エンゲージメント経営とは【メリットや課題点についても解説します】

記事更新日:2024年04月26日 初回公開日:2024年04月26日

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労働人口の減少やグローバル化が進んでいることによって多様な働き方が広がり、企業が従業員に長く働き続けてもらうためには様々な工夫が求められるようになっています。従来であれば、高い給与を支払っている企業に人が集まる傾向にありましたが、昨今ではやりがいや働きやすさを求めている人が増えています。そういった時代の変化に合わせるため、最近では従業員のエンゲージメントを高める経営が注目されるようになってきています。今回はエンゲージメント経営について解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。

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エンゲージメント経営とは

社員が所属する組織と仕事に熱意を持ち自発的に貢献しようとする意欲のこと

エンゲージメント経営とは、社員が愛着心を持ち働けるようにすることです。エンゲージメントとは社員が所属する組織と仕事に熱意を持ち自発的に貢献しようとする意欲を指しています。働き方の多様化や様々なバックグラウンドを持った人が一緒に働くことの多い昨今では、企業として従業員と良好な関係を築く事が求められています。また労働人口が限られている中、企業に貢献してくれる従業員を育成するにはエンゲージメントが重要です。

エンゲージメントと従業員満足度の違い

従業員満足度は従業員からの職場の評価

エンゲージメントと似ている言葉に従業員満足度があります。従業員満足度は、従業員からの職場の評価です。従業員が現状の会社の状況に満足しているかという片方からの評価制度であるため、双方の関係性を問うエンゲージメントとは大きく異なります。従業員満足度は職場の雰囲気や待遇などをベースにしていることが多く、処遇や条件などが変われば関係性が崩れてしまう可能性もあります。エンゲージメントは、処遇などに影響されて変動することが少ないため重視する企業が増えています。

エンゲージメント経営が重要視されている背景

日本企業において社員エンゲージメントが低い現状がある

エンゲージメント経営が重要視されているのは、日本企業において社員のエンゲージメントが低い現状があるからです。コーン・フェリー社が世界各国480企業を対象に実施したエンゲージメント調査を行いました。その調査によると、アメリカやヨーロッパの企業が仕事に対してやる気を持てないと回答した割合が3割前後だったのに対し、日本では約5割となっています。企業に対して愛着が持てていない従業員が多いと、生産性の低下や離職率に繋がりやすくなります。

社員の幸福度を考慮しない経営を続けてきた背景がある

社員の幸福度を考慮しない経営を続けてきた企業が多いことも、エンゲージメント経営が重要視されている理由です。長年日本では、終身雇用制度により個人よりも集団行動を重視し社訓を必ず守るなど会社と従業員の関係性は一方的になっていました。またやりがいや信頼に関して重視していた企業は殆どありません。そういった中で企業運営を行っていましたが、2000年以降の急速な情報化が進んだことや働き方改革によって、今までのやり方が通用しなくなってきています。

エンゲージメント経営を実践するメリット

生産性の向上

エンゲージメント経営を行う事で、生産性の向上が期待できます。従業員のエンゲージメントを重視した経営を行う事で、従業員の愛着度が高まり各自の生産性向上を見込めます。モチベーションエンジニアリング研究所と慶応義塾大学が共同で行った調査によると、エンゲージメントが1ポイント高まるたびに生産性が0.035ポイントあがることが分かっています。労働時間が同じでも生産性が高まる事で、コストを下げて効率よく業務を進めていく事が可能です。

離職率の低下

エンゲージメント経営は、離職率の低下に繋がるメリットがあります。離職率が高い企業では、長時間労働が常態化している・休みが中々取れないといった職場環境や処遇が整っていないことが多くあります。昨今では労働人口が減り、キャリアアップのために転職する人も増えているため、企業が従業員に長く働いてもらうためには職場環境の整備などが重要です。従業員が働きやすい環境を提供することにより、企業への愛着や貢献しようという意欲に繋げる事が出来ます。

組織力の強化

組織力の強化が出来るのも、エンゲージメント経営を実践するメリットです。従業員満足度の向上を行うには、評価制度の整備や給与の増額・福利厚生の充実など様々な方法があります。しかしいくら従業員満足度を高める事に成功したとしても、それによって企業と従業員の信頼関係や働き甲斐に繋がるとは言えませんでした。エンゲージメントが高い企業では従業員の愛着に重点を置いた経営を行って、組織力を高める事に成功しています。

エンゲージメント経営の課題点

管理職層の課題認識が薄い

エンゲージメント経営を行っていく中で、管理職の課題認識が薄い所が課題といえます。企業規模に関係なく、管理職になっているのは40代~50代という世代の人が多い傾向にあります。この世代の人たちは働き方改革以降の働き方よりも、長時間労働など長い時間働くことを美徳としている考えの人が少なくありません。そのため、従業員のやりがいや働き甲斐を高めるという考えにあまり馴染みがありません。こういった考えの人が多い職場では、エンゲージメント経営に切り替えていく事が難しくなります。

組織風土が弊害となる

エンゲージメント経営では、組織風土が弊害になることも課題の一つです。グローバル化や働き方改革によって、成果主義を取る企業も増えてきていますが、未だに従来のやり方で企業運営を行っている所も少なくありません。企業運営を長く行い歴史がある企業ほど、中々組織内の体制や制度を変更することは簡単ではありません。若年層の従業員に定着してもらうためには、エンゲージメント経営が重要であると分かっていても長年の組織風土が弊害となってしまう可能性もあります。

