PEST分析とは【目的や活用例について分かりやすく解説します】

記事更新日:2023年03月28日 初回公開日:2023年03月28日

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世界情勢や日本経済は、日々変化しており企業に様々な影響を及ぼします。政治経済といった外部環境は中々企業単体で対処出来るものではありません。外部環境の変化に適応していくためには、自社を取り巻いている環境が現状どうなっているのか、将来どういった変化を起こすのかをしっかりと把握・予測しておく事が大切です。外部環境が自社へ与える影響を分析するための方法として、PEST分析が挙げられます。PEST分析の目的や手順について解説していきます。マーケティング部の方は是非参考にしてみてください。

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PEST分析とは

外部環境が企業へ与える影響を分析する手法

PEST分析とは、外部環境が企業へ与える影響を分析する手法です。自社を取り巻いている外部環境が現在だけでなく将来どのような影響を与えるのかを認識や把握するために活用するフレームワークです。新規事業を立ち上げる際には、自社の状況把握だけでなく外部環境に関しての情報を集め、分析する事も大切です。外部環境の分析は、政治・経済など大きな視点から分析するマクロ環境分析と競合他社の動向など小さな視点から分析するミクロ環境分析があります。PEST分析はマクロ環境分析に該当します。

4つの要因に分類して分析を行う

PESTとは、Politics (政治的要因)・Economy (経済的要因)・Society (社会的要因)・Technology (技術的要因)の4つの頭文字から来ています。Politicsは法律や税制度など、市場の制度やルールを変化させる要因です。Economyはデフレや雇用情勢が影響し、為替などで収益が変わる要素です。Societyは社会問題や世帯数などを指し、少子高齢化が進んでいる日本では高齢者向けのサービス等があります。TechnologyはインフラやAI活用などが影響し、自社にどういった影響を及ぼすのかを分析します。

PEST分析の目的

市場の変化を予測する

PEST分析は、市場の変化を予測するために行います。PEST分析は、企業単体では制御することの出来ない社会情勢や経済状況などのマクロ環境の分析を行うことが出来る為、市場の変化や将来性を予測したいときに最適な手法です。PEST分析でSocietyに分類された要因を活かすことで、新規事業への参入や商品開発などに活用することが出来ます。またPEST分析で判明した自社にとっての脅威を把握しておくことで、サービスからの撤退する時期なども見極めることが可能です。

マーケティング戦略を明確にする

PEST分析の目的は、マーケティング戦略を明確にするためです。マーケティング戦略を成功させるためには、しっかりと方向性を決めておく事が大切です。自社に関わっている外部・内部環境を分析し、市場に参入できる見込みや将来性などの把握を行います。環境分析を事前に行うことで、状況に合わせたマーケティング戦略や施策の立案を行うことが出来ます。PEST分析はマクロ環境の分析に適している為、マーケティング戦略の方向性を明確にしたい時に最適な方法で分析を行うことが可能です。

PEST分析の手順

外部環境の対象を設定する

PEST分析を行うには、まず外部環境の対象を設定します。一言に外部環境といっても、自社を取り巻いている環境は様々あり情報が膨大の為、どこから手をつければいいのか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。膨大な情報を分析するのは困難な為、環境要因を何に設定するかを確定させましょう。外部環境の対象を何に設定するかによって、分析の結果は異なります。マーケティング戦略などに基づいた分析を行えるよう、適切な対象設定が欠かせません。環境の対象を正しく設定することによって、戦略の方向性を明確にすることが出来ます。

収集した情報を4つの要因に分類する

取集した情報をPEST分析の4つの要因に分類しましょう。設定した環境要因に基づく情報を収集して、PEST分析の4つに当てはめ整理しながら情報を可視化していきましょう。情報は様々なところに溢れているので、新聞や業界紙など調べる媒体を限定した上で情報収集することがおすすめです。集めた情報がPESTのどの要因に分類するのが最適なのか迷うこともあるでしょう。しかし、4つの要因に分類することが目的ではなく、自社にどういった影響を及ぼすのかを把握することが目的の為、分類することにとらわれ過ぎないようにしましょう。

要因を事実と解釈に分類する

4つの要因に分類が終わった後は、それぞれのPESTに分類した項目を更に事実と解釈に分類しましょう。事実は、実際に起こっている状況などデータから判断できる内容を指しています。解釈は起きている状況に対して、個人的な主観の元予想で判断していることを指します。事実か解釈かの振り分けは、判断する事が簡単ではありませんが、現状起きていることを思い浮かべながら判断しましょう。解釈を元にした調査はどんなに最適な戦略を立てても結果が伴いません。PEST分析では事実だけを元に分析を行いましょう。

事実を脅威と機会に分類する

事実に分類した項目を、更に自社への脅威と機会で分類を行いましょう。自社に有利に働きそうな事実は機会に分類し、自社にとって不利になる事実を脅威へと分類します。業界全体にとっては「機会」に分類されることであっても、自社にとっては「脅威」になり得ることがあります。反対に、業界全体にとって脅威でも、自社にとっては機会になるケースもあります。その為、業界全体としての一般的な判断を行うのではなく、自社にとっての影響を考えることが重要です。視野が狭い状態で分類してしまうと脅威の中に隠れている機会を逃しかねない為、広い視点で分類を行いましょう。

