コングロマリットとは【メリットやデメリット、楽天など日本の有名企業が取り入れている実例を紹介します】

記事更新日:2024年03月22日 初回公開日:2024年03月22日

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企業が大きく成長するために、他の企業を買収・合併することはよくあることです。通常であれば関連のある会社が合併することで業界における優位性を確保しますが、コングロマリットという手法では異業種間でM&Aが行われることが大きな特徴です。全く関連性のないように見える異業種間での買収や吸収合併ですが、異なるフィールドでの知識や技術獲得により、相互にシナジー効果をもたらしグループ全体を活性化します。ここでは企業から注目される「コングロマリット」の意味や注目される背景とメリットおよびデメリット、そして具体的な手法と事例までを詳しく解説いたします。

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コングロマリットとは

異なる業種に属する複数の企業が経営統合を行い1つの大きな企業グループを形成すること

コングロマリットとは、異なる業種に属する複数の企業が経営統合を行い1つの大きな企業グループを形成することを言います。また、「コングロマリット・Conglomerate」には、「集合体」という意味があり、統合された企業グループそのものを指す言葉でもあります。基本的には異業種同士の統合によって多角経営を行うことで、リスクを分散するなどの効果を狙うものです。ただし、コングロマリットを広義に解釈するときには、同業種同士の統合も含みます。

コングロマリット型M&Aとは

新規事業への参入を目的としたM&Aの手法

コングロマリット型M&Aとは、新規事業への参入を目的としたM&Aの手法です。M&A(合併と買収)は、2008年のリーマンショックより下降線を辿り、東日本大震災のあった2011年に最低を記録してからは年々増加傾向にあります。従来では、既存事業の強化を図る「水平型M&A」や、サプライチェーンマネージメント効果を図る「垂直型M&A」が主流でした。しかし、近年になって、多角経営を目指す新しいかたちの「コングロマリット型M&A」が注目され急増しています。

コングロマリットの効果

コングロマリット・プレミアム

コングロマリットのプラス効果に、コングロマリット・プレミアムがあります。コングロマリット・プレミアムは、異業種を複数取得保有することで異なる事業間にシナジー効果がもたらされ、統合された企業の価値を高めることです。効果の内容は「新規参入による売上利益の向上」「既存顧客の囲い込み」「多様な人材活用」「経営資源の有効活用」などが挙げられます。それまでの個々の事業では得られなかった多様なリソースや知見を獲得することで、競合他社を大きくリードすることができるのです。

コングロマリット・ディスカウント

コングロマリット・ディスカウントとは、異業種統合によるマイナス効果になります。コングロマリット・ディスカウントでは、期待された事業間でのシナジー効果が発揮されず、企業価値を低下させてしまうことになるのです。その要因の一つは、新しい事業の独立性が高いために事業間での相互作用が行われにくく、シナジー効果が発揮されないうえに事業同士で収益を奪い合う状況が発生するためです。シナジー効果が発揮されるかは、まさに紙一重のところで明暗が分かれると言っても過言ではないでしょう。

コングロマリットが注目されている理由

ビジネスモデルのリスクヘッジ効果が期待できるため

コングロマリットが注目されている大きな理由は、ビジネスモデルのリスクヘッジ効果が期待できるためです。VUCAの時代と呼ばれる先が全く予測できない現代において、リスクを分散することは企業にとって重要な課題です。その対策にうってつけなのが異業種統合のコングロマリットであり、リスクヘッジ効果を考えたときに理想的な経営戦略となり得ます。事業の多角化は先が見えない現代において、企業の存続と繁栄のために欠かせない経営手法です。

コングロマリットのメリット

シナジー効果を狙いやすい

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シナジー効果を狙いやすいことこそ、コングロマリット最大のメリットです。企業で新技術を開発するためには、相応の時間と労力を費やすことになります。最新の自術を経営統合によって瞬時に手に入れることができ、同業種だけでなく異業種の知識やノウハウまで獲得できるのは大きな魅力です。他業種の市場の動きを見ることや多業種での事業戦略が、別事業で大きな影響を与えることがあります。広い視野と知識を持つことが、事業間のシナジー効果を生む大きなポイントです。

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経営リスクを分散できる

前述のように、経営リスクの分散は、各企業に与えられた重大なテーマです。従来型の大量生産での大量消費というモデルは衰退し、消費者ニーズの多様化に則した生産体制が求められています。また、顧客ニーズは目まぐるしく変化していることから、事業を一つか二つの分野に絞り込むことは、大きなリスクを背負うことになるでしょう。そのため、できるだけ方向性の異なる複数の事業を手がけることで、経営リスクを分散させ、損失が発生した場合でも被害を最小限に抑えることができるのです。

中長期的にビジョンを描きやすい

中長期的にビジョンを描きやすいことも、コングロマリットのメリットです。コングロマリット・プレミアムやコングロマリット・ディスカウントのように、統合後すぐ株価に反映されるため短期的な成果を考える方も多いでしょう。しかし実際に成果を出すためには短期間では難しく、中長期的にシナジー効果を期待する方が現実的です。新しいビジョンを明確にし、企業全体で目標達成を目指すことでこそシナジー効果が期待通りに発揮され、企業の成長に繋がるはずです。

