記事更新日:2024年01月31日 | 初回公開日:2022年01月31日
用語集 人事・労務お役立ち情報 グローバル用語解説 外国人採用・雇用タレントレビューとは、社員の能力などについて詳しく分析を行う取り組みのことです。タレントレビューは対象となる社員の直属の上司だけでなく、人事部や経営層の人間などが主体となって分析を行います。しかしタレントレビューの対象となるのは、若手社員や新入社員だけではありません。組織全体の生産性向上を目的としていますので、全ての社員を対象として分析を行うのが一般的とされています。企業の経営戦略を実現させるためには人事戦略が非常に重要となるため、タレントレビューを導入する企業が日本でも増えてきています。
タレントレビューは、タレントマネジメントの一環として行われます。タレントマネジメントとは社員が十分に能力を発揮できるように、戦略的な人材育成や人材配置を行う取り組み全体のことを指します。社内の優秀な人材を定着させるために、1990年代のアメリカで考案されたのが始まりとされています。人材の流動化が進む近年では日本企業においても注目され、採用や社員育成などさまざまな取り組みがタレントマネジメントの一環として行われるようになりました。タレントレビューはその中でも特に、適材適所の人材配置をするために効果的な手法といえるでしょう。
タレントレビューが注目されている理由として、労働力人口が減少しているということがあげられます。新規採用によって外部から人材を確保するのが難しくなってきており、社内の人材育成や適切な人材配置がこれまで以上に重要となるでしょう。これまでよりも採用活動に注力しようとすると、当然それに応じたコストが発生します。しかしタレントレビューを実施するという方法をとれば、金銭的なコストは比較的抑えながらも効果的な人材活用が実現できるでしょう。
グローバル化が加速しているということも、タレントレビューが重要視されている理由のひとつです。海外にも市場を広げる企業が増えてきており、日本国内だけでなく世界中の企業が競合となるケースも考えられます。世界中の企業と競争をして競り勝つためには、これまでよりも高い能力を持った社員が必要不可欠となるでしょう。タレントレビューを行うことで、実力を重視した新しい雇用体制を作り上げることにつながります。これまでよりも競争力の強い企業になるために必要な取り組みのひとつといえるでしょう。
IT技術の発展によってシステムを用いた客観的な人材評価が可能となったことで、タレントレビューはより注目されるようになりました。IT技術が普及していないこれまでの人材評価は、どうしても主観的なものになりがちでした。主観的な評価を行うと、社員同士の関係性や日々のコミュニケーションなどによって偏った評価が生じてしまう場合があります。IT技術が普及して人材に関するさまざまなデータを効率的に管理することが可能になったことで、これまでに比べてさらに効果的なタレントレビューが行えるようになったのです。
タレントレビューを実施する最大の目的は、企業の業績を向上させることや、現在よりも事業を拡大させていくということです。これらの経営目標を実現させるためにはさまざまな方法が考えられますが、タレントレビューは人事戦略の視点で行うアプローチということになります。企業の利益を拡大させることが最終的な目標ですので、タレントレビューを実施するという手段が目的となってしまわないように注意しながら取り組みましょう。
社員に対して適切な評価を行うということも、タレントレビューを実施する大きな目的です。社員のモチベーションを常に高く保つということは、組織の生産性を向上させるうえで非常に重要となります。ひとりひとりの能力や経験に対して適切な評価がされていないと、社員のモチベーションは著しく低下してしまうでしょう。タレントレビューにおいてはさまざまな観点から社員を分析するため、適正かつ公平な評価を実施することができます。
タレントレビューを実施することで社員ひとりひとりのキャリアプランを検討し、社員に対して提案することも可能です。タレントレビューでは社員のスキルや経験にくわえて、現在抱えている課題などを明確にして分析を行います。その結果を見える化することで、各社員の能力に応じたキャリアプランを明らかにできるでしょう。キャリアプランを提示された社員側としても、自分への評価が正しくされていることでモチベーションの向上につながります。
