記事更新日:2021年06月11日 | 初回公開日:2021年02月10日
用語集 外国人採用・雇用 グローバル用語解説 人事・労務お役立ち情報退職証明書とは、すでに会社を退職していることを証明し、また確かにその会社に在籍していたことを証明する私文書です。管轄のハローワークから交付される離職票は公文書ですが、退職証明書は公文書ではありません。新しい会社から提出を求められた際、元の会社に申請して発行してもらう書類であって、その役割は、元勤務先に在籍していたことの証明です。使用期間、業務の種類、役職、退職事由などを元勤務先の会社が証明してくれるので、失業保険の申請も可能な書類です。
法的に定められた退職証明書に記載すべき項目は、「使用期間」「業務の種類」「その事業における地位」「賃金」「退職の事由」の5項目のみ。労働者が請求した項目以外の記載は禁止されています。まず使用期間ですが、退職者が、その会社に在籍していた期間が記載されます。たとえば、2001年4月1日~2020年1月31日というような具体的な表現が良いとされています。なお、試用期間を経て正式採用になった労働者の場合、試用期間の記載は必須項目ではありません。
「業務の種類」には、退職者が元勤務先の企業でどのような業務に就いていたのかがわかるように、本人が担当していた仕事内容を記載します。業務の種類が幅広い場合、どこまで記載するか慎重に確認する必要がありますが、記載内容が簡潔すぎないようした方が良いでしょう。「商品企画部」「研究・開発部」「営業部」「広報部」というように所属部署を記載、あるいは「事務職」「営業職」「企画職」といったように、職種を記載します。
「その事業における地位」とは、その会社の従業員としての地位ということです。つまり所属していた部署や就いていた役職などを記載します。具体的には、たとえば、「●●部長」「▲▲課長」といったように、どの部署でどのような役職ポジションに就いていたかを記載するとわかりやすいといえるでしょう。なお、いつどういった役職に就いていたかなどの詳細ではなく、退職する時点での最終的な役職を記載するのが一般的なようです。
「賃金」とは「従業員の給与額」を意味しますが、退職者にどのくらいの給与が支払われていたのかを記載します。それは退職者が離職前の、在籍時直前の賃金となります。税金や社会保険料などを差し引く前の金額に残業代や交通費をプラスした金額を記載するのです。また「退職時の基本給や手当金額」「前年の年収」などを記入するのが一般的ですが、退職者の依頼内容をよく確認して、求められた事項のみを記載するようにしましょう。
退職事由は、退職証明書を発行する企業により異なります。退職理由の分類としては、「離職者による自己都合」、「定年」、「労働契約期間満了等による」、「事業主からの働きかけによる」、「その他」、「解雇」など。詳細も添えて記載する企業から、一言で済ませる企業までさまざまです。ただし、労働者側が解雇された事実のみの証明を要請し、理由の記載を希望しない場合には、退職証明書に解雇理由を記載することは許されません。
退職証明書は離職票と違い公文書ではないため、特定のフォーマットや書き方のルールが存在しません。退職証明書の書式は統一されておらず、企業の任意となります。退職証明書は、ネット等から必要な項目が入ったテンプレートが無料でも容易に入手できます。退職証明書を作成する際には、必要な項目を漏らさず記入するため、このようなテンプレートをダウンロードして作製すると良いでしょう。ただし、退職者が希望していない事項については、必須項目であっても記入禁止なので要注意です。
退職証明書は、退職者自身で作成できない文書です。そのため転職先の会社が雇用する従業員に対して、退職理由や履歴書、職務経歴書などの記載内容を確認するために、退職証明書の提出を求める場合があります。自社の退職者が退職証明書の発行を申請してきた際には、必ず応じなくてはいけません。ただし、このように転職先の会社が退職証明書を求める行為には、時効が設けられています。退職から2年以上が経過している場合は、退職証明書発行の必要は会社側にはありません。
通常、国民健康保険や国民年金に新しく加入する際には離職票を提出します。離職票を発行しないことは違法のため、必ず発行されるのですが、元勤務先からハローワークに申請して、その後に発行されるため時間がかかります。離職票が手元にない場合、離職票の代用として、元勤務先から直接発行してもらえる退職証明書を提出することで、手続きを進めることができます。また失業保険を受給するときも同様で、離職票がない場合、退職証明書の提出によって手続きを進められます。
