アメーバ経営とは?【特徴やメリット・デメリットについて解説します】

記事更新日:2024年01月16日 初回公開日:2023年11月22日

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経営者にとって、どんな経営手法を実践するかは大いに悩むところです。他社の経営手法が自社に有効であるかは、実践してみなければ分かりません。とくに顧客のニーズが大きく変わるなど、変化が大きい昨今では、経営手法を変えることにも大きな決断が必要です。ここでは、いくつもの企業の再建に貢献した京セラの稲盛和夫名誉会長が実践して成功を収めた「アメーバ経営」について紹介いたします。「アメーバ経営」を行う目的から、導入のポイントまで詳しく解説いたしますので、今後における会社経営の一助となれば幸いです。

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アメーバ経営とは

組織を小集団に分けて1つの企業とみなし独立採算制で運営すること

アメーバ経営とは、組織を小集団に分けて1つの企業とみなし独立採算制で運営する経営手法です。京セラの稲盛和夫名誉会長が実経営より見出したとされ、組織が大きくなったときには組織を小組織の集合体と捉える考え方です。人間に例えれば人体は細胞(アメーバ)の集合体であり、各細胞が良好に機能すれば、健康な人体を維持できるという発想を転換した経営手法になります。アメーバを中小企業に見立て、それぞれのアメーバが独立採算企業として結果を残すことで、アメーバの集合体である組織が潤い続けるという企業運営方法です。

アメーバ経営の目的

全員参加経営を目指す

アメーバ経営の目的は、全員参加経営を目指すことであり、傍観者を一人も出さないことです。全従業員が会社の発展を目指して積極的に経営参加することで、生きがいと達成感を得られることが真の全員参加経営であると明言しています。「稲盛和夫OFFICIAL SITE」とも呼ばれる全員参加型オフィスは、常に能動的に動くような活気あふれる場所です。そのような中でも、何でも言い合える家族的な雰囲気が漂うのが、理想の全員参加型経営オフィスになります。

アメーバ経営の特徴

組織を採算管理ができる最小の単位に分ける

アメーバ経営の大きな特徴は、組織を採算管理ができる最小の単位に分けることです。組織を細分化しながらも採算管理が可能なため、最小単位である部門ごとの収支がはっきりと見られます。10人未満の小集団では、責任の所在が浮き彫りとなり、次のステップとなる改善策を考え瞬時に取り掛かることができるのです。そして起こした行動は収支に反映され、個々のやりがいが増幅するとともに、それぞれが部門の利益を常に意識するようになります。

時間当たり採算で収支決算を行う

アメーバ経営では、収支決算においても最小単位といえる時間当たりで採算管理するのが特徴です。収支の増減が時間で変化することを一目で理解することができ、慣れてくると部署の弱点も見つけられるため、収支改善に大いに役立ちます。また、経営初心者でも数値を理解しやすいように家計簿のように見立て、「見える化」とともに「分かる化」にも成功しました。時間ごとの収支および純利益だけでなく、個々に分配される「時間当たりの付加価値」を良く理解することができます。

経営情報をリアルタイムで共有する

経営情報をリアルタイムで共有することも、アメーバ経営における重要な特徴と言って良いでしょう。アメーバ経営では収支決算は時間単位で行うものの、経営目標などは「日」「月」「半期」「年」などとするのが一般的です。経営状況をリアルタイムで知ることができれば、今しなければいけないことが分かります。ただし情報収集は非常に重要であり、よりリアルに近いことが望まれますが、専門の部署やツールが必要になるので注意しましょう。

アメーバ経営が失敗してしまう理由

従業員にとってプレッシャーになる

アメーバ経営には大きなメリットが多くありますが、運営手法を取り入れて成功する企業ばかりではありません。個々が経営参加することが従業員のプレッシャーとなり、失敗する例も報告されています。アメーバ経営では個々の成否がはっきりと見えるのが特徴です。成功したときは自分の手柄になるものの、失敗したときの責任も直接自分に振りかかってくるため、重圧に耐えられなくなる人もいます。また個々の責任が問われ、それぞれが利益追求に走るため、個人の持つ特性が上手く生かされないことも失敗する原因の一つです

質よりも利益を追求してしまう

アメーバ経営は、採算管理を最小単位で行うように、利益追求型の運営方法と言えます。数を売って利益を得ることにばかりに目が行き、質よりも利益を追求してしまうのが大きな弱点です。一時しのぎなら良いかもしれませんが、継続した利益を生むことはできません。とくに顧客のニーズの変化が著しい昨今では、「安かろう悪かろう」では売れない時代になっています。利益追求は企業にとって最重要課題ではありますが、顧客のニーズを軽視した経営は、長く続かないことを覚えておきましょう。

定着するハードルが高い

アメーバ経営は従来の経営方法とは大きく異なるため、企業に定着するまでに時間を要することが多くあります。従業員全員に理解をしてもらい定着するまでのハードルは決して低く簡単なものではありません。またアメーバ経営の目的は全員参加経営を目指すことですが、裏返せば社員全員が否が応でも経営に携わらなければいけないと言い換えることができます。従業員全員が経営参加を希望するのなら良いのですが、中にはそう思わない人も多いので注意が必要です。

