シニアアドバイザーとは【導入するメリットや注意点を交えてお伝えします】

記事更新日:2023年04月05日 初回公開日:2023年04月05日

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近年、働き方の多様化が注目され、高齢者が働くための環境整備も意識されるようになりました。定年を迎えても働き続けたいと考える社員はいるかもしれません。会社としても、業務経験や知識が豊富で働く意欲のある社員は雇用を続けたいと考えることもあるでしょう。そんな時、社員をシニアアドバイザーとして新しい役割を与えることで、組織力の強化につなげることができます。この記事では、シニアアドバイザーの役割やメリット、導入する際の注意点などを解説します。シニア社員の今後の活躍について考える際の参考にしてみてください。

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シニアアドバイザーとは

豊富な知識と経験を活かして実務の一部とアドバイザーの役割を担う役職

シニアアドバイザーとは、定年を迎えた社員が培ってきた知識と経験を活かし、実務の一部とアドバイザーとして務める役職のことを指します。シニア社員は、定年前に何らかの役職を経験していることが多いでしょう。長年従事した仕事の中で多くの課題を乗り越えた実績は、実務やマネジメントなど幅広い範囲で、社員へアドバイスする際の大きな助けになります。シニアアドバイザーならではのノウハウを活かし、多角的な視点で会社が抱える課題や目標に向けた戦略的な方向性を示すことが期待されます。

シニアアドバイザーが注目される背景

70歳までの従業員に就業機会を確保するための策として講じられた

シニアアドバイザーは、2021年に高年齢者雇用安定法が改正への策として注目されるようになりました。企業は70歳までの就業機会確保のため、多様な選択肢を整えるよう努めることが義務付けられています。一定年齢で役職から外れたシニア社員が、新たな形で活躍できる制度が求められるでしょう。シニアアドバイザーは長年にわたり培った知識や経験を活かし、企業が直面する課題や目標達成に向けたアドバイスが期待できます。経験豊富な社員ならではの部分を活かした役割付与で、シニア社員の活性化を図る方法として注目されています。

シニアアドバイザーのメリット

シニア社員のモチベーション向上につながる

シニアアドバイザーは、シニア社員のモチベーションの向上につながるメリットがあります。管理職や部長などの役職を外れたシニア社員は、負担の少なさに戸惑う場合もあるでしょう。シニア社員だからこそ持っている経験やノウハウを活かす機会を与えることで、会社へ貢献している実感を与えられます。それまでとは違ったポジションで業務を遂行することで、関わる社員も変わって刺激を受けることもあるでしょう。シニアアドバイザーとしての役割を付与する際は、期待行動を伝えることが大切です。

シニア社員のエンゲージメントを保ち活性化させる

シニアアドバイザーとしての役割は、シニア社員とのエンゲージメントを保ち活性化させることがです。環境が変わって新たな役割引き受けることで、それまで関わりのなかった社員と交流を持つことになります。若手社員を交えた意見交換の場に、アドバイザーとして参加することもあるかもしれません。役職についていた場合は従来の上司と部下といった関係でもなくなるため、社員との協力関係がより築きやすくなります。多くの社員と関わることで会社との一体感が生まれ、エンゲージメントを保つことにつながるでしょう。

管理職ではなくなった喪失感の解消につながる

シニア社員は、シニアアドバイザーの役割を持つことにより管理職ではなくなった喪失感を解消することが期待できます。管理職の手当などの給与面はもちろん、管理職としての特権や権限を失うため、自分の意見が採用されない虚しさを感じることがあるでしょう。新しい役割を与えることでやりがいや目標を持つことができるため、シニア社員の充実感につながります。シニアアドバイザーとしてスキルを十分に発揮するためには、管理職の経験をした社員だからこそ努められる役割を依頼することが大切です。

シニアアドバイザーの役割

後輩社員の教育

シニアアドバイザーは長年の職務経験やマネジメントスキルを活かし、後輩社員を教育することが求められます。幅広い経験を積んだシニア社員は、新入社員のような基礎的な育成はもちろんのこと、中堅社員へのマネジメント教育など多岐に渡る育成指導ができるでしょう。近年は、会社が人手不足で若手社員の教育が滞り、十分な指導ができないまま業務に携わることもあります。社会人の基礎的なスキルや長年培ったスキルを持ったシニアアドバイザーを教育担当としてアサインすることで、教育コストを抑えることにもつながります。

社員の相談役や助言役

シニアアドバイザーには、長年培った経験やノウハウを活かした社員の相談役や助言役の役割が期待されます。シニア社員は若手社員から中堅、マネジメント層までそれぞれの立場を経験しています。そのため、一人ひとりの社員の立場を考慮しながら適切なアドバイスができるでしょう。様々な視点を持ったアドバイスによって社員の成長を支援し、モチベーションの向上やキャリアアップにつながります。また、経営戦略や業務のプロセス、人材育成などの幅広い範囲で考えることもできるでしょう。

組織課題の解消

シニアアドバイザーは、組織が直面している課題を解決へ導く役割があります。長い間、業務に限らずマネジメントや育成にも携わってきたため、問題や課題に対して柔軟かつ戦略的に対策を考えることができます。築き上げてきたネットワークや幅広い視点を駆使して、新たなビジネスチャンスを見出すことも期待できるでしょう。組織課題の解消につなげるためには、シニアアドバイザーの過去の役職やスキルなどから適材適所を考慮し、十分にパフォーマンスが発揮できる役割を付与することが大切です。

