業界にもマーケターは企業の発展に欠かせません。市場調査や顧客分析、製品などの企画、宣伝手法の選定などもマーケターの業務に含まれます。
現代のナレッジワーカーには今までにない新しい価値を生み出す、枠にとらわれない発想力が求められています。企業、モノ、サービスがあふれる現代の中で勝ち残るためには、競合他社には真似できない企業独自の強みを創造していくことが必要です。ナレッジワーカーには、豊富な知識を活かして斬新なアイデアや競合他社との差別化を図れるような大胆な施策を打ち出す能力が求められます。また、既存の体制や考え方を覆すような新しいアイデアを提案することが大切でしょう。
ナレッジワーカーは、知識や経験があるからこそできる仕事です。知識や経験を活かすには、高い情報収集力が重要となります。欲しい情報を効率よく手に入れる方法などを知らなければなりません。迅速に適切な情報を集め、本当に必要なことだけを上手に取捨選択できるスキルがナレッジワーカーには必要とされるでしょう。また、自分の得意ではない分野についても、「どこで情報を探せばよいか」「誰に相談すべきか」を知ることが大切です。
ナレッジワーカーには、問題点や解決方法を言語化して発信する能力が求められます。たとえ豊富な知識や経験があり、効率的に情報収集ができて斬新なアイデアを出せても、それらを発信してきちんと伝えられなければ意味がありません。関係者に情報やデータを示しながら、発想の経緯、メリットやデメリット、遂行する手順、得られる結果などをわかりやすく伝えなければなりません。また、業務を進める上で必要な一つ一つの手順についても、詳細に言語化していくことが必要でしょう。
課題を発見して解決する能力も、ナレッジワーカーには無くてはなりません。物事の本質を見極め、潜在的な問題点を見つけ出して客観的なデータを元に、解決案の提案から実行までを遂行できる能力です。提案した解決策を実行していく場合には進捗管理も必要となります。そのため目標達成時期から逆算してスケジュールを決めていくことが重要になるのです。また問題の解決に至るまでには、関係する人々とのコミュニケーションをしっかり取りながら、一つ一つの手順を進めていくことが求められます。
ナレッジワーカーが活躍できる組織では、ナレッジの活用方法が確立されています。ナレッジの活用するには、ナレッジを社内の共有資産として捉えなければなりません。そしてそれらを積極的に発見し蓄積することや共有、活用することが重要なのです。アメリカ企業の80%がナレッジを活用しているというデータがあります。ナレッジの有用性を評価し、ナレッジワーカーが高いモチベーションを持って業務に専念できるような適切な目的や環境を整えましょう。知識を蓄積、使用するための社内ツールの整備や共有することも必要となります。
現在はナレッジワーカーが多様な働き方が可能となっていることに注目しましょう。ナレッジワーカーは時間や場所などの制約を受けずに知識による成果を出すことができる仕事です。近年では働き方改革や人材の流動化、副業制度の解禁などにより、時間や場所を問わずに働く人が増加しています。子育てや介護などに携わりながらでも働けたり、副業やフリーランスで働けるなど、ITツールなどをうまく活用してリモートワークやハイブリッドワークを推進することをお薦めします。
ナレッジワーカーの力を十分に発揮させるために、人材を適材適所に置くことが求められます。考え抜く力や発想力があるナレッジワーカーでも、強みや弱み、性格など各人の特徴を持っています。その人の長所を考慮した人材配置や組織編成を考えることで、ナレッジワーカーの能力を最大限に引き出すことができるようになるのです。また将来性のある若手人材とナレッジワーカーを組み合わせ、ナレッジの継承や進化を促す育成体制を構築することで、持続可能な組織を作り成長させることができます。
ナレッジワーカーが活用できるツールの一つに、グループウェアがあげられます。グループウェアとは、企業などの組織内のコンピュータネットワークを活用した情報共有のためのアプリケーションソフトウェアです。ネットワークに接続されたコンピュータ同士で情報交換や共有、スケジュール管理等、さまざまな業務に利用できる機能が搭載されているのです。ユーザーが使いやすいように様々な機能が一つのシステムに統合されており、グループウェアの使用により業務の効率化につながります。
社内wikiツールとは社内の情報をストックし、情報共有やコミュニケーションを円滑にするツールのことです。インターネットサイトのウィキペディアのように、社内専用にウィキペディアを構築するイメージです。社内のノウハウや情報を自分達で蓄積して、共有することができます。情報は更新することや閲覧することができるため、リモートワークにおける情報共有にも活用できます。社内ネットワークの技術向上に伴い、ウェブブラウザ を使用したシステムが主流になっているのです。
企業の将来的な競争力アップのため、ナレッジワーカーの活用は必要です。これまでマニュアル通りに動いていた従業員も問題を発見して、これまでの経験を元にアイディアを出せるような育成体制や社内文化を作りましょう。ナレッジワーカーを採用するだけでなく、同時に企業の文化作りを行なっていく事がさまざまな問題に対処し、企業存続に繋がります。ナレッジワーカーが社内にもたらす知識の活用をマネジメントする存在を置くことで、ナレッジワーカーが成果を最大限に発揮できるようになります。ナレッジワーカーが働きやすい環境を整えていくことが大切です。
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