マネジリアル・グリッド理論とは【リーダー育成にどのように活用すれば良いの?わかりやすく解説します】

記事更新日:2024年04月18日 初回公開日:2024年04月18日

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昨今では、グローバル化やダイバーシティ化が進んでいる企業も多く、様々なバックグラウンドを持っている人が同じ職場で働くことが増えています。多様化が進んでいることにより、従来のような一括した管理では従業員一人一人の能力を活かしきることは出来ません。そのため、チームのリーダーとなる人は柔軟な対応が求められます。こういったことから様々なリーダーシップ論を活用・導入する企業も増えています。今回は様々あるリーダーシップ論の中から、マネジリアル・グリッドについて解説します。リーダーをしている人は参考にしてみてください。

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マネジリアル・グリッドとは

リーダーシップ行動論の1つ

マネジリアル・グリッドとは、リーダーシップ行動論の一つです。マネジリアル・グリッドは、1964年にテキサス大学教授であるブレイク教授とムートン教授によって提唱されました。この理論が提唱される前は、リーダーシップを評価する軸は「仕事の生産性」「周囲の人への配慮」の2つでした。マネジリアル・グリッドが提唱されてからは、従来の理論と比べリーダーの行動やスタイルを詳しく分析することができます。マネジリアル・グリッドを活用することで、理想のリーダー像に必要な要素を把握可能です。

マネジリアル・グリッドとPM理論の違い

PM理論はパフォーマンスとメンテナンスの2軸で分ける

マネジリアル・グリッドと同じく、リーダーシップ理論の一つにPM理論があります。2つの違いは、リーダーシップを分類する時の軸です。マネジリアル・グリッドでは、人間への興味と業績への関心という行動論を軸にして分析を行います。これに対してPM理論では、パフォーマンスとメンテナンスの2軸で分けています。PM理論のパフォーマンスは、成果達成へのリーダーシップを意味し進捗管理などが該当します。メンテナンスはチームをまとめる為のリーダーシップの事で、働きやすい環境作りなどです。

マネジリアル・グリッドとSL理論の違い

SL理論はリーダーが状況に合わせてアプローチを変える

SL理論も、リーダーシップ行動論の一つです。SL理論は、軸を元にして分析を行うのではなくリーダーが状況に合わせてアプローチを変えていきます。SL理論は1977年にハーシイとブランチャードにより提唱されました。シチュエーショナルリーダーシップの頭文字を取っており、均一なマネジメントを行うのではなく部下に合わせてリーダーが対応を変えていくべきだという考え方です。部下の習熟度が低い順に「指示型」「コーチ型」「援助型」「委任型」の4つの中で最適なものを選択していきます。

マネジリアル・グリッドの評価軸

人間への関心度

マネジリアル・グリッドの評価軸は、人間への関心度で測ります。人間への関心度とは、職場の上司や同僚に対してどの程度の関心を持っているかという事です。リーダーシップは他者と関わっていく中で初めて発揮されるものであるため、他者に関心を持っているかという事は重要な指標となります。人間関係を重視しているリーダーは、人間関係を有効に築くことができ物事を決定する上でも人間関係に重きを置きます。上司から褒められたい、などの考えが行動に繋がっていきます。

業績への関心度

業績への関心度もマネジリアル・グリッドの評価軸です。業績への関心度は、リーダーが成果や業績に対してどの程度興味関心を持っているかという事を指します。これには利益や売上げの向上だけでなく、課題解決・組織力向上なども含まれています。リーダーの業績への関心が評価軸となっており、成長意欲などによって振る舞いが変わってきます。業績への関心が高いリーダーは、自分の意思や意欲・企業のビジョンに基づいて行動を行うため積極的に業務に取り組む姿勢を持っています。

マネジリアル・グリッドのリーダー類型

人間中心型

マネジリアル・グリッドのリーダ類型は5つに分類されます。人間中心型はカントリークラブ型とも呼ばれており、人間に対しての関心が高い一方で業績に対しての関心が低くなっています。そのため、業績の達成よりも人間関係を良好に保つことに力を注ぐリーダーです。強制的な命令のような指示は行わず、メンバーの意思を尊重した上でお願いという形で仕事を依頼します。組織内で信頼関係を築きコミュニケーションが円滑になりますが、目標を達成したいメンバーからは反感を買ってしまう恐れもあります。

消極型

消極型は無関心型とも言われており、人間・業績に対する関心がいずれも低いリーダーです。ここに該当するリーダーは、「職を失いたくない、自分の立場を守りたい」といった考えが強い傾向にあります。与えられた業務はこなしますが、人間関係や業績に無関心のため職場内で何か問題があった際には、見て見ぬふりをする可能性もあります。意見を出し合う場では中立的な立場を取っている事が多く、メンバーが自ら意思決定をするようになりリーダーから離れていってしまう事も考えられます。

仕事中心型

仕事中心型は、権威服従型とも呼ばれており利益や業績への関心が高い一方で人間に対して関心が薄いタイプのリーダーです。組織内での人間関係を壊してでも、売上や業績を上げる事を優先するタイプが該当します。リーダーという立場を利用して部下に命令を下しいう組織構造を望んでいる傾向が高いため、権威服従型と呼ばれます。業務効率を最も重視しており、業績アップに繋がり企業としてはいい面もありますが抑えつけられた部下のモチベーションや主体性が奪われてしまうデメリットもあります。