アメーバ経営のメリット

従業員の意識が高まる

アメーバ経営は全員参加経営が基本になるため、従業員の意識が自然に高まるメリットがあります。通常では関わることのできないことを任されているという自負にも繋がり、責任感が強くなり自信を持つことにもなるでしょう。従業員の意識が高まることは、個々のモチベーションアップに繋がるため、企業全体に活気が出ます。活気のある企業は魅力ある企業と捉えられるため、就職希望者も増えて、優秀な人材確保が期待できるでしょう。

幹部候補の育成に繋がる

アメーバ経営では、部門ごとに責任者を置き、企業経営的な権限を与えて運営を任せます。この貴重な経験は幹部候補の育成に繋がるもので、後に幹部となったときに大いに役立つものです。通常では幹部育成のための教育も行う必要がありますが、アメーバ経営での責任者経験により、特別な教育を受けずともすんなりと幹部の仕事ができるようになります。また、幹部候補とされる逸材が多くなることで、より能力の高い幹部育成に繋がるでしょう。

事業のスピードが加速する

各部門のリーダーに権限を与えるアメーバ経営では、通常では決裁まで数日かかる案件であっても即座に決定できるため、事業スピードが加速するメリットがあります。瞬間で状況が大きく変わる市場でのスピードは大きな武器になり、他社に先んじて動くことが可能です。そうした対応を繰り返すことで、企業全体にスピード感のある体質に変化することも大きなメリットと言えるでしょう。与えられた任務も期限前にこなすなど、スピードのある社員や企業は優秀であり、常に先を見て行動する姿勢が身に付きます。

アメーバ経営のデメリット

セクショナリズムが発生する可能性がある

アメーバ経営では自分の部門の利益を追求するあまり、他部門と疎遠になりセクショナリズムが発生する可能性があります。部門ごとに独立採算制にしたと言っても、本来は同じ企業の一部ですので本体の経営者は注意しなければいけません。ただしアメーバ経営は本来、部署ごとに競い合うことにより各部門が自立した健全経営を実践し、本体も潤うことが最終目的です。ある程度のセクショナリズムは覚悟しながらも、他部門や本体までに悪影響が出るような排他的な行為は、慎むように指導しましょう。

事前準備があり導入ハードルが高い

アメーバ経営を実践するには、事前準備が多くあり導入ハードルが高いというデメリットがあります。まず小グループを作る・グループのリーダーを決める・アメーバ経営を理解させる・独立採算体制の構築など、細かいことも挙げればキリがありません。アメーバ経営を立ち上げる部門が必要となる可能性もあります。そのために、導入には時間と費用が必要です。そして高いハードルを越えたとしても、軌道に乗って結果が出るまでは、また時間がかかるでしょう。アメーバ経営の実践には、余力と時間と度胸が必要です。

従業員のワークライフバランスが崩れる恐れがある

アメーバ経営ではリアルタイムで経営情報が得られるかわりに、自部門の成績や自己貢献度も瞬時に知ることができます。成績が上向いているときは問題ありませんが、落ち込みがひどくなれば結果が見えてしまうために残業も厭わなくなってしまうでしょう。この流れでは従業員のワークライフバランスが崩れる恐れがあり、経営云々の前に従業員が倒れるか離れていってしまいます。経営者側では従業員が法に準じた働き方をしているか、また個々の健康状態などにも気を付けるようにしましょう。

アメーバ経営におけるポイント

事前に経営理念の確立と浸透を徹底する

アメーバ経営における大きなポイントとして、事前に経営理念の確立と浸透を徹底することがあります。経営理念とは難しい言葉のようですが、簡単に言えば「最終的な理想像」のことと捉えて良いでしょう。最終的に企業が目指す姿を明確にし、従業員全員に周知させることで従業員が一丸となって新しい経営方法に協力してくれます。また、最終的な理想の企業を目指して通る道を示すことも重要であり、理想に向かって常に前進することでアメーバ経営の成功への道が開けるでしょう。

モチベーション維持ができる体制を構築する

従業員のモチベーション維持ができる体制を構築することも、アメーバ経営をするポイントです。従業員モチベーションの維持および向上は、企業全体の課題であり生産性にも直結します。ただし、従業員のモチベーションを一時的に向上させることはできたとしても、高いモチベーションを維持することは簡単ではありません。そのためにも経営者側は、従業員の意見を聞く場所を設ける必要があります。全員経営参加を謳うアメーバ経営では、より多くの社員の意見に耳を傾けるようにしましょう。

適したツールを導入する

現在では多数の開発ツールが市場に出回っており、アメーバ経営に有効と思われるツールも多く存在します。少人数のグループ単位で経営を行うアメーバ経営では、個々で抱える業務も多いため、使えるツールは有効に使うようにしましょう。もちろん、闇雲にツールを導入しても無駄な出費になるばかりですので、アメーバ経営に適したツールを導入することが重要です。また、販売する商品や提供するサービスや顧客によっても使うツールは変わってきます。データ集積などにツールは非常に有効です。自社に最も適したツールを選んでください。

まとめ

アメーバ経営が自社に合うか検討してみよう

アメーバ経営は前述のように多くの成功例を持つ経営手法ですが、間違った使い方や注意を忘れると失敗する危険もあるものです。また、企業の在り方によってはアメーバ経営と相性が良くないこともあるでしょう。とくにアメーバ経営は、内部の部署同士でも競い合うことを目的の1つとしているため、部署間での協力が欠かせない業種には向いていない手法です。自社がアメーバ経営を実践したことを想像してみましょう。自社を細分化したときにいくつの部署に分かれるかなど、アメーバ経営が自社に合うか検討してみてください。

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