組織における全体最適とは【部分最適との違いやメリットデメリットについて解説します】

記事更新日:2023年09月13日 初回公開日:2023年09月13日

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全体最適は会社などの組織を全体で見た時に、最も効率の良くパフォーマンスを発揮している状態のことです。長期的に安定した経営を行うためには、会社の経営方針に全体最適の考え方は必要不可欠です。しかし、全体最適という言葉に馴染みがなく、どんな意味なのか、実行するとどのようなメリットがあるのか分からないという方も多いのではないでしょうか。今回は、そんな全体最適について、言葉の意味やメリットとデメリットなどをご紹介していきます。全体最適の適用を目指している方は是非ご参考にしてみてください。

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全体最適とは

組織全体として最適な状態

全体最適とは組織全体が最も高いパフォーマンスを発揮している状態のことを差すビジネス用語です。会社組織は通常複数の部門に分かれていて、少人数のチームで行動しています。そのため、個々の部門だけで活動していると一部は高い成果をあげられても、全体で見ると不具合が生じる場合があります。全体最適とはこのように会社の一部分の生産性や効率に注目するのではなく、会社全体を見て利益の最大化を目指し、生産性や効率を上げていこうという考え方でもあります。

全体最適に関する名言

ピーター・ドラッカーが残した

著書「マネジメント」で有名な社会学者のピーター・ドラッカーが残した「いかに優れた部分最適も全体最適には勝てない」という名言も、全体最適の重要性を示しています。この言葉は一つの分野で優れていても他の分野が上手く回らなければ、全体的に優れている組織より大きな成果は出せない事実を示しています。部分最適は範囲が狭い分成果を出すのは容易ですが、優れている分野が何かの問題で躓いた時の損失は全体にも及びます。長期に渡り安定した成果を出すには、全体最適の考え方は必要不可欠と言えるでしょう。

全体最適と部分最適の違い

部分最適は全体の一部分や個人だけが最適な状態

部分最適は全体の一部分野や個人だけが最適な状態という意味があります。具体的には社内で一部の部署だけが最も効率が良く保たれている状態や、優れた社員1人だけが大幅な成果を上げている状態のことを差します。また、一部の部署が自分たちの利益だけを最優先に考えて行動している状態も、部分最適に該当します。部分最適が成立している企業は一見すると、その強みを活かしているようにも思われがちですが、上記の特徴から部署同士が衝突し内部分裂を起こしやすい危険性などを孕んでいるのも事実です。

全体最適が求められる理由

部分最適では会社全体の利益が最大化しない可能性がある

全体最適が求められる理由には、部分最適では会社全体の利益が最大化しない可能性があることが挙げられます。優秀なチームがどんなに成果を挙げたとしても、周りのチームによるフォロー体制が築かれていなければ、いずれ組織は瓦解してしまいます。例えば、営業部署が沢山契約を取り、成績を伸ばしてもその後の顧客対応を請け負う別の部署が上手く機能していなければ、長期的な利益にはつながりません。そのため、組織の運営では一部分の最適化ではなく、全体の最適化に目を向ける必要があります。

全体最適を行うことによる企業へのメリット

生産性の向上に繋がる

全体最適には企業の生産性を向上させる効果が期待できます。会社は様々な部署に分かれて運営に関わる仕事を分担しています。しかし、部署の役割が明確化されていないと、違う部署同士で業務が重複してしまうことがあり、人員や時間に無駄が生じます。この場合でも全体最適を意識して部署同士が連携し役割分担を明確化させると、業務の無駄を最小限に抑えることが可能です。結果的にそれぞれの部署が割り当てられた業務に全力を注げる状態になるので、仕事の能率もアップします。

限られた経営資源を有効活用できる

全体最適は会社の限られた経営資源を有効活用できるというメリットもあります。会社を運営するには必ず費用や人材などの資源が必要になりますが、これらの資源を無尽蔵に業務に投入できるわけではありません。限られた資源を有効活用するには、全ての部署や社員が効率良く仕事をする必要があります。特に、昨今の日本ではどの業界でも人手不足と言われているため、限られた人員で成果を出すには全ての社員が効率よく動いていく姿勢が求められます。

業務の自動化や効率化が進む

全体最適は業務の自動化や効率化を進める効果も期待できます。会社の中には部署内の業務フローが固定されていて、新しいビジネスツールの導入や業務フローの見直しに対して否定的な考えを持っている人も少なくありません。このような状態に陥ってしまうのには、部署や個人の仕事の慣れや、実行しやすさに囚われていることが考えられます。この場合にも、全体最適を図る方針のもと、改めて業務の自動化を検討させることで業務の見直しを促すきっかけになります。

全体最適を行うことによる従業員へのメリット

役割が明確になる

全体最適を行うことによる従業員のメリットは、割り当てられた役割が明確になることです。仕事をしている最中複数のタスクを抱えていると、優先順位をつけてこなしていかなければならず、どの業務を先に進めなければいけないか悩むことがあります。全体最適で業務の役割が明確になると、やらなければいけない仕事の範囲がわかるので職場で何をすれば良いのか迷うことが無くなります。必然的に仕事の優先順位付けもわかりやすくなるので、全ての従業員がスムーズに仕事を進められるようになります。

業務量を削減できる

全体最適では、各部署で重複している業務を一つの部署に集約させることで無駄な業務を削減し効率化を図ります。上記の行動で得られる従業員へのメリットは、業務量を削減できることです。職場で発生する無駄な業務が減れば、その分従業員は本来行うべき仕事に集中できます。さらに、業務量が減れば定時で仕事が終わらず従業員が残業する機会も少なくなります。そのため、全体最適による効率化は従業員の長時間労働の防止に繋がり、大幅に負担を軽減できる効果が期待できます。