分析結果を施策へ反映する

情報全ての分類が終わったら、分析した結果を施策へ反映しましょう。脅威となり得る要因の分析を元に、その脅威が「緊急性の高いものか低いものか」・「長期的な問題か短期的な問題か」をしっかり判断する事が大切です。施策に反映するのは、緊急性が高く短期的な問題から優先度を上げて取り組みましょう。PEST分析では、自社の外部環境を分析する事が目的の為、分析した結果が正化に繋がるわけではありません。分析した結果を今後の戦略にどう生かしていくのかを考えながら、優先して行う対策を検討することが重要です。

PEST分析と並行して活用できるフレームワーク

SWOT分析

PEST分析と並行して活用できるものは、SWOT分析です。SWOT分析とは、自社の資産やブランド価値・品質といったあらゆる要素をプラス要因とマイナス要因の双方から分析を行う方法です。SWOTとは、Strength(強み)・Weakness(弱み)・Opportunity(機会)・Threat(脅威)の頭文字から来ています。強み・機会をプラス要因、弱み・脅威をマイナス要因として正しく分析を行えるようにしています。SWOT分析では、現在の問題点や将来起こり得る懸念など漠然とした問題を整理することが可能です。

3C分析

3C分析もPEST分析と並行して活用することが可能です。3C分析とは、市場や顧客をマクロ環境とした上で、自社や競合他社をミクロ環境として分析する際に活用されているフレームワークです。3Cとは、Customer(市場・顧客)・Company(自社)・Competitor(競合)の3つの要素の頭文字を取っています。市場だけでなく、顧客や競合他社を自社の外部的要因として考え分析する事で、自社のブランディングを行いやすくするメリットがあります。

5フォース分析

5フォース分析は、PEST分析と並行して活用することが出来るフレームワークです。5フォース分析とは、外部環境の中でミクロ環境に分類される「事業環境」を分析するために活用されています。フォースは、競争要因(業界の競争状態)の事をいいます。5フォース分析は、売り手の交渉力・買い手の交渉力・代替品、代替サービスの脅威・既存企業同士の競争の要素を把握し行います。5フォース分析を行う目的は、自社が晒されている脅威を5つの分類ごとに分析を行い、自社の競争優位性を図るために実施します。

PEST分析のポイント

長期的な視点で分析を行う

PEST分析を行う際には、長期的な視点を持ち分析をすることがポイントです。PEST分析で行うマクロ環境は政治経済など規模が大きく、企業では対策を講じることが難しい変化が対象です。その規模が大きくなればなるほど、変化を起こすスピードは数年規模になるなど長期化が予想されます。その為、PEST分析を用いてマーケティング戦略に生かそうとする場合、中長期的な中長期的な戦略には最適な分析方法ですが、短期的な計画を行う際の分析方法としては向いていません。

手段を目的化しない

PEST分析のポイントは、手段を目的化しない事です。PEST分析を行う際には、膨大な情報量の収集・整理を行うだけでも多くの手間や時間が掛かります。こういったフローを効率的に行うには、専門的なノウハウなどが求められるため、経験の浅い人がPEST分析を行うと手段が目的化しかねません。情報収集や整理のテクニックを磨き、情報の整理に力を入れてしまうと事業戦略へ落とし込みを行い実行するといった部分が疎かになってしまう可能性があります。手段を目的化しない為にも、手順などをしっかりと理解し目的を見失わないことが大切です。

テンプレートを活用する

テンプレートを活用するのも、PEST分析のポイントです。初めてPEST分析を行う企業は、既にあるテンプレートやフォーマットを活用して効率的に分析を行うのも方法の一つです。テンプレートには、EdrawやQUADERNOなど様々あり、自社に合ったものを使うことが出来ます。Edrawは自分で気に入ったテンプレートを選び、テキスト文字と画像を入れるだけでPEST分析図が出来上がり、WordやExcelに変換も可能です。QUADERNOは1ページで分析内容から結論をまとめることが出来、見本や解説なども活用できるので、俯瞰した視点で分析を行うことが出来ます。

PEST分析の例

自動車業界

自動車業界のPEST分析を見てみましょう。Politicsは、ガソリン車を廃止する動きが高まり、電気自動車や水素自動車の需要が増えています。Economyは車に関しての税制改正などから、自動車市場縮小が懸念されています。Societyは若者の車離れが顕著になっており、カーシェアが普及していることから市場縮小に繋がります。Technologyでは、IT技術の導入により自動運転の技術開発や電気自動車の進化などに繋ぐことが可能です。自動車業界では多くの分野で脅威が挙げられており、Technologyを活かした新しい事業戦略を立てる必要があります。

化粧品業界

コロナウイルス感染症の流行により、中長期的に影響を受けているのが化粧品業界です。Politicsは外出自粛により、化粧品を使う場が減少しました。Economyは、インバウンドが減った事で外国人観光客の購入が減ったことが挙げられます。Societyでは、おうち時間が増えたことで男性スキンケア商品の売上が高まりました。TechnologyではECチャンネルのシェア拡大や、口コミやSNSでの拡がりが大きな影響を与えることが判明しました。PEST分析により、オーガニック製品の開発やSNSなどを上手く活用することで幅広い客層を集められることが分かります。

まとめ

PEST分析を企業戦略に役立てましょう

PEST分析の手順や、実施する際のポイントについて解説しました。企業経営やマーケティング戦略を立てるためには、市場や経済の動向をきちんと把握しどういった戦略を立てるべきなのかを判断しなければなりません。PEST分析を活用することで外部環境を4つの要因に分類することが出来、自社の状況等を効果的に分析する事が可能です。手段を目的化してしまわないよう、テンプレートなどを活用しながら効率よく分析を行うことが重要です。PEST分析をしっかりと行い、企業戦略に役立てていきましょう。

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