大企業病とは【大企業病は治らない?大企業病に陥る企業の特徴や事例についてわかりやすく解説します】

記事更新日:2024年02月14日 初回公開日:2024年02月14日

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企業は規模を大きくするにつれて閉鎖的な組織になる傾向があります。これは規模が大きくなることで、部門ごとの障壁が高くなることや、今のままが最高の状況であるという思い込みによるものです。企業内では新しいアイデアを登用しようという考えを失い、新しいことに挑戦するよりも現状維持を良いとするようになってしまいます。これが「大企業病」であり、企業の変革を妨げ、衰退させる危険な病です。ここでは、大企業病の特長と病例から、大企業病を発症する原因と対策までを詳しく解説いたします。今後の経営における一助となれば幸いです。

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大企業病とは

保守的でネガティブな企業体制や組織体制

大企業病とは、保守的でネガティブな企業体制や組織体制を指す言葉です。名前から大規模の組織のみが陥る症状と思われがちですが、中小企業やベンチャー企業にも起きる病的な企業状態として懸念されています。大企業病に罹患した組織では現状維持を好むため、新しいアイデアを取り入れることに拒否反応を示します。そのため従業員のモチベーション向上に悪影響を与え、企業は膠着した状態から抜けきれない状態となり、変化に対応できず競合他社から大きく後れを取ることになるのです。

大企業病の特徴

意思決定のスピードが遅い

大企業病の特長として、意思決定のスピードが遅いことが挙げられます。大企業病に罹患した企業の多くがヒエラルキーと呼ばれる「階層」や「階級」を重んじる傾向があり、決定事項の最終決定は上級階層の最終判断に委ねられます。また、現場から急ぎの要件があったとしても、下層から上層部に順を追って決裁を得ていくため、最終決定までには長い時間がかかるのが普通です。このように意思決定のスピードが遅いことは、ビジネスチャンスを逃すことにも繋がり、大企業病が抱える大きな弊害と言えるでしょう。

臨機応変な対応ができない

大企業病に罹患した企業では、マニュアルに固執するあまりに、臨機応変な対応ができないという特長もあります。失敗を恐れ現状を良しとする風潮は、現状維持を目的とするマニュアルを作成し、マニュアル以外の事象などに柔軟な対応をできなくさせてしまうのです。マニュアルの作成は業務の標準化などに有効であることは間違いありません。しかし、イレギュラーに対応できない社員と企業は、変化する時代に取り残されてしまうでしょう。

理想論が多い

理想論が多く、現実を直視していないことも大企業病の大きな特徴です。企業のトップである経営陣が企業の将来を語るときに、理想論ばかりを唱えているようでは企業の将来は危ぶまれます。こうした状態こそが、ヒエラルキー型企業となってしまった証しであり、大企業病に侵されている確たる証拠です。従業員は理想論ばかりを聞いてもモチベーションは低下する一方となり、現場を理解してくれない上層部と企業に不満を募らせることになります。

能力のない人が出世する

日本固有の終身雇用制度は崩壊しましたが、年功序列型の報酬制度は大企業の多くに残っています。海外では能力型の報酬制度が一般的ですが、日本で取り入れている企業は多くありません。また、大企業病に侵された企業では、良くも悪くも問題を起こさない人が評価される風潮にあります。そのため、新しいアイデアを積極的に取り入れようとする有能な人材は評価されず、何もしない能力のない人が出世することになるのです。従業員の評価は、企業の将来を担う若手人材に大きな影響を与えます。優秀な人材のモチベーションは大きく低下し、離職に繋がるケースも増えています。

大企業病の病例

セクショナリズム横行症

セクショナリズム横行症とは、セクション(部署・部門)などによる縄張り意識が強く、自分の部署のみを大切にして他の部署には全く関心さえも示さない状態です。自分の組織の安全を考えるばかりに自己防衛意識が醸成され、他のセクションとの連携を阻み、自己防衛のために対立することも発生します。このような状態が長く続き悪化すれば、セクションごとの溝は深まるばかりです。セクション間の風通しを良くすることは企業の成長に大きく寄与するものですが、セクショナリズムが横行することは企業の成長を阻み、負の連鎖を生むことにも繋がります。

