建設業で技能実習生を受け入れるためには【人数枠や報酬についてのポイントを解説】

記事更新日:2021年09月27日 初回公開日:2021年09月27日

用語集 外国人採用・雇用 グローバル用語解説 人事・労務お役立ち情報
近年、日本で働いている外国人労働者の数は増加傾向にあり、2020年末には過去最高を記録しました。さらに日本における外国人労働者の在留資格の中で、最も大きな割合を占めているのが技能実習です。技能実習は多くの職種が対象とされていますが、中でも建設業には20以上の職種と30以上の作業が対象となっています。したがって、建設業における技能実習生はさまざまな場面において活躍してくれているといえるでしょう。この記事では、建設業で技能実習生を受け入れる際の注意点などについて解説します。他の職種との手続きの違いなどについても詳しく知りたいという担当者の方は、ぜひご一読ください。

就労ビザ取得のためのチェックリストをダウンロードする

建設業における技能実習生の特徴

受け入れ数が増加している

建設業における技能実習生の受け入れ数は、年々増加傾向にあります。ここ数年は新型感染症の影響もあって増加のスピードは緩やかにはなっていますが、それでも毎年増加しています。新たに特定技能という在留資格ができたということもあり、これまでよりも長期間にわたって雇用できる可能性が広がったのも要因の一つでしょう。一方で建設業就労者の全体の人数は減少傾向にあることから、今後も技能実習生の受け入れは増加していくと考えられます。

さまざまな職種に従事できる

建設業において技能実習生が従事できる職種は非常に幅広く、さまざまな現場で活躍してもらえることが期待されるでしょう。具体的には鉄筋の組み立てや内装の仕上げなど、30以上もの作業が対象となっています。日本における建築業の労働者は減少傾向にあるため、技能実習生が幅広い業務に携われるのは大きなメリットといえるでしょう。しかしもちろん危険を伴う作業も多いですので、企業は実習生の安全をしっかりと確保したうえで実習を行いましょう。

技能実習生を受け入れるための要件

監理団体に加入する

技能実習生の受け入れを行うためにはまず、監理団体に加入する必要があります。監理団体は、受け入れ企業と技能実習生の間で橋渡しのような役割を担う機関です。求人のサポートや、受け入れ後の定期的な監査などが具体的な業務の例です。監理団体に加入することによって、技能実習生にとってより快適な労働環境を提供することができるでしょう。日本には現在3000近くもの監理団体がありますので、これまでの実績などを調べたうえで建設業に強い監理団体を選ぶようにしましょう。

必要な人材を配置する

技能実習生を受け入れる際に、受け入れ企業は必要な人材を事前に配置しておくようにしましょう。必要な人材というのは例えば、技能実習生に対して業務や生活についての指導を行う指導員などがあげられます。労働者によって教え方やコミュ二ケーションの取り方には違いがあるので、受け入れ後に現場でいきなり業務指導を任せるというのは難しいでしょう。したがって、業務においても生活においても適切な指導を行える人材をあらかじめ配置しておくことが重要です。

欠格事由に該当していない

技能実習の受け入れに関する欠格事由に該当していないということも当然、技能実習生の受け入れのために必要な条件となります。関連する法律で直近5年間のあいだに刑罰を受けていた場合や、技能実習法によって処分を受けていた場合などが具体的な欠格事由としてあげられます。企業側だけではなく技能実習生側にも欠格事由はいくつかありますが、いずれも双方が長期にわたって良好な関係を築いていくために必要な条件といえるでしょう。

技能実習生の生活をサポートする

受け入れた技能実習生の生活をサポートするということも、企業側が果たすべき大きな役割といえるでしょう。技能実習生に対して業務に関する指導を行うことは当然ですが、業務以外の面においても技能実習生はわからないことが多く不安を抱えている場合が多いです。自分たちにとっては当たり前となっている日々の習慣や禁止とされている事項なども、技能実習生の母国では当たり前ではないかもしれません。業務以外のところでも技能実習生がトラブルに巻き込まれてしまわないように、定期的な生活指導や悩みについてのヒアリングを行うように心がけましょう。