ミスが減少する

全体最適で業務量の削減が可能になれば、従業員の負担が減るのでその分一つ一つの業務に時間をかけて取り掛かることができ、ミスの減少に繋がります。過剰に業務を抱えていると、業務の過程で本来必要なはずのダブルチェックや報告がおろそかになることがあります。上記のように必要な工程を省いてしまうと、後のミスやトラブルに発展する可能性も少なくありません。しかし、業務に十分な時間をかけることができれば各工程を確実にこなすことが可能になるので、結果的にミスやトラブルの防止にも役立ちます。

全体最適を行うデメリット

部門によってデメリットが生じる可能性がある

全体最適の適用は部門によってはデメリットが生じる可能性があります。全体最適は会社の全体的な利益の向上を図る考え方のため、一部門の最大効率よりも全体の効率が優先されます。そのため、他部門の効率アップのために一部の部門の負担が増える可能性も少なくありません。また、全体最適の適用には部門間の連携が必要不可欠ですが、一部の部門に負担が生じると対立関係が生まれ、連携が上手くいかないこともあります。このような理由から全体最適を適用する際には、各部門に生じる負担についても考慮しましょう。

実施する上で時間もコストもかかる

全体最適を実施するには時間もコストもかかるので、進めるために多大な労力が必要になるのもデメリットの一つです。全体最適は適用範囲が広いため、組織の末端まで新しい方針を浸透させるにはとても時間がかかります。具体的な例では業務の自動化や効率化のためにビジネスツールを導入が挙げられます。全ての従業員が問題無く使えるようになるには、教育や実践経験を積む必要があり、必然的に時間や費用などのコストも発生します。さらに全体最適は実施してもすぐに効果が表れるわけではないので、長期的な視点から計画を立てなければなりません。

全体最適と部分最適との使い分け

全体最適を意識すべき人

経営層や部門長クラス

全体最適を意識した方が良い人は主に経営層や部門長など、従業員や組織の運営管理をする立場にある人です。全体最適を意識するには組織の一部ではなく全体に目を向けなければなりません。会社の中で組織の全体を把握できるのは、上記の役職に就いている人たちだけです。さらに、全体最適では各部門や従業員同士の連携が必要なため、円滑に機能させるためには各部門の関係を調整し、指示を与えることが重要になります。そのため、全体最適を上手く適用するには経営層や部門長が会社全体の状態に目を向けながら、各部門や従業員をまとめていく必要があります。

部分最適を意識すべき人

現場職

管理職に就いている人は従業員や業務の管理が役割なので全体最適を意識すべきです。しかし、全ての従業員が全体最適を意識してしまうと、組織の理想とするイメージが明確化せず方針の統一が難しくなります。また、一般の従業員や現場職の人まで、組織全体の効率を視野に入れて仕事をしようとすると、却って他の部門に気兼ねして最大限の実力を発揮できなくなる可能性もあります。そのため、理職は全体最適を意識し指示を与え、現場職は自分の部門や自分自身の仕事の効率を考える部分最適を意識するど考え方を分けた方が組織は円滑に機能するでしょう。

全体最適を行う際ののポイント

管理職や責任者が意識改革を行う

全体最適を行う際のポイントは、初めに管理職や責任者が意識改革を行うことです。全体最適は全ての部門が連携し協力体制を築かなければ、実現するのは困難です。そして、一部の管理職だけで意識して実行しても、組織の末端まで施策が浸透していなければ効果を発揮できません。そのため、すべての管理職や責任者が全体の効率化のために、足並みを揃えて活動を行う必要があります。このような理由から全体最適を行う際は、従業員をまとめる立場に在る人材から意識改革を試みることが重要です。

社内コミュニケーションを活性化させる

全体最適を行う際は、各部門の同士の団結力を深めるためにも、コミュニケーションを活性化させることも大切なポイントと言えます。前述したとおり、全体最適には一部の部門の負担やデメリットが増加する可能性があり、部門間が対立するリスクが生まれます。全体最適を適用するためには、これ等のリスクを回避するためにも積極的にそれぞれの部門が交流する機会を作らなければなりません。社内のコミュニケーションを活性化させることで、それぞれの部門が他部門への理解を深めるきっかけにもなります。

業務プロセスを何度も更新し調整する

全体最適の状態を維持するためには業務プロセスを何度も更新し調整する必要があります。一度役割分担の見直しや業務の自動化を導入して、業務プロセスをアップデートしても恩恵を得られるのは短期間です。効率的な仕事の方法や、その時の最適な状態は世情の移り変わりに合わせて変化していきます。そのため、社会や現状の変化に合わせて、業務プロセスを更新していかなければ、全体最適が実現できている状態を保つことはできません。このような理由から全体最適を行う際には、最大効率をどのように維持していくかも考えていきましょう。

まとめ

全体最適に取り組んで企業の成長に繋げよう

全体最適は会社に適用することで利益を上げやすくなるだけでなく、従業員にとっても働きやすい環境づくりの手助けになります。しかし、全体最適を行うためには既存の業務フローや社内のルールを大きく変更しなければなりません。そして、その過程で一時的に一部の部門の業務負担が増えてしまうリスクも考えられます。そのため、円滑に最適化を進めるためには従業員の理解を得るための働きかけをすることも重要な課題と言えます。それぞれの部門や従業員が一丸となって全体最適に取り組むことで、会社そのものの成長に繋がるでしょう。

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