マネジメント閉そく症

マネジメント閉そく症は、セクショナリズム横行症と似た部分がある病例ですが、他部門との連携だけでなく部門内でのコミュニケーションも少なくなることが特長です。縄張り意識と全体最適の視点が欠落することで、顧客や他部門および他職種と連携するマネジメントがされなくなります。それによって部門間や部門内を繋いでいるコミュニケーションチャネルに血栓ができ、閉塞してしまう状態です。その結果、コミュニケーションをとっても仕方ないというマイナス思考が蔓延し、個々のモチベーションも低下してしまいます。

組織ルール形骸症

いくつかの成功を収めた企業では、成功したプロセスを組織のルールとして定めることが多くあります。つまり、同じことを繰り返していれば成功するだろうという考え方であり、改めて新しいアイデアなどを取り込もうという考え方は排除されます。このように過去に作られた目的のないルールが個人と組織を縛り、ルールを守ることが第一で本来の目的を忘れてしまうのです。かたちだけのルールを守ることで企業が安全な方向に向かうと信じてしまうことが、組織ルール形骸症になります。

既決感疲弊症

既決感とは、「どうせ自分が意見を言ったところで影響を与えることはないから、提案することや新しい考えをぶつけるのはやめよう」という無力感のことです。大企業などでは過去の成功体験に固執するあまり、新しいアイデアを排除しようとする否定的な感情が蔓延し、事なかれ主義の考え方に依存します。こうした状態が続くことで、社員のモチベーションは下がり、「やっても無駄だろう」という気持ちから、新しいアイデアは生まれにくくなるでしょう。また、チャレンジ精神旺盛でモチベーションの高い優秀な人材を失うことにも繋がる危険な状態です。

顧客視点欠落症

顧客視点欠落症とは、本来目的としていた顧客の視点からの要望などを忘れて、内部のルール遵守などを優先してしまうことを言います。この病状は大企業病特有のものであり、当初は重要な目的としていたものが、ルールを守るということを優先するばかりに、本来の目的を見失ってしまうものです。このような状態が続くと、企業優先という間違った個別最適・内部志向が強まってしまい、最も大切にすべき「顧客ニーズ」などは後回しとなってしまいます。また、上司の顔色を窺って行動することも多くなり、組織内での居場所を優先し、顧客あっての企業であることさえ忘れてしまう症状です。

大企業病が発症する原因

組織が拡大してるため

大企業病が発症する原因に、組織の拡大があります。大企業病に冒される組織とは、成功を収めた企業に発症することが多く、成功したが故に規模を拡大し、罹患してしまう企業の病です。成功した企業では成功したプロセスをルール化することで、成功を続けようと試みます。また、成功した企業から成功へのポイントなどを学んでルール化することもあるでしょう。これらは実に効果的なことであり、実際に成功が続いて組織が拡大することも多くあります。それ故に、ルールを守り部門ごとに仕事をやり遂げることで成功が続くと勘違いしてしまい、大企業病へ罹患する原因となっているのです。

挑戦環境を整備する制度がないため

変化する時代において企業の変革が求められているように、企業が存続し繁栄し続けるためには、時代とともに企業も変貌を遂げる必要があります。そのためには新しいアイデアを積極的に取り入れて、果敢にチャレンジする環境を育まなければなりません。競合他社との差別化を図り、生き残っていくためにも、素早く柔軟に変化に対応する必要があるのです。大企業などでは、いままでのやり方が正しいことで長く続けることが企業の繁栄に繋がるという考えが主流で、企業の変革や挑戦を否定するものになります。そのため挑戦環境を整備する制度はなく、新しいアイデアを実践する妨げにもなり、企業の変革が遅れてしまうのです。