理想型

理想型は、その名の通り人間・業績に対する関心がどちらとも高いリーダーであり、マネジリアル・グリッドで最も理想的とされたリーダー像です。理想型のリーダーは、組織内の人間関係を良好に保つために努力を行い、業務の進捗管理もしっかりと行えます。理想型のリーダーの元で働いている部下は、自由に自分の意見を伝える事ができるため部下の主体性や積極性を伸ばすことも可能です。幅広い部下の意見を柔軟に取り入れ、業績の向上へ繋げようとするのが理想のリーダーといえます。

中庸型

中庸型は、人間関係と業績にそこそこの興味関心を持っている妥協型のリーダーです。組織における人間関係や業績は無難であることが一番だと考え、現状維持や中立を重視する傾向にあります。トラブルが起こった際には、解決するために動きますがその場を収めるという気持ちだけで動くため、根本的な解決にはなっていません。また中庸型のリーダーは画期的な制度や取組よりも、古いしきたりや伝統を重んじる傾向にあるため、柔軟な対応が難しく時代遅れになってしまう可能性もあります。

マネジリアル・グリッドの課題

人材以外の要素を考慮しない

マネジリアル・グリッドの課題は、人材以外の要素を考慮出来ないことです。マネジリアル・グリッドを活用することで、リーダーがどの形に当てはまるのかを判断する事は出来ます。しかし優秀なリーダーに分類されていても、組織内の生産性が高まるとは限りません。リーダーシップの効果を最大限に発揮するためには、リーダーの特性だけでなくタスクの内容や組織の文化・組織の目標や戦略などの要素も大きく関わってきます。タスクが複雑な場合などは、いくらリーダーが優秀でも生産性の向上が見込めません。

客観的な分析や評価が難しい

マネジリアル・グリッドは客観的な分析や評価が難しい点が課題といえます。自己評価や部下からの評価などには主観が入ることが多いため、その評価をそのまま正当なものとして判断するかどうか難しいというのが問題点です。また関わりの少ない第三者が評価を行おうとしても、人の性格や行動と業績を同時に評価することは簡単ではありません。マネジリアル・グリッドの理論は評価基準として捉えるのではなく、あくまでもリーダー分析の指標の一つとして活用するようにしましょう。

業績向上に直結しない可能性がある

業績向上に直結しない可能性があるのも、マネジリアル・グリッドの課題です。マネジリアル・グリッド理論は、リーダーの人間や業績への「関心」を分析するための手法であり、実際の成果や利益は考慮されていません。そのため優れたリーダーであると判断出来ても、業績の向上に繋がるとは言い切れません。リーダーの育成にマネジリアル・グリッドを活用する場合には、他の手法と組み合わせて活用するようにしましょう。併用して活用することで、包括的な評価を行うことが出来ます。

マネジリアル・グリッドを活かしたリーダー育成方法

自分のタイプを診断する

マネジリアル・グリッドを活かしたリーダー育成方法は、自分のタイプを診断することです。マネジリアル・グリッドを活用してリーダー育成をする場合は、まず内面的なリーダーシップの傾向がどの型に当てはまるのかを把握する必要があります。自分のタイプを診断することで、日常業務では気付くことの出来ない潜在的なリーダーシップを発見することが出来ます。また診断して終わるのではなく、診断結果をチームに共有しメンバーから意見をもらう事でより自己分析を深める事も可能です。

リーダーの条件を具体的に考える

マネジリアル・グリッドを活かすには、リーダーの条件を具体的に考えましょう。マネジリアル・グリッドでの理想とされているリーダー像は、人間と業績に対して関心の高いリーダーです。しかしこれはあくまでもマネジリアル・グリッドの理想像であるため、自社で求めているリーダーの理想像を詳細に描く必要があります。理想のリーダー像は、経営陣や管理職だけで一方的に決めるのではなく、チーム内でどのようなリーダーを求めているのか・どういったリーダーについていきたいのかを話し合う事が重要です。

実践を重ねてフィードバックをもらう

実践を重ねてフィードバックをもらうことで、マネジリアル・グリッドを活かしたリーダー育成を行えます。いくら自社に最適なリーダーの条件を具体的に考えたとしても、実践を積まなければ身に付けることは出来ません。リーダー論を学ぶためにe-learningの実習などももちろん大切です。しかし座学だけでは学習した内容を身に付ける事は難しいため、実践を積み重ねていく事で身に付ける事が出来ます。また定期的に他のメンバーからフィードバックをもらう事でマネジリアル・グリッドを活かすことも可能です。

まとめ

マネジリアル・グリッドをリーダー育成に活かそう

マネジリアル・グリッドのリーダーの型や導入する際の課題などについて解説しました。企業の利益を最大化するためには、リーダーシップの発揮が欠かせません。マネジリアル・グリッド理論では、人間と業績への関心が高い人が理想的なリーダーとして示されています。しかし組織によっては、マネジリアル・グリッドの理想が必ずしも適切であるとは限りません。自社にはどのような要素を持ったリーダーが最適なのかを分析する事が大切です。マネジリアル・グリッドをリーダー育成に生かして組織運営を行っていきましょう。

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