日本人と同等以上の報酬を与える

技能実習生に対して受け入れ企業が支払う報酬は、同程度の技能や責務を有する日本人労働者と同額以上でなければいけません。技能実習生だからという理由で、報酬が不当に低いということは絶対にないようにしましょう。さらに、技能実習生に対しては報酬についてきちんと説明をする必要があります。技能などを加味して正当な報酬を支払うことで、金銭面のトラブルを避けて技能実習生に安心して業務に取り組んでもらうことができます。

建設業で技能実習生を受け入れるための要件

建設業許可を取る

建設業で技能実習生を受け入れるためには、建設業法第3条の許可を取っている必要があります。これは建設業の技能実習において、近年新たに変更された点の一つです。これまでは住宅専門などの軽微な建設工事を専門としている企業は、建設業法第3条の許可を得ていなくても問題ありませんでした。しかしこれから建設業で技能実習生を受け入れる企業は、建設業法第3条の許可が必須となります。申請先を調べるのに加えて書類の準備などにも時間のかかる業務ですので、受け入れをする際には余裕を持って手続きを行いましょう。

報酬を月給制にする

技能実習生に支払う報酬を月給制にするということも、建設業の技能実習制度においては非常に重要なポイントです。建設業において報酬を日給制や時給制にしてしまうと天候や季節、さらに仕事の受注数によって報酬が増減してしまう可能性があります。そうすると技能実習生は安定した報酬を継続して受け取ることができないため、生活が苦しくなるということも考えられます。したがって、仕事量に依存せずに毎月安定して報酬を支払うために月給制を取り入れましょう。

建設キャリアアップシステムに登録する

建設業の技能実習制度においては、「建設キャリアアップシステム」への登録が義務付けられています。建設キャリアアップシステムへの登録は建設業技能者の評価を適正に行うことなどが目的ですが、技能実習生の受け入れを行わない場合は任意での登録となっています。しかし建設業で技能実習生を受け入れる場合は、実習生の労働環境を守るためにも登録が必須です。建設キャリアアップシステムへの登録は今後義務化されていくと予想されているため、現時点で登録していない企業は早い段階で登録しておくといいでしょう。

建設キャリアアップシステムとは

建設業の人材不足を対策するための仕組み

建設キャリアアップシステムは、現在の建築業における人材不足を対策するために非常に役立つ仕組みといえるでしょう。建設業における人材不足のおもな原因は、スキルや経験に対する適正な評価を得られていないという不満や若年層の入職の減少からなるものだと考えられています。建設キャリアアップシステムには技能者たちのスキルや業務実績についての情報を登録することができるため、客観的かつ適正な評価を実施することが可能になります。

建設労働者のキャリアを明確にできる

建築キャリアアップシステムに登録することによって、建設労働者のキャリアを明確にすることができます。建設業において、これまでの経験に基づいた評価を行うことは難しいとされていました。しかし建設キャリアアップシステムによって保有資格や就業実績に応じたレベル分けなども検討されているため、技能者にとっては自身のキャリアを考え直すきっかけになるでしょう。また、自分のスキルなどを客観的に把握することができるため、キャリアアップに対するモチベーションの向上にも非常に役立つと考えられます。

建設業における事務作業の効率化も図れる

建設キャリアアップシステムには建設労働者の保有資格だけでなく保険加入状況などの情報も登録されるので、事務作業の効率化にも役立ちます。さらに、登録者のスキルを明確に把握することができるため自社の求めている人材を見つけやすく、効率的な採用活動ができるでしょう。それだけでなく、今後はさらに建設業退職金共済事業本部との連動が進むことによって、建設労働者の退職金に関連する事務作業の効率化なども大きく期待されています。

建設業で技能実習生を受け入れる際の注意点

受け入れが可能な人数枠を把握する

建設業で技能実習生を受け入れる際には、受け入れが可能な人数枠を正しく把握しておきましょう。受け入れが許可されている技能実習生の人数は、常勤職員の総数以下の人数です。常勤職員というのは企業の社会保険の被保険者を指していますが、報酬などの面において取締役もこれに該当する場合があります。優良な実習実施者・監理団体にあたる場合は免除されることもありますが、実習生に対して十分な指導体制を整えるためにも正しい人数枠で受け入れるようにしましょう。

