マトリックス組織とは【デメリットに対する工夫や企業の成功例について解説します】

記事更新日:2022年11月15日 初回公開日:2022年11月15日

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組織形態は企業によって様々ですが、大半の企業は指示命令者は1人で経営層から社員へと指示が下りていくピラミッド型を採用しているはずです。ピラミッド型は、経営陣から経営方針や事業内容についての意思決定が下りてくるため、企業の運営においてはスムーズに進めることが出来ます。しかし伝達や指示を何度も行う内に、誤解を生んでしまう恐れもあります。そういった事態を改善するために活用され始めているのが、マトリックス組織です。事業内容別や地域別等の複数の組織を組み合わせて構成されています。マトリックス組織について解説しますので、マネジメント層の方や経営層の方は参考にしてみてください。

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マトリックス組織とは

1人の社員が複数の部門に所属する組織形態

マトリックス組織とは、1人の社員が複数の部門に所属する組織形態です。マトリックス図のように事業部や職能、プロジェクト別等様々な軸で構成されており横軸と縦軸の指示系統から指示を受け業務を遂行していきます。マトリックス組織は、1960年代のアメリカ宇宙産業で活用されたのが最初です。日本でマトリックス組織を編成する場合には、職能部門制と事業部門制を組み合わせて活用しています。部門や、製品・プロジェクトにそれぞれリーダーを配置し、2人のリーダーを置いた体制で事業を進めて行きます。

マトリックス組織の種類ごとの特徴

ストロング型

マトリックス組織におけるストロング型の特徴は、マネージャーを各プロジェクトに配置する点です。プロジェクトマネージャーは、各プロジェクトの進行を専門的に行っているためマネジメント力も持ち合わせています。ストロング型のマネージャーは、プロジェクト進行に大きな力を発揮することが可能です。専門的な知識を持ったマネージャーを置くことで、所属しているメンバーの負担軽減も出来ます。強い権限を持っている為、指示系統も明確になります。但しストロング型を導入するには、マネージャーが独立した部門を作る必要がありコストが掛かってしまうことがデメリットです。

ウィーク型

ウィーク型は、それぞれの部門や部署に責任者を置かずに事業を進めて行きます。通常のプロジェクトには、リーダーやマネージャーが存在しますがウィーク型には明確にそう言った役割の人物は存在しません。指揮命令系統がない為、メンバーはそれぞれ自由に行動することが可能になりフットワークの軽いプロジェクトチームが出来上がります。それぞれが自ら考えて行動するため、トラブルや環境の変化に適応しやすいチームです。しかしリーダーが配置されていないことにより、関係性が曖昧になってしまい非効率になる場合もあります。

バランス型

それぞれのプロジェクトに参加してる人の中から、責任者を選ぶのがバランス型です。プロジェクトの大きさによっては、個々で対応出来ない場合がある為バランス型が活用されます。バランス型の責任者は、管理だけではなく通常業務も他のメンバーと同じように行う為、プロジェクト進捗の把握が早く指示などもスムーズに行うことが可能です。責任者とは別に、他プロジェクトのマネージャーが存在していることで、メンバーの指示命令系統が複雑になり混乱を招かない様注意が必要です。

マトリックス組織のメリット

生産性が向上する

マトリックス組織は、生産性が向上するメリットがあります。部署関係なく、いろいろな人とコミュニケーションを取りながら業務を遂行していくのがマトリックス組織です。部署を越えて関係性を作り上げることによって、業務を円滑に回せるだけではなくプロジェクトの全体像を理解することが出来ます。それにより、参加している全員がプロジェクトの目標を持つことが可能です。職能部門と事業部門両方に相乗効果が発生し、両部門の業務を円滑に進める技術となる為生産性も向上します。

部署間の連携がしやすくなる

部署間の連携がしやすくなるのも、マトリックス組織のメリットです。マトリックス組織は社員が複数の部署に所属します。一つの部署に所属し、他部署との関わりを持つことが殆どないというようなことが無く、様々な社員と交流する機会があります。それにより横の繋がりが出来ている為、業務上調整が必要になった場合でも周りの状況に合わせた調整が可能です。組織上で意思決定が必要になっても、フラットに決定を行うことが出来ます。部署を超えて関係性が築けている為、社員同士の連携もしやすくなっています。

社員の能力向上が期待できる

マトリックス組織のメリットは、社員の能力向上が期待できる点です。マトリックス組織は部署を超えてコミュニケーションを取りながら、調整を行い業務を遂行していかなければなりません。それにより、プロジェクトの全体像が見えるようになります。全体像が見えるようになると、全員が同じ目標に向かって業務を遂行することが可能です。プロジェクトの課題を解決するために、部署を問わずに様々な部署の社員と試行錯誤を行うことによって、従業員の隠れた才能が発揮されやすくなります。

トップダウン型の負担軽減ができる

マトリックス組織はトップダウン型の負担軽減ができるのも、メリットの一つです。マトリックス組織では、プロジェクトマネージャーや部門責任者に一定の決定権を付与します。その為、マネジメント等様々なことが求められている管理職も効率よく自分の業務を行えます。プロジェクト内に指揮命令者がいることによって、現場のことは指揮命令者が把握しており意思疎通をすぐに行うことが可能です。経営陣とのコミュニケーションによるストレス軽減も行え、スムーズに業務を遂行することが出来ます。