理念が浸透していないため

従業員に企業の理念が浸透していないことも、大企業病を発症する原因の一つです。企業の規模が大きくなるほど、経営者と現場で働く人の距離は遠くなり、企業として最も大事にしたい理念や経営方針が伝わりにくくなります。また規模が大きくなることで、仕事が細分化されて専門性が高まり、全部署に共通した目標やビジョンを掲げることは難しくなるでしょう。たとえ全社で共有できる理念を発信したとしても、抽象的な内容になってしまうことで、企業が求める理想像を十分には伝えられなくなってしまいます。経営者側と現場側との視点のズレは、組織の統制が失われることに繋がるものであり注意が必要です。

会社が安定しているため

企業は成功と実績を積み重ねることで、経営や業績が安定するようになります。安定した企業ではリスク回避の傾向が大きくなるため、さらなる安定を求めて大企業病を発症してしまうのです。会社が安定するためには現状維持が最適であり、リスクを抱えた新しいことへの挑戦を避けるようになります。このような組織風土が持続して定着すると、積極的にチャレンジしようとする有能な社員や素晴らしいアイデアを摘んでしまい、企業の活力を失うことにも繋がります。また働く従業員も、積極的にアイデアを提案することを避けるようになり、波風を立てずに上司のいうことを聞くだけのイエスマンが増えることにもなるでしょう。

大企業病への対策

組織の構造を見直す

大企業病への特効薬とも言える施策は、組織の構造を見直すことです。大企業病に罹患した会社は簡単なことでは、病から抜け出すことはできません。しかし、組織構造を大きく変えることができたならば、早期の回復が見込めます。染みついてしまった組織の構造を見直して、大きな変化を与える事が重要です。とくに決裁に関わる手段などは、いち早く見直すべきです。従来の時間がかかる紙ベースの承認方式ではスピーディーな対応ができず、競合他社に先を越されてしまいます。そのためには、現場にも相応の権限を与えて、素早い対応ができる企業体制を構築すべきです。

評価制度を見直す

評価制度を見直すことも、大企業病への対策として有効な手段です。ただし、それまでとは全く異なる評価制度を作らないことには、大企業病の根源となっている部分までを治療することはできません。全従業員に納得のいく説明をしたうえで、新たな評価制度を施行することに理解を得るようにしましょう。大企業病へ罹患した企業では、当たり障りのない作業が評価され、上司の言うことを忠実に守ることが優先されます。しかし、それでは企業の変革は望めないため、新しいことへの挑戦を推奨するような成果主義の評価が有効です。ベテラン社員などの抵抗があるでしょうが、企業の存続には欠かせないことを理解してもらいましょう。

コンサルティングに頼る

コンサルティングなどの外部から見た客観的意見を受けることも、大企業病への対策となります。また、企業再生中にあっても、企業で働く人や経営者は変化に気付きにくいため、定期的にコンサルティングからの意見を聞くことも有効です。渦中にある人間からは、自分の会社が大企業病に罹患していることを自覚しにくく、治療中であっても効果が出ているのかさえ見えません。外部からの確かな目線で冷静に見てもらい、現在の状況と今後の課題を客観的な視点からアドバイスしてもらいましょう。

まとめ

大企業病の特徴や内容を理解し発症の対策をしよう

大企業病は知らぬ間に罹患し進行してしまう企業の病です。重症化すれば立て直すためにかなりの時間と労力を要することになります。まして大企業病は、疲弊した企業よりも上手く経営が行われている企業が罹患しやすいことも難点です。経営が安定しているため、病に罹っていることに気付きにくく、改善する必要を感じさせません。また、一度罹患してしまったら、改善するためには思いきった施策の実践が必要です。このような大企業病の特徴や内容を良く理解し、発症を防ぐとともに適切な対策を講じてください。

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