技能実習を実施できる期間を把握する

技能実習を実施できる期間も、正確に把握しておく必要があるでしょう。技能実習を実施できる期間は最大で5年間とされています。しかしこれはあくまで最大の年数であり、技能実習生は技能実習1号から技能実習3号にかけて移行するために技能検定を受験します。この検定に合格することができないと、場合によってはたった1年で終了してしまうこともあります。企業としては実習生が働ける期間に応じて、適切な業務を割り当てることが重要となるでしょう。

技能実習生が働きやすい環境を提供する

技能実習生が働きやすい環境を提供するということも、建設業の技能実習においては特に重要といえるでしょう。外国人技能実習生のうち、分野別の失踪者数が最も多いのが建設業の技能実習生なのです。その原因としては、労働環境や生活環境への不満などが考えられるでしょう。適切な報酬を与えることはもちろんのことですが、実習生が不安を抱えるのはそれだけではありません。パワハラなどに注意して指導を行うことはもちろん、適度なコミュニケーションを取って円滑な人間関係を築くことも意識しましょう。

必要に応じて技能講習を実施する

受け入れを行う企業は技能実習生に対して、必要に応じた技能講習を定期的に行うようにしましょう。先述の通り、技能実習生は定期的に技能検定を受験し、その結果に応じて実習期間が決まります。せっかく受け入れを行なったのにもかかわらず、短期間で終了してしまうのはコスト面で考えても勿体ないです。そこで企業は実習生が技能検定にしっかりと合格してできるだけ長い期間実習を行えるように、必要な技能講習を実施する必要があるのです。

まとめ

建設業の技能実習について理解したうえで受け入れを実施しましょう

建設業の技能実習における受け入れ要件や、受け入れの際も注意点についておわかりいただけたでしょうか。建設業における日本人の労働者数は減少傾向にあるため、外国人技能実習生は業界の発展のために重要な役割を担っていくと考えられます。しかし同時に技能実習生の失踪者数が多いということも、深刻な課題の一つです。建設業で技能実習生を受け入れる際には、実習生が実習期間の最後まで安心して業務に取り組めるような環境を整えるようにしましょう。

外国人・グローバル人材の採用をお考えの企業様へ

事例

「日本語+英語+さらに語学が堪能な社員の採用」「海外の展示会でプレゼンが出来る人材」「海外向けサービスのローカライズ出来る人材」「海外向けWebサイト構築・集客」など、日本語も堪能で優秀な人材へのお問い合わせが当社に相次いでいます。

他社の外国人採用成功事例はこちらからご覧ください。

【無料】就労ビザ取得のためのチェックリストがダウンロードできます!

就労ビザ取得のためのチェックリストダウンロードバナー

グローバル採用ナビ編集部では外国人の採用や今後雇い入れをご検討されている皆様にとって便利な「就労ビザ取得のためのチェックリスト」をご用意いたしました。また、在留資格認定申請書のファイル(EXCEL形式)もこちらよりダウンロード可能です。

こちらのチェックリストはこのような方におススメです!


  1. 外国人採用を考えているがビザの申請が心配。
  2. 高卒の外国人は就労ビザの申請できるの?
  3. どのような外国人を採用すれば就労ビザが下りるの?
  4. ビザ申請のために何を気を付ければいいの?
  5. 過去に外国人のビザ申請をしたが不受理になってしまった…
  6. 外国人材を活用して企業の業績アップを図りたい方。
  7. 一目で分かるこんな就労ビザ取得のチェックリストが欲しかった!


他社での事例やビザ申請の際に不受理にならないようにまずは押さえておきたい就労ビザ取得のためのポイントを5つにまとめた解説付きの資料です。

就労ビザ取得のためのチェックリスト(無料)のダウンロードはこちらから!

ページトップへ戻る
ダウンロードはこちら
ダウンロードはこちら