退職証明書は、退職者の元勤務先が、退職者の希望に応じて発行する私文書です。会社を退職した事実を証明するための書類で、企業が採用の際の判断のため、必要な場合に求職者に要求するもの。一方、退職証明書と混同しがちな書類に「離職票」があります。離職票は退職する際に国が発行する公文書で、退職後に基本手当(いわゆる失業給付金、失業手当)の受給手続きをする際に必要となる書類。離職したことを証明する公的な文書で、退職者自身がハローワークに提出する必要があります。
退職証明書の作成元は、退職者の元勤務先の企業となります。退職者の希望によって人事関係の部署で作成し、企業の代表者名によって発行され退職者本人に届けられます。一方、離職票は、まず会社側で、離職票の発行に必要な「離職証明書」という書類を準備します。離職証明書とは、従業員を雇用保険から脱退させるために、会社がハローワークに提出する書類です。離職証明書をハローワークが受理すると、公共職業安定所長によって離職票が交付され、会社を通じて退職者本人に届きます。
退職証明書には、上述のように業務の種類に地位、使用期間、賃金、退職理由について記載する必要があります。しかし、退職証明書には決まったフォーマットがないため、会社ごとに書式や記載される内容が異なります。そして退職者が希望しない内容は記載できません。一方、離職票は、書式が統一されており、離職票-1と離職票-2に分かれています。「離職票―1」には雇用保険の資格喪失の旨が、「離職票―2」には離職日以前の賃金支払状況と離職理由が記載されています。
退職証明書は、退職者の希望に応じて発行され、元勤務先の企業が直接退職者に渡すため、比較的早めに発行されます。一方、離職票ですが、会社が退職者から依頼を受けてから、まず「離職証明書」を作成します。離職証明書を、退職(保険資格喪失日)の翌日から10日以内に、会社がハローワークに申請することで離職票が発行され、申請元の会社に郵送で届きます。それから申請者である退職者に届くため、入手できるのは12~13日後になるのです。離職票を申請してから手元に届くまで週間は見ておいた方が良いでしょう。
退職理由などを正確に把握するために、転職先の企業が新しい従業員に対して退職証明書の提出を求めることがあります。ただし、元勤務先の企業に申請できるのは2年間で、超過すると申請できません。退職証明書を請求できるのは、会社を退職してから2年以内と定められています。2年を経過した場合は元勤務先の会社に発行する義務はなく、退職証明書の発行を拒否できるのです。退職してから2年経ってから転職活動を始めた場合、求職者は転職先の企業へ「2年経過して退職証明書の発行が難しい」旨を説明する必要があります。
退職証明書は、パートやアルバイトでも退職した会社に申請すれば発行してもらえます。パートやアルバイトであっても、労働時間や出勤日数によっては会社の健康保険に加入しているはず。その場合、退職後に国民健康保険に加入する場合には、会社の健康保険の加入資格が喪失している証明のために退職証明書が必要になります。アルバイトであっても請求された場合は交付義務があるのです。また解雇を予告した場合、解雇日前にパートやアルバイトの労働者から請求があれば、「解雇理由証明書」を交付しなければなりません。
退職者には、自己都合による退職、解雇、契約期間の終了、その他の理由があります。会社は、その理由にかかわらず、退職者からの申し入れがあれば、退職証明書を発行する義務があります。また、発行回数も決まっていません。退職から2年間であれば、退職者の要請により何度でも発行しなければならないのです。理由もなく交付を遅らせた場合は労働基準法違反となり、30万円以下の罰金が科される規定もあるため、注意が必要です。退職者から退職証明書の発行を求められた場合には、速やかに退職証明書を交付しましょう。
以上、退職時や転職時に必要な「退職証明書」について、類似文書の「離職票」との対比も含めながら紹介してきました。離職票は失業手当の給付手続きに、退職証明書は転職先から求められた場合に必要になる重要な書類です。転職先に退職の事実を客観的に示すことのできる退職証明書は、退職者にとって重要な役割を担います。離職票は退職者の手元に届くまでに一定の時間がかかるため、会社から直接退職者に渡すことができる退職証明書には、迅速さが求められます。速やかに発行できるよう退職証明書の準備をしておきましょう。
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