継続的な取り組みが欠かせない

継続的な取り組みが欠かせないのも、エンゲージメント経営の課題点です。エンゲージメント経営は短期的に実施できるものではありません。従業員に企業への愛着心や業務への意欲を高く持ってもらうためには、様々な工夫や施策を長期的に行っていく必要があります。従業員のエンゲージメントを高める事で、生産性の向上や離職率低下など企業にとってもメリットの多いエンゲージメント経営ですが、長期的に取り組む必要があるため人員が少ない企業などは取組み辛いといえます。

エンゲージメント経営の流れ

現場のエンゲージメントを把握する

エンゲージメント経営を行うには、現場のエンゲージメントを把握するようにしましょう。エンゲージメント経営を進めていくためには、まず現状のエンゲージメントを測定し自社の課題を可視化することが大切です。従業員が会社に対してどう思っているのかや、評価制度・福利厚生にどういった課題があるのかをしっかり把握する必要があります。スコアが低いほど愛着や貢献する意欲を持っていないため、迅速に改善を行わなければなりません。体制や制度を整備することで従業員のエンゲージメントだけでなく企業の成長に繋がっていきます。

優先課題と将来課題への対応

エンゲージメント経営の導入には、優先課題と将来課題への対応が必要です。現状のエンゲージメントを測定し、課題を可視化したら原因を解決していくために具体的な解決策を考えます。人間関係や制度の拡充など様々な分野において課題となる問題が見つかるはずです。課題解決を行っていく際には、優先順位を付けてスケジュールを立てた上で実行していきましょう。迅速に対応が必要な物や、中長期的に時間が必要なものを分けて対応していく事で適切な対応を行っていく事が出来ます。

効果測定と定点観測の継続

効果測定と定点観測の継続も、エンゲージメント経営に必要不可欠です。エンゲージメントを向上させるための工夫や施策を行ってそのままにしていてはせっかく実施した施策の効果を測ることは出来ません。実施前と比較し、エンゲージメントがどう変化しているのかを確認することが大切です。変化が得られていない場合は、何が問題だったのかを分析し再度施策を立案する必要があります。エンゲージメントスコアの改善は、1度実施したら終わりではなく定期的に見直しを行い繰り返し実施していく事が大切です。

エンゲージメント経営の導入ポイント

企業の方針を明確にする

エンゲージメント経営を導入する際には、企業の方針を明確にしましょう。従業員に高いエンゲージメントをもって働いてもらうためには、経営理念やビジョンの浸透が欠かせません。企業と従業員が信頼関係を築きエンゲージメントを強化するには、企業としての考えを従業員にしっかりと理解してもらう必要があります。その為には、企業の方針が明確になっていなければなりません。企業の方針が決まっていなければ、いくら対策を行っても企業に対しての愛着心や貢献心を高める事は出来ません。

現場のモチベーション状況を把握する

エンゲージメント経営は、現場のモチベーション状況を把握することが大切です。従業員のエンゲージメントを把握し、今の状況はどういった要因から来ているのかを調査することが大切です。従業員のエンゲージメントを高く維持するためには、従業員満足度を高める必要があります。その為には職場環境の改善や福利厚生の導入・働き方の多様化など従業員の要望を聞き、改善していく事が重要です。従業員のモチベーションを測る為に、定期的なアンケートを実施するというのも有効的といえます。

人事評価制度を見直す

エンゲージメント経営の導入時には、人事評価制度の見直しを行いましょう。職場環境や多様な働き方を導入し、従業員が高いエンゲージメントを持てるようになっても人事評価に公平性が無ければエンゲージメントは低下していきます。仕事へのやりがいも重要ですが、やりがいだけではモチベーション高く働き続ける事は出来ません。自発的に業務に取り組み、企業に貢献している従業員に対しては行動に見合った評価が重要です。エンゲージメント経営を行うためには、公平性のある人事評価が必要です。

コミュニケーションを大切にする

コミュニケーションを大切にするのも、エンゲージメント経営を導入する際に重要なポイントです。従業員のエンゲージメントを高めるためには、従業員同士の信頼関係構築は欠かせません。従業員同士で信頼関係を築けている事によって、業務の相談や目標の共有がしやすくなります。発言がし辛い環境では、不満やストレスが溜まりエンゲージメントが低下していきます。コミュニケーションを積極的に取っている企業では、従業員がやりがいを持って働けている事が多いため、エンゲージメント経営には欠かせない要素です。

まとめ

エンゲージメント経営を取り入れて働きやすい環境を実現しよう

エンゲージメント経営を行うメリットや、導入時の課題・導入する際のポイントについて解説しました。海外の企業と比べ、日本では仕事にやりがいを感じない従業員が多くいます。多様な働き方を選ぶことが出来る現代において、従来と同じ方法で従業員の満足度やエンゲージメントを高める事は難しくなっています。しかし従業員のエンゲージメントが低いままにしておくと、生産性の低下や離職率アップなど企業にとってデメリットが多くなります。エンゲージメント経営を取り入れて、働きやすい環境を実現していきましょう。

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この記事を書いた人

塩野 豪

(しおの ごう)

行政書士塩野豪事務所の代表。
外国人ビザ(在留資格)の専門家として活動し、フィリピンやカナダなど外国との繋がりも強い。
人材紹介会社の外部顧問としても活動している。

HP:行政書士法人フォワード
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