嘱託社員とは【待遇やメリット、デメリットなどを紹介します】

記事更新日:2023年01月25日 初回公開日:2023年01月25日

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日本では健康寿命が延びていることもあり今までよりも長く働きたいと考えている人が増えてきています。また企業としても、労働人口の減少により人材確保が容易ではない為長く働いてくれる社員は貴重な存在です。国としても長く働きたいと考えている人の為に、希望する人に対しては65歳まで就業の機会を与えることを企業に義務化しました。今回は定年になった従業員を再雇用した場合の嘱託社員について解説していきます。嘱託社員として雇用継続する場合の注意点等についても解説していきますので、人事担当者の方は参考にしてみてください。

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嘱託社員とは

定年退職後に再雇用を行った従業員

嘱託社員とは、定年退職後に再雇用を行った従業員のことを言います。定年後に再度雇用契約を結ぶ際、嘱託社員として雇用する義務はありませんが、多くの企業で定年後の再雇用の場合は嘱託社員が選択されています。嘱託社員は法律で定められた雇用形態ではなく、定年後に再雇用された有期契約労働者を指す言葉として使用されている場合が殆どです。しかし企業によっては、自社の就業規則を元に再雇用以外の場合でも嘱託社員として採用を行っている場合もあります。

嘱託社員と契約社員の違い

契約社員は基本的にフルタイム勤務を行う

嘱託社員と契約社員との違いは、契約社員は基本的にフルタイムで勤務を行います。契約社員も嘱託社員と同様に有期契約の為、雇用形態は似ていますが労働時間が異なります。基本的に契約社員はフルタイム勤務が求められますが、嘱託社員は定年後の再就職の場合が大半の為勤務時間を個別に設定することも可能です。嘱託社員として再雇用を行う目的は、嘱託社員のスキルや知識を活かすことです。経験豊富な嘱託社員であれば、若手社員とのコミュニケーションを円滑に進めるだけでなく知識やスキルの継承も見込めます。

嘱託社員と派遣社員の違い

派遣会社の雇用主は派遣元の会社

嘱託社員と派遣社員は、雇用主が異なります。派遣社員は派遣元と雇用契約を結んでいるため、派遣先の企業とは雇用契約の関係にありません。しかし嘱託社員は再雇用の場合が殆どなので、直接雇用となり勤務先と雇用関係があり、支払われる給与も異なります。派遣社員は派遣元から給与の支払いを受けますが、派遣先が支払っている給与から手数料が差し引かれています。派遣先にボーナスなどの制度があっても派遣社員は対象となりませんが、直接雇用の嘱託社員はボーナスや手当も付与対象です。

嘱託社員と業務委託の違い

業務委託は会社と雇用を結ばない

嘱託社員と業務委託は、嘱託社員は会社と雇用契約を結びますが業務委託は会社と雇用契約は結びません。業務委託契約を締結する場合は、会社に対してではなく、依頼された業務に対しての契約を結びます。その為業務委託は対等な立場で契約を行います。また雇用契約が発生する場合には条件を満たしている場合に社会保険等に加入する義務がありますが、雇用契約を締結していないので、業務委託契約を結んでいる人に対しての加入義務は発生しません。

嘱託社員に関係する定年後再雇用制度

高齢者雇用安定法

嘱託社員に関係する定年後再雇用制度は、高齢者雇用安定法です。高齢者雇用安定法は、少子高齢化が進み高齢者の雇用を促進するために制定されました。2013年に法改正が行われ、企業へ「定年制度の廃止」「定年年齢の引き上げ」「継続雇用制度導入」のいずれかの実施が義務化されました。継続雇用制度導入を行った場合は、65歳まで就業機会の提供が必要です。定年制度の廃止は企業にとってもハードルが高い為、継続雇用制度導入を行う企業が殆どです。

高年齢雇用継続給付金

定年後に嘱託社員として働く人は、高年齢雇用継続給付金を申請することが出来ます。高年齢雇用継続給付金とは、60歳以上65歳未満で雇用継続を行い給与が定年前の75%以下になる人が対象です。65歳までの就業機会提供の義務化により、雇用の継続は行っていたとしても支払われている給与が定年前と比べてあまりにも低い場合生活の維持が難しくなります。しかし企業としても同じ水準の給料の支払いは簡単ではない為、その差を埋める制度として高年齢雇用継続給付金を活用しましょう。

嘱託社員の待遇

条件を満たせば有給休暇が認められる

嘱託社員も、条件を満たしていれば有給休暇取得が認められます。有給休暇の取得条件は、同じ職場で6か月以上勤務しており全労働時間の8割出勤している必要があります。この条件をクリアしていれば、嘱託社員にも有給休暇を取得することが可能です。しかし、付与日数などは企業によって異なる為、事前に日数を確認しておきましょう。嘱託社員に切替を行っても、定年前の正社員の勤続年数が引き継がれるので、すぐ有給休暇を取得することも出来ます。

労災保険は加入できる

嘱託社員も正社員と同様に、労災保険に加入することが出来ます。雇用保険は、「31日以上の勤続」と「週20時間以上の労働」が加入の必須条件です。また雇用保険以外の社会保険等も、労働条件によって加入できるかどうかが決まります。健康保険や厚生年金保険に関しては、就業予定の企業に所属している従業員の数や貰う給与等の条件を満たす必要があります。しかし労災保険に関しては、クリアしなければいけない条件などがない為、嘱託社員でも加入することが可能です。

ボーナスについては企業ごとに決定する

嘱託社員のボーナスは、企業毎に決定されます。総務省が行った調査によると、嘱託社員の給料は正社員で働いていた頃と比べて低くなっている人が殆どです。平均的に2~5割ほど正社員の時の給与より減らされています。嘱託社員の給料は企業によって異なる為、あまり正社員の時そのままの待遇で働いている人もいますが、極稀です。給与と同様にボーナスも企業の裁量次第です。ボーナスを支払わなければいけない義務はない為、対象外と判断された場合には支払われることはありません。