シニアアドバイザーを導入する際の注意点

本人の希望や適正にあった役割を依頼する

シニアアドバイザーを導入する際は、会社が求める役割のみ与えるのではなく本人の希望や適性に合った役割を依頼することが大切です。例えば、後輩指導や相談役など業務のサポートに偏った役割をお願いしても、本人は実務に携わりたいと考えているかもしれません。自分の意思が全くくみ取ってもらえないと、モチベーションの低下につながる可能性もあります。シニアアドバイザーとして機能するためには、希望や適性を分析し、本人ともよく相談した上でお願いしましょう。

役割や期待している点を明確に伝える

シニアアドバイザーを依頼する社員には、役割や期待行動を明確に伝えましょう。肩書きを伝えるだけでは、会社が計画しているように行動できないことが考えられます。何をするべきか、何が期待されているかが具体的に分かっていれば、自信を持って取り組むことができ、モチベーションの向上につながります。また、シニアアドバイザーは社員であることに変わりはないため、定期的な面談や目標管理が必要です。期待行動が実践されているか定期的にチェックしましょう。

キャリア研修を実施する

社員にシニアアドバイザーを依頼する際は、対象の社員が定年となる前にキャリア研修の実施が必要です。キャリア研修では、社員がシニアになってからどのように活躍していきたいかヒアリングする機会を設けましょう。研修の内容をもとにシニア社員の適材適所を分析し、シニアアドバイザーとしてどのような役割を付与するか決めることができます。定年を迎える前にキャリア研修を受けることで、シニアアドバイザーになるための準備やモチベーションの向上にもつながります。

人事・給与制度を整備する

シニアアドバイザーを導入するためには人事制度や給与制度を見直し、整えることが必要です。シニア社員は、定年前と同様の給与形態を維持することは難しくなるでしょう。役職に就いていた社員は手当もあるため、大きな差が生じることが考えられます。しかし給与や待遇はモチベーションにも大きく影響するため、ただ給与を下げるだけというのは避けるべきでしょう。高年齢者雇用安定法に準じて人事制度を考慮することが必要です。シニアアドバイザーの給与や待遇を検討する際は、他の社員が不満を抱かないような公平性のある制度を整える必要があります。

多様で柔軟な勤務制度を用意する

シニアアドバイザーが活躍するためには、多様で柔軟な勤務制度が整っている必要があります。定年を迎えたシニア社員は、体力の低下などにより同じ働き方のままでは身体に不調が生じる可能性があります。定期的な通院が必要になる可能性もあるでしょう。自身に合った勤務制度が選べることで仕事のパフォーマンスを最大限に引き出せますし、長く働き続けられます。フレックスタイム制度や在宅勤務制度などの多様な働き方があるため、事前にシニア社員と相談して勤務制度を整える必要があります。

年下上司に対するマネジメント教育や研修を実施する

シニア社員は、定年前と立場が変わるため、年下上司に対するマネジメント教育が必要になります。シニア社員の増加に伴って、年下上司と年上の部下という関係性の中で業務に携わることもあります。定年前の上司と部下の関係が逆転した場合や年齢が大きく離れている場合、お互いが接し方に戸惑うこともあるでしょう。そこで管理体制が上手く機能しないとトラブルに発展することがあるため、双方がコミュニケーションを取りやすくなるための研修が必要となります。関わり方や信頼関係の築き方を中心に研修を企画しましょう。

シニアアドバイザーを導入している企業

樋野電機工業有限会社

樋野電機工業有限会社には、2名のシニアアドバイザーが在籍しています。長年にわたって身につけた技術や経験を活かし、社員を引っ張っていく存在となっています。彼らは業務経験が豊富なシニアアドバイザーとなっても、新しいことに挑戦するパワフルな社員です。資格の取得やスキルの向上に努める姿は、多くの社員に刺激を与えるでしょう。シニア社員と若手社員それぞれの良さを認め、互いに切磋琢磨しながら足りない部分を補うことができる関係性は組織力の向上につながります。

株式会社インソース

株式会社インソースには1名のシニアアドバイザーが在籍しています。人事部や営業部などの様々な部署での部長経験や、経営への理解力を活かしてシニアアドバイザーを務めています。研修事業を行う株式会社インソースでは、シニアアドバイザーが研修やセミナーの講師を務めることもあります。色々な立場を経験したシニアアドバイザーは、シニア層に向けた研修も若手に向けた研修も担当できるでしょう。学習では得られない幅広い知識や経験は、社員だけではなくクライアントにも大きな刺激となります。

富士通株式会社

富士通株式会社では、取締シニアアドバイザーが1名在籍しています。富士通株式会社のシニアアドバイザーは、代表取締役社長を経て役員として活躍しています。組織をまとめる取締役の経験は、経営層への多角的な視点を持ったアドバイスや提案につながるでしょう。経営層としても、経験豊富な相談役が在籍していることで、様々な意見を落とし込んだ上で判断を下すことができます。定年前に就いていた役職をもとに、シニア社員として活かせる強みを発揮して活躍し続けている一例です。

まとめ

豊富な経験と知識でシニア社員の活躍を促そう

シニアアドバイザーの役割や導入する際のポイントなどを解説しました。シニア社員は過去の実績を活かした活躍が期待できる一方で、社員との関わり方が変わるため、思わぬトラブルが発生することもあります。環境の変化に対応できるよう、研修の実施などのフォローが必要となります。また、社員がシニアアドバイザーとしてパフォーマンスを発揮するためには、シニア社員のキャリアの希望や適性に配慮した人員配置が必要です。キャリアに関するヒアリングを行ったうえで役割を明確に伝え、活躍し続けられる環境を整えましょう。

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