コングロマリットのデメリット

企業内のコミュニケーションに不具合が生まれやすい

企業内のコミュニケーションに不具合が生まれやすくなることは、コングロマリットのデメリットであり、十分に注意をする必要があります。コングロマリットでは、多角経営を強化することが大きな目的であるため、専門性の高い知識や経験および技術などが必要です。独立性の高い事業であることが多く、専門外の事業部門とはコミュニケーションを取る機会が少なくなるため、全社で必要な情報を共有することが難しくなってしまうでしょう。

コーポレートガバナンスが低下する恐れがある

コーポレートガバナンスが低下する恐れがあることも、コングロマリットのデメリットになります。多種の専門事業を合併買収することは魅力的なことですが、経営陣やマネージメント部門が専門知識を持っていなければ、専門性の高い分野は野放しとなります。監視の目が届かないため適切な運営から逸脱することも考えられ、不正会計や品質低下を招くことにもなり兼ねません。企業としては、グループ全体の健全性を保つため、ガバナンス強化のための施策が必要です。

企業価値が低下する恐れがある

コーポレートガバナンスの低下は、企業価値を大きく損なうことにも繋がるため、早期に対策を講じる必要があります。十分な対策をしなければ、投資家からの信頼を失い、株価にも大きな影響を与えることでしょう。また、シナジー効果を期待するコングロマリットですが、上手く効果が働かないことも多いため、投資家の見る目は非常に厳しくなっています。株価が下がることは企業価値が低下していることの表れとなり、企業の資金繰りなどにも悪影響を与え、企業全体の収益悪化を招く事態にもなり兼ねません。

コングロマリットの手法

資本提携

コングロマリットの手法である資本提携は、複数の会社が業務のノウハウと資金面で協力提携することで、お互いを補う効果があります。自社の弱みを他社の知的財産などにより補強し、他社のネットワークなどを利用して、自社の強みを更に強調することができるのです。なお、資本提携の場合には、グループ企業に吸収される必要がなく、お互いの独立性が保たれるメリットがあります。ただし、1/3以上の株式を持たれると経営にも影響するため、株式比率を考えて資本提携することが肝要です。

吸収合併

吸収合併はコングロマリットの代表的な手法で、一方の企業がもう一方の企業を丸ごと飲み込んでしまうかたちを言います。飲み込まれた企業は消滅して、持っていた有形無形の資産の全てが存続会社に承継されるという手法です。規模の大きな企業が、規模の小さい企業を吸収することが一般的です。また、コスト削減や事業のシナジー効果を狙って、親会社が子会社を吸収するケースもあります。他には、合併会社を全て消滅させ新設合併会社を設立することを「新設合併」と呼び、同じ合併でも「吸収合併」とは区別されています。

買収

買収とは、その名の通りに一方の企業がもう一方の企業を買い取るコングロマリットの手法になります。企業を買収するメリットは、買収先の魅力的な技術や知識などを丸ごと買い取ることによって、自社に不足している部分を補えることです。とくに自術開発や新規の市場開拓には時間と労力を要するため、それらのノウハウを持つ企業を買収することで、目的を迅速かつ確実に実現できます。これによって競合他社が減るとともに、自社の商品は高品質となり、販路も広げることができるのです。

コングロマリットを導入している企業例

日立製作所

世界有数の電機総合メーカーである株式会社日立製作所は、関連会社および子会社の合併吸収を繰り返し、デジタルソリューション分野などで成功を収めている企業です。日立ソリューション株式会社は、日立製作所の子会社であるものの、日立グループが誇る情報通信分野の中核を担っています。デジタルソリューション事業では、子会社の強みである情報通信制御技術に、日立本体の製造業と組み合わせることで、シナジー効果を発揮しているようです。日立製作所では、効果的な吸収合併を進めており、中長期的な戦略を持って他社とも差別化を計画してます。

楽天グループ

楽天グループでは、インターネット通信販売で有名な「楽天市場」を主力に置きながら、多彩な事業を展開しています。楽天銀行や楽天証券などの金融部門や、プロ野球の楽天イーグルスについてはスポーツカンパニーを設立し、多様なサービスを展開しています。他にも楽天モバイルなど通信分野にも進出し、それぞれの事業間でシナジー効果が発揮され、楽天グループの知名度は更に充実しています。キャッシュレスに向けた事業活動や、ドローンの使用などにも注力しており、時代の最先端をリードし続けている企業です。

ソニーグループ

ソニーグループは、日本を代表するコングロマリットを導入している企業です。従来の電気機器メーカーとは関係性が薄いと思われる自動車保険や火災保険などの分野にも進出し、保険の在り方を大きく変えた実績を残しています。また、得意分野でもあるゲーム&ネットワークサービスと、ソニーの電気機器を連携させるなど、事業間でのシナジー効果も期待通りに発揮されているようです。その他にも音楽・映画などの配信や、テクノロジー&サービスなど事業は広範囲にわたり、経営の安定に寄与しています。

まとめ

コングロマリットを形成して多角化戦略を進めよう

コングロマリットは中長期において効果を発揮するものであり、短期的には損失を被る危険性もはらんでいます。そういう意味から、長期的な展望と明確な目的を持ってコングロマリットを決断することが重要です。また、繰り返しになりますが、異業種間での統合はグループ全体のガバナンス強化や専門知識の習得が大きな課題となるでしょう。まずはコングロマリットの意味や効果と弱点を十分に理解することが重要です。ぜひ大きな効果が見込めるコングロマリットを形成して、多角化戦略を進めていきましょう。

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