退職金は企業によっては貰える

嘱託社員の場合でも、企業によっては退職金を貰うことが可能です。しかし企業側としては、嘱託社員に退職金支払いを行う義務はない為、企業により対応は異なります。嘱託社員を辞めるときに退職金を貰えるかどうかは、正社員から再雇用となり改めて労働契約を締結する際の条件をしっかりと確認しておきましょう。但し、正社員から嘱託社員に切替を行っている人は一度退職金の受け取りをしています。嘱託社員として再契約し、退職する際にもう一度を受け取れるかどうかは、企業の判断により異なります。

嘱託社員を雇用するメリット

知見や経験を活かしてもらえる

嘱託社員を雇用すると、知見や経験を生かしてもらえるメリットがあります。新しい人材を採用し、一から教育を行っていくと時間やコストが掛かります。人材紹介サービス等を活用して、自社に合うような人材の提案をして貰い少しでもミスマッチを防ぐことが課題となっています。そんな中、嘱託社員として雇用を継続することによって、経験豊富な人材を長く雇用出来るだけでなく経験などを活かし、若手社員へ知識の共有やノウハウの継承・教育なども期待できるメリットがあります。

人件費を抑えられる

嘱託社員を雇用することで、人件費を抑えることが出来ます。経験豊富な人材ですが、嘱託社員として雇用しているので正社員の時と比べ、先述したように支払う給料は2割から5割程度少なくなっています。その為、経験豊富な人材を通常よりもコストを抑えて雇用することが可能です。しかし嘱託社員の給与の内削減が可能なのは基本給やボーナスのみとなっており、通勤手当などの手当に正社員と比べて差を付けることは違法行為となるのでしっかりと事前に確認しておきましょう。

嘱託社員を雇用するデメリット

モチベーションを維持させることが困難

嘱託社員は、モチベーション維持させることが難しいというデメリットがあります。正社員で働いていた時と比べると、嘱託社員の給料はどうしても低くなってしまいます。その為企業としても、嘱託社員の貢献に対し報酬で答えるということが簡単ではありません。どうしても正社員の頃の給料と比べてしまい、やる気が維持できない場合や責任の重い仕事を任せてもらい辛い状況から仕事へのモチベーション維持が難しくなってしまいます。その為嘱託社員として雇用した際には、それぞれに適した方法でフォローを行っていくことが大切です。

すぐに辞職される可能性がある

すぐに辞職される可能性があるのも、嘱託社員を雇用するデメリットです。嘱託社員は定年後の再雇用の為、子どもの独立やローンの完済が終わると今後自分の時間を大事にしたいという考えから「いつでも辞められる」と思う人もいるかもしれません。嘱託社員として再雇用された時点で、しっかりと仕事を続けようと考え継続しているはずですが、正社員の時とは違うポジションになり再雇用ということで疎外感などを感じてしまうかもしれません。そうならない為にも、再雇用した際にはしっかりとコミュニケーションを取り辞職に繋がらない様対策を行いましょう。

嘱託社員を雇用する際の注意点

65歳まで雇用の機会を与えなければならない

嘱託社員を雇用する際には、65歳まで雇用の機会を与えなければならない点に注意しましょう。高齢者雇用安定法では、一部の職種を除き全ての企業に対して従業員が希望する場合には65歳まで就業の機会を与えることが義務付けられています。このルールに従わない企業は、厚生労働省から勧告書が通達され勧告も無視した場合は企業名を公表されてしまいます。定年退職が近い人が居る場合には事前に本人の希望を確認し、再雇用の際に就業する部署などを早めに準備しておくことが大切です。

正社員と比べて不合理な労働条件にしてはならない

嘱託社員を雇用するには、正社員と比べて不合理な労働条件にしてはいけません。定年後雇用を継続する場合に、定年前と全く同じ条件や状況で雇用する必要はありません。しかし有期契約を行う人を対象として、正社員と比べ明らかに嘱託社員の条件が劣っている雇用条件で雇用契約を結ぶことは禁止されています。年齢などを加味した上の労働時間削減や、業務の軽減など適正な理由がある場合は問題ありません。嘱託社員に不利にならない様に、しっかりと労働条件は確認しておきましょう。

契約内容を事前に検討しておく

契約内容を事前に検討しておくことも、嘱託社員を雇用する上では必要です。定年まで働いて貰っていた従業員の雇用継続を行う場合でも、嘱託社員となる時に再度雇用契約を結び直す必要があります。従来の労働条件と変わりない場合は締結する必要がありませんが、嘱託社員は労働時間などが異なる場合が多い為新しく契約を行いましょう。企業によっては、所属している従業員の年齢も若く再雇用制度の導入などを行っていない場合もあるかもしれません。しかし設備が整っていないとトラブルに発展する可能性もある為、事前に契約内容の検討や就業規則などの準備しておくことが大切です。

まとめ

嘱託社員を導入して企業に合う人材活用に繋げよう

嘱託社員を取り入れるメリットや、嘱託社員の待遇について解説しました。健康寿命が延びている日本では、少しでも長く働きたいと考える人は増えてきています。企業側も、定年を迎えた従業員を嘱託社員として継続雇用を行うことで得られるメリットも多い為、広く活用されています。しかし嘱託社員は以前と比べ給料や仕事のやりがいが低下してしまう為従業員のモチベーション維持が欠かせません。しっかりと企業でフォローアップ体制を作り、嘱託社員制度を導入して企業に合った人材活動を行っていきましょう。

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