マトリックス組織のデメリット

組織内の対立が生じやすくなる

マトリックス組織は、組織内の対立が生じやすくなるデメリットがあります。二つの組織を合わせた構造を持っているマトリックス組織では、マネージャーは1人ではなくプロジェクトと部門にそれぞれ配置されています。責任者が2人居ることによって、考え方などが異なれば意見の対立や衝突は避けられません。指揮命令者が複数いる場合、組織が複雑化してしまう恐れがあります。意思決定等が統一されていなければ、業務で大きなトラブルが起こる原因にもなりかねません。対立を起こさないようにするためにも、指揮命令者がしっかりとコミュニケーションを取る必要があります。

人事評価が難しくなってしまう

人事評価が難しくなってしまうのも、マトリックス組織のデメリットです。評価者となるマネージャーがプロジェクトと部門にいるため、評価基準を明確に設定せずに評価をしてしまうとそれぞれのマネージャーが主観で評価を行う恐れがあります。基準がない評価は偏りが出てしまい、判断が難しくなります。またマトリックス組織は、2つの組織や部門に所属しているためどのような業務に携わっているのかの把握が容易ではありません。人事評価を正確に行うためにも、社員の業務把握は重要です。

仕事量の偏りが生じる恐れがある

マトリックス組織のデメリットは、仕事量の偏りが生じる恐れがあるという点です。通常の組織運営においても、「特定の人に仕事が偏っている」と感じている人は少なくありません。マトリックス組織では、社員1人が複数の部署やプロジェクトを兼務する為、業務量の配分が重要です。マネージャー内のパワーバランス等に影響され、部署やプロジェクトによって配分ミスが起こる可能性もあります。業務量の偏りは、最終的に企業の経営にも影響する恐れもあります。そうならない為にも、社員の繁忙期や業務量などをしっかり見極めなければなりません。

マトリックス組織における失敗を避けるためのポイント

評価制度の見直しをする

マトリックス組織において失敗を避けるには、評価制度の見直しを行いましょう。マトリックス組織では、2つの組織に所属していることになる為、通常の評価制度では対応出来ない部分が発生してしまいます。複数の組織に所属している場合には、評価者も1人ではない為マトリックス組織に適した評価制度の導入が欠かせません。評価者が複数になる場合、評価される社員側にしっかりと説明をする必要があります。また従来の評価法とは異なり、社員一人ひとりの能力や業務の取り組み等も把握する必要があり評価者の負担が増えない様配慮しましょう。

従業員満足度調査を実施する

従業員満足度調査を実施することも、マトリックス組織において失敗を避ける方法です。マトリックス組織では、上司やリーダーが2人いるので通常の組織以上に社員は気を使わなければなりません。リーダー同士の関係が良好である場合は問題ありませんが、リーダーが対立している場合には社員のメンタル面にも影響を及ぼしかねません。精神的な負担になっている場合はケアが必要です。その為マトリックス組織を活用する場合は従業員満足度調査をして、負担に感じている社員がいないか確認することが大切です。

マトリックス組織の成功例

花王株式会社

花王株式会社は2012年に約1年をかけて、組織全体を事業と機能を掛け合わせたマトリックス組織に再編を行いました。マトリックス組織を導入したことにより、プロジェクトを時間を掛けずに進めることに成功しています。ビューティーケアなどのブランド部門と、ITなどの研究部門が協力して課題解決に取り組んでいます。様々な部門が、壁を越えて交流することにより各部門の強みを一箇所に集めることができ、商品開発の時間短縮も可能です。関連部署と綿密にコミュニケーションを取ることで、自発的な行動を促す組織づくりを可能にしています。

村田製作所

村田製作所は、製品の種類が増えたことにより商品経営を推進するために、マトリックス組織を採用しました。製品ごとに開発や営業の部門を設定し、製品で分けた軸と「成形」などの製造で分けた軸でマトリックス編成を行っています。村田製作所では、横軸と縦軸だけではなく本社の社員によってそれぞれのグループ横断で間接業務を行う機能が付け加えられており、「3次元マトリックス組織」を活用しています。3次元化したことにより、製品別の組織間でしっかりとした連携が可能となり業務での無駄を省くことに成功しました。

トヨタ

グローバル企業であるトヨタ自動車は、2016年に7つの企業と地域別に分類したビジネスユニットを組み合わせたマトリックス組織を編成しました。トヨタ自動車はその横軸と縦軸に対して、委員会が横断的な活動を行っているのが特徴です。委員会が行う活動としては、良い製品が作れるように標準化部品の推奨や知恵や技術の共有を行っています。委員会の活動により、その地域に合わせた市場動向の把握が可能となり場所に合わせた販売戦略を行うことが出来るようになりました。

まとめ

マトリックス組織を導入する際は全体のバランスを意識しましょう

マトリックス組織の種類や、メリット・デメリットについて解説しました。マトリックス組織はピラミッド型の指示命令系統よりも、事業を進めるスピードを上げることが出来ます。しかし複数の部署が事業に関わっている為、責任の所在をどこに置くのかが明確にならず問題になってしまうこともあります。マトリックス組織を活用出来ればメリットの大きい組織編成ですが、注意点も多く慎重に導入しなければなりません。マトリックス組織の導入を考えている企業の方は、しっかりとマトリックス組織の特性やデメリット等を把握した上で全体のバランスを意識するようにしましょう。

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