タレントレビューを行うことによって、社内の人材育成にもつながるでしょう。組織において必要とされている人材像と、実際の社員の能力を照らし合わせるというタレントレビューの中で、必ずしも現状の能力だけでカバーできるとは限りません。必要な能力との間にギャップがある場合は、社員に対して指導を行ってさらにスキルを伸ばしていきましょう。社員を指導するための研修プログラムなどを充実させることで、タレントレビューの効果を最大限に引き出すことにつながるでしょう。
タレントレビューを実施することで、採用活動をより効果的に行うことにもつながります。企業が抱えている課題や今いる人材について分析を詳細に行うため、今後どのような人材が必要となるのかをより明確にできるでしょう。効果的な採用活動を行うためには、求める人材像を明確に設定するということが非常に重要となってきます。採用活動を効率的に行うことによってそこで発生するコストも大幅にカットできる可能性がありますので、無駄なコストの削減という面においてもタレントレビューは効果的といえるでしょう。
タレントレビューを実施する際に用いられるフォーマットとして、「9ボックス」というものがあります。9ボックスとは横軸にポテンシャル、縦軸にパフォーマンスを設定することで人材を9つのタイプに分ける評価方法です。9ボックスでは人材が持っている個性や特性などを明確にするため、点数によって社員の優劣をつけるということが目的ではありません。新たな評価方法の導入を検討している企業の方は、社員を定性的に評価するための手段として9ボックスを活用してみてもいいでしょう。
タレントレビューを行うにあたって、まずは個人ではなく組織全体の分析から始める必要があります。組織単位で現在抱えている課題や、それを解消するためにはどのような人材が必要なのかなどについて把握しておくことが目的です。同じ企業の中でも、各部門などによって必要とされている人材の種類が異なるという場合も考えられます。そもそもタレントレビューを実施する目的は組織全体の課題解決と業績向上ですので、最終的な目標から逆算して人材の分析を行う方が効率的といえるでしょう。
タレントレビューでは社員ひとりひとりの情報を用いて分析を行うので、より効果的なものにするためには充分な量のデータを集める必要があります。経歴や保有している資格にくわえて配属先における評価など、なるべく多くの情報があった方が多面的な評価を実施できるでしょう。これらのデータを集約して継続的に運用していくのには、かなりの工数が必要となります。タレントマネジメントのためのシステムを導入するなどの方法もありますが、十分な費用対効果が得られるのかという点を意識したうえで導入するようにしましょう。
タレントレビューでは組織分析の結果と社員が現在持っている能力をすり合わせながら人員の配置などを検討しますが、さらなる人材育成が必要となる場合もあるでしょう。タレントレビューによって明らかになった組織課題と社員が持っている能力との間にギャップがあった場合には、何らかの方法でそれを埋める必要があります。社内の研修制度や教育プログラムなど、育成のための制度を見直すということもタレントレビューを行ううえでは重要といえるでしょう。
タレントレビューを実施する際には、常に客観的な視点で社員の評価をすることが重要となります。先述の通り、主観的になると評価に偏りが生じてしまいます。客観的な評価を正しく行うためにはまず、明確な評価基準を設定しておく必要があるでしょう。具体的な数値などを設定してそれらを社員に共有することで、誰が見ても納得できる評価を行うことができます。主観的な評価が生じることを避けるためにも、日常業務において接点の多い上司からの評価だけではなくさまざまな視点から評価を行うことも重要といえるでしょう。
定期的にタレントレビューを行うことで、継続的にその効果が見込めるでしょう。先述の通り、タレントレビューの実施においては社員ひとりひとりのデータを使用して分析を行うことになります。使用するデータは常に最新のものでなければ、的確な分析を行うことはできないでしょう。企業の規模や社員数などによって適切な実施頻度は異なりますが、社員のモチベーションにも大きく関わりますので、一度実施して終わりではなく継続的に実施することを心がけましょう。
タレントレビューの重要性や実施におけるポイントについて、お分かりいただけたでしょうか。労働力を確保することが難しくなってきているなかで、社内の限られた人材を適材適所に配置することは今後もさらに重要となってくるでしょう。そのほかにも企業が抱えている多くの課題は、社員の能力を最大限に発揮することによって解決できる場合が多いです。タレントレビューを実施することによって社員ひとりひとりの強みをあらためて認識し、効果的な人材配置を行うことを心がけましょう。
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